10話 ”嫉妬”
(レイセ視点です。)
石畳の中庭を抜け、城の中に入る。
城に扉は無い。
入り口のアーチの下に男女二人が立っていた。
シェルミとカインだ。
カイン:「状況が変わった」
シェルミ:「私達が案内する」
レイセ:「協力してくれるのか?」
シェルミ:「そうよ」
ルプリレ:「信用して良いのね?」
カイン:「自分たちで判断してくれ」
ダズ:「信用するさ」
ボーデン:「変化した状況とは?」
シェルミ:「ロレアムドは仲間を呼び寄せた」
カイン:「建物の構造と、敵の位置は把握できているか?」
城の中に入ってすぐは、広い踊り場になっている。
左右に通路が有り、上への階段、下への階段、奥に進む通路、がある。
左の通路の先に一人。
右の通路の先に一人。
階段の上に一人。
階段の下に一人。
奥の通路の先に一人。
ゆっくりとこちらに向かって進んで来る。
敵の強さは解らない。
魔石が出す熱反応を拾っている。
シェルミ:「七つの大罪を司る悪魔七人が呼び出されたわ」
カイン:「存在強度が高い、お前達では倒せない」
シェルミ:「レイセとアルコルを先に進ませる」
カイン:「進路は奥の通路だ」
シェルミ:「左、右、階段の上、階段の下、その四人を妨害して」
アスマ:「右の通路は『トウェルブ』が担当する」
ダリドベ:「じゃ、私達メロイリスは左」
ローク:「階段の上は『トパーズ』だ」
シェルミ:「下はファガスが行って」
ファガス:「俺一人で相手出来るのか?」
カイン:「”色欲”のアスモデウスが相手だ」
カイン:「人数が多いと逆に不利だ」
シェルミ:「私と兄様より強いわ、踏ん張って」
ファガス:「マジかよ」
ファガス:「聖書とかに出て来るマジの悪魔じゃないか」
シェルミ:「逃げる?」
ファガス:「やるさ」
カイン:「他は奥に進む」
ルプリレ:「仕方ない、みんな、動いて」
メロイリスが左へ、『トウェルブ』が右へ、『トパーズ』が階段の上へ、ファガスが階段の下に向かう。
ダッシュだ。
残りは奥の通路に向かって走った。
しばらく走ると、広い部屋に出た。
男が立っている。
シェルミ:「“怠惰”ベルフェゴールよ」
シェルミ:「ジャド、ジーク、アリシアで食い止めて」
ベルフェゴール:「妙な動きだと思ってはいたが、そうか、そちらについたんだな?」
カイン:「そういう役目だ」
ジャド:「僕達が相手をします」
ジャド:「皆は先に」
アルコル:「わかった」
ベルフェゴール:「そういうことか」
ベルフェゴール:「さっさと先に行け」
ベルフェゴール:「こいつらを片付けたら後を追う」
ジーク:「そうはならない」
ベルフェゴールは笑っている。
俺達は先に進む。
更に先に進む。
広い通路に男が一人。
シェルミ:「”暴食”ベルゼブブ」
カイン:「コナル、ボーデンで食い止めてくれ」
コナル:「やる」
ボーデン:「承知」
ベルゼブブ:「役目を果たす」
レイセ:「任せたぞ」
俺に向かって切りかかって来たベルゼブブの間にコナルが滑り込む。
コナルは盾で攻撃を防いだ。
コナル:「さっさと行け」
俺達は走った。
広い、闘技場の様な場所に出る。
かなり広い。
聖国クリアの闘技場の四倍はある。
男が三人。
ロレアムド、ケルス、不明の一人。
不明の一人が手前に立っている。
シェルミ:「前に立っているのが、”傲慢”ルシファー」
カイン:「ルシファーは、聖国クリアと、俺と、シェルミで相手をする」
シェルミ:「ルシファーをどうにかしたら、加勢する」
シェルミ:「耐えてね」
ルシファー:「先に進んで絶望してください」
ルシファーは俺達を先に行かせた。
俺、アルコル、シロさん、ルプリレは先に進む。
ルプリレが剣に。
シロさんが盾に。
ケルスが剣になった。
戦いが始まる。
(アスマ視点です。)
鎧を身につけた女性が斬りかかって来た。
後ろに引いて躱す。
ギリギリだ。
振りが鋭い。
アスマ:「あんた、名前は?」
???:「”嫉妬”レヴィアタン」
レヴィアタン:「私がしばらく相手をしてあげる」
レヴィアタン:「感謝してね?」
ソウタ、ソラ、ゲン、ミキ、ハルキ、ヒカルが武器になる。
俺は二刀流だ。
マサト、リク、メイ、オウジが俺と戦闘に加わる。
レヴィアタンは片手剣二刀流。
マサトが大剣で斬りかかった。
レヴィアタンは片手で防ぎ、マサトに蹴りを入れる。
マサトは蹴りを受け、壁に叩きつけられた。
動きが素早い。
通路が狭い。
戦い難い。
俺は左片手剣で斬りかかった。
上から下への切り下ろし。
奴は右で防いだ。
空いた左が振るわれる。
俺は右の剣を逆手に持って奴の左を受けた。
凄まじい衝撃。
俺も壁に叩きつけられた。
奴は追撃して来る。
俺は動けずにいた。
オウジが妨害しようとするが、奴は左の剣を横に振い、近寄らせない。
奴は俺の右足を右の剣で突き刺した。
奴の剣は俺の右太ももを貫き、破壊不能物質で出来た壁を貫通している。
メイが武器を大盾に変えてレヴィアタンに体当たりした。
奴は剣を俺の右足から引き抜き、大盾を右足で支えた。
リクが奴の左側に大剣を振り下ろす。
奴は左片手剣で抑えた。
奴は右足で大盾を押し返した。
メイが後ろに吹き飛ぶ。
俺は片足で立ちあがって、右の武器をハンマーに変えた。
右のハンマーを左に振る。
奴は右の剣で俺のハンマーを弾いた。
そして、俺の右足を前に蹴る。
俺は刺された右足が折れた。
さっきから痛みが酷い。
回復が追い付かない。
リクは武器を盾に変化させた。
奴が右の剣でリクに攻撃。
リクは盾ごと後ろに吹き飛ばされる。
マサト、リク、メイ、オウジは動けない。
敵に隙が無い。
戦い始めてから五分経っていない。
足止めにならない。
地力が違い過ぎる。
こういう時は俺が踏ん張らないとな。
俺は立ち上がった。
奴は笑っている。
俺は右の剣を振り下ろした。
奴は体をズラして躱す。
奴は右手の剣を振り上げた。
下から上へ。
俺は後ろに下がって躱す。
奴は左の剣で突いてきた。
左の剣で上に弾く。
奴は右の剣を左に振った。
右の剣で左に弾く。
攻撃が重い。
弾くので精一杯だ。
俺は徐々に後退。
奴は前進して来る。
右の剣を左に振ろうとする。
奴の右の用意が出来ている。
左に振る。
右が上に払ってくる。
左で攻撃しようとする。
奴の左の用意が出来ている。
左の振り下ろしを、奴の左が横に払う。
読まれている。
こっちは動きようが無い。
手詰まりだ。
強い。
流石、”嫉妬”の悪魔。
予測されている。
残された手は、無い。
時間を稼ぐのは辞めだ。
ありったけ出す。
ファガスみたいに、五千パーセント出す。
俺は右の剣で攻撃。
奴は右の剣で防御。
奴の右の払いを弾き返し、奴の右腕を叩き切る。
俺は左の剣で攻撃。
奴が出して来た左の防御を弾き返す。
そのまま奴の左を叩き切る。
奴は右足で蹴りを入れて来る。
同じように左足で蹴りを入れる。
奴の右足をへし折った。
読まれていても関係ない。
後先を考えなきゃ、な。
ハァ、ハァ。
くたびれた。
両手と片足を使えなくした。
もう動くなよ?
俺も動けない。
レヴィアタン:「やればできるんじゃない」
アスマ:「まだ続けるのか?」
レヴィアタン:「当然でしょ?」
奴の両腕、右足は一瞬で回復した。
一瞬だ。
同時に、俺の右足は回復した。
仕方ない。
全力を続ける。
俺は右の剣で奴の胸を突いた。
奴も右の剣で俺の胸を突いた。
奴は左の剣で俺の右腕を切り落とした。
俺も左の剣で奴の右腕を切り落とした。
二人共、胸から血を流している。
おそらく致命傷だ。
俺は、左の剣を手放し、胸に刺さった剣を引き抜いた。
奴も刺さった剣を引き抜いた。
右腕を回復させる。
俺はもうすぐ死ぬ。
全力で回復させているが、追いつかないだろう。
だがまだだ。
まだ死ねない。
奴には続きがある。
奴の肉体は獣に変化していく。
奴の身体から、鱗が生えてきている。
戦いは、まだ続く。
マサト、リク、メイ、オウジに頼るしかない。
みんな、動け。
ちくしょう。
意識が飛びそうだ。
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