40話 不安の種



 レイセ:黒戸零維世。

     レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

     カーミュ・セーグルと融合した。

 ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。

 リビア:リビア・クロト。

     聖国クリアの元代表。

     レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

     ルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     現人神。

     レイセと結婚している。

 ジャド:『マギ』のエース。

     キシに次期纏め役に推されている。

     三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

      『能力』が使える。

      『リーベラティーオー』のリーダー。

 ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。

      ロミールの双子の妹。

      戦闘の指揮を行う。

 ジーク:聖国クリアの守護者。

     クレラメイと融合。

     真理への到達者。

 アリシア:『悠久の旅人』のエース。

      クリアの孫。

 クレタ:『クレイモア』のリーダーでエース。

     女性。

     黙っていればかなりの美人。

     技量が突き抜けている。

     感覚派。

     会話が通じない。

     間合いの取り方が独特。

     以前は好き勝手に動いていた。

 アニー:『クレイモア』でクレタの通訳。

     クレタの幼馴染。

     頭脳派。

     広報担当。

     可愛らしい感じ。

     全体のバランスを考えて動く。

 エレミ:『クレイモア』

     真面目。

     一番大変な役を引き受ける。

     きちんとした服装。

 ファンファン:『クレイモア』

        女性。

        不真面目。

        不意打ちを好む。

        動き易い服装。

 サブリク:『クレイモア』サブリーダー。

      男性。

      冴えない感じ。

      眼鏡。

      纏め役。

      常識人。

      エレミを補佐。

 ソフル:『クレイモア』

     中性。

     華やかな美人。

     無邪気。

     明るい。

     支援魔法で補佐。

 ミレーク:『クレイモア』

      女性。

      無難な暗い色の服を着る。

      後ろ向き。

      慎重。

      一定の距離を取って戦う。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ

      海洋国家ドバスカリ女王。

      黒沢香織。

      ファガスと結婚している。

      万能サポート。

 ファガス:海洋国家ドバスカリの王。

      黄山十夜。

 スーサル:スーサル・スベット。

      戦士長。

      職人肌。

 ダダン:ダダン・ダダン。

     スーサルの弟子。

     任務達成至上主義。

 ドレファ:ドレファ・ダーラン。

      スーサルの弟子。

      交渉上手。

 バルド:バルド・ゼード。

     『悠久の旅人』の代表代理。

     クリアの育ての親。

    


(レイセ視点です。)


 昨日は良い夜だった。


 バルドと飲んだのは久しぶりだった。


 対等に酒を飲む時が来るとは思っていなかった。


 山で生活していた時は、バルドの存在が全てだった。


 時の流れは恐ろしい。


 俺も努力して来たんだろうが、実感はあまりない。


 状況に合わせて必死で生きてきた結果が今だ。


 いつか昨日の夜を思い出して懐かしむ日が来るんだろう。


 このまま試練を乗り越える事が出来れば、だが。


 それにしても、ルプリレは管理者だった時の記憶を持ったままらしい。


 権限を放棄しても、記憶は残るのか?


 シロさんは記憶を封印されたと言っていたぞ。


 どうなっている?


 普通なら、ルプリレを疑う所だ。


 怪しい要素が多過ぎる。


 これまでも怪しかった。


 昨日の夜が決定的だ。


 なにかある。


 何かあるが、問いただす気になれない。


 聞いても無駄そう、って点を除いても、その気が起きない。


 ルプリレは味方だ。


 何故か確信がある。


 いつものひらめき。


 勘だ。


 問いただすと疑った事になってしまう。


 疑いを持つこと自体に問題が出てしまう気がする。


 これも勘だ。


 俺は運命に選ばれ、特殊な道を進もうとしている。


 魔物の王を倒し、アルコルの復讐を阻止する。


 世界を守る。


 そこで物語は完結か?


 何のためにそんな試練を与える?


 管理者は、神は、英雄が発生する過程を楽しみたいだけか?


 そこに隠された意図は?


 用意された試練は出揃っているのか?


 あと他に考えられる事態とは?


 …………。


 …………。


 ある可能性に気付いた。


 気付いたが、どうする事も出来ない。


 アレを使う時が来るかもな。


 どういう状況でアレを使うかは見えない。


 予感だけがある。


 だから今まで話題に出さなかった。


 乗り越えられない試練が訪れた時に俺に出来る事をする。


 その時、その選択は、正しいと言えるのか?


 黒巣壱白と同じ事になるんじゃないか?


 黒巣壱白は、希望を残した。


 あれ以外に彼に方法は有ったか?


 俺が試されている覚悟とは?


 はーあ。


 嫌になってきた。




 今日は午後から反省会だ。


 パパっと終わらして、明後日からの合同攻略の準備をする。


 大迷宮を四百五十階層まで攻略する。


 今回の攻略では、二チーム別々に進まない。


 最初から二チームが連携して進む。


 前回は四百階層まで攻略した。


 ここで一気に五十階層も奥に進む。


 大変そうだ。


 五百階層までまだまだあるしなー。


 気負っても仕方ない。


 リラックスだ。


 俺。


 力を抜いて、少しずつ前進する。


 そうすればいつか辿り着く。



 ファガス:「はーあ、ホッとするなー」


 執務室で紅茶を飲んでいる。


 執務室には俺とファガスとナナだけだ。


 ファガスが早く来た。


 俺も飲む。


 レイセ:「温かいのが沁みる」


 ファガス:「だなー」


 横でナナが笑った。


 俺達は若く見えるからなー。


 ギャップが面白いんだろうなー。


 ファガス:「何故早く来たか聞かないのか?」


 レイセ:「予想できる」

 レイセ:「お前が言い出さなかったら俺から頼むつもりだった」


 ファガス:「スーサルさんに話は通しておいた」


 レイセ:「お前がジークのマネをしないといけなくなるとはな」


 ファガス:「ほんとだぞ」

 ファガス:「ジークが盾で防いだ時に音が鳴らなくなったのって、いつからだ?」


 レイセ:「知らん」

 レイセ:「お前も出来るじゃん」


 ファガス:「できるが、全部は無理だぞ」

 ファガス:「あいつの集中力おかしいだろ」

 ファガス:「全方位に鍛えて来た事が、裏目に出たか?」


 レイセ:「全方位に熟せるようにしていたから、変更が出来るんだ」


 ルプリレとリアンナが執務室に入って来た。


 他も続いて室内に入る。


 バルドや、ドバスカリの全員が室内に。



 反省会を行った。


 俺と、バルド、ファガスの戦闘は一旦脇に置かれた。


 スーサル、ダダン、ドレファと、ジーク、ジャド、アリシアの三人の戦闘の話だ。


 三対三の実力は拮抗していた。


 拮抗していたが、実力には差が有った。


 スーサルは盾役が得意な訳じゃない。


 今回は無理してやっていた。


 ドバスカリ全体の布陣を攻撃寄りにするために、スーサルが盾役を引き受けた。


 ファガスが攻撃に参加するためにそうなっていた。


 次の合同攻略では、ファガスが盾役をやる。


『クレイモア』のクレタも盾役をやり始める。


 今必死で調整しているだろう。


 恐らく次の攻略は出てくる敵の数が多い。


 一人で何人も耐えて、敵を引き付ける事が必要だ。


 そもそも、魔物の王攻略は耐久戦だ。


 耐久戦に合わせた試練が迷宮から出される。


 次に、俺とファガスとバルドの戦闘だ。


 俺が怒られた。


 武器を使って全力を出せ、とよ。


 力加減が難しいんだよ。


 仲間を殺してしまうかもしれなかった。


 俺の身体能力はおかしな事になってきている。


 また、武器に成ったルプリレを全力で振れるか、不安だ。


 二人には根源に繋がるように強制した。


 そこは評価された。


 全体的に俺を肯定する感じじゃ無かった。


 俺の評価は辛口だ。


 ルプリレが厳しい。


 最近は特にだ。


 リアンナは笑っていた。


 そして、ルプリレとリアンナの動きの話だ。


 特にいう事は無いらしい。


 合同攻略が始まってから、リアンナの評価をするらしい。


 評価は保留だ。


 まー、反省会はそんな感じだ。


 反省会の後は、全員で食事して解散した。




 明日は『クレイモア』とドバスカリの合同攻略だ。


 朝からだ。


 荷物の準備は出来ていた。


 後は眠るだけ。


 だが、一向に寝付けない。


 何故か興奮しているらしい。


 レムリアス:『どうした?』

 レムリアス:『寝てしまえ』


 レイセ:『わかってるんだがなー』


 レムリアス:『罪悪感か?』


 レイセ:『そうだな』


 レムリアス:『あっさり認めるのか』

 レムリアス:『自覚があるんだな』

 レムリアス:『今までは目を逸らして来たのに』


 レイセ:『限界が近い』


 レムリアス:『相談しないのか?』

 レムリアス:『お前の得意技だろ』


 レイセ:『違う』

 レイセ:『どちらかと言えば、苦手な奴だ』

 レイセ:『皮肉言うなよ』

 レイセ:『アレを使うなら、相談出来ない』

 レイセ:『わかっているだろ?』


 レムリアス:『全ての手が封じられた時、お前は反則を選ぶ』

 レムリアス:『それを選んでいるのと同じ事だ』

 レムリアス:『クズだな』


 レイセ:『諦めて全員で死ぬか?』


 レムリアス:『矜持の問題だ』


 レイセ:『誰の?』


 レムリアス:『関係者全員のだ』


 俺一人が犠牲になるのを、仲間は許容しない。


 それなら全員で死ぬ。


 バカにすんな。


 って感じか。


 アレを使うと、恐らく改変が起き、みんなはそれを認識できない。


 レムリアスも解っている。


 考えが纏まらない。


 アレを残しておいたのは保険だ。


 見た瞬間、本来の使い方を皆から隠さないといけないと判断してしまった。


 嘘を付いた。


『ロストエンド』の話を聞いた後も、誰にも相談していない。


 保険のつもりなんだ。


 ただ、考えれば考えるほど、使う方に引き寄せられる気がする。


 ヤバい。


 眠れない。


 ルプリレ:「レイセ、起きてる?」


 隣のベッドからだ。


 ルプリレ:「明日は大変な一日になります」

 ルプリレ:「早く寝てしまって下さい」


 お前、まるで心が読めるみたいに。


 心が全部読めるなら、隠し事しなくて良い分楽なんじゃないか?


 そうなってしまうと、心の醜い部分も全部見られるのか?


 耐えられるかな?


 俺に羞恥心とか無いか。


 ルプリレ:「心配事?」


 レイセ:「まあ」


 ルプリレ:「あれ?」


 レイセ:「なんだよ」


 ルプリレ:「いつもはなんでも相談してきて、私に体重を預けて来るのに、珍しい」


 レイセ:「そうだな」


 ルプリレ:「自分で解決できそう?」


 レイセ:「わからんから悩んでるんだよ」


 ルプリレ:「ふふ、頑張って」


 レイセ:「考えるのが馬鹿らしくなってきた」

 レイセ:「イビキかいて寝るから、後で思い出して俺を責めるなよ?」


 ルプリレ:「それは保証できない、かな?」


 レイセ:「はーあ、寝る」


 ルプリレ:「ふふ」


 笑い事じゃないんだよなー。


 もういい。


 寝る。


 おやすみなさい。



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