第4話 忠告3
「前にも言ったけど、バミさんでいいよ。もしくはシラさんとか、ラバさん」
楽しそうに言うから、トウカは眉を寄せた。
「シラバミさんで」
「えー、残念だなあ」
口をとがらせて卓上に頬杖をついたシラバミは口角を上げた。トウカはなんとなく嫌な予感がしたが、彼はそんなことお構いなしだ。
「ウツギくんとは喧嘩でもしたのかい?」
「べつに、そういうわけじゃないです」
否定の言葉は弱々しくなってしまった。喧嘩という言葉は似合わないような気がするが、ウツギがトウカを避けているのは事実だろう。
綺麗と言ってくれた瞳のことや、あやかしのことを嫌いと言ってしまった。自分の言葉がウツギに何かしらの影響を与えたことは間違いない。
「まあ、気をつけることだね。――このままウツギくんを怒らせるような言動をしていれば、いつか君は彼に殺されてしまうかもしれないよ」
「え?」
シラバミは頬杖をついたまま、人差し指を伸ばしてトウカの額を小突いた。
「じゅうぶんに注意をしなさい。ウツギくんはお人好しなお節介だけど、君の味方かどうかなんて分からないだろう。なにせ君は彼と知り合ってまだ日が浅いのだから。君はすこし彼のことを信用しすぎではないかな」
シラバミが目を細めたとき、ウツギが盆を抱えて帰ってきた。後ろには自分用の小皿を頭に乗せてふわふわ空を駆けるポチもいる。何事もなかったようにシラバミは身を引くとにっこりと笑ってみせた。
「お帰りー、ウツギくん。ボクもう背と腹がくっついてしまいそうだよ」
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