第1話 こういうの読んだことある


1.こういうの読んだことある



目が覚めた。周りを見るとただ白い空間が続いている。

なんだ?夢か?


記憶を手繰ってみよう。


名前は幾度 創世きど そうせい...よし覚えてる。いつものように大学へ行こうとしてアパートを出たところまでは思い出せる。


というか声が出ない。しかも身体も見えない。ただ自分の周りが白いという事しか分からない。これはもしかしてアレか?



「‘}*!;*’$%b:!+;‘!k?^\’yt€$@:¥&d#l{=\ああああああ?」


〜〜〜うるさい!!なんだか全身がわれそう!!!


突然大きな音がしてこの白い世界全体が揺れた。


今の自分状態がどうなっているか分からないが耳というか頭というか全てが割れそうな勢いだ。



「あ、あ、ああ〜〜〜、あ〜〜、あ、ごめんごめんこれくらいで丁度いいかな?」



段々と音が小さくなっていき、あの大きな音は何者かの声だった事が分かった。姿は見えないが声だけ聞こえてくる。返事をしたいが今俺は声を出せない、どうしよう。



「君が考えた事が伝わるから大丈夫だよ〜」



なんだそうだったのか。それを先に言ってくれよ。



「とりあえず教えて欲しいのですが、あなたは神様でいいですか?」


「う〜ん何となく分かったけどちょっと違うかな〜、どちらかと言えば世界の管理者って存在だよ」



この神..じゃなくて管理者さんが言うには、自分達は本来肉体が無いため繁殖できないから、世界を創りその世界で産まれた魂を集めて圧縮し自分達と同じような存在を作ろうとしているらしい。


ちなみに擬似的ぎじてきな肉体を作る事はできるがそれで生殖行為を行なっても何も産まれないらしい。



「なるほど、あなたの事は分かりました。説明ありがとうございます。ところで俺は死んだのでしょうか?」


「そうだね、君のいた世界で肉体が滅んだから君の世界の管理者から魂だけ貰ったんだ。今の君の状態とボク達がやろうとしていることはこんな感じ。一応イメージを翻訳してみたけど伝わるかな?」



そう言われた後、自分の中に映像というか言葉というか色々混ざった表現出来ないものが流れ込んできた。


それによると、丸底フラスコが2つ繋がったような鉄アレイの形をしたものの片方に世界があり、もう片方はその世界で死んだたましいを集めるようになっているらしい。


そして俺は死んでたましいが集まるところへ行く前に抜き取られ、顕微鏡けんびきょう微生物びせいぶつを見るような状態で観察されているという。


これでさっきこの白い世界が揺れた理由が分かった。


あまりにも規模の差が大きすぎて管理者さんにとっては今動いた?ぐらいの振動でも俺には世界が壊れそうな揺れに感じたんだと思う。



「理解できたみたいだね!流石知的生物のたましいだ。あとボクは管理者じゃなくてロキって呼んでね」



ロキ?なんか聞いたことあるな。確か北欧神話の中でオーディンの兄弟で悪戯好きで嘘つきな神様だったはず。



「あ〜〜!!やっぱりオーディン兄さんの事もボクの事知ってる!ねえその話ってみんな知ってるの?」


「一応神話としては割と有名な方だと思いますよ?」


「これがヤハウェくんが言ってたアカシックレコードの読まれた情報か。昔の話だけど自分以外の人から言われると恥ずかし〜」



このロキさんが言うには俺がいた世界の知的生物がどうやってか世界の情報が全て記録されているアカシックレコードにアクセスして情報を読みとったらしい。


しかし、そのアカシックレコードは俺のいた世界の管理者であるヤハウェさんが昔雑記帳に使っていたもので抜き取られた情報も雑記帳の部分だったという。


恐らくその抜き取られた情報が神話とか聖書とかになってるのではないだろうかと思う。


ヤハウェ?そんな神様っていたっけ?まあ自分の雑記帳に自分の一人称を名前で書くことなんてあんまりないか。



「ところで俺の今の状態は分かったのですが、俺にやって欲しい事とはなんですか?」


「そうそう、ヤハウェくんが創った世界の知的生物は科学?という物を使って発展したみたいだからボクの世界でもそれを取り入れたいなって思って、それを君に頼みたいんだけどどうかな?そういえば君は科学って知ってる?」



お〜神様から頼まれて世界を発展させるパターンだ。というか俺20歳はたちになる前に死んでるしもうちょっと生きたいっていう気持ちは確かにある。


そうだ、こういうものにはお約束があるよな。



「う〜ん、科学はしっていますし、発展させるのはやってみたいですけど自分だけの知識量に不安がありますね。何か知識の手助けになる様なものがあればいいんですけど」


「そっか〜早く死んじゃったんならあんまり知識って無いよね〜。まあやる気はあるみたいだから君に頼むよ。君のいた世界を元にちょっと変えたくらいだからそんなに変わらないと思うよ」



ていうかさっきから思ってたけど俺が伝えたい事だけじゃなくて考えてる事も読まれてるような感じがする。



「そうだよ〜。さっき君の状態伝えたじゃん?君には見えないと思うけどボクは今擬似的ぎじてきな肉体があるから音を使ったイメージを飛ばしているけど、君から発する場合は観察された動きから翻訳されてるんだよ」



うわーそういえば最初に考えた事が伝わるって言われてたわ。気づかない内に自分の考えがバレてるって恥ずかしい。



「まあそんなに恥ずかしがらないでよ。君が言ってた知識量を補う方法について相談してくるからちょっと待ってて〜」



そう言ってロキは何処かへ行ったみたいだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ヤハウェく〜ん、今ヤハウェくんから貰ったたましいにボクの世界発展させて〜って頼んだんだけど知識量に不安があるみたい。何かいい方法ないかな?」


「そっか、流石に1つの知的生物が科学のこと全部知ってるわけないよね。う〜んいい方法ねー」


「ヤハウェくんのアカシックレコードにあのたましいを繋げるのってどう?」


「アカシックレコードの情報が全部繋がると潰れちゃうと思うな。そういえばアカシックレコードに知的生物の情報管理についての事が載ってたような?調べるから少し待ってね」



そう言ってヤハウェはアカシックレコードを調べ、該当する部分をロキに見せた。



「ロキ君、この凄い最近の記録に知的生物達が開発したインターネットという情報の媒体について載ってるんだけど、このインターネットの部分に繋げるならあのたましいも潰れないと思うけどどうかな?」


「へえ〜これ擬似的ぎじてきなアカシックレコードじゃない?こんな物まで出来てるなんて凄いね!確かにこれくらいの情報量なら潰れないとボクも思う」


「よしじゃあ、このインターネットの部分にあのたましいを繋げる事を許可するよ」


「ありがとう。これなら直ぐにボクの世界も発展しそうだ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



俺が今までのロキとの会話で変な事考えてないよな〜って思い返しているとロキが戻ってきた。



「お待たせ〜。君の世界にあるインターネットっていう物に直接君を繋げるから知識の心配は要らなくなったよ」



まじか!インターネットから情報を引き出せるなら可能性は無限大だ!どんな困難でも乗り越えられる!



「そこまで喜んでくれるならボクも嬉しいよ。インターネットって思い浮かべたら繋がるからね。ボクの世界の知的生物達もやっと安定してきたところだからその調子でよろしくね」


「はい!こちらこそよろしくお願いします」


「後は〜スムーズに発展させて欲しいから言語に関しては翻訳できるようにしておくよ。あ、そう言えば君のいた世界と違ってボクの世界では魔法が使えるんだけどその説明はいる?」



魔法!?よし、王道じゃないか!!現代知識に神様から直接教わる魔法!!こういうのを待ってたんだ。



「是非教えて下さい!!」


そう伝えるとロキは「食いつき方が凄いね」と苦笑しているような感じで説明してくれた。


まず、ロキの世界では魔素とう物が全ての物質の中に入っており、その魔素は魔力というエネルギーを生み出しているという。 そして、その魔力は意思に影響を受けて動く。


つまり、意思によって魔力が影響を受けて動くことによって魔素も動き、魔素が動くことで魔素の入っている物質も動くのだという。そのようにして意思で魔力を動かして何らかの現象を起こす事を魔法という。


そして、魔力はエネルギーなため当然の事ながら使えば減ってしまうが、食事をする事で補充可能で、魔素が多い物を食べて魔素の保有量を増やしたり、魔力を多く使い続ける事で魔素の生み出す魔力量を増やす事ができるとのこと。


また、肉体がある生物は自分の体内にある魔力しか利用できないので、肉体の外へ影響を及ぼすような魔法を使うには一度体内の魔力を経由して外の魔力を動かす必要がある。


ロキ達管理者の種族は本物の肉体が無いため分からないが、肉体を持つ者たちはそう言っているという。管理者達はなんというか意思を持った魔素の様なものらしい。



「よし、これで他に伝える事はないかな、じゃあ転生させるよ?」


「はい!ありがとうございました」



俺がそう言った瞬間に周りが暗くなり何も見えなくなった。しばらくすると意識がどんどん薄くなってくる。


こうして俺は転生した。





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