第13話 ニーナ報復を考える 其の1

 翌日


 イライラも収まりニーナは商人ギルドに向かって居た。


 昨晩はどうやって潰してやろうかしらと色々考えて居るのがてついつい夜更かしをしてしまった。


 物理を持って報復するのか?


 それはそれで容易い。


 只、多少ダメージを与えた所で貴族ともなれば金の力を使ってでも何とか立て直す可能性もある。


 ではマクシミリアン家の財力の元を削るのか?


 ニーナは色々と考えた。


 導き出された答えは


 「私は欲張りなの。勿論両方から攻めるわ。地面に平伏し更に地下に三十層位堕ちて貰わないと。」


 「キャハハハハ」


 独り言を呟いていたらと思ったら急に高笑い。


 近くに居た親子が子供に見てはいけないとまるで危ない人扱いをされていたがそんな事は微塵たりとも気にしない。


 十ランク上のワクワクとドキドキの報復大作戦にアドレナリンが噴き出してているからだ。

 

 先ずは敵を知る為に情報を集めるべく商人ギルドへ


 ゲインからの紹介もあり商人ギルドへ辿り着いて受付カウンターへ行くとあっさりとギルドマスターの部屋へ通される。


 「同じギルドでもこの差は何?」


 やはり冒険者と言うのは脳筋ばかりでまともな思考も出来ないのかしらと呆れるばかりだ。


 逆に商人達は利益が有れば目敏い。例え貴族を相手にしようともそれ以上の利益が見込めるならと条件はあるがそれでも協力は吝かではないからだ。


 「ようこそぉ!お越し下さいました。ニーナ様。当ギルドを預かっておりますゲールと申します。」


 まるで今にも抱き付かんとばかりに手を広げて近寄ってくる。


 ニーナも社交辞令と割り切りそのな抱擁を受け入れた。


 早くニーナ様にお茶をとゲールはニーナを連れて来た受付嬢に託ける。


 「それで、本日は我々商人ギルドに取ってどの様な儲け話がおありですか?」


 先程までの柔和な笑みを崩さない物のその目付きは完全に商人のそれと変わっている。


 こういう所は商人のやり易い所だとニーナも考えている。


 相互に利益があるからこそ手を握るのも悪くないのだ。


 「昨日、冒険者ギルドに《出頭》要請が来たわ。」


 「ほぅ、それで?」


 「どうやらギルドマスターの本意では無かったみたいだけど、少しの過ぎたお嬢様に随分と可愛がられてしまったのよ。」


 遠回しにボカした様なニーナの物言いだったがそこは商人ギルドでもマスターをしているゲール。十話さなくとも大体の事情は察する。


 「あのじゃじゃ馬ですか? 我々も少しばかり手を焼き困っております。」


 「へぇ〜そうなの? 私としては少々おいたが過ぎるお嬢様にはご退場願いたいのよ。」


 「ですが相手は大貴族の一家です。表だって事を起こすと我々にも損害は出かねません。」


 「ゲール、ここからは私の独り言よ。財力の基盤に何らかのが起きるかもしれないわ。この様なご時世だもの。」


 「偶然なら仕方ないですね。基盤の鉱山運営に支障が起きてもそれは致し方ない事です。」


 「落盤やら魔物の大量発生で鉱山が閉鎖されてもそれは運命だもの。」


 「えぇ、おっしゃる通りです。」


 「ありがとうゲール。私からは何か提供出来るレシピを一つ見繕っておくわ。」


 「はて? お礼を言われる様な事を私は何もしておりませんよ。」


 それで話は終わりとばかりにニーナは立ち上がった。


 「それじゃあゲール私はにでも行って来るわ。」


 「お気を付けてニーナ様。ああそう言えば言い忘れておりました。この街から北へ向かった所に山に囲まれた湖があるんです。今はそこはにはお勧めのポイントみたいですよ。」


 「是非、寄らせて貰いますわ。」


 ニーナは商人ギルドを出てオススメの絶好のポイントへ向かったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る