15話 窓黒紅丸
レイセ:黒戸零維世。
レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。
連合国クロトと聖国クリアの王。
ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。
リビア:リビア・クロト。
聖国クリアの元代表。
レイセと結婚している。
プロミ:プロミネンス。
ルビー・アグノス。
黒崎鏡華。
月と太陽の国アウグストラの女王。
現人神。
レイセと結婚している。
ジャド:『マギ』のエース。
キシに次期纏め役に推されている。
三番目の真理への到達者。
アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。
『能力』が使える。
『リーベラティーオー』のリーダー。
フレイズ:『マギ』のリーダー。
ロミール:『創聖』のリーダー。
(ジャド視点です。)
そろそろ一旦現実世界に戻ろう。
現実世界の事を忘れそうだ。
零維世さん達も数か月に一日位は帰っているらしい。
『ロストエンド』からの帰り道。
違和感がする。
何か嫌な感じだ。
見張られている?
その割には、気配を感じない。
どうなっている?
判断に迷っていると、そのうち違和感が無くなった。
なんだったんだ?
次の日。
普通に出勤した。
今日は月曜日。
朝礼がある。
少し早めに着かないとな。
朝食を食べ、シャワーを浴びて、着替え、家を出た。
電車に乗って、会社の最寄り駅まで移動。
間に合った。
作業服に着替える。
作業服にはネームプレートを付ける。
窓黒紅丸(マドクロ アカマル)と書いてある。
僕の名だ。
朝礼で挨拶を唱和。
普通に勤務が始まる。
先輩は部長に提出した資料で注意を受けていた。
うだつの上がらない先輩。
先輩が謝っているのを聞き流す。
こんなでも日常だ。
今日は一日検査だ。
外注から仕入れた品物を検品する。
立ちっぱなしで疲れる。
量が多い。
何事も無ければ今日はこのまま検査だけで終わる。
アクシデントは起こらなかった。
無事に定時になった。
帰宅だ。
仕事内容を覚えていた。
同じような頻度で『トゥルーオーシャン』に行っていれば問題無さそうだ。
『ロストエンド』に向かう。
また違和感。
今度は違和感が強い。
精霊使いの勘だ。
とっさにバックステップ。
紫の狗の噛み付き攻撃を躱す。
紫の狗。
どうやら神獣らしい。
僕は零維世さん達とは違う街で生活している。
だから狙われたのか?
紫の狗の話は聞いている。
『処刑人』の神獣だ。
『処刑人』がいる。
建物の影から、大男が出てきた。
大男:「始末する」
窓黒:「正々堂々の宣言、ご苦労様です」
僕はスーツの胸に付けたホルスターから拳銃を取り出し、ためらいなく引き金を引いた。
周りに人はいない。
流れ弾には当たらないだろう。
男は建物の影に隠れた。
建物の影に弾丸を打ち込む。
間に合わない。
僕の背後に、紫の狗がいる。
こいつの警戒を解けない。
追いかけられない。
僕の神獣は精霊。
物理干渉力が弱い。
二手に分かれる事もできない。
大男はもう一度出て来るだろ。
始末するらしいからな。
大男は放っておく。
振り返って、紫の狗の攻撃を躱す。
紫の狗もデカい。
全長七メートルって所だ。
噛み付き攻撃をバックステップでやり過ごす。
僕は噛み付き攻撃の最後に合わせて、狗の顎を右拳で下から突き上げた。
顎に触れると同時に魔法を流し込む。
狗が吹き飛び、建物の側面に激突する。
狗は霊体化した。
神獣を目で追ったのがいけなかった。
いつの間にか、大男は腰を落とし、攻撃態勢に入っている。
間合いの内側だ。
僕は右手の拳銃を大男に向ける。
大男は左拳で突き上げ、拳銃の向きを変える。
僕は発砲。
パパンと音が響く。
弾は明後日の方向に。
僕は腰を捻って左で殴る。
完全融合し、力の融合も全力でやる。
腕力では負ける気がしない。
左をコンパクトに振り回し、男の胴を狙う。
バン!!
男は盾を具現化して防御した。
吹き飛ばない。
耐えやがった。
予想より強い。
大男は盾を押し出して来る。
僕はバックステップ。
大男は大剣を具現化。
振り下ろして来る。
僕は両手で受け止めた。
大男は押し込もうと力を入れる。
僕は力を込め押し返そうとする。
窓黒:「狙いはなんだ?」
大男:「王はお前の肉体を選んだ」
窓黒:「は?」
窓黒:「どういう意味だ?」
大男:「いずれ解る」
大男:「計画は変更だ」
大男:「一旦引く」
大男は剣を引いた。
大男は霧に成って消えた。
助かったらしい。
現実世界では、零維世さんと会った事は無い。
でも黒戸和馬さんの部下とは連絡が出来る。
拳銃はそのルートで入手した。
現実世界では拳銃で零維世さん達に攻撃を仕掛けないと誓約書を書いた。
魔物の王からの護身用だ。
時々、試射場を借りて試し打ちしている。
地下に非合法の試射場がある建物も紹介して貰った。
銃は、剣での攻撃と比較して到達速度で優る時がある。
使い方次第だ。
選択肢はある方が良い。
それに慣れておく、という意味合いもある。
超魔鋼での魔銃が完成した。
向こうの世界の話だ。
最近では、魔法使いタイプは、威力が高い魔法を素早く打ち出す事が出来なかった。
戦いのペースに付いて行けていなかった。
魔銃は、バレルとグリップ、撃鉄、弾丸が超魔鋼製だ。
火薬の役目は持ち前の魔法で補う。
打ち出す威力を、魔法力に頼るのだ。
この発想は随分前からあったらしい。
実現しなかったのは、材料の強度に問題があったからだ。
全力で魔法力を発揮して爆発を起こすと、銃が壊れてしまう。
ダンジョン攻略で、最高品質の魔石が手に入ったから実現した。
鋼にダンジョン産の魔石を混ぜ、付与魔術で強度を高める。
従来の超魔鋼と同じだが、魔石の容量と付与魔術を施す人間の腕が向上している。
魔銃は、僕が全力で爆発を起こしても壊れない強度になった。
かなり貫通力の高い弾丸を発射できる。
そして、矢より素早く連射出来る。
射程もそこそこ。
出来たのはハンドガンタイプだ。
片手でも操作出来る。
部分融合で再現できないのは、複雑な機構だからだ。
神獣などの生き物を上乗せする部分融合での具現化では、複雑な機構を再現できない。
自分自身がそのまま物質化するなら、銃にも、楽器にも成る事ができる。
物質化と部分融合は別物だ。
魔銃は、魔法に比べて発射方向を銃身の向きに頼っている。
その分魔法のコントロールに気を取られない。
銃身の向きに気を付けないといけないが、それは肉体操作で、魔法操作じゃない。
魔法より手軽に、高威力の貫通弾が出せる。
弾丸も超魔鋼だ。
貴重な魔石を使用する。
弾丸は十分な数が作られているが、有限だ。
出来れば、弾を回収したい。
今度の戦いでは銃が活躍する。
戦いが終わったら、専用の魔道具で弾丸を回収する用意がされている。
ついでに言うと、ダンジョンの中では神獣が具現化出来ない。
今度の戦いは、ダンジョンでは無い。
建物の中に入るまでは手が足りない。
神獣に頼る事になる。
建物の中では恐らく完全融合する事になる。
その場合、神獣は単独で具現化出来ない。
レイセさんの剣魔は何故か例外で、完全融合時に剣魔が肉体と結びつかない。
現実世界に戻ると、『処刑人』に狙われた。
この話をレイセさんやアルコルさんに言うと驚かれた。
ルプリレさんが言うには、『処刑人』は『ロストエンド』を通って移動するしか方法が無いらしい。
つまり、『ロストエンド』を通っているという事だ。
『ロストエンド』を通れるという事は、バランサーが許可しているという事。
今回の動きは、バランサーも把握している。
どういうことだ?
肉体を選んだ、とは?
魔物の王に選ばれる?
乗っ取られる?
そういう可能性があるのか?
何故僕なんだ?
わからない。
バランサーが許可する理由も不明だ。
魔物の王が現実世界に干渉するのを嫌っていた筈では?
不気味な何かが闇で進行している気配がする。
しばらくは現実世界に帰らない方が良さそうだ。
次のダンジョン攻略は、『創聖』と『マギ』だ。
ロミールさんは少し天然かもしれない。
面白い方だ。
ブレイズさんは相変わらず、無難な事しか言わない。
僕は今回『マギ』の一人として参加する。
レイセさんとルプリレさんが『マギ』の引率。
アルコルさんが『創聖』の引率だ。
三百八十階層までを攻略する。
三百六十階層までは、それぞれのチームで攻略し、三百六十階層で合流する。
出発は『マギ』から。
一時間遅れて『創聖』が出発する。
『マギ』のメンバーと一緒に行動するのは久しぶりだ。
強くなった僕を皆はどう感じるだろうか?
楽しみだ。
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