第20話 ラドセス



 フレド:連合国クロトの守護者長の纏め役。

    神獣はサトリ。

    ピナンナと結婚している。

 ダズ:聖国クリアの守護者長の纏め役。

   神獣は雷獣。

   アリアに結婚を申し込み、返事を保留されている。

 アスマ:神木遊馬。

    『トウェルブ』の第二席。

 ベル:聖国クリアの守護者長。

   ダズの補佐的役回り。

   黒沼直樹。

   ランと結婚している。

   魔道具開発チーム。

 ファガス:黄山斗真。

     リアンナと結婚している。

     海洋国家ドバスカリを継ぐ予定。

 コナル:青井友介。

    連合国クロトの指南役。

    ニーナと良い感じ。

 バルド:バルド・ゼード。

    『悠久の旅人』の実質的なリーダー。

 ネロ:氷上国家カハの国王。

   『ディープフォレスト』のリーダー。

   故人。

   キシが死兵として操っている。

 キシ:キシ・ナトハ・ソアミ・カジャー。

   プロンシキの元英雄。

   『リーベラティーオー』の纏め役。

 ジャド:『マギ』のエース。

    フェオと融合した。

    三番目の真理への到達者。

 ストルム:『狂奔』のサブリーダー。

     ガラが悪い感じ。

 ラドセス:『狂奔』のサブリーダー・

     広報担当。

     丁寧。

 スーリー:『狂奔』のサブリーダー。

     『狂奔』全体の纏め役。

     サッパリした女性。

 ダッドル:『狂奔』のサブリーダー・

     無表情。





(ベル視点です。)


 二人とも二歩分バックステップ。


 二人は睨み合っています。


 ストルム:「人間相手に本気を出すのは久しぶりだ」


 コナル:「五つの班に分かれてるんだろ?」

 コナル:「訓練で戦闘しないのか?」


 ストルム:「班同士の戦闘は無いな」

 ストルム:「大迷宮は深い」

 ストルム:「俺達は深度を競争してモチベーションを上げている」

 ストルム:「大迷宮に出てくるのは魔物が多いからな、対人戦をしても活かされない」


 コナル:「なるほどね」


 ストルム:「口で会話するのは終わりだ」


 コナル:「拳で会話か?」


 ストルムさんは一歩踏み込んで左拳で突き。


 コナルの右拳がストルムさんの拳を下から上に跳ね上げる。


 ストルムさんの左には体重が乗っていない。


 踏み込みは形だけだ。


 体重は後ろに残っている。


 ストルムさんの体勢は崩れない。


 ストルムさんは右拳で右から左にフック。


 コナルは頭を下げて避ける。


 コナルが避けたタイミングでストルムさんは左拳でショートアッパーを出そうとする。


 ストルムさんの体重が乗る前にコナルは右拳でショートアッパーの横を内に払う。


 コナルはストルムさんの攻撃に対して的確に反応出来ている。


 ”暴食”の最適動作だけの話じゃ無い。


 コナルの戦闘センスは本物だ。


 ストルムさんの攻撃に後から追いついている。


 でもストルムさんに焦りは無さそう。


 構わず攻撃は続く。


 コナルがショートアッパーを潰したと同時にストルムさんは右足でハイキック。


 コナルが左腕で防御するが、体重が乗っている。


 コナルはよろけて右に一歩ズレた。


 かなり威力が大きかったみたいだ。


 防ぎきれていない。


 畳み掛けられるのを嫌ってコナルが攻撃する。


 一歩踏み込んで左拳を突き入れる。


 角度が良い。


 ストルムさんからは拳が点で見えている筈。


 避け難い左がストルムさんの顎にヒット。


 ストルムさんは硬直。


 脳を揺らした見たいです。


 コナルは更に体重を乗せた右拳で顔を殴りつけます。


 ストルムさんの顔が左に跳ねる。


 勝負あったか?


 コナルは攻撃を辞めて様子を見ています。


 どうしたのです?


 なぜやめる?


 ダズ:「効いてないな」


 フレド:「だな」

 フレド:「気持ちよく殴らせて、油断したところを沈めるつもりだったみたいだ」


 ベル:「コナルがそれに気付いたって事ですか?」


 バルド:「ワシには演技してるようには見えんかったがの」


 ネロ(キシ):「対人戦と言うより、喧嘩屋のやり方だね」

 ネロ(キシ):「尻上がりなんだろうさ」


 ファガス:「本気を出す、か」

 ファガス:「人それぞれ、かもな」


 ストルムさんは左フックを出す。


 見え見えの左。


 コナルは誘いに乗る。


 ストルムさんの左フックにコナルは拳を合わせる。


 カウンターだ。


 体重の乗ったコナルの右拳がストルムさんの顔面に刺さる。


 ストルムさんの左もコナルの顔面に刺さっている。


 コナルの頭が後ろに弾ける。


 ダメージを負ったのはコナルだった。


 カウンターのタイミングは完璧だった。


 そう見えた。


 コナルは力の融合をしていた。


 ストルムさんもそうだろう。


 地力の差が大きい。


 技量はコナルに見えていましたが、地力はストルムさんの方らしいです。


 そして、コナルの技量より、ストルムさんのパワーが勝っています。


 技量で上回っている相手を、パワーで捻じ伏せる。


 やる方は楽しいかもですが、やられた方はたまらないな。


 コナル?


 大の字で寝ています。


 自分で立ち上がれないらしいです。


 ストルムさんが手を差し出しました。


 ストルム:「『狂奔』のトップバッターはどうだった?」


 コナル:「あんたなら、キシを止められそうだな」


 ストルム:「お前意外と調子良いな」


 コナル:「……、クッソ」


 ストルム:「そう拗ねるな」

 ストルム:「融合数が足りてないだけだぞ」


 ラドセス:「私たちは長生きですからね」


 スーリー:「まーねー」


 ダッドル:「次誰にします?」


 ジャド:「僕でも良いですか?」


 ネロ(キシ):「良いけど」

 ネロ(キシ):「良い感じに引き分けて」


 ジャド:「出来るかな?」



 スーリー:「舐められてるわよ?」


 ダッドル:「らしいですね」


 コナル:「多重契約だっけ?」

 コナル:「力の融合に自信あるのか?」

 コナル:「興味あるな」


 ベル:「僕らの力の融合では歯が立たないのですか?」


 コナル:「見ただろ?」

 コナル:「地力が違い過ぎる」


 アスマ:「ダッドルさんの実力って、四人のなかでどのくらいなんです?」


 ラドセス:「対人戦では一番強いですね」


 ネロ(キシ):「えー?」

 ネロ(キシ):「引き分け狙えないじゃん」


 ダズ:「お前本気で言ってたのか?」


 フレド:「そうらしい」


 ネロ(キシ):「悪い?」


 ジャド:「僕も辛いんですけど」


 ネロ(キシ):「あー、ごめーん」

 ネロ(キシ):「でもダッドルさんの実力が四人の内で一番なら、最後にお願いします」


 ジャド:「寿命が延びた」


 ダッドル:「良いですよ、いつでもどうぞ」


 バルド:「次はファガスとラドセスさんじゃな」


 ファガス:「その心は?」


 バルド:「その返しめんどくさいのー」

 バルド:「実力の順番的にじゃ」


 ファガス:「訓練ではベルとは引き分けてます」


 ベル:「でしたっけ?」

 ベル:「記憶違いかな?」


 コナル:「お前は負ける」


 フレド:「身内が足引っ張るなよ」


 アスマ:「俺は恥ずかしい」


 コナル:「俺だけ負けとか嫌だわ」


 ファガス:「まーな」


 スーリー:「はは、チーム事情はどこも同じような感じみたいね」


 ガリム:「足の引っ張り合いはウチも一緒じゃ」


 ラドセス:「とっとと始めましょうか?」


 ファガス:「ですね」


 スーリー:「二人とも、完全に殺すつもりの殺気が出てるから言っとく」

 スーリー:「刃は潰してね?」


 ラドセス:「了解」


 ファガス:「おーけー」


 二人はみんなから距離を取る。


 十分離れた所で立ち止まりました。


 草原。


 草は膝まで伸びています。


 殺気は出続けています。


 殺気で攻撃のタイミングをはかることは出来ないでしょう。


 二人は睨み合っています。


 距離は四歩ほど。


 二人共完全融合状態です。


 ラドセスさんは棍を具現化して右手に持っています。


 ラドセスさんは長い棍で突き。


 全然届く距離じゃない、のですが、届きました。


 伸びる棍です。


 ラドセスさんは連続の突き。


 ファガスは槍で弾いて凌いでいます。


 突然ラドセスさんの左右から拳の突き。


 ファガスの足から触手を伸ばして、草を通ってラドセスさん迄伸ばしていたらしいです。


 ラドセスさんは右に左に躱す。


 躱している間にファガスは前進。


 ファガスも棍を具現化。


 棍を上に振り上げて長く伸ばし、下に振り下ろす。


 ファガスの触手もメイスを具現化。


 三方から同時に攻撃。


 ラドセスさんは両手で棍を受け止める。


 触手のメイスは無視。


 触手のメイスでラドセスさんの肩を強く打つ。


 ファガスの棍はかなり重いらしい。


 ラドセスさんの足元はクレーター状に沈み込む。


 ラドセスさんは棍をしっかり掴んでいる。


 ラドセスさんは棍に力を込める。


 一瞬でファガスは持ち上げられた。


 ファガスの触手は攻撃を続けている。


 ラドセスさんは意に介さない。


 空中に投げ出されたファガスをラドセスさんはジャンプで追う。


 跳躍したラドセスさんは棍を右上に振り上げる。


 そのまま思い切り下に振り下ろす。


 ファガスは空中で、両手で棍を受け止める。


 両手で掴んだまま、地面に激突する。


 ファガスの触手が消える。


 ラドセスさんは棍を手放し、もう一本棍を具現化。


 今度は右から左に振り回す。


 ファガスは棍から手を離し、攻撃を結界と左の盾で防御。


 結界を数十展開。


 棍の攻撃は結界を粉砕し、盾ごとファガスの左腕を激しく打ち付ける。


 ファガスは左腕が上がらなくなった。


 ファガスは右腕に槍を具現化。


 ラドセスさんは身を回転させ左から右に棍を振り回す。


 ファガスは一歩踏み込んで槍を投げた。


 ラドセスさんは槍を左から右に弾き、そのままの流れで上に振り上げる。


 ラドセスさんは振り上げた棍を振り下ろす。


 さっきより力が込められている。


 ファガスは右手で棍を受け止める。


 結界は間に合わない。


 右腕一本で受け止められない。


 ファガスの右腕が折れる。


 更にラドセスさんが左から右に棍を振るう。


 ファガスは防御出来ず吹き飛ばされた。


 草原に寝転がったファガスは降参を宣言した。



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