5話 どうするつもり?
レイセ:黒戸零維世。
レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。
連合国クロトと聖国クリアの王。
ルプリレ:プロミとリビアと女性の元管理者が融合した存在。
リビア:リビア・クロト。
聖国クリアの元代表。
レイセと結婚している。
プロミ:プロミネンス。
ルビー・アグノス。
黒崎鏡華。
月と太陽の国アウグストラの女王。
現人神。
レイセと結婚している。
シロ:黒巣壱白の分裂した姿。
『ロストエンド』の元マスター。
『能力』が使える。
キシ:キシ・ナトハ・ソアミ・カジャー。
死兵国プロンシキの元英雄。
『リーベラティーオー』の纏め役。
ジャド:『マギ』のエース。
キシに次期纏め役に推されている。
三番目の真理への到達者。
アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。
『能力』が使える。
『リーベラティーオー』のリーダー。
(レイセ視点です。)
アルコルとジャドは一旦ロベストロニアに帰った。
俺は自分の執務室でルプリレといる。
ふー。
疲れた。
少し話しただけで、こうも疲れるとは。
ルプリレも同じ気持ちだろう。
無言が続く。
……。
……。
紅茶を片手に、ルプリレが口を開いた。
ルプリレ:「どうするつもり?」
レイセ:「一回『フィナリスラーウム』全体で打ち合わせないとな」
ルプリレ:「何を話すの?」
レイセ:「そうだなー」
レイセ:「何がいい?」
ルプリレ:「なにか悩んでいるなら吐き出さなきゃダメですよ?」
レイセ:「わかってるなら聞くなよ」
レイセ:「俺が何に悩んでるかわかるならそっとしといてくれよ」
ルプリレ:「ダメ」
ルプリレ:「聞いてあげるから一応誰かに打ち明けといて」
ルプリレ:「私とか」
レイセ:「はー」
レイセ:「わかったよ」
レイセ:「言葉にするのが嫌なだけだ」
ルプリレ:「で?」
レイセ:「仲良く成って、そのままチームを合併したい」
ルプリレ:「まだあるでしょ?」
レイセ:「仲間に成れなきゃ、突然攻撃を仕掛けられる」
レイセ:「警戒しないといけない」
ルプリレ:「自分のチームの人間に話す気は?」
レイセ:「無い」
レイセ:「お前だけだ」
ルプリレ:「まー」
ルプリレ:「そんなことだろうと思ってました」
レイセ:「仲間になるなら、警戒を解かないといけない」
レイセ:「戦う気なら、情がうつるマネは避けないといけない」
ルプリレ:「でも、警戒を解くのね?」
レイセ:「制限してもそうなってしまう」
レイセ:「俺達はそこまで非情になれないだろ」
ルプリレ:「向こうはどうかしらね?」
レイセ:「魔物の王を倒した後、態度が変わるかもな」
ルプリレ:「かも、ですね」
レイセ:「俺の考え、どう思う?」
ルプリレ:「甘いわね」
ルプリレ:「向こうは永遠に生きる気がないのですよ?」
ルプリレ:「問題はそこです」
レイセ:「確かにな」
レイセ:「どうすっかなー」
ルプリレ:「真面目に考えてる?」
レイセ:「ああ」
レイセ:「やってるだろ」
レイセ:「疲れて頭が働かないだけだ」
ルプリレ:「で?」
レイセ:「急かすなよ」
レイセ:「どうせ年単位で訓練するんだ」
レイセ:「その間になんか考える」
ルプリレ:「嘘ね」
ルプリレ:「何か手を思いついたけど言う気は無い?」
ルプリレ:「まー、何か思い付いたんなら許してあげます」
レイセ:「はは」
レイセ:「心読めるのかよ」
レイセ:「そう言う事だ」
レイセ:「一旦先延ばしにする」
ルプリレ:「何か手を打つ前に、相談してよ?」
レイセ:「ああ」
レイセ:「わかった」
レイセ:「相談する」
ルプリレ:「他に言いたい事は?」
レイセ:「あった」
レイセ:「ジャドの事だ」
レイセ:「印象はどうだ?」
ルプリレ:「聡明ね」
ルプリレ:「卒がない」
ルプリレ:「常識的な行動を取りそう」
レイセ:「かもな」
ルプリレ:「時々視線が不自然ね」
ルプリレ:「何が見えてるんだろ?」
レイセ:「確かに不自然な時あったな」
レイセ:「よく見てるな」
ルプリレ:「……」
ルプリレ:「アルコルより、ジャドの方を聞いて来ると思わなかったわ」
レイセ:「アルコルは会った事あるだろ?」
ルプリレ:「前に会った時とはずいぶん雰囲気が違いましたよ?」
レイセ:「確かに」
レイセ:「なんでだろ?」
ルプリレ:「アルコルは、話が通じないから厄介だったのよ」
レイセ:「そうか」
レイセ:「無意識に警戒を解いてたのか」
ルプリレ:「話が通じる様に見えてるだけかもしれないわよ?」
レイセ:「内面は違うって?」
レイセ:「かもな」
レイセ:「油断だな」
レイセ:「気を付ける」
ルプリレ:「そんなとこかな」
ルプリレは微笑んだ。
次の日。
『フィナリスラーウム』全員で集まって会議をした。
体育館の様な何も無い建物に集まって連絡事項を伝えた。
『リーベラティーオー』と合同訓練する事。
魔物の王の城が判明した事。
アルコルと試合して欲しい事。
『リーベラティーオー』を仲間に引き込む事は伝えなかった。
合同訓練してみて、感想を聞いてから対応を考える事にする。
実際話してみなきゃ感想も言えないだろ。
向こうが考える事を予想してみる。
どうせ向こうは演技してくるんだろうぜ。
打ち解けたフリをして来る。
それで油断させておいて、魔物の王を倒したら、攻撃だ。
短い期間のやり取りじゃ、それも可能かもな。
年単位の接触で可能とは思えない。
どうしても情が湧く。
そこにつけこむんじゃ無いけどな。
誠意を持って対応すれば折れてくれるかもな。
向こうは全員で考えを一致させるために、入念に打ち合わせとかするかもな。
仲良く成るのを禁止すれば禁止するほど逆効果だろ。
アルコルはそういう策を講じない。
やるとしたらジャドか。
アルコルが協力しない状況で、ジャドが旗を振って考えを一致させる?
そこまでするかな?
そこまでのリーダーシップはあるのか?
わからない。
さまざまな可能性を思いつく。
でも関係無いな。
どんな策で来ようが、関係ない。
誠意を持って対応するだけだ。
と、いうか、普通にする。
普通に共闘すれば、仲間になってる筈だろ?
違うか?
はーあ。
考えるのが面倒になって来た。
もういいか。
この事は一旦後回しだわ。
『フィナリスラーウム』内の雰囲気は上々だ。
事態は予想通り進んでいる。
チーム内に動揺は無い。
キシが死んでもそこは変わらなかった。
俺がやるべきはこの状態を維持する事だ。
なんども言うが特別なことはまだしない。
魔物の王攻略のために必要な事だけやる。
普通にするとはそう言う事だ。
アルコルは現状確認のために全員と試合をするという。
俺もそれに便乗する。
お互いが、お互いの実力を肌で感じないと連携出来ない。
連携の効率を上げる計画を練る為には、計画者が実力を把握しておくとやり易い。
アルコルと俺で互いのチームメンバーの実力を把握し、すり合わせを行う。
そうすれば無駄の少ない計画が立てられるだろう。
訓練に果ては無い。
もしかしたら、先に魔物の王から仕掛けてくるかもしれない。
攻めるより、攻められる場合のリスクが高い。
住民を巻き込む事になる。
素早く見極めて、迅速に仕掛けないといけない。
訓練には効率が求められる。
訓練の目標をどう決めるのか、再びアルコル達と話さないとな。
差し当って、俺はジャドの実力把握が必要だ。
ジャドは計画を立てる側だ。
ルプリレもアルコルとジャドの二人の実力を試さないと話が出来ない。
『リーベラティーオー』は一か月後に聖都クリアのホテルへ引っ越して来る。
引っ越しが終わったら、試合だ。
試すのが少し楽しみだ。
一か月後、俺はジャドとアルコルを呼び出した。
ルプリレとアルコル。
俺とジャドで試合だ。
二人は承知した。
二人は俺の執務室で寛いでいる。
ナナが飲み物を運んで来た。
アルコルがコーヒーを飲む。
満足そうだ。
気に入ったらしい。
パウンドケーキをつまんでいる。
ジャドが口を開いた。
ジャド:「場所は?」
レイセ:「外だ」
レイセ:「大き目の訓練場は建設が間に合わなかった」
ジャド:「さっさと始めましょう」
ルプリレ:「焦りは禁物よ」
ジャド:「僕には時間が無い」
レイセ:「理由は?」
レイセ:「一応聞いておくよ」
ジャド:「僕は魔法使いタイプから、格闘タイプに変更したんです」
ジャド:「単純に体を動かし慣れていない」
レイセ:「何故変更を?」
ジャド:「高威力の魔法はスピードに難が有ります」
ジャド:「当たらない」
ジャド:「近接攻撃の方が有効です」
ジャド:「加えて、魔物の王の配下に部分融合の武器が通じない」
ジャド:「魔法も効かないでしょう」
レイセ:「誰かに武器になって貰えば良いんじゃ無いか?」
ジャド:「拳で殴った時に、全属性魔法を内側に流し込みます」
ジャド:「それなら存在感にダメージを与えられそうです」
ルプリレ:「有効そうね」
アルコル:「俺もそう思う」
レイセ:「強烈そうだな」
レイセ:「俺と試合する時は、魔法の流し込みを手加減してくれよ?」
ジャド:「わかっています」
レイセ:「試合は午後からにしよう」
レイセ:「それまで寛いでいてくれ」
レイセ:「そうだ、他に何か言いたい事は?」
ジャド:「魔物の王を倒した後の事はどうします?」
ジャド:「何か規定しておきます?」
ルプリレ:「その話題は避けると思ってました」
アルコル:「魔物の王を倒した瞬間に裏切られたら困るだろ」
レイセ:「笑わすな」
レイセ:「お前らがしそうな事だろ」
ジャド:「どうするかは、合同訓練を行いながら考えます」
アルコル:「規定は?」
レイセ:「決めてしまうと、そこに縛られる」
レイセ:「未定にしておく」
ジャド:「貴方に弱点を見つけられそうに無い」
ジャド:「世の中は不公平だ」
レイセ:「言ってろ」
レイセ:「嫌味にしか聞こえないぞ」
ジャド:「試合が楽しみだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます