39話 昔話


 レイセ:黒戸零維世。

     レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

     カーミュ・セーグルと融合した。

 ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。

 リビア:リビア・クロト。

     聖国クリアの元代表。

     レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

     ルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     現人神。

     レイセと結婚している。

 ジャド:『マギ』のエース。

     キシに次期纏め役に推されている。

     三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

      『能力』が使える。

      『リーベラティーオー』のリーダー。

 ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。

      ロミールの双子の妹。

      戦闘の指揮を行う。

 ジーク:聖国クリアの守護者。

     クレラメイと融合。

     真理への到達者。

 アリシア:『悠久の旅人』のエース。

      クリアの孫。

 クレタ:『クレイモア』のリーダーでエース。

     女性。

     黙っていればかなりの美人。

     技量が突き抜けている。

     感覚派。

     会話が通じない。

     間合いの取り方が独特。

     以前は好き勝手に動いていた。

 アニー:『クレイモア』でクレタの通訳。

      クレタの幼馴染。

      頭脳派。

      広報担当。

      可愛らしい感じ。

      全体のバランスを考えて動く。

 エレミ:『クレイモア』

      真面目。

      一番大変な役を引き受ける。

      きちんとした服装。

 ファンファン:『クレイモア』

        女性。

        不真面目。

        不意打ちを好む。

        動き易い服装。

 サブリク:『クレイモア』サブリーダー。

      男性。

      冴えない感じ。

      眼鏡。

      纏め役。

      常識人。

      エレミを補佐。

 ソフル:『クレイモア』

     中性。

     華やかな美人。

     無邪気。

     明るい。

     支援魔法で補佐。

 ミレーク:『クレイモア』

      女性。

      無難な暗い色の服を着る。

      後ろ向き。

      慎重。

      一定の距離を取って戦う。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ

      海洋国家ドバスカリ女王。

       黒沢香織。

      ファガスと結婚している。

      万能サポート。

 ファガス:海洋国家ドバスカリの王。

      黄山十夜。

 スーサル:スーサル・スベット。

      戦士長。

      職人肌。

 ダダン:ダダン・ダダン。

     スーサルの弟子。

      任務達成至上主義。

 ドレファ:ドレファ・ダーラン。

      スーサルの弟子。

      交渉上手。

 バルド:バルド・ゼード。

     『悠久の旅人』の代表代理。

     クリアの育ての親。

    


(レイセ視点です。)


 あー。


 寝たー。


 どの位寝たんだろ?


 スッキリしたわ。


 はー、起きよう。


 俺は起き上がった。


 執務室のソファーに寝かされていたみたいだ。


 俺にはタオルケットが掛けられていた。


 隣でルプリレが寝ている。


 彼女もソファーで寝ている。


 俺を待っていたのか?


 今何時だ?


 十六時三十七分。


 夕方。


 ルプリレを起こすか?


 安らかな寝顔だ。


 起こすのが勿体ないな。


 夕飯迄まだ時間がある。


 もう少し寝かせてやるか。


 みんなはどうしたんだろうか?


 反省会は?


 まあ、後で考えるか。


 ルプリレの寝顔がかわいい。


 今はその事を考える。


 しばらくルプリレの寝顔を見ていた。




 日が落ちた。


 ルプリレの顔が見えなくなってきた。


 暗い。


 仕方ない、明かりをつけるか。


 俺は室内の明かりを点灯させた。


 室内が明るくなる。


 明かりを付けた瞬間、ルプリレが反応した。


 彼女は上半身を起こした。


 目をこすっている。


 レイセ:「起きたか?」


 ルプリレ:「あれ?」


 レイセ:「俺につられて寝てしまったんじゃ無いか?」


 ルプリレ:「ホントだわ」

 ルプリレ:「あ、タオルケット」

 ルプリレ:「戻って来ました」


 俺は自分のタオルケットをルプリレにかけておいた。


 ルプリレ:「起こしてくれれば良かったのに」


 レイセ:「気持ちよさそうに寝られるとな」


 ルプリレ:「まあ、そうですね」


 レイセ:「夕飯はどうする?」


 ルプリレ:「貴方が起きたら反省会の筈だったんですが、どうします?」


 レイセ:「反省会は後日でいいだろ」

 レイセ:「食べたい物は?」


 ルプリレ:「自宅で食べるって事?」


 レイセ:「そうなる」


 ルプリレ:「じゃー、帰ろうか?」


 その瞬間、執務室の扉が、コンコンコンとノックされた。


 俺達二人はビクッと反応した。


 油断していた。


 この気配は知っている。


 バルドだ。


 残っていたらしい。


 レイセ:「入ってくれ」


 バルドが中のソファーに座る。


 バルド:「起きたらしいから様子を見に来たわい」


 レイセ:「は、俺の方が長く寝ていたのか」


 バルド:「起きたのはお前より後じゃ、待ってたのはルプリレの事じゃい」

 バルド:「お前は何時間寝顔みとるんじゃ」


 レイセ:「バラすなよ」


 ルプリレ:「レイセって何時に起きたの?」


 レイセ:「十六時半かな」


 ルプリレ:「二時間寝顔見てたの?」


 レイセ:「お前だって、俺の寝顔を何時間見たんだよ」


 バルド:「お熱い事で」

 バルド:「どっかで飯食うぞ」


 レイセ:「今日は外食しないぞ」


 ルプリレ:「そうなの?」


 レイセ:「お前、偶には家に来い」


 ルプリレ:「ああ、招待したいのですね」


 レイセ:「バルド、何が食べたい?」


 バルド:「肉」


 レイセ:「じゃー、ステーキな」


 ルプリレ:「ファガスはどうしたの?」


 バルド:「リアンナが連れて帰りおった」


 ルプリレ:「詮索しない方が良さそうね」


 バルド:「じゃわな」


 レイセ:「じゃー、帰るか」


 迷宮都市の拠点の執務室から、迷宮都市の私邸へ移動する。


 皆は大抵迷宮都市のホテルに住んでいる。


 私邸を建てているのは王位だ。





 帰ると、リビングで青年の管理者と少女の管理者がナナと談笑していた。


 管理者たちは紅茶を飲んでいる。


 随分楽しそうだ。


 ナナ:「お客様がお待ちです」


 レイセ:「みたいだな」


 バルド:「随分楽しそうじゃな」


 ナナ:「お客様は自分達が神だとおっしゃってまして」


 レイセ:「はー、それで?」


 ナナ:「私の日頃の行いが良いから、運命を選ばせてやる、とか」


 青年:「面白い試みだろ?」


 ルプリレ:「何と答えたんです?」


 ナナ:「迷ってしまいまして」


 少女:「彼女は答えなかった」

 少女:「褒められて喜んでいた」

 少女:「番がお薦め」


 ナナ:「恋人の事でしょうか?」


 レイセ:「そうだな」


 ナナ:「私、今で満足しております」


 青年:「お前は今以上が約束された、世界が滅ばなかったらな」


 レイセ:「その位にしといてくれ」


 ルプリレ:「ナナ、幸せになれるって」


 ナナ:「え?」

 ナナ:「どういうお客様で?」


 バルド:「正真正銘神様じゃい」


 ナナ:「ええ!?」


 レイセ:「あんたら、時々来るな」


 青年:「忘れられると困るんだよ」


 レイセ:「あんたらの存在が問題になるのは、魔物の王を倒した後だぞ」


 青年:「そうだな」


 レイセ:「一応、倒した後の物語の準備してるんだな」


 少女:「そうよ」


 レイセ:「俺と仲良くする、か」


 ルプリレ:「不味い事になってそう」


 青年:「まーな、俺は十分生きたから問題無いんだが、柱が減るのはマジで不味い」


 レイセ:「管理者は『能力』を選んで出せる」


 少女:「私は戦闘能力に割り振らなかった」


 青年:「俺はまだ選択していない」


 バランサー:「そこまでです」


 いつの間にかオヤジが来ていた。


 バルドもいるのにややこしいなー。


 青年と少女の『能力』の情報は貴重だ。


 アルコルは喉から手が出るほど欲しがるだろう。


 絶対に教えられない。


 まあいい。


 俺は今日、機嫌が良い。


 ルプリレがかわいい。


 なんか知らんがぶん殴られたが。


 そうだった。


 忘れていた。


 俺、ぶん殴られたんだった。


 なんで殴られたのか聞くつもりだった。


 でもまあ、忘れていたし、もういいか。


 ルプリレがかわいい。


 そういう話だった。


 バルドにルプリレがかわいい話するぞ。


 その前に、食事だ。


 ステーキを食べるんだった。


 ニンニクとビールがいいな。


 レイセ:「ナナ、食事の準備してくれ」

 レイセ:「ステーキが食べたい」

 レイセ:「ニンニクのやつ」

 レイセ:「畏まらない感じで全員分頼む」

 レイセ:「でかい肉頼む」


 ナナ:「承知しました、厨房に指示します」


 ルプリレ:「ニンニクかー」


 レイセ:「ダメだった?」


 ルプリレ:「いや、良い」

 ルプリレ:「食べたい」


 バルド:「酒飲んで待ってて良いか?」


 レイセ:「ああ、みんな自分で用意出来るか?」


 出来るらしい。


 全員、キンキンに冷えたビールを飲んでいる。




 皆はしばらく無言で飲んでいた。


 美味い。



 ステーキが来た。


 デカいのが来た。


 一枚で一キロ位ある。


 ビールに合う。



 皆、機嫌良さそうに食べていた。



 食事が終わって、皆で酒を飲んでいる。


 バランサーも残っていた。


 監視らしい。


 青年と少女が残っているしな。



 バルドが昔話を始めた。


 クリアの子ども時代。


 俺が井戸に落ちた時の話。


 俺は怖くなって、井戸が使えなくなったんだった。


 短い期間だけどな。


 井戸から出られなくて、数時間泣いて過ごしたんだった。


 あったわー。


 そんな事も。


 バルド:「お前は、ホントに」


 レイセ:「なんだバルド、どうした?」


 バルド:「お前は、わしにしないといけない質問が有るじゃろ?」


 レイセ:「特に無いが?」


 ルプリレ:「気付いてるのよね?」


 レイセ:「お前が元管理者で、プロミと昔からの知り合いとかか?」


 バルド:「…………」


 ルプリレ:「元管理者じゃ無いわ、プロミネンスの指示で貴方を育ててたのは合ってる」


 レイセ:「伏せておく理由が解らなかったからな」


 バルド:「お前に見込みがあると連絡した時まではわしのアドリブじゃぞ?」


 レイセ:「そうか、俺の両親が死んだのは偶然か」


 バランサー:「可能性の話、か」


 ルプリレ:「物語を面白くするために、貴方の存在が両親を殺したのかもね」


 レイセ:「神のみぞ知る、か」


 青年:「聞くなよ?」


 少女:「想像通り」


 青年:「言うなよ」


 少女:「バルドに育てさせるにはそれしか無かった」


 バランサー:「両親に町を移動する仕事を発注したんでしたね」


 少女:「クリアが助かるまで何度も試した」


 ルプリレ:「何度試しても、バルドが育てる事にならないのよねー」


 レイセ:「お前、管理者の時の記憶がどのくらいあるんだ?」


 ルプリレ:「内緒」


 レイセ:「俺はお前がかわいくて仕方が無い」


 ルプリレは嬉しそうだ。


 ニヤニヤしている。


 俺がかわいいと感じる何かを選んで出しているのか?


 今のところは運命に感謝してやるか。


 ルプリレがかわいい。


 生きる意味はそれで十分だな。


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