26話 共通点




 レイセ:黒戸零維世。

    レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

    連合国クロトと聖国クリアの王。

    カーミュ・セーグルと融合した。

 ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。

 リビア:リビア・クロト。

    聖国クリアの元代表。

    レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

    ルビー・アグノス。

    黒崎鏡華。

    月と太陽の国アウグストラの女王。

    現人神。

    レイセと結婚している。

 ジャド:『マギ』のエース。

    キシに次期纏め役に推されている。

    三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

     『能力』が使える。

     『リーベラティーオー』のリーダー。

 ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。

     ロミールの双子の妹。

     戦闘の指揮を行う。

 アスマ:神木遊遊間。

    『トウェルブ』のサブリーダー。

    カーミュとは兄弟。

    チームの纏め役。

 ローク:『トパーズ』のリーダー。

    樹原鈴生。

    『リーベラティーオー』のメンバー。

 ジーク:聖国クリアの守護者。

    クレラメイと融合。

    真理への到達者。

 アリシア:『悠久の旅人』のエース。

     クリアの孫。

 マリブ:『トパーズ』所属。

    佐々木昭三。

    現世で洋食屋をやっている。

    人気店。

    頑固な性格。




(ジャド視点です。)


 執務室に全員揃った。


 僕、レイセさん、アルコルさん、ルプリレさん、ぺセシュさん、ジークさん、アリシアさん、アスマさん、ロークさんの合計九人。


 人数が多いが、これでも厳選している。


 ルプリレ:「引率役を増やす事にしたんです」

 ルプリレ:「ぺセシュは前に連絡したけど、今回からジークとアリシアが加わるわ」


 ローク:「承知した」


 アスマ:「わかった」


 ルプリレ:「本題に入る」


 アスマ:「なんだ?」

 アスマ:「改まって」


 レイセ:「ルプリレ、俺が言う」

 レイセ:「お前ら『トゥエルブ』と『トパーズ』って仲悪いよな」


 ローク:「なんの話だ?」


 アスマ:「?」


 ジャド:「連携に支障をきたす恐れがあります」


 ジーク:「同意見です」


 アスマ:「そこまで仲悪くねーよ」


 ローク:「会話が弾まないだけだ」

 ローク:「尊重する意思はある」

 ローク:「問題ない」


 アルコル:「嘘を付くな」

 アルコル:「イライラする」

 アルコル:「切り殺すぞ」


 アスマ:「…………」


 ローク:「…………」


 レイセ:「まあいい」

 レイセ:「仲が悪い時の対処法がある」

 レイセ:「ぺセシュが考えた」


 ぺセシュ:「私が説明しようか?」


 レイセ:「そうだな」

 レイセ:「戦闘指揮はお前の役割になったからな」

 レイセ:「頼む」


 ぺセシュ:「要は、連携に支障をきたさなければいい」

 ぺセシュ:「この話し合いで互いの役割をきっちり詰めておいてもらう」

 ぺセシュ:「そしてその通りに行動出来る様に徹底しろ」

 ぺセシュ:「それともう一つ」

 ぺセシュ:「私はお互いの悪口を推奨する」

 ぺセシュ:「手が出なけりゃ、何言ってもOKだ」

 ぺセシュ:「その方が溜め込まない分上手く行く」

 ぺセシュ:「言いたい事はわかったか?」


 ローク:「言いたい事はわかった」


 アスマ:「同じく」


 アルコル:「本当にわかったのか?」


 ローク:「ああ、遠慮しなければいい」


 アスマ:「そうだな」


 ローク:「前から言いたかった事を言う」

 ローク:「たぶん言っても通じないがな」

 ローク:「『トゥエルブ』は年長者をきちんと敬え」


 アスマ:「なら実力を示せ」

 アスマ:「まだ足りていない」


 ローク:「実力は関係無い筈だ」


 アスマ:「実力が無けりゃ、歳を重ねていても意味が無い」


 ローク:「それが若い証拠だ」


 アスマ:「契約解除派が言うなよ」


 ローク:「長く生きる事の意味がわかっていない」


 ぺセシュ:「本音が聞けて嬉しいよ」


 レイセ:「なるほどな」


 ジーク:「根の深そうな原因です」


 アリシア:「『トパーズ』が弱いって事はないからね」


 ローク:「強い弱いは関係ない」


 アスマ:「説得力に関係するぞ」


 ルプリレ:「説得力を相手に求めないでよね」

 ルプリレ:「自分で判断しないと」


 レイセ:「たぶん最年長のお前が参加すると話が拗れる」

 レイセ:「自重してくれ」


 アルコル:「面白い話題なのに止めるなよ」


 ぺセシュ:「同感」


 ジーク:「確かに実績だけで判断されると困るなー」


 アスマ:「実績以外で判断するのはおかしいだろ」


 ローク:「人生経験の豊富さも実績だ」


 アスマ:「戦闘とは関係ない」


 ルプリレ:「むず痒い会話」


 ぺセシュ:「どうせその話題に結論は出ない」

 ぺセシュ:「先に役割を決めておく」

 ぺセシュ:「話したい事があるなら、その後にどうぞ」

 ぺセシュ:「面白くなってきた」


 ぺセシュさんを中心に、連携方法が話合われた。


 僕、レイセさん、アルコルさんと『トゥエルブ』十一人とで、合計十四人が攻撃役。


 ジークさん、アリシアさんと『トパーズ』七人の合計九人が盾役。


 ぺセシュさんは指揮だ。


 ジークさん、アリシアさんペアはぺセシュさんの護衛。


 ルプリレさんは補佐。


 その他の細かい役割分担を決めて行く。


 ロークさんとアスマさんは直接会話しない。


 ぺセシュさんが間に入っている。


 意外と会話はスムーズに進んだ。




 話し合いは三時間ほどかかった。


 時刻は午後四時頃。


 話が一段落した所で、ナナさんが紅茶を持ってきてくれた。


 お菓子はチーズケーキ。


 九人でお茶を飲む。


 チーズケーキは一人二個ある。


 ロークさんが一口食べた。


 アスマさんも一口。


 二人は何か言いたそうだ。


 そう見えた。


 実は、僕にも言いたい事がある。


 たぶん同じ意見だ。


 同じような顔をしているのは僕だけじゃない。


 代表してルプリレさんが話す。


 ルプリレ:「ナナ、二杯目はレモンティーに出来る?」


 ナナ:「できます」

 ナナ:「承知しました」


 ナナは微笑んでいる。

 意味が解るらしい。


 レイセ:「マリブさんのランチのチーズケーキにはレモンティーが出されていたな」

 レイセ:「あれは旨い」

 レイセ:「良い組み合わせだった」


 ローク:「同感」


 アスマ:「確かに」


 ローク:「味覚には問題が無さそうだ」


 アスマ:「まーな」


 レイセ:「夕飯はマリブさんの店で食べるか?」

 レイセ:「この九人でだぞ」


 ぺセシュ:「あそこは旨いからなー」

 ぺセシュ:「今から予約出来るか?」


 ローク:「聞いてみる」


 ロークさんはマリブさんに連絡している。


 大人数用の部屋が一部屋空いていたらしい。


 アリシア:「マリブさんとこかー」

 アリシア:「何食べようかなー」


 レイセ:「セットのやつは?」

 レイセ:「アレ一択だろ」


 アリシア:「ボリュームがね」

 アリシア:「太る」


 ぺセシュ:「確かに」


 レイセ:「ルプリレ、言われているぞ」


 ルプリレ:「太りません」

 ルプリレ:「セットを食べます」


 ジャド:「今日は好きな物食べましょうか?」


 ジーク:「ですねー」


 アルコル:「俺も行くのか?」


 レイセ:「不満か?」


 アルコル:「いや、マリブの店に興味が有る」


 ローク:「旨いですよ?」


 アルコル:「ああ」


 話題を提供するか。


 ジャド:「セットは、エビフライ、ハンバーグ、カニクリームコロッケ、牛肉コロッケの中から三つ選択ですけど、何を選びます?」


 アスマ:「ああ、その問題があった」


 レイセ:「俺はいつもカニクリームコロッケと牛肉コロッケで悩むんだ」


 ルプリレ:「レイセは三対一くらいの頻度でカニクリームコロッケよね」


 アスマ:「俺はカニクリームコロッケと牛肉コロッケなら、牛肉コロッケだわ」

 アスマ:「カニクリームコロッケは選ばない」


 ローク:「同じく」


 ぺセシュ:「味覚が合うなら、話も合うかもな」


 ローク:「それとこれとは話が別だ」


 アスマ:「だぜ」


 ジーク:「気が合うのか合わないのか」


 ジャド:「丸く収まって欲しいものです」


 付け合わせにポテトサラダ。


 ゆで卵が沢山入っている。


 マヨネーズが手作りだ。


 レタス、トマト、キュウリのサラダも別で付いている。


 シャキシャキ。


 トマトは甘い。


 手作りのドレッシングが旨い。


 パンとライスが選べる。


 お代わり自由。


 スープはコーンポタージュか、ジャガイモのポタージュ。


 あったまる。


 どっちも旨味が凄い。


 この世界のエビは大きい。


 エビフライはデカい、詰まっている。


 二匹。


 サクサク。


 タルタルソースがかかっている。


 ハンバーグも大きくて、切ると肉汁が凄い。


 そしてめちゃくちゃ柔らかい。


 トロトロのハンバーグだ。


 カニクリームコロッケも、牛肉コロッケも大きい。


 カニクリームコロッケはクリームの味が濃い。


 カニの旨味も感じる。


 牛肉コロッケはジャガイモが甘い。


 潰してあるのにホクホクだ。


 中に入っているゆで卵が良い感じだ。


 黄身のコクと白身の触感。


 どれもとにかく旨い。


 間違いない味。


 ボリュームが凄いから女性が気にするのがわかる。


 でも抗えない。


 僕もセットを頼む。




 この後、僕らは予定通りマリブさんの店で食事をした。


 結論から言うと、ロークさんとアスマさんは相変わらずだった。


 表に出ている態度は。


 内面は変化してそうだ。


 思っている事をぶつけるのは大事らしい。


 結果が解っていてもだ。


 味覚が一致したのも大きいかもしれない。


 話が通じると分かった。


 同じものを食べ、同じように美味しいと感じる。


 同じものを見て、同じ事を感じる。


 重要らしい。


 魔物の王を倒せたとして、その後は?


 南半球の攻略の先は?


 本当に戦争になるのか?


 僕は?


 アルコルさんは?


 いずれ戦いになると分かっているのに、仲が悪い事は悪い事か?


 良い事か?


 仲間と談笑しながら、そんな事を考えた。


 ぶつかることが必要なのは、僕かもしれない。


 アルコルさんかもしれない。


 僕達は、問題を先に延ばしているだけだ。


 魔物の王を倒したあとの話を、どう考えているか、レイセさんに話しておいた方が良いだろう。


 僕らの契約解除に対する意思は固い。


 同時に、アルコルさんを推している。


 ロークさんの態度を見ればわかる。


 汚れ役を引き受ける覚悟がある。


 間違った覚悟かも。


 だが、僕に引き留める気持ちは無い。


 物語の主人公は、この問題にどう対応するつもりか?


 食事から帰る途中、レイセさんの横顔を見ながら考えた。



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