第28話

 竜が、巣を作っていたのは森のなかであった。


 木が生い茂る中で、竜は枯れ木を使用して巨大な巣を救っていた。その周辺にルイスが声をかけた猛者たちが並ぶ。シシリーとセンもその一組であった。


「よし、行くぞ!」


 ルイスの掛け声と共に、シシリーは飛び出す。


 センも、シロに魔術をかけて援助をする。


 シロが巨大化し、竜に噛みつく。竜が怯んだ隙に、シシリーは竜に一撃を喰らわせる。重い一撃に、竜は叫び声をあげた。


 その竜の口に、センは魔術を放つ。


 竜は倒れて、シシリーはその竜の首を切り離した。


「さすが、魔王殺しだ」


 シシリーはルイスにそう褒められた。


 シシリーとしては、センを褒めてほしかった。


「セン、君も素晴らしかった」


 ルイスは、センの頭をなでる。


 壮年の男に子ども扱いされたセンは、少し嬉しそうだった。


 それが、シシリーには意外だった。


「頭なでられたのうれしかった?」


 シシリーの言葉に、センは頷く。


「父親に褒められたみたいでな」

 

 微笑む、セン。

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