3話 バカが!


(レイセ視点です。)


『光の旋律』、連合国クロトがギルバド、キトレル、ユノルドを俺達本陣から引き離した。


 手筈通り。


 俺達はいよいよ魔物が密集した部分に突入する。


 俺達は矢印の様な陣形を取って密集地帯に踏み込んだ。


 前に出ていた、『創聖』のドミー、ロイド、ゲンシュが後ろに下がる。


『マギ』は変わらず魔銃を撃ち続ける。


 ドミー、ロイド、ゲンシュがいた位置に、『クレイモア』のクレタ、ドバスカリのファガス、アウグストラのフィビニが入る。


 クレタの武器はアニー、ファガスの武器はドレファ、フィビニの武器はスレガリンだ。


 ニーナとアリアは歌を歌っている。


 アルコルが出した骸骨の死兵は既に全滅した。


 ニーナとアリアの歌で、敵前列の頭が順番に吹き飛んでいく。


 だが敵の数が多い。


 盾役のクレタ、ファガス、フィビニの負担は大きい。


 三人は注視を使っている。


 敵の攻撃は三人に向かっている。


 三人は千パーセント出しているが敵の数が多い。


 ルプリレは絶え間なく回復を飛ばしている。


 ルプリレ:「ジーク!」


 ジーク:「了解!」


 ジークは結界を足場にして前に出て、自分の前に結界を数十展開。


 アリシアの盾を大きくして防御態勢。


 俺は槍を部分融合で作り出し、右に構える。


 太いレーザーの様な光が、ジークを直撃する。


 ジークの結界は砕かれ、ジークは盾でレーザーを斜めに逸らす。


 レーザーをまともに受けたら致命傷だ。


 レーザーの起こりには気配がある。


 だから防げる。


 凄まじい威力の攻撃。


 レーザーはギルバド達三人が放っていると思っていた。


 どうやら違うらしい。


『光の旋律』と連合国クロトが移動した方向から攻撃されたんじゃない。


 俺は右に構えた槍を、レーザーの出所に向かって投げた。


 光り輝く槍は、レーザーの出所に向かって飛んだが、手ごたえが無い。


 敵はレーザーを撃った直後に移動している。


 ルプリレ:「レイセ!」


 レイセ:「わかっている」

 レイセ:「温存だろ?」


 ジャドが単騎で敵陣に切り込む。


 盾役の前に出た。


 盾役の前に出た大型のミノタウロスを潰していく。


 俺達は結界を使って魔物を飛び越えない。


 地面を行く。


 空からは小型翼竜とガーゴイルが攻撃を仕掛けてきている。


 空に行くと陣形が乱れる。


 空からの攻撃は、結界を出して防いでいる。


 全員でだ。




 俺達はそのままじりじりと前進した。




 オークの集団にぶつかった。


 途端に進めなくなる。


 オークヒーラーがいる。


 クレタ、ファガス、フィビニの前にケンタウロスが三体。


 クソデカい。


 ケンタウロスは腕が四本。


 斧と盾を二つずつ装備している。


 その三体が敵の盾役らしい。


 注視を使ってくる。


 オークヒーラーの隣には、ハーピーが。


 ハーピーは悲鳴のような歌を歌っている。


 鼓膜が破れそうだ。


 精神に響く声。


 ニーナとアリアがハーピーを標的にして歌を歌う。


 ハーピーは徐々に数を減らすが、数が多い。


 気休めにしかならない。


 オークヒーラーの数も多い。


 ジャドが単騎でヒーラーを潰して周っているが、これも気休めだ。


 俺達の足は止まった。


 俺達は焦らない。


 こうなる事は解っていた。


 注視を使っているケンタウロスが強敵だ。


 他は、雑魚だ。


 敵は強いが一撃死させることが出来る。


 ケンタウロスを潰せば進める。


 ドバスカリのスーサル、アウグストラのツァーリク、クレイモアのエレミが盾役三人の加勢に行く。


 スーサルの武器はダダン。


 ツァーリクの武器はクアクル。


 エレミの武器はファンファン。


 それぞれが持ち場を離れている。


 ケンタウロス一体ずつを二体一で対応する。


 ケンタウロス三体が倒れる。


 レイセ:「来るぞ!」


 ジーク:「はい!」


 ジークが結界を展開。


 ルプリレの前を防御。


 太いレーザーの攻撃を防ぐ。


 レーザーの攻撃を防いだ。



 アルコル:「まだだ!」


 ルプリレ:「ジーク!」


 ジーク:「!!!!」


 ジークはもう一度結界を展開。


 大盾で防ぐ。


 さっきより攻撃が長い。


 アリシアで出来た盾が煙をあげている。


 アルコルがジークの前にリフレクトを展開。


 レーザーを外に逃がす。


 ふー。


 ヤバい所だった。


 アリシアは大丈夫か?


 ダズが攻撃の出所に向かって槍を投げた。


 槍は防がれた。


 空にカインとシェルミが結界を足場にして立っていた。


 アリシアは武器化を解いて、ルプリレの回復を受けている。


 聖国クリアとメロイリスは結界を足場に空へ。




(ダズ視点です。)


 太いレーザーの攻撃はカインか?


 シェルミか?


 二人をレイセ達から引き剥がさないといけない。


 アリシアの限界が近い。


 シェルミが手を前にかざす。


 お前か!


 させない。


 俺は槍を投げた。


 ベルで出来た槍。


 全力で投げた。


 シェルミは結界を前に出す。


 関係ない。


『能力』カットで突き破る。


 スピード重視で投げた槍は、空間を飛び越え、シェルミの前へ。


 カインがシェルミの前に出る。


 カインは盾で受け止めた。


 俺は更に槍を投げる。


 今度はランだ。


 ランで出来た槍は、空間を飛び越え、カインの後ろに飛んだ。


 カインを貫く。


 カインは槍を引き抜いた。


 ベルは武器化を解いてランで出来た槍を拾う。


 ベルはランで出来た槍を構える。


 シェルミは手を前にかざすのを止め、カインを回復する。


 カインは回復を受けながら、結界を蹴って後退。


 シェルミも後退。


 ベルが追いかける。


 俺も追いかける。


 タロストがアルを装備。


 俺はカーを装備。


 ダリドベがレートルを装備。


 キニダゼがファニルを装備。


 結界を足場に、ガーゴイルを排除しながら進む。


 ダリドベが、レートルで出来た槍をシェルミに投げた。


 シェルミは結界で防御。


 結界に槍が突き刺さる。


 キニダゼも槍を投げた。


 ファニルで出来た槍がシェルミの結界に突き刺さり、結界が砕ける。


 ファニルは武器化を解いて、レートルで出来た槍を装備。


 ダリドベは、キニダゼを装備。


 カインとシェルミは結界を足場に更に後退。


 俺は二人に迫れていないが、ベルとファニルがカインとシェルミに張り付いた。


 このまま二人をレイセ達から遠ざける。


 俺とダリドベとタロストの間に大型の飛竜が三体飛んで来た。


 ベル達と分断するつもりらしい。


 カインが注視を使う。


 俺も注視を使う。


 俺は武器を双剣に。


 カインは部分融合で大盾を。


 ベルとファニルの攻撃をカインが捌く。


 シェルミはカインの回復を行うと同時に、大型の飛竜を操る。


 俺は素早く動き、大型の飛竜を切りつける。


 大型の飛竜は尻尾で反撃。


 大型の飛竜はシェルミの回復を受ける。


 俺は邪魔をして来るガーゴイルを一撃で倒しながら、ダリドベ、タロストと協力して大型の飛竜を攻撃する。


 カインの注視が効いている。


 敵の攻撃に視線を合わせられない。


 それはカインとシェルミもそうだろう。


 俺の注視が効いていたらだが。


 俺は大声を出した。


 ダズ:「カイン!」

 ダズ:「シェルミ!」

 ダズ:「戻って来い!」

 ダズ:「お前たちは、完全に魔物になったのか?!」

 ダズ:「どうなんだ?!」


 シェルミ:「この世の理を知らない貴方に話しても無駄です!」


 カイン:「…………」


 ベル:「カイン!」


 カイン:「うるさい!」

 カイン:「今更もう遅い!」


 タロスト:「戻れ、カイン、シェルミ!」

 タロスト:「まだ間に合う!」


 シェルミ:「うるさい!」


 シェルミとカインは手を前にかざす。


 ベルはランを盾に変化させる。


 俺はカーを盾に変化せる。


 ベルは結界を展開。


 俺も結界を展開。


 カインはベルをレーザーで攻撃。


 シェルミは俺をレーザーで攻撃。


 俺達は防ぎ切った。


 やはり注視が効いていない。


 ダズ:「俺は単に戦いを回避したい訳じゃない!」

 ダズ:「本心だ!」

 ダズ:「戦いたくない!」


 ベル:「カイン、シェルミ!」

 ベル:「本心は?!」


 ダズ:「ダリドベ!」

 ダズ:「ファニル!」

 ダズ:「時間を稼いでくれ!」

 ダズ:「絶対に説得する!」

 ダズ:「タロスト!」

 ダズ:「それでいいな?」


 タロスト:「当然だ!」


 カイン:「無駄だ!」


 シェルミ:「無駄です!」

 シェルミ:「貴方達を排除して、レイセを始末する」


 ダズ:「やってみろ!」

 ダズ:「お前には無理だ!」

 ダズ:「俺がいる!」


 バカが!


 本心はわかっているんだぞ!


 さっさと理由を言え!


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