世代・社会集団・共同体 Sliejs ad Cierjustel
dyrilen voleser ――「空生まれ」
ユエスレオネ社会は20世紀末に起こったエルフ出血熱のパンデミックとそれに対するワクチン開発の動物実験で生まれたモンスター "
それ以前の国家であるクワイエ共和国・ラネーメ共和国・リパラオネ連邦共和国・レアディオ共和国・デーノ共和国は滅び、世界統一政府としてのユエスレオネ連邦が成立したはずだった。しかし、攻勢の時を待ち構えていた過激派武装組織シェルケン・ヴァルトルや新たな国家との異世界からの接触により、ユエスレオネは世界統一政府ではなかったことを自覚することになる。
ユエスレオネが成立する経緯となったこの騒動をリパライン語では、
これは後に増え始めるユエスレオネ生まれと自らを区別するための単語となった。
ユエスレオネ生まれ(或いは育ち)の人々は大災害前世代の人々から、
空生まれはユエスレオネでは段々と増え、大災害前世代と社会的な摩擦を起こすようになっていく。2005年頃から始まる新イェスカ主義学生闘争の時代もこのような空気に引き起こされたものであった。
"
幾度の対外戦争を超えて、ユエスレオネは天上に浮かぶ空中要塞だけではなく、異世界に地上の領土を得るようになっていく。対照的に安定した本土では人口が増えて、2030年代くらいから、ユエスレオネ生まれであることをアイデンティティとする人々も増えていった。
地上の新しい領土となったデュイン、ファルトクノアでは連邦政府から送られた役人などに対して「空生まれ」と呼ぶことで修辞的な意味の付加が行われた。そこで付けられた「威張る、見下す人」と言ったようなニュアンスはデュイン方言から連邦本土の標準リパライン語に取り込まれた。ユエスレオネ生まれが大災害前世代の人口を超えた2050年代以降になってくると、元々ユエスレオネ生まれを表していた「空生まれ」はその固有の意味を失うことになる。なぜなら、既にユエスレオネ生まれは珍しいものではなくなっていたからである。ユエスレオネ生まれの人間同士が言い合うようになると一般的な意味だけが抽出されるようになっていった。
そして、この時点で「空生まれ」は「威張る人、見下す人、ナルシスト」といったような意味に変わったのである。
一方、
本来「空生まれ」と言われ、上から目線で「我々の時代では……全く最近の若者は……」と言われてきたユエスレオネ生まれにとって、彼らは「封建的で自我の強い人々」という印象が強かった。その印象のみが「空生まれ」における言葉の変化と同じように残っていったのである。
今回はユエスレオネ連邦における世代を表す語とその変遷について扱ってみた。現世の言葉で表すなら
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