第5話 不穏な空気
アキとミナミは採寸が終わりワコのお店を出た。
ポップコーンツリーの時は女の子はシルクの白いワンピースを着るのが習わしとなっていた。
しかしアキは普段は動きやすいズボンばかり履いているので、自分がワンピースを着ることに今さらながら気恥ずかしさを覚えていた。
「なんというか、画的に大丈夫かな?」
しかも同じワンピースを着るのが同年代で一番女の子らしいミナミとは。
アキは店を出てから何かをぶつぶつ呟いていたが、ミナミがアキちゃんのワンピース姿って新鮮だから楽しみ、と言った一言で気を良くした。
その時、ミナミがふと足を止めた。
「ねぇアキちゃん、あの人達誰だろう?」
「ん?」
アキはミナミの視線の先を追った。
そこには見慣れない顔の男の人が二人、大きなリュックサックを背負って街の人に何かを聞いていた。
アキから見たら服装もなんだか変だった。
「あの服、なんか堅そうだね。」
アキの意外な感想にミナミが噴き出した。
その男の人達は手に持っている手のひらサイズの何かを街の人に見せていた。
「あれ何持ってるんだろう?」
「さ~見たことないね。」
行き交う街の人達も見慣れない顔の二人に振り返っていた。
二人は街の人に挨拶して歩いていった。
アキは気になって今話していたおじさんに近づいた。
「おじさん、今の人達知ってる人?」
「いや、知らないよ。マザーツリーへの行き方を聞かれたんだけど、多分北から来たんじゃないかな。」
「え?北の人?」
「うん、あの服や小さい機械はそうだね。」
アキはなんとなく不安な感じがして呟いた。
「マザーツリーに何しに行くんだろう。」
少し湿った風が街を通り抜けていった。
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