第3話 新たな生活



3.新たな生活




俺です。


赤ちゃんだから何かしててもすぐに寝てしまうから正確な事は分からないが、産まれてから4ヶ月程経ったと思う。


一時期は信じたくなかったけど、もう目もかなり見えるようになってきたので現実を受け入れるしかない。


俺は日本で死んだ後、ロキという神様みたいな存在が新しく創った世界を発展させるため、元の世界にはなかった魔法という力の使い方、翻訳能力と、元いた世界のインターネットへアクセスできる能力を貰い転生した。


ここでポイントなのは転生する前、ロキから話を聞いていた時に、ロキは「ボクの世界も安定して知的生物が産まれるようになった」と言っていた。


俺はその言葉を聞き、よくある転生物語のように中世ヨーロッパ並みの文明くらいはできたのかな?と勝手に解釈していた。


今はその事を深く後悔している。


どんなに直視したくなくても事実が変わる事はない。


とりあえず家族構成は父親、母親、兄2人に俺の5人家族だ。


そして俺が転生した生物について。


ちゃんとこの世界でも人類に転生する事が出来た。


ただし間違えては行けないのが、人類に転生したのであって、人間に転生したわけではないという事。


今までも薄々気づいていたが、目が見える様になって確信に変わった。


一番身近にいる人、つまり母親の事なんだがその容姿は

全身を覆うフッサフサの茶色い毛!


俺が産まれて直ぐ巻かれた毛皮だと思っていたものは、母親の腕に抱きかかえられた時に感じた母親のうでの毛のゴワゴワで、毛布をかけられたと勘違いしていただけだった。


そしてちゃんと立ってる?これ中腰って言わない?と思ってしまうくらいの姿勢!


他にも中腰みたいな姿勢だからか指が地面に着きそうなくらい長い腕!


そう!俺は人類が誕生したばかりの世界、中世ヨーロッパの文明どころか原始人でもまだ発達してると思えるような猿人の世界に転生したのだ。


なぜ猿人と分かったかというと早速ロキから貰った地球のインターネットにアクセスして調べたからだ。


このインターネットにアクセスできる力は、心の中で念じると「goodle」というブラウザの名前と共に検索バーが脳裏に浮かび上がってくるという力だ。


そこに家族の姿を思い浮かべながら「検索」と念じたら類似している画像が出てきた。


一番似ている画像を選択したら猿人という事が分かった。


ロキは「知的生物」と言っていたから俺は勝手にちゃんとした文明がある世界だと思っていた。


そして自分が猿人という人類に生まれ変わったとしても生けていける「衣食住」のある文明なら構わないと思っていたが直ぐに気づいた。


自分も家族も服を着ていないことに。


自前の立派な毛皮があるから服を着なくても寒さに耐えられるのだ。これで「衣」がない事は分かった。


次に俺が今住んでいる家?について。6畳くらいの1ルームで、柱は木だ。地面から生えている木に、草が大量に挟まれたツタを使い屋根や壁にしている。


そして家の中では入り口付近は地面がむき出しで、打製石器とも呼べないそこら辺に落ちているような少し尖った石が置いてある。


入り口から少ししたところから草が敷き詰められていて、入り口に近いところはツタを巻いて草を挟み込んでいるものや、その作業中のものが置いてある。


これでこの世界の「住」は全く耐久力がなく、常に新しく補修しないと住みつずけられないレベルだとわかった。


最後に「食」。


ロキは「この世界には全てに魔素が宿り魔力を発しているから、食事から魔素を吸収する事で魔力を増やせるし、体内にある魔力を多く使い続け、食べ物を食べるなどして魔力を回復する事で同じ量の魔素からもより多くの魔力を発する事が出来るようになる」と。


俺はまだ母親からのお乳を飲んでいるが、家族の食事を見ると、食べているものは殆ど何かの木ノ実や葉っぱや生の魚、そしてごくごく稀に何処かに火があるのか焼かれたネズミみたいな小動物を食べていた。


うん、全く食欲がわかない。こんな生活をしていたら病気にかかったら直ぐに死んでしまいそうだ。


ロキはこの世界を発展させて欲しいなどと言っていたが、まずはちゃんと健康で文化的な生活が遅れるようにしないといけないみたいだ。


というか俺が我慢できないから絶対にそうする。


転生した先では殆どサバイバル生活になるのか。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る