04

「今から貴様らのテスト飛行を行う。飛行ルートやテスト項目は事前に送っておいた通りだ。指示に従い、迅速かつ正確に飛行すること。分かったな?」

 顔に傷のある男がそう言うと、離着陸場に整列したぼくたちは一斉に返事をした。

「はい」

「よし。テスト飛行開始!」

 先頭を行く211が重力装置によって浮遊し、空高く舞い上がった。

 それから間隔をあけて212、213、214が順番に舞い上がり、同じようにテスト飛行を開始する。

 次は、ぼくの番だった。

 大丈夫。ぼくにだってできるはずだ。

 だってぼくは、宇宙船なんだもの。

 重力装置で反重力を発生させ、地面からゆっくりと浮かび上がる。

 飛びたい方向に向きを変え、一気に加速して上空へと舞い上がる。

 しかし加速してすぐ、ぼくはバランスを保てなくなった。

「わわっ!?」

 なんとか機体を制御して上昇しようとするが、上下左右に加速や減速を繰り返してしまう。

 やがてぼくは空を目指すこともできなくなり、完全に制御不能に陥ってしまった。

 ぼくはそのまま、離着陸場に墜落した。

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