34話 クレイモア


 レイセ:黒戸零維世。

     レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

     カーミュ・セーグルと融合した。

 ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。

 リビア:リビア・クロト。

     聖国クリアの元代表。

     レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

     ルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     現人神。

     レイセと結婚している。

 ジャド:『マギ』のエース。

     キシに次期纏め役に推されている。

     三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

      『能力』が使える。

      『リーベラティーオー』のリーダー。

 ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。

      ロミールの双子の妹。

      戦闘の指揮を行う。

 ジーク:聖国クリアの守護者。

     クレラメイと融合。

     真理への到達者。

 アリシア:『悠久の旅人』のエース。

      クリアの孫。





(レイセ視点です。)


 前にも話した通り、次の攻略は四百五十階層まで。


 海洋国家ドバスカリの連中と、チーム『クレイモア』との合同だ。



『クレイモア』は武闘国家メロイリスで活動しているチームだ。


 メロイリスがコイン集めで『フィナリスラーウム』と協力を決めた時点で仲間に成った。


 思想は『リーベラティーオー』より『フィナリスラーウム』寄りだ。


 だと思う。


 俺には自信が無い。


『クレイモア』のチームリーダー、クレタが決めた事らしい。


 クレタが何を考えているかわからない。


 俺以上の感覚派だ。


 通訳のアニーがいないと会話が成立しない。


 纏め役のサブリクは苦労している。


 クレタの考えが皆はわからない。


 俺もわからない。


 だが結果を出す。


 実力は飛び抜けている。


 引率役に誘いたいのが本音だ。


 しかし誘えない。


 アニーという通訳がいないとダメだからだ。


 連携出来ない。


 アルコルも大概なんだが、アイツは仕方が無いからな。


『クレイモア』は連携が苦手だ。


『トゥエルブ』と『トパーズ』みたいに仲が悪いとかじゃない。


 クレタが自由過ぎる。


 合同で攻略出来るレベルになったか、俺と試合をして実力を見る事になった。


 ダンジョン百階層を攻略出来たチームだ。


 なんとかするだろうと楽観視している。


 試合の立ち合いは引率役だ。


 アルコル、ルプリレ、ジャド、ジーク、アリシア、ぺセシュだ。




 迷宮都市の近くの森に、引率役達と『クレイモア』が集まった。


 今回の戦闘は森でやる。


 障害物ありの状況で実力を見る。


『クレイモア』は十四人のチームだが、今回戦闘に参加するのは七人だ。


 クレタ。


 アニー。


 エレミ。


 ファンファン。


 サブリク。


 ソフル。


 ミレーク。


 七人。


 クレタがリーダーでエース。


 サブリクがサブリーダーで纏め役。


 レイセ:「サブリク」

 レイセ:「打ち合わせ出来たか?」


 サブリク:「まあ、一応」


 レイセ:「一応じゃ困るんだが」


 サブリク:「事情、わかってるでしょ?」


 レイセ:「ああ、そうだな」

 レイセ:「クレタ、大丈夫か?」


 クレタ:「アニーと上手く連携したい」


 アニー:「うん」


 レイセ:「アニー、解説頼む」


 アニー:「自信無いから、出来る所から頑張るって」


 レイセ:「サブリク、頑張れ」


 ルプリレ:「なんか腹立つ」


 アルコル:「ああ」


 ジャド:「確かに」


 ジーク:「僕は慣れましたよ」


 アリシア:「慣れたらダメでしょ」


 レイセ:「?」


 サブリク:「はは、今のはわかり易かったかな?」


 エレミ:「クレタには、省略して話さない様に言ってるんだが」


 ファンファン:「私は無駄だって言ってるのに」


 ミレーク:「人は簡単に変わらない」


 ソフル:「効果出てると思うわよ?」


 エレミ:「だよな?」


 ソフル:「ですです」


 サブリク:「こんな感じでーす」


 アニー:「クレタ、一言お願い」


 クレタ:「レイセの手料理が食べたい」


 レイセ:「アニー」


 アニー:「レイセとの試合で連携できるところを示し、四百五十階層攻略を完了する」

 アニー:「攻略のあかつきには、レイセの手料理が食べたい」

 アニー:「何の手料理かは、レイセが決めて良いらしい」


 レイセ:「クレタ、合ってるか?」


 クレタは頷いた。


 省略したなー。


 アニーはテレパシー使えるんじゃ無いか?


 レイセ:「わかった、なんか美味いの振る舞ってやる」


 クレタは嬉しそうに微笑んだ。


 クレタはいつも無表情だ。


 嬉しそうなのは珍しい。


『クレイモア』のメンバー全員が、微笑むクレタを見て嬉しそうだ。


 このチーム、仲は良いんだよな。


 クレタのコミュニケーションが不器用なだけで。


 レイセ:「引率役は離れた所に移動してくれ」

 レイセ:「はじめるぞ」


 ルプリレ:「了解」


 引率役は少し離れた山の上に瞬間移動した。


 引率役は望遠鏡の様な魔道具で目視する。


 俺は剣魔のバスタードソードを具現化した。


 エレミとサブリクがそのままの位置。


 他は瞬間移動して消えた。


 は。


 俺の相手が二人で足りると?


 連携はどうした?


 はーあ。


 真面目にやっているのか?


 エレミが大剣を振り上げた。


 エレミは全力の振り下ろし。


 大剣が強く輝いて、長く伸びている。


 これは、受けてはダメだな。


 消えた奴等が同時に出て来て、サブリクと同時に攻撃して来る。


 見え見えだ。


 俺はサブリクの真後ろに瞬間移動した。


 エレミの大剣が俺のいた場所に振り下ろされた。


 俺はサブリクをハイキック。


 サブリクは振り返って両手で受けた。


 サブリクの受けは不完全だ。


 衝撃で地面を滑っていく。


 エレミは振り返って大盾を出した。


 エレミは注視を使う。


 俺は注視と同時に空間を展開。


 黄金の領域が瞬時に広がる。


 注視が来たタイミングで、ファンファンがメイスを振り下ろす。


 注視のタイミングで瞬間移動して来たらしい。


 俺はメイスの振り下ろしを視認せずに横に躱す。


 ファンファンはまた瞬間移動して消えた。


 躱した先に、クレタがカタナを横に払う。


 クレタが瞬間移動してきた。


 俺はバスタードソードを右手に持ち、クレタの払いを上に逸らす。


 エレミが槍で突いてきた。


 俺は左手に盾を出して前の突きを防ぐ。


 矢が飛んでくる。


 三射。


 ミレークが放ったんだろう。


 彼女は慎重だ。


 撃ち終わったと同時に瞬間移動して消えた。


 領域を再度展開。


 左の盾を消して、左手で矢を掴む。


 視線はエレミに固定されている。


 矢とクレタを目視出来ない。


 矢を見ずに掴んだ。


 クレタが距離を詰めてきた。


 クレタの拳が俺の腹に減り込む。


 躱せなかった。


 鋭い軌道で内側に切り込んで来た。


 目視出来ていない。


 俺は右手のバスタードソードを手放した。


 全力の打ち込みか?


 軽い、軽い。


 俺はクレタに殴り返した。


 腹に入れて、エレミに向かって振り抜いた。


 クレタはエレミに向かって吹き飛んだ。


 クレタはエレミにぶつかる直前に瞬間移動して消えた。


 ソフルがいつの間にかエレミの隣に立っていた。


 エレミに支援魔法を使っているようだ。


 エレミが邪魔だな。


 そろそろサブリクが戻って来る。


 その前にエレミを退場させる。


 エレミとの距離は六メートル。


 大きく踏み込んだと同時に瞬間移動。


 エレミに向かって右拳を放った。


 エレミが大盾で防御。


 ソフルがエレミを支える。


 俺の拳が大盾に振れるタイミングで、アニーとクレタが攻撃。


 二人が瞬間移動して出てきた。


 俺の左側がアニー。


 俺の右側がクレタ。


 俺は根源から力を引き出せるだけ引き出した。


 一度に引き出せる量には限界が有るが、俺の限界付近まで引き出した。


 エレミとソフルが吹き飛んだ。


 バン!


 と遅れて音がする。


 俺は左手でアニーの槍を掴む。


 俺の右側はがら空きだ。


 クレタはダガーで俺を切りつけた。


 俺は腹を切り裂かれた。


 俺は再生を試みると同時に、左足に体重を移し、右足でクレタを蹴り上げる。


 クレタは結界と両手で防御。


 結界は割れ、クレタは両腕を負傷。


 クレタは吹き飛ばない。


 クレタはその場に留まるが、しばらく動けない。


 俺はアニーに視線を向ける。


 エレミの注視は解除されている。


 左手に握った槍を引き寄せる。


 アニーの体勢が崩れる。


 俺は大きく一歩踏み込んで、右拳をアニーへ。


 アニーへの攻撃を、瞬間移動して出てきたサブリクが受け止める。


 サブリクは盾で防御したが、また吹き飛んだ。


 アニーは槍を手放し、ハンマーを右から左へ。


 俺は大盾を具現化し、両手で踏ん張った。


 俺は踏ん張ったと同時に空間を展開。


 黄金の領域が広がる。


 踏ん張ったと同時にファンファンが出現し、メイスを振り下ろす。


 俺は首を捻ってメイスを躱す。


 その不意打ちはタイミングが読めている。


 何度やっても同じだ。


 出直せ。


 俺は盾から左手を放し、俺の左上方に出現したファンファンを左拳で突き上げた。


 ファンファンは両手でガードしたが、そのまま上方に吹き飛ぶ。


 ファンファンが吹き飛んだタイミングで、俺の首にカタナが迫る。


 クレタだ。


 回復が思ったより速い。


 油断した。



 俺はカタナを掴もうと、右手を動かそうとした。


 ルプリレが出現。


 俺の右手と、クレタのカタナを掴んで止めた。


 ルプリレ:「終了です」


 レイセ:「判定は?」


 ルプリレ:「解ってるわよね?」


 チッ。


 俺の負けだ。



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