第14話 白い塊
キシ:キシ・ナトハ・ソアミ・カジャー。
『リーベラティーオー』の纏め役。
プロンシキの元英雄。
死兵使い。
ジャド:『マギ』のメンバー。
仮面の男:『復讐者』。
『救世主』とも呼ばれている。
黒巣壱白の分裂した姿。
『能力』が使える。
ベリー:『ウォーターフォックス』のサブリーダー。
キシが具現化した像。
元になった人物にキシが惚れていた。
アイアリ:『ウォーターフォックス』のサブリーダー。
キシが具現化した像。
ジュリット:『ウォーターフォックス』のサブリーダー。
キシが具現化した像。
フレイズ:『マギ』のリーダー。
フェオ:『マギ』の主要メンバー。
男性。
ジャドとは双子の兄弟。
ロメイン:『マギ』の主要メンバー。
女性。
クイン:『マギ』の主要メンバー。
女性。
ジャドが惚れている。
キシいわく、ベリーと雰囲気が似ている、との事。
(アルコル視点です)
シェルミに攻撃を続けている。
シェルミは相変わらず防御しない。
ゆっくり近づいて来るだけ。
同じ事の繰り返しだ。
イライラする。
以前、魔物の王の城に乗り込んだ事がある。
その時こいつは居なかった。
居たのは王と、聖国クリアでレイセ達と戦っていた奴等だ。
俺はあの戦いを最後まで見ていない。
レイセが戦っている期間は長すぎた。
その間、俺の片割れと戦闘を繰り返した。
あいつは弱い。
手加減して様子を見た。
あいつの話はまた別の機会に。
今は魔物の王の事を話す。
魔物の王は俺と一対一で戦闘を行った。
いや、戦闘だと思っていたのは俺だけか。
どんな攻撃を行おうとも、無反応だった。
ただ不気味な笑みを浮かべるだけだ。
俺は面倒になり、奴に接近してグレイフレイムを使った。
通用する。
グレイフレイムは通用した。
但し、燃え尽きなかった。
管理者と同じだ。
寿命が長すぎて、終焉までたどり着かない。
俺は反撃を受けて彼方まで吹き飛ばされた。
シェルミはどうか?
寿命が長いか?
長命種だ。
通常よりかは長めだろう。
結論を言うと、グレイフレイムを使えれば瞬殺出来る。
使えれば。
これは駆け引きだ。
シェルミは緩急をつけた攻撃を仕掛けて来るつもりらしい。
緩急の急に俺が慣れてしまわないよう、細心の注意をしている。
接近戦で、お互いに即死攻撃を繰り出す事が出来るからだ。
そう、勘違いしてはいけない。
もう一人の男の方が遠距離から途轍もない威力の攻撃を出せるのだ。
近距離対応らしいこの女が、同等の攻撃を繰り出せない訳が無い。
俺はシェルミと一定の距離を保っていた。
だがそれももう終わりだ。
俺達はお互いに、徐々に近づき出した。
グレイフレイムの間合いに近づく。
シェルミも何かの攻撃の間合いに近づこうとしている。
勝負の時は近い。
シェルミは我慢強い。
静かだ。
結界の紋様から感じられる狂気とのギャップが酷い。
この女には手を出さない方が良いんじゃないか?
そう、怖気付きそうになる。
グレイフレイムの間合いまであと少し。
スライドを使って急接近を行おうと考えた瞬間だった。
シェルミが動いた。
何か飛んで来た!?
リフレクトを展開したが間に合わない。
複数飛んできて、そのうちの数発がリフレクトの内側に入り込んだ。
俺は左腕で顔を防御した。
何かが俺の腹と腕、足に突き刺さる。
腹には数発入った。
突き刺さったのは、結界を小さく固めた物らしい。
それをショットガンの様に飛ばしてきた。
かなりの威力だ。
もう一回同じ事をされると詰む。
今ので詰まなかったのが奇跡だ。
駆け引きで負けた。
先にやられた。
左腕が上がらない。
腹も重症だ。
右足もダメージを受けているが、スライドがある為なんとかなりそうだ。
しくじった。
恐らく畳み掛けて来る。
スライドを使って、全力で後退する。
自分で勝負を決めるつもりだったが、そうも行かないらしい。
キシが戻って来るまで時間を稼ぐか。
やれやれだ。
全力で後退しているが、シェルミが猛スピードで追いかけて来る。
シェルミがゆっくりと移動していた時から誘導されていたらしい。
一直線に後退すると、障害物が多い。
サテライトで先回りしてルートを選び出しているが、ギリギリだ。
時々追いつかれて、ショットガンを撃たれている。
無限に撃てるらしい。
完全にしてやられた。
ひたすら後退を続けた。
キシ。
時間だ。
もういいだろ?
後ろに下がるのは苦手だ。
早く来い。
瞬間移動でキシが姿を現した。
雨と神獣を使って高速移動で俺と追いつく。
やっとかよ。
キシ:「間に合った?」
アルコル:「遅い」
キシ:「少しは喜んでよ」
アルコル:「さっさと武器化しろ」
キシ:「仕方ないなー」
キシは刀になった。
同時にカインが瞬間移動して出て来る。
俺は横に一閃。
掴んだ刀を振り抜く。
シェルミとカインを同時に攻撃範囲に捉えた。
武器化したキシの刀での攻撃は、二人にダメージを与えるだろう。
俺の斬撃は必殺だ。
これで勝負が決まる。
だが、斬撃は二人には命中しなかった。
キシは武器化を解いた。
勝負は決しない。
厄介な事になった。
(キシ視点です)
予定通り事が運び、武器化した。
そして仮面の男の攻撃。
完璧だった。
あの白い塊以外は。
僕が武器化しようとした場所に最初からあった。
グニュグニュと蠢いていた。
仮面の男が攻撃した瞬間、白い塊から触手が伸び、斬撃を掴んだ。
触手には指があった。
斬撃は止められた。
指で。
摘まむように。
そして、指を起点に、姿が形成される。
不気味な男だった。
黒い角の生えた、白装束の男。
まさか。
魔物の王か?
本人が出て来たのか?
勘弁してくれ。
ロレアムド:「ハ、ハ、ハ、ハ、ハ」
男は笑い出した。
不気味な声だ。
だが、不思議と嫌な感覚は無い。
負の感情の神。
意外と気が合うかもね。
ゾクゾクする。
シェルミ:「お待ちしていました」
カイン:「同じく」
ロレアムド:「予想通りになっただろう?」
シェルミ:「まさにおっしゃっていた通りです」
カイン:「お手を煩わせないように微力を尽くしてはいたのですが……」
ロレアムド:「いい」
ロレアムド:「そうなる」
キシ:「勝負を急いでたのって、お手を煩わせない、とかの理由?」
シェルミ:「よくわかったわね」
キシ:「最初から言っといてよ」
キシ:「逃げられないじゃん」
カイン:「逃がすつもりは無い」
ロレアムド:「久しぶりだな」
アルコル:「…………」
ロレアムド:「前回見逃してやったのが不満か?」
アルコル:「うるさい」
キシ:「おい」
キシ:「武器化は後一度が限度だ」
キシ:「お前の攻撃力が高すぎる」
キシ:「耐えられない」
アルコル:「だろうな」
アルコル:「俺はアルコルと名乗ることにした」
アルコル:「そう呼べ」
ロレアムド:「また遊んでやる」
アルコル:「チッ」
ロレアムド:「手は出すなよ?」
ロレアムド:「成長を確かめる」
シェルミ・カイン:「「仰せのままに」」
僕は武器化した。
アルコルが刀に武器化した僕を構える。
ロレアムドに緊張は無い。
左右に配下を従えて、リラックスしている。
武器も具現化していない。
アルコルはあっさりと刀の間合いまで近づいた。
ロレアムドは腕を組んでいる。
アルコルは刀を左から右に抜刀。
ロレアムドは、異常に体を傾かせ躱す。
スレスレで躱しているが、あえてそうしているのだろう。
だが、躱す事で解った。
攻撃が通用するのだ。
アルコルは続けて、右から左へ、左から右へ、上から下へ、下から上へ、連続攻撃。
ロレアムドは、アルコルが繰り出す攻撃をことごとく躱す。
数分間、ロレアムドは攻撃を躱し続けた。
不意に、ロレアムドはバックステップして、アルコルから離れた。
ロレアムドの額から、黒い液体が垂れている。
血か?
アルコルがロレアムドの想定を超えたのか?
ロレアムド:「この傷は消さないでおいてやる」
ロレアムド:「お前の成長を楽しみにしている」
ロレアムド:「足掻け」
ロレアムドがそう言うと、三人は霧に成って空間に溶けて消えた。
僕は限界が来た。
武器化を解いた。
キシ:「倒せなかった、か」
アルコル:「次に会った時は必ず殺す」
キシ:「じゃー、レイセと共闘するまで会えないね」
アルコル:「お前、武器化はあれが限界か?」
キシ:「だわ」
キシ:「今はあれで限界」
キシ:「残念ながら」
アルコル:「短すぎる」
アルコル:「それに全力で振れていないぞ」
キシ:「わかってる」
キシ:「手はある」
キシ:「心配するな」
アルコル:「……」
アルコル:「次のダンジョンに向かう」
キシ:「もう?」
キシ:「早くない?」
アルコル:「『マギ』に合わせる顔が無い」
アルコル:「上手くやれ」
キシ:「そんなの、僕だって嫌だよ」
アルコル:「じゃーな」
キシ:「おい!」
キシ:「ちょっと待て!」
アルコルは空を駆けて行った。
はーあ。
なんて説明しよう。
一応、魔物の王からの襲撃を退いた事になるのかな?
もう来ないよね?
だよね?
しょうがない。
うまくハッタリかますか。
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