36話 バカンス
レイセ:黒戸零維世。
レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。
連合国クロトと聖国クリアの王。
カーミュ・セーグルと融合した。
ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。
リビア:リビア・クロト。
聖国クリアの元代表。
レイセと結婚している。
プロミ:プロミネンス。
ルビー・アグノス。
黒崎鏡華。
月と太陽の国アウグストラの女王。
現人神。
レイセと結婚している。
ジャド:『マギ』のエース。
キシに次期纏め役に推されている。
三番目の真理への到達者。
アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。
『能力』が使える。
『リーベラティーオー』のリーダー。
ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。
ロミールの双子の妹。
戦闘の指揮を行う。
ジーク:聖国クリアの守護者。
クレラメイと融合。
真理への到達者。
アリシア:『悠久の旅人』のエース。
クリアの孫。
クレタ:『クレイモア』のリーダーでエース。
女性。
黙っていればかなりの美人。
技量が突き抜けている。
感覚派。
会話が通じない。
間合いの取り方が独特。
以前は好き勝手に動いていた。
アニー:『クレイモア』でクレタの通訳。
クレタの幼馴染。
頭脳派。
広報担当。
可愛らしい感じ。
全体のバランスを考えて動く。
エレミ:『クレイモア』
真面目。
一番大変な役を引き受ける。
きちんとした服装。
ファンファン:『クレイモア』
女性。
不真面目。
不意打ちを好む。
動き易い服装。
サブリク:『クレイモア』サブリーダー。
男性。
冴えない感じ。
眼鏡。
纏め役。
常識人。
エレミを補佐。
ソフル:『クレイモア』
中性。
華やかな美人。
無邪気。
明るい。
支援魔法で補佐。
ミレーク:『クレイモア』
女性。
無難な暗い色の服を着る。
後ろ向き。
慎重。
一定の距離を取って戦う。
(レイセ視点です。)
俺は根源に繋がる事が出来る。
根源とは、この世の真理と等しい。
世界そのものだ。
直視すると、その大きさに心を持って行かれる。
発狂する。
普通は繋がれたとしても一瞬だけだ。
普通はな。
俺は違う。
長時間繋がる事が出来る。
俺は何故か例外だ。
おかしい。
なぜ俺は発狂しない?
根源に繋がっても意識の変化が無い。
カーミュが繋がっていたから、それを引き継いだ?
カーミュは一瞬繋がっただけだ。
長時間繋がれるようになったのは融合のあとだ。
要因はレイセだろう。
レイセには適性があった。
たぶん。
真理に到達し、それを直視し続ける。
そんなものに適性がある人間とは?
どういう人間に適性がある?
俺という人格のありようは?
今日は大迷宮攻略が休みだ。
替わりに冒険者ギルドに用がある。
冒険者ギルドの情報端末にアクセスし、データベースを更新しないといけない。
アクセスはどの端末からでもいい。
俺は海を見たかった。
俺はルプリレと、海洋国家ドバスカリの冒険者ギルドに訪れた。
海洋国家ドバスカリの冒険者ギルドに着いた。
まだ午前中だ。
データベースにアクセスし、更新を終えたら、また迷宮都市に戻る。
海を見るのはついでだ。
小一時間ほどのつもり。
のんびりすると、”怠惰”が出てしまう。
俺は冒険者ギルドの端末の水晶に触れた。
触れると俺の意識に反応し、データベースの情報が書き換わる。
以前と比べ、根源に長時間繋がることが出来る様になった。
データベースに大きな変化が有るかもしれない。
データベースの更新が終わった。
データベースの変更があったが、変更されたデータベースの情報量はそれ程でも無かった。
特に大きな変更は無かった。
ついでに俺は自分自身のステータスを確認した。
俺の”怠惰”の情報の後に、”克服”と表記されている。
”克服”とは?
調べると、デメリットが無くなっている様だ。
サボっても、無気力状態にならないらしい。
効果は永続的。
はー。
俺にとって都合の良い事実。
改変でもあったのか?
とにかく、やっと休める。
予定を変更する。
今日は海を眺めて過ごす。
海でダラダラしたい。
ドバスカリは海水浴に丁度良い気候だ。
魔物を避ける為の結界がある砂浜には、出店もある。
リクライニングとパラソルを貸し出している。
白い砂浜、青い海。
晴れた空。
快晴だ。
波の音が心地いい。
リクライニングに座って、海を眺める。
浮き輪に乗って浮かんでいるルプリレが見える。
日が沈む。
俺はうとうとしていた。
油断していた。
ルプリレは海から上がってきた。
ルプリレの隣に男が並んでいる。
スーツ姿の男性。
ルプリレの首に男の手刀が添えられている。
二人はゆっくりと俺の前まで歩いてきた。
ルプリレ:「ごめん、油断した」
レイセ:「油断は俺もだ、気にするな」
レイセ:「お前、名前は?」
???:「ケルスと申します」
ケルス:「以後、お見知り置きを」
レイセ:「以後、か」
ケルス:「少し試したい事があるんです」
レイセ:「俺に拒否権は無いんだろ?」
ケルス:「もう少し近づいてください」
俺はケルスに近づいた。
手が届く距離だ。
魔物の王の配下、ケルス。
ルプリレも名前しか知らなかった敵。
覇気が無い。
死んだ魚の様な目をした男。
何をするつもりだ?
ケルスの右手はルプリレの首に添えられたままだ。
ケルスは左手を俺に向けた。
ケルスの左手が伸び、俺の首を掴む。
ケルスの指が俺の首に突き刺さる。
奴は指から俺の体内に侵入しようとしている。
俺は抵抗できない。
ルプリレも動けない様だ。
ケルスに隙は無い。
お手上げだ。
俺は死ぬな。
ケルスは自分の体液を俺に流し込み、膨張させようとしている。
奴は俺の肉体を操作し、破裂させるつもりだ。
だが俺は落ち着いていた。
まだ話せる。
レイセ:「ルプリレ、自棄になるなよ?」
ルプリレ:「何か手があるの?」
レイセ:「物語はここで終わらない、続きがある」
ルプリレ:「信じるわよ」
ケルス:「確信があるのですか?」
レイセ:「試せばわかる、だろ?」
ケルスは不気味に微笑んだ。
俺は破裂した。
木っ端みじんだ。
肉片と、血液が吹き飛んだ。
俺は冷静だ。
霧に成った時と同じだ。
意識は肉体と同じように散らばった。
意識は拡散した。
だが意識は途絶えていない。
痛みは有る。
死ぬほど痛かった。
死にそうだ。
散らばった俺は、一か所に戻って来た。
散らばった俺の肉片は再構成される。
巻き戻しの様に肉体が再構成される。
再生した俺はケルスの前に立つ。
ケルス:「は、は、は、は、は、は」
レイセ:「その笑い方、魔物の王の分身か何かか?」
ケルス:「存在感にダメージを与えないと、殺せない」
ケルス:「我々と同じ」
ケルス:「完成間近ですね」
ケルス:「確認出来て良かった」
ケルス:「引き上げます」
ケルスは消えた。
空間に溶けて見えなくなった。
太陽の半分が水平線に隠れている。
隠れた半分の替わりに、残り半分を海面が映し出す。
レイセ:「まだ日は沈み切ってなかったか」
ルプリレ:「もう気分が切り替わったの?」
ルプリレ:「マイペースが過ぎます」
レイセ:「はは、少し肌寒くなってきたな」
ルプリレ:「水着ですからね」
ルプリレ:「何か羽織る?」
レイセ:「なにか温まる物が食べたいかも」
レイセ:「カップラーメン食べたい」
ルプリレ:「じゃ、私も」
俺はリクライニングに座って、備え付けの机に湯を注いだカップラーメンを置いた。
二つ。
ルプリレが隣のリクライニングを倒して寝そべる。
レイセ:「根源に繋がって、発狂しない理由がわかったぞ」
ルプリレ:「へー」
レイセ:「反応が薄いなー」
ルプリレ:「だって共感できないでしょ?」
レイセ:「それは知らんけど」
レイセ:「日常生活の過ごし方だからな、意識の問題だわ」
ルプリレ:「一応聞いてやるか」
ルプリレ:「説明してください」
レイセ:「その前に三分経った、カップ麺が出来た」
レイセ:「食べてから話す」
二人で麺をすする。
シーフード味。
海だし。
いつ食べても美味いな。
食べ終わってから、もう一度話し出した。
レイセ:「テレビのニュースで慣れるんだろうなー」
ルプリレ:「え?」
ルプリレ:「何の話?」
レイセ:「根源の話」
ルプリレ:「話戻ったんだ」
ルプリレ:「ニュース?」
レイセ:「世界の大きさ、だからな」
レイセ:「ニュースだ」
レイセ:「自分に入って来る情報を正しく世界に起こっている事実と認識するんだ」
レイセ:「自分に関係ない情報として切り離さないでな」
レイセ:「全部自分の世界の話だ」
レイセ:「無関係じゃない」
レイセ:「世界に起こるすべての悲劇も、全て実際に起こっている事実だ」
レイセ:「俺は、どこかで無関係じゃ無いと判断していたんだろう」
レイセ:「だから世界の大きさに驚かない」
ルプリレ:「理解は出来るけど、ホントに?」
レイセ:「たぶんな」
ルプリレ:「疲れそう」
レイセ:「まあ、な」
レイセ:「世界は俺を主人公に選んだんだろうな」
ルプリレ:「違うかもよ」
レイセ:「違っても、大役を任されている、だろ?」
ルプリレ:「それはそうかも」
レイセ:「嫌な役回りだ」
ルプリレ:「今更でしょ」
レイセ:「今回はヤバかった」
レイセ:「絶望仕掛けた」
ルプリレ:「なんで?」
レイセ:「お前が人質だぞ」
レイセ:「敵の狙いが俺じゃ無かったら、勝負を投げていた」
レイセ:「俺はこの先、永遠を生きるとして、お前がいないとな」
ルプリレ:「貴方の幸せの話?」
レイセ:「まーそうだ」
レイセ:「俺は自分を投げ出しても、お前に幸せでいて欲しいと思った」
レイセ:「俺の最優先事項を実感した」
レイセ:「今回のケルスの行動でな」
ルプリレ:「正解に近づいてるけど、未完成って気がします」
レイセ:「なんだよ、完成とかあるのか?」
ルプリレ:「まだ、覚悟が足りて無いな、って」
レイセ:「どこがだよ」
ルプリレ:「内緒」
長い間二人で海を眺めた。
日が完全に沈んでいた。
月が出ていた。
海に月が映っていた。
夜の海も美しい。
俺達は海の見えるレストランに移動した。
夜の海を眺めながら夕飯を食べた。
良い夜だ。
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