48話 理解

 レイセ:黒戸零維世。

    レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

    連合国クロトと聖国クリアの王。

    カーミュ・セーグルと融合した。

 ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。

 リビア:リビア・クロト。

    聖国クリアの元代表。

    レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

    ルビー・アグノス。

    黒崎鏡華。

    月と太陽の国アウグストラの女王。

    現人神。

    レイセと結婚している。

 ジャド:『マギ』のエース。

    キシに次期纏め役に推されている。

    三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

     『能力』が使える。

     『リーベラティーオー』のリーダー。

 ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。

     ロミールの双子の妹。

     戦闘の指揮を行う。

 ジーク:聖国クリアの守護者。

    クレラメイと融合。

    真理への到達者。

 アリシア:『悠久の旅人』のエース。

     クリアの孫。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ

     海洋国家ドバスカリ女王。

     黒沢香織。

     ファガスと結婚している。

     万能サポート。

 フィビニ:フィビニ・ドリー

     月と太陽の国出身。

     現在は、聖国クリアと連合国クロトの司法担当。

     開発チーム。

 ツァーリク:ツァーリク・エリン

      月と太陽の国出身。

      ルプリレに気がある。

      能力は高い。

 ノイトル:ノイトルロベスト

     月と太陽の国出身。

     従者長。

     一見クールだが激情家。

     プロミの狂信者。

     他人を見下している。

 ヒルデ:ヒルデ・ガント

    月と太陽の国出身。

    神官長。

    プロミの一挙手一投足全てに感動を覚える。

    感情の制御が苦手。

    実力は高い。

 ロウル:ロウル・ヒスリー

    月と太陽の国出身。

    従者兼料理人、実はプロの暗殺者

 クアクル:クアクル・ロウナー

     月と太陽の国出身。

     従者兼料理人、実はプロの暗殺者

 カシアル:カシアル・シュース

     月と太陽の国出身。

     従者兼裁縫士、実はプロの暗殺者

 スレガリン:スレガリン・ラウナル

      月と太陽の国出身。

      従者兼裁縫士、実はプロの暗殺者。

      カシアルの弟子。

 リトアニ:魔道国家ネストロス宰相

     高い実力を持つ魔法使い。

     サッサラと婚約した。

 サッサラ:魔道国家ネストロスの魔道技師

     ラナイア、へサルの上官

     リトアニと婚約した

     『フィナリスラーウム』開発チーム

 ラナイア:魔道国家ネストロスの宮廷魔導士

     攻撃魔法担当。

 へサル:魔道国家ネストロスの宮廷魔導士

    防御魔法担当。

 シア:魔道国家ネストロスの戦士長

   国で突出した実力があったが弟子に恵まれず孤立。

   カーと親しくしている。

 シロ:黒戸壱白の分裂した姿。

   ビレンティと融合した。

   『能力』未来予知が使える。

 紫幻唯康:青子にジャックされ寿命が伸びた。

     『能力』カットが使えた。

     ダズと同一の存在。

 紫幻忠時:青子にジャックされ寿命が伸びた。

     『能力』リフレクトが使えた。

     フレドと同一の存在。

     唯康とは兄弟。

 黒戸和馬:シングライト・クルフェミュア。

     管理者のバランサー。

     なんらかの『能力』を持っている。

     ボーデンと同一の存在。

 ダズ:聖国クリアの代表代理だった。

   アリアにプロポーズしたが、答えをはぐらかされている。

   聖国クリアの守護者の顧問。

   神獣は雷獣だったが、他にも契約している。

 フレド:フレドリック・ユルロア。

    連合国クロトの代表代理。

    ピナンナと結婚している。

    神獣はサトリだったが、他にも契約している。

 ボーデン:ボーデン・バレット。

     連合国クロトの代表代理の補佐。

     結婚している。

     神獣は小さな本を持ったリスのような動物。

     魔銃開発者の一人。

   


(シロ視点です。)


 レイセ達はあと数日で四百八十階層を攻略に行く。


 その頃に遡る。


 そのタイミングでレイセが妙な事を言い出した。


 紫幻唯康と紫幻忠時、黒戸和馬は、ダズとフレド、ボーデンと同一ではないか?


 だと。


 そんな事を言われてもな。


 ルプリレにも言っていないらしい。


 思い付きでそんな話をされてもな。


 ふー。


 そうか。


 と、答える事しか出来ない。


 レイセは妙な勘が働く。


 恐らく当たっているんだろう。


 何度も言うが、思い付きで言うには重すぎる。


 そして、このまま流してしまう事も出来ない。


 ヤスとトキには、異世界に行けないか相談されていた。


 二人の運命は、異世界と交わらない。


 そう言って聞かせていた。


 二人は老けない。


 青子の『能力』の影響で寿命が伸びてしまった。


 その事を本人達は嬉しがっていたが、テレパシーで本音は解っている。


 俺のテレパシーは触れないと有効化されない。


 アルコルもそうだろう。


 二人と組手をした時に嫌でもわかる。


 黙って傍観する事は出来ない。


 死にたい気分らしい。


 レイセに話をされた時は俺も融合の経験が無かった。


 二人がこの世界に来るには、融合しか無い。


 俺は例外だ。


 和馬の許可があった。


 そう、和馬だ。


 和馬が許可を出している。


 ボーデンも和馬と同一らしい。


 和馬に相談するしかない。


 レイセに話を振られた間にここまで考えを巡らせた。


 レイセは俺が何かを思いついたと感じ、そのまま俺との訓練を続行しやがった。


 俺が言うのもなんだが、イカレた奴だ。


 なんとかなると思っているらしい。


 俺は訓練の後、急いでダズ、フレド、ボーデンを呼び出した。




 聖国クリアの『ロストエンド』に呼び出した。


 瑠璃と百枝は奥に引っ込んでいる。


 俺達はカウンター席に座って会話している。


 シロ:「理解したか?」


 ダズ:「融合か、想像が出来ない」


 フレド:「同じく」


 ボーデン:「…………」


 シロ:「ボーデン、意見を言ってくれ」


 ボーデン:「私ですか?」


 シロ:「そうだ」


 ボーデン:「呼び出した理由は、どうにかなると思っているからですよね?」


 シロ:「まあ、そうだ」


 フレド:「バランサーなら、このタイミングを放置するか?」


 ダズ:「しないだろうな」


 ダズが言い終わったと同時に『ロストエンド』の入り口が開く。


 俺達は入口を見た。


 黒いスーツの男。


 そのままカウンターの内側に入り、飲み物を俺達の前に置いた。


 ウイスキーがロックで出た。


 四人分。


 バランサーは自分用にカクテルを作っている。


 無言だ。


 バランサーは自分で作ったカクテルを飲み干した。


 バランサー:「どうしました?」

 バランサー:「素面で出来る話じゃ無いですよ?」


 ボーデン:「説明は必要なさそうだ」


 バランサー:「聞きたい事は解っています」


 シロ:「で?」


 バランサー:「可能です」


 ダズ:「ボーデンはどうなる?」


 バランサー:「私の力の一部と記憶を譲渡します」


 ボーデン:「貴方に影響は無いのですか?」


 バランサー:「こうなる事は解っていました」


 フレド:「予知能力とかか?」


 バランサー:「秘密です」


 シロ:「なら、お前らの気持ちの問題だな」


 ダズ:「待ってくれ」

 ダズ:「その前に聞きたい事がある」


 フレド:「そうだぜ、確認しときたい」


 バランサー:「自意識の話ですか?」

 バランサー:「得る能力の話ですか?」


 ダズ:「両方だ」


 バランサー:「融合すれば、自意識は溶け合います」

 バランサー:「現世の二人は青子さんに寿命を引き上げられる前に戻ります」


 シロ:「二人共、身体に障害を抱えていたが?」


 バランサー:「その点は心配ありません」


 シロ:「他に疑問点は?」


 フレド:「ふー、何故協力的なんだ?」


 バランサー:「貴方達が処刑人と呼んでいる人物と交流があります」

 バランサー:「特別扱いは致しません」

 バランサー:「均衡は依然として保たれています」

 バランサー:「飲み物に手を付けていないですね」

 バランサー:「氷が溶けてしまう」


 シロ:「チッ」


 ダズ:「一旦落ち着くか?」


 フレド:「だな」


 ボーデン:「そうですね」


 シロ:「そうか、そうだな」

 シロ:「何かつまむ物を出してくれ」


 サラミが出された。


 本格的な奴だ。


 そのまま数時間飲んだ。


 この時は気付いていなかった。


 飲んでも何も解決しない事に。


 俺は三人の心境がわからなかった。




(ダズ視点です。)


 ただ酒を飲むだけじゃ、何も解決しない。


 飲み始める前から解っていた事だ。


 シロさんは気付いていなかった。


 バランサーの助言を信用したんだろう。


 バランサーは融合が可能と言った。


 融合する利点は多い。


 融合すれば仲間の力に成れる。


 大きな利点だ。


 しかし、次に何をすれば良いか、他の二人も聞かない。


 バランサーに聞かない。


 いや、違うな。


 聞けないんだ。


 聞く気が起きない。


 正直に言う、恐ろしい。


 自分が別の誰かになる。


 死ぬのとどう違う?


 融合者は強い。


 だが、どういう神経をしているんだ?


 どう折り合いをつけた?


 次に進む決心が出来ない。


 気が重い。


 もう少し酒を飲めば、気分は軽くなるのか?


 よく考えろ、俺。


 融合したくないと感じる理由はなんだ?


 何が引っかかっている?


 自分が自分でなくなることがそんなに恐怖なのか?


 そうだな、怖い。


 何度も言うが怖いな。


 では、どうすればその恐怖を乗り越えられる?


 アイツは、レイセはどうやって乗り越えた?


 たしか、夢で現世の自分を追体験したんだったな。


 何度も夢の様な記憶を見続けた。


 何年も。


 そうして理解していった。


 俺達には時間が無い。


 しかし、同一存在への理解が必要だ。


 そう、理解だ。


 それも生半可な理解じゃない。


 完全な理解だ。


 それが必要だ。


 フレド:「俺達にも記憶を追体験させてくれ」


 そうだな。


 それも短期間で一気に体験しないといけない。


 俺もその結論に行きついた。


 ダズ:「俺にも頼む」

 ダズ:「時間が無い、一気に頼む」


 ボーデン:「レイセは時間が掛ったと言っていましたよ?」


 フレド:「ガキの頃のアイツの話だろ?」


 ダズ:「時間が無い」


 シロ:「和馬、可能なのか?」


 バランサー:「今は管理者として応対しています」


 シロ:「そうだったな」


 バランサー:「可能です」

 バランサー:「処刑人にも助言をすることで均衡が保たれます」

 バランサー:「私が手を貸す事でリスクも増大します」


 シロ:「まずは記憶の追体験だけだ」

 シロ:「脅すな」

 シロ:「追体験だけならノーリスクだろ?」


 バランサー:「貴方は交渉が上手くなった」


 シロ:「シリウスの時だけの感情で生きていない、当然だ」


 バランサー:「すぐに調子に乗る」

 バランサー:「三人の額に触れます」

 バランサー:「触れた瞬間、全記憶を追体験出来ます」

 バランサー:「貴方達が額と額の触れあいでイメージを流し込む感じです」

 バランサー:「かかる時間は一瞬です」

 バランサー:「念の為に、この部屋の時間を静止させましょうか?」


 ダズ:「必要無い」

 ダズ:「一瞬が、数十年に感じるんだろ?」

 ダズ:「あんたの能力に疑問は無い」

 ダズ:「やってくれ」


 フレド:「同意見だ」


 ボーデン:「急に感情が振り切れていますね」

 ボーデン:「貴方達は向こうの世界の人間が対象ですが、私は違う」

 ボーデン:「管理者と記憶を共有すると、私はどうなるのです?」


 バランサー:「私に協力したくなるでしょう」

 バランサー:「私を見て、貴方はどう感じました?」


 ボーデン:「懐かしいと感じました」

 ボーデン:「言われてみるとしっくりくる」

 ボーデン:「私は貴方のオルタナティブな存在だ」

 ボーデン:「そんな存在の可能性を感じました」

 ボーデン:「いや、可能性じゃない、確信しました」


 ダズ:「共感できないが、雰囲気は伝わった」

 ダズ:「もういい、さっさとやってくれ」


 ボーデン:「自分勝手だなー」

 ボーデン:「私が取り込まれても知りませんよ?」


 フレド:「どうせそれでも均衡は保たれる」

 フレド:「管理者を突き抜けないとな」


 ボーデンは笑顔で返事した。


 バランサーは、俺達三人の額に、順番に触れる。


 まずは俺からだ。

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