第25話 性能



 レイセ:黒戸零維世。

    レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

    連合国クロトと聖国クリアの王。

 アリシア:『悠久の旅人』のエース。

     クリアの孫。

 ジーク:聖国クリアの戦士。

    レイセに認められ、鍛えている。

    クレラメイと融合した。

    真理への到達者。

 プロミ:プロミネンス。

    ルビー・アグノス。

    黒崎鏡華。

    月と太陽の国アウグストラの女王。

    現人神。

    レイセと結婚している。

 アリア:『フィナリスラーウム』所属。

    ニーナ、プロミと親友。

    ダズに交際を迫られているが、保留中。




(レイセ視点です)


 レイセ:「仮面の男は『能力』を持っている」

 レイセ:「ホワイトボードに順番に書いて行くぞ」


『能力』、ランプ。

 物質の存在エネルギーが輝く炎として見える。

 生物も物も関係なく見える。


『能力』、トゥエルブ・サテライト。

 半径三十キロの任意の場所に見えない目を出現させ、自由に視点を操作できる。

 視点は十二個あり、通常、二つずつの視点から、前、右、左、後ろ、上から下への俯瞰、そして自由に移動させている一対、がある。

 サテライトで見た景色を一つに統合して、認識している。

 同時に、サテライトで見たもの全てが版画の様に重なって見えている、らしい。


『能力』、スライド。

 足や手が地面や壁に接触している場合、接触部を基準として滑るように高速移動できる。

 秒速百二十メートル位。


『能力』、グレイ・フレイム。

 エネルギーの炎と同時に、燃え尽きる姿も見えている。

 生物も無機物も、すべての物には終焉(しゅうえん)がある。

 手で触れた物のエネルギーの炎を、触れた瞬間に燃え尽きさせる。


『能力』、カット。

 切る動作を行うとほぼすべての物質を切断できる。

『能力』で切り離す。

 切断『能力』には恐らく限界がある。


『能力』、ハイ・リフレクション。

 空間に八角形の見えない板を展開し、板に何かがぶつかった場合、倍の力で反射する。

 反射板の強度はかなり強いが、恐らく限界がある。

 今の仮面の男が反射板を何枚出せるかは未知数だ。


『能力』、テレパシー。

 触れた者の思考が読み取れる。

 シロさんと分離した時に能力が減衰した、らしい。


『能力』、サイコメトリー。

 触れた物に残された記録を読み取る。

 遡れる記録には恐らく限界が有る。


『能力』、ストレングス。

 身体能力の向上。

 向上した身体能力を支える頑丈さと、制御する為の反射神経等も向上する。


『能力』、ヒール。

 即時自己回復。

 受けた傷の治りが目に見えて早いらしい。


 アリシア:「…………」

 アリシア:「まだ書くの?」


 レイセ:「確定している『能力』は以上だが、他にも理魔法と似た事が出来たらしい」


 プロミ:「空間を切り裂いて管理者を一人殺したのよね?」


 レイセ:「そうだ、空間を切り裂く事が出来る」


 アリア:「どこからか刀を出したんだっけ?」


 レイセ:「それもある」


 ジーク:「考え得る全ての武道に精通していて、達人クラスの実力」

 ジーク:「でしたっけ?」


 レイセ:「そうだ」

 レイセ:「『能力』部隊の隊長だった」

 レイセ:「銃器の取り扱いも出来た」

 レイセ:「プロだ」


 アリシア:「…………、お爺ちゃん勝負になるの?」


 レイセ:「お爺ちゃん言うな」

 レイセ:「やるしかないんだよ」


 プロミ:「一部、『能力』に限界が有るって書いたのね?」


 レイセ:「ああ、それか」

 レイセ:「もともと、『能力』を得る為には対価が必要だったらしい」

 レイセ:「カットやリフレクションはその対価に見合ったものがベースだ」

 レイセ:「腕とか足とかな」

 レイセ:「だから人の武器化みたいに存在そのものを対価にしている方が、リソースを多く割いている分、性能が上の可能性がある」


 プロミ:「ふーん、なるほどね」


 レイセ:「じゃー、次は俺な」

 レイセ:「気が進まないけど」


 七つの大罪、”怠惰”

 敵の動きを分析し、弱点を割り出す。

 後の先を取れる。


 光を放つ攻撃。

 存在エネルギーを物質化し攻撃に利用できる。

 威力は込めた存在エネルギーに比例する。

 今の俺の光は黄金。


 結界。

 防御魔法に分類される。

 六角形の黄金の板を複数空間に固定できる。

 移動も可能。

 カーミュと融合してから、強度が上がっている。


 部分融合。

 物質の具現化に神獣のイメージを複合させる。

 通常の具現化より強力な武器を作り出せる。

 作り出せる部分融合の体積は神獣の大きさが基準になる。


 完全融合。

 身体が神獣と融合した状態となる。

 身体能力全般が向上する。

 制御が難しい。

 潜在している力の融合とは別。


 理魔法。

 一般的な属性魔法とは種類が違う魔法。

 時間や空間に働きかけ、異世界のルールを捻じ曲げることが出来る。

 瞬間移動は理魔法の応用。


 瞬間移動。

 一度見た事のある場所なら一瞬で移動出来る。

 発動する為の隙も小さい。

 使用すると精神を消耗する。


 霧化。

 霧に限らず、炎や風に成る事も可能。

 通常の部分融合の武器では攻撃が通らない。

 存在にダメージを与える攻撃のみ有効。


 武器化。

 俺自身が武器に成る。

 長時間武器化したままだと、おそらく元に戻れなくなる。

 死ぬ。

 今回はシロさんが盾になってくれる。

 シロさんの盾に触れると、シロさんの『能力』の未来予知が使える。


 力の融合。

 通常、人と人との融合や、人と神獣との融合では力まで融合されない。

 存在エネルギーを操作し、高める事が出来るのが前提。

 存在エネルギーを高め、漏れを無くし、意識的に、人や神獣と力を融合させる。

 融合数に比例して制御が難しくなる。

 今俺は、クリアとカーミュと神獣二体と融合出来ている。

 制御も問題ない。


 神獣。

 寿命が無く、死んだら生まれ直す存在。

 人語を話せたり、高い知能を持っていたりする。

 契約者は神獣の知識を引き出し、触れた物の情報を読み取る。

 神獣が知らなければ、情報は無い。

 戦闘能力が高かったり、特別な能力を持っていたりする。

 個体差が大きい。

 俺には黒竜だったものと剣魔だったものの二体いる。

(神獣の意識はレムリアスに統一されたようだ)


 黒戸零維世は、総合武術部でアイナに指導を受けている。


 アリシア:「普通」


 アリア:「まあ」


 プロミ:「普通ね」


 ジーク:「私と大差無いかもしれません」

 ジーク:「比較が仮面の男なんで」


 レイセ:「あー、そうだ」

 レイセ:「普通だ」

 レイセ:「わかってた」


 プロミ:「で、どうするの?」

 プロミ:「どう整理していく?」


 レイセ:「前提として、仮面の男は俺を殺すつもりで攻撃してくる」


 プロミ:「たぶんね」

 プロミ:「手を抜くイメージが無いわ」


 レイセ:「恐らく本気で殺しに来る」

 レイセ:「そうなると、戦いが始まった瞬間斬撃が飛んでくる」


 プロミ:「そうね」

 プロミ:「私も体感した事あるわ」


 レイセ:「飛ぶ斬撃は、空間を切り裂く力と、『能力』カットの複合」

 レイセ:「リフレクトで角度を変えて来る」


 プロミ:「うん」


 レイセ:「前に戦った時は距離を離して躱して対処した」


 プロミ:「円の軌道で避けたのよね」


 レイセ:「そうだ」


 プロミ:「今回は、シロさんが盾なのね?」


 レイセ:「そうだ」

 レイセ:「一対一だからな、多対一なら矢を撃っていれば距離を稼げるけどな」

 レイセ:「おそらく俺は押されて後退を続ける事になる」

 レイセ:「シロさんの盾で防げなかったら、その時点で負けだ」


 プロミ:「押し込まれる予想なのね」


 レイセ:「ああ」

 レイセ:「カーミュと融合してから結界の強度が上がっているが、あの飛ぶ斬撃には無力だろう」

 レイセ:「止められない」

 レイセ:「そのまま向こうのペースで攻められたら、負けるだろうなー」


 プロミ:「で?」


 レイセ:「剣魔で牽制しながら、斬撃を盾で受ける」

 レイセ:「光る攻撃を連続で伸ばして、中距離攻撃で時間を稼ぐ」


 プロミ:「続けて」


 レイセ:「遠距離攻撃でも中距離攻撃でも、飛ぶ斬撃を上回れない」

 レイセ:「部分融合で作り出した武器では相殺できない」

 レイセ:「たぶんな」

 レイセ:「なんとかして近づかないと、ジリ貧だ」


 プロミ:「一撃離脱の結論に近づいてきたわね」


 レイセ:「接近戦に持ち込む手は考え中だ」

 レイセ:「近づく手は検証で確認する」

 レイセ:「先に近づけた場合を考える」


 プロミ:「ひとつ思いついたんだけど、いい?」


 レイセ:「なんだ?」

 レイセ:「言ってみてくれ」


 プロミ:「シロさんって、盾と剣の切り替えは出来ないの?」


 レイセ:「たしかにな」

 レイセ:「出来れば接近戦で有利になる」

 レイセ:「冴えてるな」


 プロミ:「えへへ」


 レイセ:「シロさんは今武器化の訓練中だ」

 レイセ:「俺達は使用者に合わせて武器を変える事が出来るが、シロさんは契約者じゃ無いから備えておかないと無理なんだった」

 レイセ:「あとで連絡を取って訓練内容に追加して貰おう」


 アリア:「私達は必要なさそう」


 アリシア:「微笑ましい」


 ジーク:「はは、王、話を戻してください」


 コンコンコン、とドアをノックする音が聞こえる。


 レイセ:「入ってくれ」


 メイドのナナが台車を押して部屋に入って来た。


 流石ナナ、タイミングが良い。


 いい匂いがする。


 俺はブラック。


 プロミとアリアはミルクティー。


 ジークとアリシアはコーヒーをミルク入りで飲む。


 レイセ:「一旦休憩な」



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