第11話 アンチ正義④

 最果ての村から暫く南へ向かった所、これまで積み上げたもの全て捨て、2人で全てをやり直すつもりだった。

 なのに……リィラの仇である竜に手も足も出なく……

 尻餅をついた、自分の前に立ちふさがる男……


 金髪の男はマイトの前までゆっくりと歩き、目の前で立ち止まる。


 「……目は覚めたか?己を弁えることが出来たか?」

 文字通り見下すように、尻餅をついたままの男に英雄が言う。


 「……ふん、言葉を返すこともできないのか、いい……リィラ戻るぞ」

 尻餅をついた男を通り過ぎ、リィラの元へ向かう英雄。


 「くっ!?」

 マイトは咄嗟に立ち上がると、両手を広げてリィラの前に立つ。


 「……なんのつもりだ?」

 この期に及んで、まだ自分に歯向かいリィラの権利を主張する男に嫌悪感を抱く。


 「……渡さないっ!」

 最後のチャンス……これを失うくらいならここで殺されるほうがましだ。

 


 「……いい加減に弁えろ、この俺が居なければ2度死んでいる……」

 マイトが竜との戦いで地に落とした剣を拾い上げ、剣先をマイトに向ける。

 この英雄を復活させる事になった洞窟……

 そして、リィラの仇とも言える竜……

 この英雄が居なければ、事実マイトは命を落としていたであろう。


 「……死んでも、リィラを渡すものかッ!!」

 歯を喰いしばる。

 そんなマイトに英雄は呆れた目で言い放つ。


 「……理解していないようだな、貴様のちっぽけな命の話をしているのではない」

 英雄は睨むようにマイトを見る。


 「……貴様はリィラを2度殺しているっ!そう言っている!」

 歯を喰いしばり踏ん張っていた足が緩み、再びその場に転倒しそうになる。


 「貴様は自分の不甲斐なさを弁えることもせず、貴様が必死で守ろうとしてるものを、この俺が2度守っている……理解しているか?」

 足が震える……否定ができない。

 それでも、身体はここをどこうとはしない。


 「ふんっ」

 英雄は手にする剣を投げ捨てると、マイトの前に突き刺さる。

 その意味することは理解できない。


 「抜けっ……貴様は3度死なねば理解せぬようだ……」

 英雄の敵意がマイトへ向かう。


 「貴様が一撃でもこの俺に与えることができたなら、お前たちを見逃してやる、だがそれが敵わなかった時、その時は潔く己を弁えこの場から消えうせろっ!」

 ……この先、2人で新しい生活を始める筈であった。

 なのに……


 立ち塞がる。

 立ち塞がるのは自分の理想……

 立ち塞がるのは自分の理想の力をもつ正義の味方……

 立ち塞がるのは自分の理想とした英雄……


 「あーーーーーーーーーーッ!!」

 目の前の剣を抜き、恐怖を打ち消すように叫んだ。

 英雄は呆れたようにマイトの無様な剣技を鼻で笑い、

 それを避け、時には手にした弓でそれを全て防ぐ。


 利き腕でも無い左手に持った弓で強く弾かれ、マイトの手から剣が離れ地に着き刺さる。

 余裕の笑みで立ちすくむ英雄にマイトは向きなおすと、

 油断している英雄に弓を素早く構え、素早く矢を引いた。


 英雄の余裕な笑みの顔に向かい放った矢が飛んでいく。

 英雄はさらに口を広げ笑みの顔を強めると、ゆっくりと目を閉じる。

 矢が英雄の顔の前で止まる。


 右手でそれを受け止め、矢を停止させていた。


 「弁えよ……この俺様に射撃で出し抜けると思ったか?」

 「貴様が一番理解しているのではないか?この俺に貴様が遠く及ばぬことを?貴様が一生かけてそれでも手にすることの成しえないそんな存在だということを?本当は理解しているのであろう?」

 受け止めた矢を投げ捨て、英雄が一歩、また一歩近づいてくる。


 「くっ!」

 マイトは素早く剣を引き抜くと、剣を構える。


 「この俺が誰の理想であるか……だれが正義として相応しいか?」

 わかっているのではないか……?

 

 「くっ!?」

 手にした剣で斬りかかろうとした、マイトの剣を光の矢が弾く。

 マイトは再び地に尻餅を付く。

 弾かれた剣は、再びマイトの手を離れ宙を舞う。

 それは剣が二つに折れ、地面に再び突き刺さることは無かった。


 「だれが……リィラに相応しいか……」

 わかっているのではないのか?


 「くっ!!」

 最後に残された弓を構えると、腰に装着した矢の筒に手を伸ばす。

 が、その手が矢を取り出す事は敵わず、英雄が放った光の矢がその筒を破壊した。

 

 思考が停止した。

 目の前の男に抵抗する手段を全て奪われた……


 どこかで本当は諦めていたんじゃないのか?

 ……違う、そんな事はない。

 僕はやれることを全て尽くした。

 僕は今やれることを全て尽くした。

 仕方ない……?


 だって……諦めたくなくても、立ち向かいたくても……

 僕にはもうその手段が無いじゃないか……

 今、この状況で……奴に勝つことは不可能じゃないか……

 仕方が……


 カランッ


 思考が停止している。

 目の前に転がる短剣。


 リィラがマイトの側に立っていて、護身用に見につけていた短剣を投げ捨てた。


 見上げて見るリィラの顔はまるで……


 私のためにまだ、戦ってくれるよね?そう告げている。

 こんな短剣より立派な剣でも弓矢を使っても一撃すら与えられなかった相手に……

 

 諦めずにその短剣を手にして戦ってくれるよね?と、

 そんな残酷なことを無言で言ってのける……


 ……えっまって……停止した思考。

 無意識のうちに思ったこと。

 まって……残酷なこと?僕はそう思って?

 違う… 違う… まって?

 待って、待って、待ってくれ……

 リィラ……僕は、そんな……


 ねぇ、いま……僕はどんな顔で君を見上げている?

 できない事を強要されるような……そんな顔……

 違う……僕は、そんな顔なんて……


 全てを理解したように彼女は笑った。

 これまでで、一番優しく、一番悲しい笑顔だった……


 「ごめんね、少しだけ意地悪しちゃった」

 そう言ってリィラは短剣を拾い上げる。

 待って……僕は……


 「……いくぞ、リィラ」

 英雄はそう言って、マイトの前を立ち去る。


 「…………はい」

 彼が諦めてしまった以上……彼女の残された道。

 彼女が彼女なりに彼を解放できる方法……

 彼女はマイトと2人で歩んだ道を引き返す他に方法は無かった。


 頭があげられない。

 四つん這いで地を見る事しか出来ない。


 その後姿を見ることも、声をあげることも出来ない。


 頭が回らない。

 何をするのが、どうすることが最善か……全く思考が追いつかない。

 次第に2人の足音が消え……


 呆然と地を見るマイトの周りには、散らばった折れた矢と、折れた刃が転がっていた。


 「うっうわあぁーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 全てを理解し……理解をしたが、マイトはただ地に頭を擦り付け泣き続けた。

 泣き続けるしかできなかった……。





△△△




 バシンッと棍棒のようなもので男の身体は叩かれ、手枷を着けられ、

 宙に吊るされた男の身体が強く揺れる。

 鉄の柵の中で、ヘインと呼ばれた男は5日間食べるものも与えられず、

 ただ、その拷問を続けられていた。


 隣の鉄柵の中では、同じように女性が吊るされ同じように拷問を受けている。

 ただ、拷問に手を貸している男達は、良心が少しは働いているのか、

 躊躇った顔で早く2人が口を割り屈服することを願う。


 「いい加減、2人の居場所を吐け、そしてマイト様に忠誠を誓え、そうすればこんなこと……」

 同じ村の仲間だった……4人、本来のマイト以外の3人は助けることが出来る……

 そう思い、何度もそう促す言葉をかけるが……


 「……マイトは1人だけ……あんなどこの誰かわからない金髪男……あんな奴、僕は知らない」

 弱りきった身体でヘインはそう目の前の男に告げる。

 「……最初は少しだけ嫉妬していた……」

 ヘインはマイトとのこれまでを振り返る。


 「……村で若い男は僕とあいつだけ、だけどあいつは僕よりも全て優れていてさ……僕なんかよりちやほやされているのに、ちっとも偉そうにしなくてさ、そんな僕にも優しく声かけてくれてさ……現状に満足せず、この村のために僕たちのために、ずっと努力して助けてくれたじゃないか……そんな恩を忘れて、あんな力だけの野郎にいい大人全員で尻尾振ってんじゃねーぞ」

 ヘインは目の前の男にそういい捨てる。

 少しだけ苛立ちを覚えた男は再度、棍棒でヘインを身体を叩く。


 「ぐっ」

 視界が霞む……

 頭がボーーとする。


 「………忘れるか、忘れてたまるか……マイトという人間は……少し頼りなくて、自分より他人のことばっか考えているような奴で、欲がなくて、強くなることに一生懸命で……いつも僕らを助けてくれた正義の味方は……1人しか居ない……」

 視界が霞む……

 頭がボーーーとする。


 「………だよね、ケイ……ト………」

 ガシャンと鎖が揺れる。

 身体の全てが重力に逆らうのを辞めたようにダラリとぶら下がる身体。


 「おっおい……」

 さすがにこの状況には、村の男達も戸惑っている。

 

 「ヘ…ヘイン?」

 異変に気づいたケイトがヘインに呼びかける。

 周りの大人がざわめいている。

 何が……?




△△△




 行くあても無い……ふらふらと歩く。

 自分の産み出した理想の英雄に……

 理想の正義の味方に全てを壊された。


 流す涙もなくなり……宛ても無く来た道をただ引き返す。

 何も考えていない。

 

 5日かけて歩いてきた道は、

 一切の寄り道も休憩も挟まずに歩けば1日半で戻ってきた。

 何も考えず村に入る……

 目指すのは何処か?

 そんな中で、村の人達の会話が聞こえる……


 「拷問を受けていた2人の村の若い子たちが居ただろ?」

 2人の女性の会話。

 「男の子の方……ヘイン君って言ったっけ?」

 「2日前……命を引き取ったって……」

 ナニ……ヲ……ハナシテイル?

 思考が追いつかない。


 「食べるものも与えられてないって話だろ?女性の方ももう……」

 オトコノホウハシンデ……オンナノホウモモウ……?

 自然と足はそこへ向かった。


 ヘインを殺してしまったことで、男達は気が動転して今は空になっている村の牢獄。

 地下への階段を下りる。


 頭が回らない。

 ただ……血の臭い……

 目の前の鉄の柵の中に目をやる。


 あっちこっちに散らばっている血の跡……

 さきほどまであった何かがかたされた様な……

 


 「……マイト……?」

 弱々しい今にも消えそうな声で……自分を呼ぶ声。


 ほぼ、半裸であっちこっちが傷だらけで……

 女性だからという訳ではないが……

 女性にする扱いではない……そんな様が見受けられた。

 天井から鎖で吊るされる女性。


 「……あ…あぁ……」

 マイトから何とも言えない情けない声だけが零れ落ちる。

 受け入れたくない……

 受け入れることができない……

 彼女たちが自分のせいでここでどんな目を合わされたのか……


 そんな彼女たちを犠牲にして……自分は新しい人生をやり直そうとしていたこと……そしてそんな犠牲を無駄にしてここへ戻ってきたこと……


 「……うぅ…あ……」

 言葉がまったく浮かんでこない。

 

 「……ヘインがね、最後まで僕たちの正義の味方はマイトだって言ってたんだよ……あの弱虫のヘインがさ……最後まで……」

 最後まで……その言葉が重く押しかかる。

 空になった牢の中を見てただ、罪悪感に押しつぶされそうになる。


 「あ……うぅ……」

 考えられない……

 僕は……いったい……


 「……どうしたの、マイト……そんな悲しそうな顔して」

 力なく笑うケイト……

 「せっかく……さいごに、マイトと話すことできたんだ……お話しようよ……」

 優しくそんな事を言う。

 どんだけ罵倒された方が楽だろう……

 どれだけ怨まれ目で見られたほうが楽だろう……


 「……ケ……イト……ぼく……」

 ごめんなさい……そんな言葉で許されてはならない。

 だったらどうすればいい?

 どう……償えば……


 「……ねぇ……マイト、私ね……わたし……マイトとリィラの気持ち知ってた……」

 ケイトは実に女の子らしい顔で……


 「……だからね、ずっとマイトに言えなかったことがあったんだ」

 そんな隠し事を告白する口調で……


 「さいご……くらい……いいよね?マイトに伝えても……いいよね?」

 なんで笑っている?

 なんでそんな嬉しそうに話せる?


 「……それでも誰にも優しくて……少し頼りないのに、だけど……いざという時……何処か猛々しく……そんな私達の正義の味方……そんなマイトの事がね……」

 彼女の最後の告白……


 「……大好きでした……」

 凄く照れくさそうに彼女は言った。


 「……さいごに……言えて……よかった……」

 何かに安心したように彼女は目を閉じる。

 そして、全ての力が抜け落ちたように、彼女の頭が重力に逆らうのを諦めがくんとうな垂れた。


 「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッーーーーーーーーーッ」

 プツリと何かが音を立て断ち切れた。


 僕はどうすればいい……

 僕はどうやって2人を償えばいい……

 僕はどうやって2人の罰を受ければいい……

 僕は……もう……


 「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 狂ったように叫ぶ。

 

 「何事だッ!」

 村の男が1人騒ぎを聞きつけ階段を下りてくる。


 「マイトか……貴様、ここで何をッ」

 剣を抜きマイトに近づく……


 「アアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 狂ったようにマイトが急に男に飛び掛る。

 左手で男の剣の刃を握り締め、右手で男の頭を鷲づかみにすると、壁に追いやる……

 「キサマがキサマらが……ヘインとケイトをッ!!」

 自分でも信じられない力……怒りに身を任せた力……

 握った刃の左手から血が零れ落ちる。

 かまわない……


 「キサマが2人をッーーーーーッ!!」

 男から剣を奪うとその剣で躊躇なく男を突き刺した。


 「マ…マイト…おまえ………」

 男はその場に崩れ落ちる。

 人を殺めるのは初めてだ……

 でも、もう何もかもが手遅れだ。


 僕はもう……落ちるだけ。

 失うものがなくなった……

 もう全て失った……

 もう後戻りはできない。

 帰る場所はもう……何処にも無い。



 「逃がすな、そっちに向かったぞーーーーッ!!」

 そんな男の叫び声と村の鐘の音が鳴り響く。


 化け物なんて何処にも居ない……

 いや……化け物はここに居る。

 そう、今、村の鐘が知らせる化け物は僕の事だ。


 村の死角に身を隠し、足に突き刺さっていた矢を引き抜く。

 マイトは容赦なく村人を斬った。

 村人も容赦なく命を奪うつもりでマイトを追い詰めた。

 この足では、まともに逃げることもできない。


 このまま、何もできず終わってしまうのか……

 2人に何一つ報いることができないまま終わってしまうのか……


 流れ落ちた血痕が転々としている……

 自分が通った道の道しるべとしては十分な役割をしているだろう……

 声が近づいてくる。


 理由はない……ただひたすら北に向かう。

 最果ての村と呼ばれた場所からさらに北の最果て……

 立ち入り禁止とされる区域……

 その柵を乗り越える。


 思えば……ここを訪れるのは初めてかもしれない。

 


 何でも、この世界の理に逆い、世界の怒りに触れ……

 この最北のこの場所にこの世界で行き場の失った全ての怒りや憎しみを背負わされた大罪人が隔離されていると聞いたことがある。

 そんな場所に来てどうなるのか……

 ただ、行く場の無い足は、そこに向かっていた。


 真っ暗な霧が渦巻いており、不意に別次元にでも踏み入ったかのように、

 真っ暗な空……ひたすらな闇が続いていた。


 そして、そこにそれは居た。


 まるで空から黒い水が滝が流れているかのように……

 その水が溜まる黒い泉の中央で……まるで何かに束縛されるように真っ黒い包帯を全身にまとった……大罪人と呼ばれるそれは居た。


 世界の全ての怒りや憎悪がここに辿り着くと言う。

 それを一身に受け続けるというのはどんな苦しみなのだろうか……

 冷静さを失っている彼でさえ、目を疑うほど、その光景は異常だった。


 ダレダ……

 頭に言葉が直接響く。


 目の前の黒い包帯を全身にまとう大罪人が喋っているのか?


 コレハ……マタ……ツヨイゾウオダ

 大罪人はマイトの存在をそう受け止める。

 全ての強い憎悪はここに導かれる。

 そういう事だったのかもしれない。

 ……ただ、まだ僕はこれをこの大罪人に受け渡すきなどない。


 「あんたは……そこから抜け出したいと思わないのか?」

 今も苦しみ続ける大罪人にそれを聞いてみる。


 ナスベキコトガアル……


 「そんな状態になって……まだ成すべきことがあるのか?」

 ……聞いてどうなる訳でもない。


 ワタシヨリモ……コノセカイノチュウシンデ ズットクルシム ショウジョガイル……ボクハ……イマ コノチカラヲ ウシナウワケニイカナイ……

 イマ……コノセカイニ アラガウコトヲ ヤメルワケニイカナイ……


 マイトにはとても理解できない。

 その言葉の意味。

 ただ……


 「許せない奴が居る……自分の理想……描いた正義……」

 こんな得体の知れぬ者に何を願おうと言うのか……

 ただ……ただ一つでも可能性があるというなら……


 「この僕に力を分け与えろッその為ならお前の背負う怒りや憎悪、この僕に分け与えろッ!」

 そんな理屈が通るかなんてわからなかった。

 ただ、マイトは黒い泉に自分の頭を突っ込んだ。


 「なんだ……コレ?」

 全ての理解を超えたものがそこに有り……

 考えるより先に、色々な何かがマイトの中に入り込んでくる。


 「アアアアアアーーーーーッ」

 この大罪人は……永遠とも言える時間を……

 この苦痛を……ずっと絶えているというのだろうか……


 「アアアアアアアーーーーーーッ」

 黒い水から頭を抜くと……

 侵食していく……何か……

 目が黒く染まり……瞳は紅く変色していた。

 咄嗟に顔を覆った両手もその顔の熱に溶かされるように変形していく。


 何処からか伸びてきた黒い包帯がその顔を覆うようにぐるりと巻かれていく。


 「ア…アア…」

 憎い……憎い……

 怨め……怨め……

 その為なら全て捨ててやる。

 かつてマイトという人間が描いた理想の人間を……

 正義の味方を……

 さぁ、憎むべき名を叫べーーー



 「マーーーーィーーーーートォーーーーー」

 全てを失い……

 全てを捨てた……

 かつて優しい人間だった化け物は、

 憎むべきその名を叫んだ。

 



 




 

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