52話 千パーセント



 レイセ:黒戸零維世。

    レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

    連合国クロトと聖国クリアの王。

    カーミュ・セーグルと融合した。

 ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。

 リビア:リビア・クロト。

    聖国クリアの元代表。

    レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

    ルビー・アグノス。

    黒崎鏡華。

    月と太陽の国アウグストラの女王。

    現人神。

    レイセと結婚している。

 ジャド:『マギ』のエース。

    キシに次期纏め役に推されている。

    三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

     『能力』が使える。

     『リーベラティーオー』のリーダー。

 ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。

     ロミールの双子の妹。

     戦闘の指揮を行う。

 ジーク:聖国クリアの守護者。

    クレラメイと融合。

    真理への到達者。

 アリシア:『悠久の旅人』のエース。

     クリアの孫。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ

     海洋国家ドバスカリ女王。

     黒沢香織。

     ファガスと結婚している。

     万能サポート。

 フィビニ:フィビニ・ドリー

 月と太陽の国出身。

     現在は、聖国クリアと連合国クロトの司法担当。

     開発チーム。

 ツァーリク:ツァーリク・エリン

      月と太陽の国出身。

      ルプリレに気がある。

      能力は高い。

 ノイトル:ノイトルロベスト

     月と太陽の国出身。

     従者長。

     一見クールだが激情家。

     プロミの狂信者。

     他人を見下している。

 ヒルデ:ヒルデ・ガント

    月と太陽の国出身。

    神官長。

    プロミの一挙手一投足全てに感動を覚える。

    感情の制御が苦手。

    実力は高い。

 ロウル:ロウル・ヒスリー

    月と太陽の国出身。

    従者兼料理人、実はプロの暗殺者

 クアクル:クアクル・ロウナー

     月と太陽の国出身。

     従者兼料理人、実はプロの暗殺者

 カシアル:カシアル・シュース

     月と太陽の国出身。

     従者兼裁縫士、実はプロの暗殺者

 スレガリン:スレガリン・ラウナル

      月と太陽の国出身。

      従者兼裁縫士、実はプロの暗殺者。

      カシアルの弟子。

 リトアニ:魔道国家ネストロス宰相

     高い実力を持つ魔法使い。

     サッサラと婚約した。

 サッサラ:魔道国家ネストロスの魔道技師

     ラナイア、へサルの上官

     リトアニと婚約した

     『フィナリスラーウム』開発チーム

 ラナイア:魔道国家ネストロスの宮廷魔導士

     攻撃魔法担当。

 へサル:魔道国家ネストロスの宮廷魔導士

    防御魔法担当。

 シア:魔道国家ネストロスの戦士長

   国で突出した実力があったが弟子に恵まれず孤立。

   カーと親しくしている。

 シロ:黒戸壱白の分裂した姿。

   ビレンティと融合した。

   『能力』未来予知が使える。


(レイセ視点です。)


 万象のクリムゲルがラーメンを食べている。


 俺が作ったラーメンだ。


 とっておきを出した。


 こいつ、寛いでいやがる。


 殺気の無いこいつは普通の人間に見える。


 気持ちの切り替えがおかしい。


 殺気で死にそうだと感じたのはこいつが初めてだ。


 こいつで終わりにしたい。


 そうか。


 俺の仕込んだラーメンは美味いか?


 俺の地元のスタミナラーメンを真似て作った。


 流行りのラーメンとか知らんぞ。


 自分の食べたい奴を作った。


 気に入って貰えて俺は嬉しい。


 ラーメンで機嫌を取って、五百階層で手加減して欲しい。


 無いかなー?


 無いんだろうなー?


 勝てる気が全くしない。


 もう、根源の核まで辿り着ているんだぞ。


 他にどうしろと?


 万象のクリムゲルが、旨いって言うラーメンを作れるんだ。


 俺はラーメンを作って生活したい。


 その方が俺の適性に合っているんじゃないか?


 俺はなんで世界なんて救おうとしている?


 良いじゃないか。


 ラーメンを作りたい。


 俺のラーメンを食べるこいつら全員、俺の才能を解っているのか?


 俺の才能を解っているのか?


 俺の才能が無駄に消費されようとしている。


 本音を言えば、俺はラーメンが好きだ。


 ラーメン屋を馬鹿にしている訳じゃ無い。


 ラーメンは奥が深い。


 奥が深いのはどの料理もか。


 とにかく、才能が多い。


 俺は才能が多い。


 絵も描ける。


 小説も書ける。


 料理も出来る。


 なんで俺が世界を救うんだよ。


 誰か他のやつがやれよな。


 番人:「レイセ、お前ラーメン屋やれ」

 番人:「お前の造るラーメンは美味い」

 番人:「俺が通う」


 レイセ:「はー?」

 レイセ:「お前人里に出られるのか?」


 番人:「その位の自由はある」

 番人:「人相を変える事が出来る」

 番人:「ひっそりとお前の店に通ってやる」


 レイセ:「世界を救った後な」


 番人:「今のお前には無理だな」


 レイセ:「俺は精一杯やっているつもりだ」

 レイセ:「飛躍的に実力が向上する手段とか、残っているのか?」


 番人:「無い」

 番人:「千パーセント出せ」


 レイセ:「無理言うな」

 レイセ:「久々に心が折れた」

 レイセ:「お前、強すぎるだろ」


 番人:「本気を出した俺と、魔物の王は同じ位だ」

 番人:「俺で挫けるなら、勝てない」


 レイセ:「あああああああ」


 番人:「お前は何のために戦う?」


 レイセ:「…………」


 番人:「ルプリレ、出番だぞ」


 ルプリレ:「貴方が負けると、私が死ぬんだけど」

 ルプリレ:「良いの?」


 レイセ:「そうだった」


 番人:「ちょっと甘えてみた、か?」

 番人:「お前ら全員、甘えているな」

 番人:「そうだなー、シア、お前が俺と戦え」


 シア:「私ですか?」


 番人:「そう言っている」


 お前、シアはお前がその他に分類したんじゃないか。


 どういうつもりだ?


 番人:「レイセを見て、どう思った?」

 番人:「限界を感じたか?」


 シアは笑った。


 不敵な笑みだった。


 ヤル気か?


 勝てないぞ?!


(シア視点です。)


 レイセの動きの速さは異常だった。


 勇気が湧いてきた。


 レイセは特別だ。


 いつも前を進む。


 先頭を進む。


 レイセが前を進むなら、私はそれについて行きたい。


 置いて行かれ無い様にしないとね。


 番人から指名があった。


 私にやれるだろうか?


 やるしかない。


 そう、やるしかない。


 いつも、レイセはどんな気持ちで先頭を進んでいるんだろう?


 それを想うと拒否できない。


 レイセの気持ちが折れようとしている。


 会話でそれを感じた。


 まだ折れて貰っては困る。


 私は、私は、まだやれる。


 そう思い込む。


 レイセに千パーセントを出す所を見せて、勇気づけたい。


 シア:「移動します」


 番人:「ヤル気になったか」


 シア:「レイセ、よく見ておいてね?」


 レイセ:「よせ、お前にはまだ早い」


 シア:「千パーセント出せば良いだけでしょう?」

 シア:「私が千パーセントを出す所を見せてあげます」


 番人:「お前は千五百パーセント必要だ」


 シア:「知るか!」

 シア:「とっとと移動しろ!」


 番人:「あははは!」

 番人:「俺は本気を出す」

 番人:「死んでも文句を言うなよ」


 レイセ:「シア、やれるんだな?」


 シア:「見ていればわかります」


 私は剣の天才だった。


 ネストロスに剣が広まらなかったのは、私を見たからだ。


 私の振舞を見て、剣士の気持ちが折れていった。


 レイセ、貴方なら、私の剣技に心が折れない。


 信じている。


 やってやる。


 シア:「地力が無くても、限界以上を出せば追いつける」

 シア:「レイセ、ふてくされている場合じゃ無いですよ」

 シア:「私達は追いつく」


 レイセ:「おお、証明してくれ」


 信じたな。


 なら、やってやるか。


 番人は広い場所に移動した。


 私もだ。


 私は融合者じゃない。


 力の融合も得意じゃない。


 根源へのアクセスも不十分だった。


 笑わせる。


 レイセを見てわかった。


 甘えていただけ。


 一気に行く。


 全力だ。


 番人が右に構えた。


 薙ぎ払いが来る。


 私は奴の四メートルまで踏み込む。


 左足で踏み切って、右足を軸にする。


 右から左に振るって、攻撃を弾き返す。


 凄まじい速さの振りが来た。


 しかし、見える。


 私は根源の核を握りしめる。


 剣を弾き返した。


 下から上へ。


 奴は後退。


 四メートルを維持しようとする。


 もっと内側に入る。


 部分融合で出来た武器は、奴の剣撃を弾き返した衝撃で砕けた。


 構わない。


 もっと出せる。


 私は部分融合で双剣を出した。


 さらに踏み込む。


 奴は剣を地面に刺した。


 剣を諦めたらしい。


 奴はガントレットで向かえ打つ。


 奴は小さく左足で踏み込んで、右足を前に出し軸にして、右ストレート。


 全部見えている。


 遅い。


 動きがスローモーションに見える。


 私は左足で蹴って、右足を前へ。


 左手を振るって奴の右腕を左から突き刺す、


 動きの遅くなった右ストレートを右腕で下から上へ。


 奴の右腕を切り離した。


 力の融合を使い、根源の核を握りしめる。


 限界以上を出せば、追いつく。


 切り離した流れのまま、右腕を振るって奴の首を狙う。


 自分でも信じられない速さが出ていた。


 万象のクリムゲルは死ぬ。


 そう思った。


 クリムゲルは霧に成ってしのいだ。


 クリムゲルは霧化を解いて、右足で私を押し出した。


 ルプリレ:「武器が部分融合じゃ無かったら、貴方は死んでいたんじゃない?」


 番人:「その場合は、もっと必死にやっていたさ」


 ルプリレ:「どうだか」


 番人:「勝負はシアの勝利だ」

 番人:「讃えてやれ」


 シア:「どうです?」

 シア:「見ていましたか?」


 レイセ:「ああ、見ていた」

 レイセ:「千パーセント出したな」


 番人:「千五百パーセントだ」


 レイセ:「どっちでも良いわ!」


 番人:「わかったか?」


 レイセ:「ああ、ふてくされている場合じゃ無かった」

 レイセ:「俺も限界以上を出さないとな」


 ああ、良かった。


 私の思いが通じた。


 行動で示せた。


 全身が重い。


 無理し過ぎた。


 この動きに慣れないと。


 私は意識を手放さない。


 意識が飛びそうになるが、我慢する。


 カーが憧れたレイセを支える。


 それが私達の役目だ。


 万象のクリムゲルの右腕は回復した。


 私の動きを見たんだ。


 他にも名乗り出る。


 ツァーリク:「次は俺がやる」


 番人:「お前か」


 ツァーリク:「不満か?」


 番人:「いや、意外なだけだ」

 番人:「次は、ヒルデかと思っていた」


 ヒルデ:「その次は私です」


 ラナイア:「じゃー、その次を予約する」


 ジャド:「レイセさんはまだ解っていない可能性がある」

 ジャド:「その次は僕が」


 ジーク:「ならその次だな」


 番人:「仲間に恵まれたな、レイセ」


 レイセ:「どうやらそうみたいだな」


 ツァーリク:「うるせー」

 ツァーリク:「プロミを手に入れておいて、ふてくされてんじゃねー」


 フィビニ:「ですね」

 フィビニ:「更にその次には僕がやります」




 結局、全員が万象のクリムゲルを乗り越えました。


 私も捨てたもんじゃない。


 レイセもわかったみたいだし。


 はー、気絶しそう。



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