51話 番人



 レイセ:黒戸零維世。

     レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

     カーミュ・セーグルと融合した。

 ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。

 リビア:リビア・クロト。

     聖国クリアの元代表。

     レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

     ルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     現人神。

     レイセと結婚している。

 ジャド:『マギ』のエース。

     キシに次期纏め役に推されている。

     三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

      『能力』が使える。

      『リーベラティーオー』のリーダー。

 ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。

      ロミールの双子の妹。

      戦闘の指揮を行う。

 ジーク:聖国クリアの守護者。

     クレラメイと融合。

     真理への到達者。

 アリシア:『悠久の旅人』のエース。

      クリアの孫。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ

      海洋国家ドバスカリ女王。

      黒沢香織。

      ファガスと結婚している。

      万能サポート。

 フィビニ:フィビニ・ドリー

      月と太陽の国出身。

      現在は、聖国クリアと連合国クロトの司法担当。

      開発チーム。

 ツァーリク:ツァーリク・エリン

       月と太陽の国出身。

       ルプリレに気がある。

       能力は高い。

 ノイトル:ノイトルロベスト

      月と太陽の国出身。

      従者長。

      一見クールだが激情家。

      プロミの狂信者。

      他人を見下している。

 ヒルデ:ヒルデ・ガント

     月と太陽の国出身。

     神官長。

     プロミの一挙手一投足全てに感動を覚える。

     感情の制御が苦手。

     実力は高い。

 ロウル:ロウル・ヒスリー

     月と太陽の国出身。

     従者兼料理人、実はプロの暗殺者

 クアクル:クアクル・ロウナー

      月と太陽の国出身。

      従者兼料理人、実はプロの暗殺者

 カシアル:カシアル・シュース

      月と太陽の国出身。

      従者兼裁縫士、実はプロの暗殺者

 スレガリン:スレガリン・ラウナル

       月と太陽の国出身。

       従者兼裁縫士、実はプロの暗殺者。

       カシアルの弟子。

 リトアニ:魔道国家ネストロス宰相

      高い実力を持つ魔法使い。

      サッサラと婚約した。

 サッサラ:魔道国家ネストロスの魔道技師

      ラナイア、へサルの上官

      リトアニと婚約した

      『フィナリスラーウム』開発チーム

 ラナイア:魔道国家ネストロスの宮廷魔導士

      攻撃魔法担当。

 へサル:魔道国家ネストロスの宮廷魔導士

     防御魔法担当。

 シア:魔道国家ネストロスの戦士長

    国で突出した実力があったが弟子に恵まれず孤立。

    カーと親しくしている。

 シロ:黒戸壱白の分裂した姿。

    ビレンティと融合した。

    『能力』未来予知が使える。


(レイセ視点です。)


 男は強い。


 手招きされても簡単には前に出られない。


 ジャドの攻撃が通ったのも、鎧で防げると思ったからだ。


 鎧は砕けたように見えていたが、内に着込んだチェーンメイルが刃を防いでいた。


 首への攻撃も、鎧と兜の隙間を完全には通っていなかった。


 打撲程度なんだろう。


 頑丈な奴だ。


 どういう体の造りしてやがる。


 重い鎧と兜を脱ぎ捨てたこいつを相手に出来るのか?


 俺にも自信が無いぞ。


 男:「どうした?」

 男:「来ないのか?」


 レイセ:「お前、話せるのか?」


 男:「当り前だ」

 男:「知性があるように見えないか?」


 男はビリビリとした殺気を全身から発している。


 会話が始まってから更にそれは増した。


 平静ではいられない。


 立っているのがやっとだ。


 会話云々以前の問題だ。


 俺以外の全員が絶句している。


 レイセ:「そうかよ」

 レイセ:「俺はレイセだ」

 レイセ:「俺が相手をしてやる」


 男:「お前一人でか?」

 男:「はッはッはッは!!」

 男:「無理するな」

 男:「それにしても、ここに来たのは正解らしい」


 レイセ:「どういう意味だ?」


 男:「俺は本来千階層以上を守る番人だ」

 番人:「面白いことになっているから、この階層の階層主と役目を交代した」


 レイセ:「余計な事をするなよ」


 番人:「そんなのは俺の勝手だ」

 番人:「お前ら、この階層までを攻略した最短記録を出しているぞ」


 レイセ:「ああああ、それで階層を変化させているのか?」


 番人:「それもある」

 番人:「お前らの目的に合わせて難易度を変更した」


 レイセ:「俺達の目的を知っているのか?」


 番人:「お前らが魔物の王と呼んでいる存在を倒すんだろう?」


 レイセ:「それでお前が来たと?」


 番人:「そうだ」

 番人:「『狂奔』も良い線行っているが、攻略速度は遅い」

 番人:「お前らが目的を達成するには、俺を倒せなくては無理だ」


 レイセ:「お前に何か得が有るのか?」


 番人:「俺達は退屈している」

 番人:「いずれここに戻ってきそうな奴にはサービスしてやる」

 番人:「それだけだ」

 番人:「そろそろ始めたいな」

 番人:「お前と連携が取れそうなのは、ジークとジャドだな」

 番人:「根源に踏み込めるのもこの二人だ」

 番人:「ぺセシュは回復に徹しろ」

 番人:「リアンナはレイセの影で補佐」

 番人:「他は俺の間合いに入るなよ?」

 番人:「ぺセシュとリアンナへは攻撃しない」

 番人:「フィビニはジャドのガントレットになれ」

 番人:「わかったか?」

 番人:「三人で来い」


 レイセ:「はー」

 レイセ:「お前、名前は?」


 番人:「クリムゲル」

 番人:「万象のクリムゲル」


 レイセ:「わかった、行くぞクリムゲル」


 番人:「万象のクリムゲルだ」

 番人:「二つ名を気に入っている」


 レイセ:「うるせー」

 レイセ:「みんな聞いていたか?」

 レイセ:「やるぞ!」


 ジャドはガントレットになったフィビニを受け取った。


 リアンナが俺の影に入った。


 ぺセシュ、リトアニ、サッサラ、ヒルデ、ラナイア、シア、へサル、ツァーリクは後方へ瞬間移動した。


 クリムゲルの間合いはざっと二十メートル。


 その範囲ギリギリに皆は移動した。


 ぺセシュもだ。


 ぺセシュは遠方から支援する。


 俺は完全融合からの力の融合、根源の核を握りしめる。


 根源の核を掴んだのは、さっきはたまたまだった。


 今度は意識的だ。


 この状態を維持しないといけないらしい。




 クリムゲルとの距離は七メートル。


 やつの間合いだ。


 やつの剣は四メートル。


 やつの光刃は剣で防げない。


 俺は奴の四メートルまで一気に踏み込まなくては、攻撃を防げない。


 俺は左足で蹴って、右足を踏み込んだ。


 一気に奴の四メートルまで踏み込んだ。


 クリムゲルは右に構えた。


 同時にジャドとジークも同じ距離まで詰めた。


 クリムゲルの攻撃。


 目にも留まらぬ速さで剣が振るわれる。


 右から左へ。


 俺は剣で上に弾いた。


 ギリギリだ。


 反応出来たのが嘘みたいだ。


 右拳で殴りに行ったジャドをクリムゲルの左拳が迎え撃つ。


 とっさにジークが間に入る。


 盾で左拳の攻撃を防ぐ。


 ジークは左拳を、自身の左側にそらす。


 ジャドの拳がクリムゲルに届く前に剣が振り下ろされた。


 ジャドはガントレットを交差させなんとか防ぐ。


 俺は奴のがら空きになった右側に剣を振るう。


 奴は右手の剣でそれを上に弾いた。


 更に俺は奴のハイキックを受ける。


 俺は剣を持ったまま両腕でそれを受けた。


 奴は左拳でジャドに突き上げるようなボディーブロー。


 ジャドの体が跳ね上がる。


 ジャドにぺセシュの回復が飛ぶ。


 ジークが盾で体当たり。


 奴は足で抑えて止めた。


 俺達は三人ともバックステップ。


 攻めきれない。


 速すぎる。


 俺達の二倍の速さで動く。


 しかも、俺達は腕がしびれている。


 バックステップは時間稼ぎだ。


 攻撃が重い。


 ジャドはもう一撃喰らえば死んでいたかもしれない。


 今のやり取りで汗が噴き出た。


 冷汗だ。


 レイセ:「俺が隙を作る」

 レイセ:「二人は隙が出来た瞬間飛び込め」


 俺がやらないとな。


 ジャド:「わかりました」


 ジーク:「了解」


 二人は俺がなんとかすると本気で思っているのか?


 はーあ。


 逃げたい。


 番人:「今のやり取りでやる気を失わないとは、恐れ入った」


 レイセ:「言ってろ」


 番人:「期待している」


 レイセ:「ホントかよ」


 俺にも自信が無いぞ。


 俺の剣は両手剣になった。


 ルプリレは俺がやれると思っている。


 奴の剣撃を全て撃ち落として隙を作る。


 出来なくてもそれしか無い。


 ふー。


 四メートルに入る。


 奴は両手で右に構えた。


 来た。


 俺は下から上に払う。


 俺は上から来たのを左から右へ。


 奴は剣を前に戻す。


 俺は左から来たのを右から左へ。


 二人共剣を前に戻す。


 俺は下から上に来たのを右から左へ。


 俺は徐々に近づく。


 奴は少しずつ後ろへ。


 気合を入れる。


 更に速度を上げる。


 今度は俺からだ。


 俺は上から下に振り下ろした。


 奴は左から右へ。


 俺の攻撃を弾く。


 俺は剣を戻し一歩踏み込む。


 俺は右から左へ。


 奴は左から右へ。


 俺は剣を前に戻す。


 奴は一歩後退する。


 俺は右から左へ。


 奴は左から右へ。


 俺は剣を前に戻す。


 奴は一歩後退する。


 俺は下から上へ。


 奴は上から下へ。


 二人共剣を前に戻す。


 俺は上から下へ。


 奴は下から上へ。


 ギン!


 俺は剣を戻さない。


 そのまま押し込む。


 剣と剣がぶつかったまま、二人の動作は静止した。


 全力で押し込む。


 オラアアアアア!!


 瞬間ジークとジャドが接近。


 奴は両手を離せない。


 ジャドに蹴りを入れようとした間にジークが割って入る。


 ジークが盾で防ぐ。


 ジャドの右拳が、奴の顔面に刺さる。


 ジャドの拳から光が放出される。


 俺はそのまま押し込んだ。


 俺の剣が奴の肩に深く食い込む。


 ジャドがもう一撃。


 奴の左脇腹に。


 肋骨が折れた音がした。


 奴はバックステップして逃れた。


 俺の剣でつけた肩の傷がみるみる回復する。


 肋骨も回復しているだろう。


 番人:「ははっ」

 番人:「やられちまった」


 レイセ:「ふーーーー」

 レイセ:「負けを認めるのか?」


 番人:「そうだ」

 番人:「俺はまだやれるが、この階層ではそこまでできれば十分だ」


 ジャド:「ふー、助かります」


 ジーク:「王の動きは異常でした」

 ジーク:「動きが急に速くなった」


 死ぬかと思ったわ。


 全力以上が出せた。


 魔物の王と戦う時はこれを維持するのか?


 冗談だろ?


 ルプリレが武器化を解いた。


 他全員が武器化を解いた。


 ルプリレ:「聞きたい事があります」


 番人:「わかっている」

 番人:「お前らで魔物の王の配下に通用するのは、レイセだけだな」

 番人:「お前ら、しばらくこの階層まで通え」

 番人:「レイセ抜きで俺から一本取れるように成らなきゃ、無理だ」


 リトアニ:「はー、訓練は長くなりそうだ」


 サッサラ:「そうね、そう思う」


 リアンナ:「くたびれたー」


 レイセ:「五百階層の情報は無いか?」


 番人:「俺が後二人連れて来る」


 レイセ:「あんたみたいな奴をか?」


 番人:「俺よりは弱いけどな」


 ルプリレ:「訓練が終わらないわね」


 レイセ:「酒飲みたい」


 ぺセシュ:「万象のクリムゲル、ここで一旦休憩して行って良いか?」


 番人:「良いぞ」

 番人:「俺にも何か食わせろ」


 レイセ:「殺気が解けたな」

 レイセ:「それ疲れるから」

 レイセ:「生きた心地しないんだよ」


 番人:「魔物の王はもっとだぞ?」


 レイセ:「ヘー、ヘー、解ったよ」

 レイセ:「もう勘弁してくれ」


 全員が笑った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る