23話 見解の相違




 レイセ:黒戸零維世。

    レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

    連合国クロトと聖国クリアの王。

    カーミュ・セーグルと融合した。

 ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。

 リビア:リビア・クロト。

    聖国クリアの元代表。

    レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

    ルビー・アグノス。

    黒崎鏡華。

    月と太陽の国アウグストラの女王。

    現人神。

    レイセと結婚している。

 ジャド:『マギ』のエース。

    キシに次期纏め役に推されている。

    三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

     『能力』が使える。

     『リーベラティーオー』のリーダー。

 ぺセシュ:『創聖』のヒーラー。

     ロミールの双子の妹。

     戦闘の指揮を行う。

 アスマ:神木遊間。

    『トウェルブ』のサブリーダー。

    カーミュとは兄弟。

    チームの纏め役。

 ローク:『トパーズ』のリーダー。

    『リーベラティーオー』のメンバー。




(レイセ視点です。)


 前回の攻略が終わって、次の攻略まで時間が有る。


 三日余裕が出来た。


 次の攻略は、『トウェルブ』と『トパーズ』で行う。


 四百階層が目標。


 その次は、『ドバスカリ』と『クレイモア』。


 四百五十階層が目標。


 更にその次は、『ネストロス』と『アウグストラ』。


 四百八十階層が目標。


 更に更にその次は、『光の旋律』と『連合国クロト』。


 五百階層が目標。


 五百階層がひとまずの全体の目標だ。


『ドバスカリ』と『クレイモア』の負担が大きい。


 担当する階層が多い。


 この二チームの時は、俺達代表五人も攻略に加わる。


 一人増えたって?


 後で話す。


『狂奔』からの情報だと、百階層ずつの区切りで、階層の厳しさが上がるらしい。


 それでこの分担になった。


 次の四百階層までの回は、困難な攻略になるだろうという予想だ。




 今日は俺の執務室で打ち合わせを行う。


 増えた一人の話。


 まー、ぺセシュだ。



 魔物の王の城の攻略時に、自分が指揮を執りたいらしい。


 他の誰かに従うのが窮屈らしい。


 本人から名乗り出た。


 こいつ、やたらとルプリレを気にするんだよな。


 わかる。


 わかるよ。


 知らず知らずのうちに、空気読んでしまって、気付いたら動かされているよな。


 俺も同じだわ。


 犠牲者がまた一人。


 って、言葉に出したら怒られるんだろうなー。


 まあ、いい。


 本題に移ろう。




 打ち合わせが始まろうとしている。


 みんな今日は静かだ。


 ナナが淹れてくれた飲み物にも手が付いていない。


 俺だけ味わって飲んでいる。


 勿体ないからな。


 最初に話し始めたのは、ぺセシュだった?


 ぺセシュ:「あれからどうなったんだ?」

 ぺセシュ:「よく無事に帰って来られたな」

 ぺセシュ:「どうやって切り抜けたんだ?」

 ぺセシュ:「何故説明が無い?」


 アルコル:「アレを倒したと言ったら信じるか?」


 ぺセシュ:「?」

 ぺセシュ:「なんの話だ?」


 ルプリレ:「アレはレイセが倒したわ」

 ルプリレ:「倒して普通に戻って来たのよ」


 ぺセシュ:「は?」

 ぺセシュ:「倒した?」

 ぺセシュ:「本気で言っているのか?」


 ジャド:「本気です」

 ジャド:「実際にその場に居た僕も信じられません」

 ジャド:「その反応が返って来るのが予想出来たので、説明出来ませんでした」


 レイセ:「まー、あれだ、実際やってみたらどうにかなった」


 アルコル:「嘘付け」

 アルコル:「お前、本気を出したら弱かったって言っていただろ」


 レイセ:「まー、言った、か」


 ぺセシュ:「…………」


 レイセ:「全力でぶん回せる武器が無いと無理だぞ」


 ルプリレ:「それ、当たり前だからね」


 ぺセシュ:「魔物の王と比べて、あいつの強さはどうだったんだ?」


 アルコル:「魔物の王だな」


 レイセ:「そうだな」


 ジャド:「まあ、そうでしょうね」


 ぺセシュ:「当り前みたいに言うな」

 ぺセシュ:「アレより上なんかもう想像できないぞ」


 ルプリレ:「貴方、今回から引率に加わりたいのよね?」


 ぺセシュ:「え?」

 ぺセシュ:「そうだけど、何の確認だ」

 ぺセシュ:「嫌な予感がする」


 ルプリレ:「今回出たのは、死神、という大迷宮の敵よ」

 ルプリレ:「階層主を倒してから、同じ階層に長くいれば出て来る」

 ルプリレ:「今回に限った話じゃ無いわ」

 ルプリレ:「次は、アルコルにも挑戦してもらう」


 ぺセシュ:「は?」


 アルコル:「なに?」


 ルプリレ:「貴方も本気出して無いでしょ?」


 アルコル:「面倒だ」


 ルプリレ:「逃げるの?」


 アルコルは舌打ちした。


 ぺセシュ:「参ったな」

 ぺセシュ:「どういうレベルなんだか」


 ジャド:「お互い、頑張りましょう」


 レイセ:「その話はもう良いだろ」


 ルプリレ:「そうね」


 ジャド:「『トウェルブ』と『トパーズ』ですね」


 ぺセシュ:「その前に、聞きたい事がある」


 ルプリレ:「言ってみて」


 ぺセシュ:「ニーナとアリアの扱いはあのままか?」


 ルプリレ:「当日は、全力で歌わせる」


 ぺセシュ:「そうだろうなー」

 ぺセシュ:「只の確認だ」


 ジャド:「納得頂けたのなら、話を戻します」

 ジャド:「『トウェルブ』と『トパーズ』です」


 ぺセシュ:「なんで今日はアスマとロークを呼んで無いんだ?」


 レイセ:「それは……」


 アルコル:「…………」


 ジャド:「僕が言います」

 ジャド:「この二チーム、仲が悪いです」


 ぺセシュ:「知ってるけど、そんな理由?」


 ルプリレ:「いや、大問題よ」


 ぺセシュ:「どこが?」


 ルプリレ:「話が纏まらないでしょ」


 ぺセシュ:「そうか?」


 ルプリレ:「そうよ」


 ジャド:「ルプリレさんが一喝すれば済む話だと、僕も思います」


 アルコル:「『リーベラティーオー』のチームの中で特にこのチームに警戒しているんだろう?」

 アルコル:「俺でもそうする」


 ぺセシュ:「なるほど」


 ジャド:「攻略後の話か」


 アルコル:「この五年間、同じように訓練してきた」

 アルコル:「何か手を打ったか?」


 ルプリレ:「私は何も聞いて無いわ」

 ルプリレ:「レイセは策が有ると言っていたけどね」


 レイセ:「辞めた」

 レイセ:「策は考えていたが、使わない事に決めた」

 レイセ:「その方が誠実だ」


 ジャド:「誠実、ですか?」

 ジャド:「貴方は汚い手を使わない」

 ジャド:「どんな手を考えていたんです?」


 レイセ:「俺が管理者になったら、契約解除をしたい者にさせる」

 レイセ:「キシと同じ事を言う」

 レイセ:「そのつもりだった」


 ジャド:「で?」

 ジャド:「辞めるのですね?」

 ジャド:「その発言を」


 レイセ:「そうだ」

 レイセ:「いよいよしんどくなって来ても、俺は契約解除を勧めない」

 レイセ:「俺は、後一年頑張れと言う」

 レイセ:「言い続ける」

 レイセ:「諦めるなと言い続けたい」


 アルコル:「バカだな」


 レイセ:「俺もしんどくなるだろう」

 レイセ:「永遠なんて、気が遠くなる」

 レイセ:「でも、粘れと言い続けるのが仲間だ」


 アルコル:「苦しむだけだぞ」


 ジャド:「終わりが無いのは、希望が無いように感じるんです」


 ルプリレ:「死んでも救われ無いわよ?」

 ルプリレ:「たぶんですけど」


 アルコル:「俺だって目的を達成するまでは死なない」


 ぺセシュ:「見解の相違だな」

 ぺセシュ:「私からすれば、難しく考え過ぎだ」

 ぺセシュ:「明日も美味しいものが食べられたら、それでいいじゃ無いか?」


 レイセ:「そうだな」


 ルプリレ:「仲良くなれそうね」


 ぺセシュ:「だろ?」

 ぺセシュ:「で?」


 ジャド:「そうですね」

 ジャド:「言い合っていても仕方が無い」

 ジャド:「仲が悪いという問題に、どう対処するか、具体的に決めないと」


 アルコル:「馬鹿馬鹿しい気もするがな」


 レイセ:「そう言うな」

 レイセ:「感情が爆発しているのに制御できるのはお前くらいしかいない」

 レイセ:「普通は無理だ」


 アルコルは舌打ちした。


 アルコル:「お前だって制御能力がおかしいぞ」

 アルコル:「お前が普通を語るな」

 アルコル:「お前は自分が突出しているという事実に、どう折り合いをつけているんだ?」

 アルコル:「気付いていないフリか?」


 ルプリレ:「言われているわよ?」


 レイセ:「ええ?」

 レイセ:「俺、めちゃくちゃ頑張っているだろ?」

 レイセ:「そう見えない?」

 レイセ:「一生懸命耐えているだけだぞ」

 レイセ:「時々意識が吹っ飛びそうになる」

 レイセ:「何か特別な体の造りになっているとか、そんなんじゃないからな」

 レイセ:「大体は気合だぞ」


 アルコル:「頑張ってどうにかなるレベルを超えているだろ」

 アルコル:「自覚を持て」


 レイセ:「うるさい」

 レイセ:「そうとしか言えないわ」

 レイセ:「お前だって頑張っているだろ」

 レイセ:「それと同じだ」


 アルコル:「俺は物心ついた時から戦闘訓練を積んで来たんだ」

 アルコル:「その結果だ」


 レイセ:「じゃー、俺だって俺なりに頑張っていたんじゃないか?」

 レイセ:「自覚無いけど」

 レイセ:「それか、なんか急に頑張れるようになるかもしれないだろ」


 ジャド:「話が脱線しています」

 ジャド:「話を戻しましょう」


 ぺセシュ:「面白い話が聞けて私は楽しい」


 ルプリレ:「ふふ」

 ルプリレ:「でも、真面目にね」


 ぺセシュ:「はいはい」


 本題は次回だ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る