8章

1話 ルプリレ



 レイセ:黒戸零維世。

     レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

 リビア:リビア・クロト。

     聖国クリアの元代表。

     レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンス。

     ルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     現人神。

     レイセと結婚している。

 シロ:黒巣壱白の分裂した姿。

   『ロストエンド』の元マスター。

   『能力』が使える。

 ガリム:『狂奔』のリーダー。

     老人の管理者。

 スーリー:『狂奔』のサブリーダー。

      チームの纏め役

 ラドセス:『狂奔』のサブリーダー。

      広報担当。

 ストルム:『狂奔』のサブリーダー。

 ダットル:『狂奔』のサブリーダー。

 キシ:キシ・ナトハ・ソアミ・カジャー。

    死兵国プロンシキの元英雄。

   『リーベラティーオー』の纏め役。

 ジャド:『マギ』のエース。

    キシに次期纏め役に推されている。

    三番目の真理への到達者。

 アルコル:黒巣壱白の分裂した姿。

     『能力』が使える。

     『リーベラティーオー』のリーダー。



 1話


(レイセ視点です。)



 プロミとリビアと女性の管理者が融合した。


 呼び名はルプリレ。


 意味は無い。


 造語だ。


 最初は月から連想する単語の中から選ばされた。


 俺が太陽だから、らしい。


 俺のどの辺が太陽なのか、説明が無い。


 貴方って太陽でしょ?


 って言われて、肯定する奴いるか?


 まったくピンと来ていない。


 月は地球を中心に回っている。


 太陽関係あるか?


 地球は太陽を中心に回っているから、月も太陽を中心に回っているけど。


 なんか違くない?


 ルプリレには俺と並んでて欲しいんだけど。


 まー。


 月は俺に照らされて輝く存在って意味もある。


 そこは良いけど。


 ちょっと輝き過ぎじゃないか?


 俺、直視すると目が悪くなる存在なんか。


 どうなんだ?


 喜んだ方が良いのか?


 身に余る程の光栄、とか言っとく?


 結局、月から連想する単語は気に入られなかった。


 特別感が無いらしい。


 で、最終的に、プロミとリビアとエウェルの三人の名前から連想した。


 ややこしい名前の気がするが、気に入ったらしい。


 OKが出るまでの間が機嫌悪かった。


 勘弁してくれ。


 呼び名の話はもういいや。


 とにかく、ルプリレだ。


 愛しい人はルプリレ。


 覚えたか?



 俺とルプリレ、シロさん、立会人のガリムさん、スーリーさん、ラドセスさん、ストルムさん、ダッドルさんの八人で荒野に立っている。


 聖都クリアの東の荒野だ。


 他には誰もいない。


 最初にキシと連絡を取った時は、試合を闘技場で行うと伝えたが、変更になった。


 仲間の目の前で試合したかったんだが、戦闘範囲が広くなるから変更、ってキシが言ってきた。


 戦争から代表同士の試合に変更を要求したのはこっちだからな。


 向こうの要求も飲まないとな。


 それにしても遅い。


 指定した時間を過ぎても、アルコルとキシが来ない。


 こういうのって遅れて来る方が勝つんだったか?


 そんな馬鹿な話があってたまるかよ。


 時間通り来てなんで負けるんだよ!


 って、怒ったらダメなのか。


 なんか喋って気を紛らわそう。


 レイセ:「来ないな」


 ルプリレ:「ですね」

 ルプリレ:「索敵範囲に気配無いわ」


 シロ:「落ち着いてるようで安心した」


 ストルム:「キシは俺達も待たせてるって自覚あんのかな?」


 レイセ:「有るんでしょうね」


 スーリー:「一通り自己紹介も終わったし、話す事無いわね」


 ラドセス:「逆に、『狂奔』に聞きたい事とかありますか?」


 ルプリレ:「そうですね」

 ルプリレ:「大迷宮が節理の外側にあるってどういう意味なの?」


 ガリム:「大迷宮は管理者の影響を受けていない」

 ガリム:「何のために有るのか誰も知らんのじゃ」


 シロ:「何故攻略しようとしてるんです?」


 ダッドル:「何か有りそうってだけだ」

 ダッドル:「まだ何もわかって無いんだ」

 ダッドル:「管理者の影響を受けないって事だけ」


 レイセ:「何階層まで潜ったんです?」


 スーリー:「六百階層の階層主が倒せないの」


 レイセ:「途方もない」


 シロ:「もし見返りがあるんなら挑戦するのも悪くないな」


 ガリム:「そうじゃろ?」

 ガリム:「六百階層まで行っても、まだまだ先が有りそうじゃし」

 ガリム:「何か見返りが無いと不自然じゃろ?」


 キシ:「なんでも一つ願いが叶うなら、何を望む?」


 レイセ:「来たのか」


 アルコル:「待たせたな」


 ルプリレ:「ホントよ」


 ガリム:「わしらがいるって事わかってたのか?」


 キシ:「ちょっと遅れただけでしょ?」

 キシ:「細かいなー」


 ストルム:「見え見えの挑発」

 ストルム:「ある意味全力と言える」


 レイセ:「だぞ、逆に関心するわ」


 キシ:「効き目無しっぽいね」

 キシ:「で、質問の答えは?」


 スーリー:「なんでも一つ願いが叶うなら、ね?」


 キシ:「そうそう、気軽に答えて」


 レイセ:「そんなのなんで知りたいんだよ?」


 ガリム:「わし等は死者の蘇生だわ」


 ラドセス:「『狂奔』はみんなそうです」


 ダッドル:「ですね」


 レイセ:「管理者でも、死者の蘇生は無理なんだな」


 ガリム:「バランサーなら可能じゃい」

 ガリム:「但し、対価が必要」

 ガリム:「支払えないわい」


 シロ:「ちなみに対価はなんだ?」


 ガリム:「命の対価は命じゃ」

 ガリム:「決まっとる」

 ガリム:「願う者の主観から対等の命を要求しよる」


 シロ:「そうか」


 アルコル:「バカげたシステムだ」


 レイセ:「お前はどうなんだ?」


 キシ:「僕?」

 キシ:「僕は物語の破綻だよ」


 ルプリレ:「捻くれてる」

 ルプリレ:「嫌な感じ」


 キシ:「そう言うと思ったよ」

 キシ:「で?」

 キシ:「君は?」


 ルプリレ:「願いは自分で叶えるものよ」


 キシ:「嘘ついてない?」


 ルプリレ:「うるさい」

 ルプリレ:「貴方はどうなの?」


 レイセ:「俺?」

 レイセ:「青子さんの復活?」


 ルプリレ:「それはシロさんの願いでしょ?」

 ルプリレ:「貴方は?」


 レイセ:「なんでダメなんだよ」

 レイセ:「他?」

 レイセ:「カインとシェルミが気がかりだ」


 ルプリレ:「貴方の幸せは何?」


 レイセ:「幸せ、幸せね」

 レイセ:「世界の破綻を防ぐ事?」


 キシ:「思った通りだ」

 キシ:「僕らにも芽がある」


 アルコル:「そうだな」


 ルプリレ:「もう、しっかりしてよね」


 シロ:「すべての答えは?」

 シロ:「何だった?」


 ルプリレ:「その話、レイセに伝えて無いわ」


 レイセ:「シロさんまで」

 レイセ:「なんなんだよ」

 レイセ:「すべての答え?」

 レイセ:「え?」


 キシ:「ところで、リビアとプロミが融合したの?」

 キシ:「試合の相手は僕なんだけど」


 レイセ:「話変わった?」

 レイセ:「助かったー」

 レイセ:「何だったんだ?」


 ルプリレ:「今後の課題ね」


 レイセ:「何がだよ」

 レイセ:「もういいだろ」


 アルコル:「女性の管理者」

 アルコル:「いや、元管理者か」

 アルコル:「融合したのか?」


 キシ:「げ、あれはそういう意味だったのか、はーあ」


 ルプリレ:「ベルから聞いてます」

 ルプリレ:「文句あるの?」


 キシ:「実力が未知数だ、困ったな」


 ルプリレ:「その割には笑ってない?」


 キシ:「余裕が無くなってきた?」

 キシ:「追い詰められてる?」


 ルプリレ:「ふ、悪は滅びるのよ?」


 キシ:「悪、悪ね」

 キシ:「へーえ」

 キシ:「悪?」

 キシ:「誰の話?」


 ルプリレ:「腹立つー」


 レイセ:「?」

 レイセ:「女性の元管理者の思惑か?」

 レイセ:「世界の破綻を防ぐ事だろ?」


 アルコル:「破綻すると決まった訳じゃない」

 アルコル:「こんな世界など、無くなっても構わんがな」


 ガリム:「自分勝手なやつじゃ」


 アルコル:「なんとでも言え」

 アルコル:「生き方を操られて我慢できるほど寛容にはなれない」


 レイセ:「怒りに支配されるな、って話しても無駄なんだろ?」


 ルプリレ:「いくら言葉で話しても、通じない事はあるのよ」


 スーリー:「さっさと始めましょう」


 キシ:「そうだね」


 レイセ:「お前が言うなよ」


 ルプリレ:「話が進まないから」


 レイセ:「はー、そうだな」


 ラドセス:「ルプリレさんとキシさんの立会人はサブリーダーの四人がします」


 ガリム:「レイセとアルコルはわしじゃ」


 スーリー:「ルプリレさんとキシさんの試合では、刃物の使用を控えてね?」


 ガリム:「レイセとアルコルは刃物の使用も認めるわい」

 ガリム:「致命傷はわしが無力化する」


 レイセ:「無力化ですか?」

 レイセ:「完全な?」

 レイセ:「そんな事が可能なのですか?」


 ガリム:「可能じゃ」


 アルコル:「『能力』か?」

 アルコル:「それを認めるのは今回だけだぞ」


 ガリム:「チッ」

 ガリム:「ああ、今回だけじゃ」


 キシ:「はは」


 レイセ:「俺は受け入れた」

 レイセ:「ガリムさんは身方な気がする」


 ルプリレ:「勘?」


 レイセ:「ああ」


 ガリム:「わしも中立じゃぞ」


 レイセ:「それで良いです」


 ガリム:「シングライトの息子か」

 ガリム:「こんな奴が発生するとはの」


 レイセ:「なにか問題が?」


 キシ:「君は褒められたのさ」


 レイセ:「そうか?」

 レイセ:「お前、わかったような事を言うよな」


 キシ:「君よりはわかっているつもりさ」


 レイセ:「そうかもな」


 キシ:「動じないね」


 レイセ:「余裕が無くなると口数が増える」

 レイセ:「お前の特徴だ」

 レイセ:「額に汗かいてるぞ」


 キシ:「君は手ごわいね」

 キシ:「続きはまた今度」

 キシ:「じゃーね」


 レイセ:「ルプリレ、気を付けろ」

 レイセ:「やはり何か仕掛けて来る気だ」


 ルプリレ:「わかっています」



 俺とシロさん、アルコル、ガリムさんは、ルプリレ達から離れた。


 気配は感じるが、随分離れた。


 ルプリレが危機に陥っても、駆け付ける事が出来ない距離だ。


 お互いが部分融合のピアスを付けているので、瞬間移動できる。


 が、何かあれば一手遅れる。


 キシの雰囲気はいつもと違っていた様に感じる。


 数年ぶりに会ったから、自信は無いが。


 ルプリレはパートナーだ。


 今回は自分でなんとかするだろ。


 実力的には、俺の方がヤバい。


 ガリムさんを信用しているが、刃物有りだし。


 最悪死ぬ。


 アルコルは手加減しないだろう。


 こいつに認められるには、同等の実力を示さないといけない。


 アルコルは口だけじゃない。


 全力を出しても足りない。


 必要なのは無心だ。


 切り替える。


 やる。

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