9話 大迷宮攻略
レイセ:黒戸零維世。
レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。
連合国クロトと聖国クリアの王。
ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。
リビア:リビア・クロト。
聖国クリアの元代表。
レイセと結婚している。
プロミ:プロミネンス。
ルビー・アグノス。
黒崎鏡華。
月と太陽の国アウグストラの女王。
現人神。
レイセと結婚している。
ジャド:『マギ』のエース。
キシに次期纏め役に推されている。
三番目の真理への到達者。
アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。
『能力』が使える。
『リーベラティーオー』のリーダー。
シロ:黒巣壱白の分裂した姿。
『能力』を使える。
『ロストエンド』のマスターをしていた。
(レイセ視点です。)
打ち合わせの続きだ。
俺、ルプリレ、アルコル、ジャドの四人での話し合い。
前回の話合いで、ほぼほぼ決まっていたが、結論は一旦保留になっていた。
決め手に欠けると全員がわかっていたからだ。
不足を補う提案を思いついた。
大迷宮攻略だ。
詳細を聞いていないが、恐らく採用されるだろう。
メンバーでは、俺の他に『トゥエルブ』のアスマが詳しいが、現在攻略を行っている『狂奔』に話を通した方が良いだろう。
まず、代表四人に話を通す。
話は俺の執務室で行う。
俺とルプリレで、二人を待つ。
部屋のドアが開く。
アルコル:「来たぞ」
ジャド:「お邪魔します」
レイセ:「時間通り」
ルプリレ:「遠慮せず、普通に座ってね」
二人は座った。
アルコル:「で?」
レイセ:「ああ」
レイセ:「今のままだと、魔物相手にどれだけ通用するか未知だろ?」
レイセ:「実践が必要だ」
ジャド:「なるほど」
ジャド:「それで?」
ジャド:「どうするのです?」
レイセ:「大迷宮を攻略してみるのはどうだ?」
ルプリレ:「完全攻略じゃ無いわよ?」
ルプリレ:「途中までです」
ルプリレ:「目標に到達したら切り上げるわ」
アルコル:「うーむ」
アルコル:「実践が必要だという意見には同意するが、大迷宮攻略には情報が不足している」
ジャド:「同じく」
レイセ:「俺一人の意見だと納得感がないだろ」
レイセ:「『トゥエルブ』のアスマと、『狂奔』の誰かを呼んでリモートで会議する」
レイセ:「良いか?」
アルコル:「ああ、そうしてくれ」
レイセ:「今、十時か」
レイセ:「なるべく急いで設定する」
ジャド:「お願いします」
ルプリレ:「私はアスマと連絡を取るわ」
連絡が付いた。
今日は『狂奔』がオフだったらしい。
ついている。
アスマは強制だ。
俺の命令だから従ってもらう。
俺達は机に魔道具を置いて、執務室で話す。
十一時丁度に始まった。
レイセ:「訓練の一環で大迷宮を攻略したいんだが?」
ガリム:「敵の想定はどのくらいじゃ?」
サーリー:「今、魔物の王の所に集まっている魔物のレベル?」
アルコル:「いや、魔物の王の配下だ」
アスマ:「未知だ」
レイセ:「知っている」
レイセ:「俺達は三百階層までしか知らない」
レイセ:「四百、五百はどうなっています?」
サーリー:「外でうろついてる最強クラスは四百階層で多く出るわ」
ガリム:「あまり情報を漏らしたくは無いんじゃが、仕方ないか」
ガリム:「魔物の王の配下は五百階層の階層主くらいの実力じゃ、たぶん」
アスマ:「俺達は三百階層が限界だった」
アスマ:「五百はかなりしんどいぞ」
ルプリレ:「やるしかないわね」
ルプリレ:「貴方も気合入れてください」
レイセ:「ガリムを信用する」
レイセ:「五百だ」
レイセ:「五百階層を目標にする」
レイセ:「いいな?」
アルコル:「ああ」
アルコル:「ちなみに、魔物の王は何階層だ?」
ガリム:「さあな」
ガリム:「六百階層の階層主を最近倒したが、届いてないじゃろうな」
ジャド:「正直ですね」
ジャド:「『狂奔』でも倒せないレベルに挑むのか、なるほど」
レイセ:「ガリムさん、俺達も大迷宮に行く」
レイセ:「いいな?」
ガリム:「歓迎してやる」
ガリム:「対人戦の相手してくれ」
ガリム:「魔物の知性が上がって来ておる」
サーリー:「そうなのよ」
サーリー:「人型が増えて困ってるの」
ルプリレ:「迷宮都市に宿泊施設を作って良いですか?」
ガリム:「いいぞ」
ガリム:「都市が潤う」
ガリム:「好きにやってくれ」
アルコル:「メンバーとの試合を行っている間に、宿泊施設の建設が完了するのが理想だな」
レイセ:「商業都市ノキシュに頑張らせる」
レイセ:「アルコル、お前は自分の役割を頼む」
レイセ:「俺もしっかりやる」
ジャド:「これで打ち合わせは終わりですね」
ジャド:「自分の訓練に打ち込みたい」
ルプリレ:「お疲れ様、頑張りましょう」
ジャド:「そうですねー」
その後、三か月、アルコルと全員、俺と全員、一対一の試合が行われた。
アルコルは負けなかった。
俺もだが。
ダズや、フレドは悔しがっていた。
これから数十年訓練する。
今の力関係なんて、あってないようなものだ。
試合が終わって程なくして、迷宮都市の宿泊施設の準備が整った。
商業都市で全力を出した結果だ。
迷宮都市には、訓練場も用意した。
準備万端で挑む。
五年後。
聖国クリアの、ダズ、タロスト、アル、ベル、ラン、カー、ジーク。
この七人と俺、ルプリレで大迷宮に潜った。
大迷宮の構造は、一般的なダンジョンとは違う。
迷宮と言っているが、洞窟の様な構造にはなっていない。
一階層ごとに別の空間に飛ぶ。
飛んだ先は別世界だ。
今、俺達メンバーは、三百階層を攻略している。
俺やアスマの『トゥエルブ』が攻略していた階層だ。
三百台の階層は、モンスターが寄って来る。
次の階層に繋がる祠の様な建物を見つけるまで戦い続けなくてはならない。
ジークとラン、ベルが壁役。
他がアタッカーだ。
ルプリレとカー、アルは武器化している。
ダズとタロスト、俺がアタッカーだ。
俺はルプリレを、ダズはアルを、タロストはカーを装備している。
人間の体に、ゾウの頭をした獣人が相手だ。
かなりの巨体。
動きは素早く無いが、腕力が際立って高く、耐久力も凄い。
何度も戦ってきた相手だが、気は抜けない。
こいつらは、外で出会った場合には、避ける相手だ。
パーティーで連携しないと倒せない強さだ。
五体いっぺんに出てきた。
ジークが二体、ベルが二体、ランが一体引き付けている。
ゾウ人は一本の長柄の斧を両手で装備している。
ゾウ人が力任せに振るった攻撃を、ジークが盾で上に逸らす。
注視を使い、ゾウ人の攻撃を引き付ける。
ジークとラン、ベルはゾウ人たちの攻撃を次々と逸らし、攻撃の隙を作った。
ダズが槍で、タロストが双剣でゾウ人を攻撃。
人が武器化した武器は攻撃力が高い。
再生力が高い筈の上位モンスターにも攻撃が通る。
だが一撃で致命傷にはならない。
注視は効いているが、ダズやタロストは会心の一撃を逸らされていた。
このクラスのモンスターは戦闘勘が鋭い。
とっさに致命傷を避けて来る。
俺は、瞬間移動を細かく使い、ゾウ人の胸を剣で突き刺した。
攻撃のタイミングと、瞬間移動のタイミングが、完全に合っている。
理論上、躱す事は不可能だ。
俺の動きを予測するだけの情報を与えていない。
ゾウ人の硬い皮膚をルプリレで出来た武器は易々と貫いた。
俺はこの、三百台の階層はクリア出来そうだ。
このレベルの敵を一撃死させられなければ、万の軍勢を凌げない。
聖国クリアの七人は、カインとシェルミを相手させるつもりだ。
どちらか一方だけだとしても、ゾウ人に手こずっていてはダメだ。
本人達も自覚がある。
今日はこのまま三百三十階層まで攻略する。
ゾウ人三人を倒した後、一つ目で腕が四本ある巨人が出てきた。
一つ目の体格は、ゾウ人より二回り大きい。
こいつも今までに戦った事がある。
俺は様子を見る。
ジークが盾役に回った。
残りのゾウ人をベルとランが引き付ける。
一つ目はゾウ人より腕力が高い。
ジークだけでは持たない。
人数が必要だ。
ダズとタロストが残りのゾウ人を片付けに動く。
ダズの目の色が変わった。
ダズは武器を双剣に変え、ゾウ人を切り裂く。
ダズはまだ一撃の攻撃力が軽い。
だが、動きの遅いゾウ人は連続で切り裂かれて息絶えた。
タロストは武器を弓に変え、結界を打ち込む例の状態に戻った。
手数と、正確さの揃った連続の矢が、ゾウ人を串刺しにする。
調子が出て来たみたいだ。
俺も動く。
俺は武器を光らせ、長く伸ばし、右から左に振るった。
一つ目は二本の腕で防御しながら素早くバックステップ。
攻撃は防御していた二本の腕を切り裂いた。
あの腕はもう使えない。
ゾウ人が倒れたのと入れ替わりで、巨大なアリが軍隊で近寄って来ていた。
虫の敵はしぶとい。
さっさと一つ目を倒さないと詰む。
ジークが注視を使い、ランとベルが一つ目の拳を盾で防御した。
同時に一つ目の拳に、ダズが大剣を振り下ろした。
一つ目の巨大な腕が、胴体から切り離される。
その間、タロストは、溜め。
一つ目は腕を切り離され、吠えた。
同時にタロストが矢を放つ。
強力な一撃が、一つ目の頭を貫いた。
一つ目は絶命。
その場に崩れる。
俺は注視を使い、アリ共を引き付けていた。
戦いはまだ続く。
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