第11話 七つの大罪
レイセ:レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。
黒戸零維世。
連合国クロトと聖国クリアの王。
リビア:聖国クリアの元代表。
レイセと結婚している。
ニーナ:ニーナ・アイマー。
黒戸美月と融合した。
アリア:アリア・アランテ。
篠宮美弥子と融合した。
ニーナとは幼馴染。
プロミ:プロミネンスの略で通り名。
本名はルビー・アグノス。
黒崎鏡華。
月と太陽の国アウグストラの女王。
国では現人神と扱われている。
コナル:青井友介。
連合国クロトの戦闘顧問。
黒戸美月が気になる。
ファガス:黄山十夜。
海洋国家ドバスカリの重要処。
リアンナと婚約した。
ベル:黒沼直樹。
聖国クリアの守護者長の纏め役。
ランと結婚した。
物理と数学の教師。
カー:聖国クリアの守護者長。
ベル、ラン、とは兄妹同然で育った。
琥珀聖。
魔法タイプ。
キシ:キシ・ナトハ・ソアミ・カジャー。
死兵国プロンシキの英雄だった。
死兵使い。
ネロ:氷上国家カハの王。
『ディープフォレスト』のリーダー。
文武に優れたカリスマ。
俺達は城の会議室に通された。
広い会議室だ。
『ディープフォレスト』のメンバーらしき人物達が立ったまま待っていた。
ネロ:「私が王のネロです」
シウロ:「宰相のシウロだ、よろしく」
クター:「文官長のクターです、どうも」
シャギ:「シャギです、守護者長を仰せつかっております」
この場には他に四人の女性がいるが彼女らの紹介は無いらしい。
レイセ:「ご丁寧にありがとうございます」
レイセ:「連合国クロトと聖国クリアの王、レイセです」
ファガス:「海洋国家ドバスカリの宰相ファガスです、よろしく」
コナル:「連合国クロトの武術指南役、コナルです」
ベル:「聖国クリア守護者長代表のベルです、どうぞよろしく」
カー:「聖国クリア守護者長カーです、よろしくおねがいします」
アリア:「『フィナリスラーウム』アリアです」
ニーナ:「『フィナリスラーウム』ニーナです」
ニーナが挨拶したところで、会議室の扉が開いた。
中に入って来る。
キシ:「やー、ごめんごめん」
キシ:「タバコ吸ってたら、時間過ぎてた」
レイセ:「どこの銘柄のを吸ってるんだ?」
キシ:「貿易を制限しないんだろ?」
キシ:「君の予想通り、ノキシュ産の良い奴さ」
レイセ:「お前だけ値段を倍にしたい」
キシ:「いいからさっと座ろうよ」
全員席に座った。
ファガス:「相変わらずだな」
コナル:「さっそくペースを乱して来る」
キシ:「あれ?」
キシ:「プロミは?」
レイセ:「置いてきた」
レイセ:「嫌な予感がしてな」
キシ:「負ける所を妻には見せられないもんね?」
レイセ:「彼女には嫌われたく無いんだろ?」
レイセ:「安心した顔してるぞ」
キシ:「…………、まあね」
ネロ:「どうやら顔見知りみたいですね」
ネロ:「紹介は必要なさそうだ」
キシ:「忠告は無視か」
クター:「キシ、貴方には恩義がありますが、少し黙って頂いてよろしいか?」
キシ:「へー、へー、仰せのままに」
シウロ:「本題に入らせてもらう」
シウロ:「我が国は独立国家だ」
シウロ:「管理者の選定に協力したくない」
シウロ:「しかし、ダンジョンを保有している以上どちらかの勢力に加担しなければ侵略の恐れがある」
シウロ:「我々には『フィナリスラーウム』の有利に見えている」
シウロ:「『リーベラティーオー』への協力には利が無さそうだ」
ネロ:「『ウォーターフォックス』には、魔物の王の配下の侵攻から守って頂いた恩義がある」
ネロ:「管理者の席は三席」
ネロ:「現勢力なら仮面の男が一席を確保できるでしょう」
ネロ:「三席目を争う理由は何でしょう?」
ネロ:「管理者の選定に参加するにはその理由を明らかにしておきたい」
おかしい。
キシが手を打っていない。
この流れは俺達に有利過ぎる。
どうなっている?
キシ:「仮面の男、『救世主』は管理者になり、不要な管理者を排除する」
キシ:「僕が三席目の管理者になり、その手伝いをしたい」
レイセ:「仮面の男は『復讐者』だ」
レイセ:「管理者になり、全ての管理者を殺したいだけだ」
レイセ:「管理者が『復讐者』だけになったら世界が滅ぶ」
レイセ:「俺は三席目に『復讐者』の半身を立て、復讐をやめさせたい」
ネロ:「どちらも信じるに足る情報が無い」
???:「くっ、はははは」
???:「面白い事考えるぜ」
???:「俺が答えてやる」
???:「発言が正しいのはレイセだぜ」
いつの間にか青年がイスに座り、机に脚を乗せてそこにいた。
キシ:「あは、やられたー!」
レイセ:「どういう事だ?」
キシ:「やっぱり物語の主人公はレイセ、君だ」
キシ:「君が死ぬのを嫌がってる」
青年:「まだバランサーに気付かれていない」
青年:「キシ、俺はお前を殺しておきたい」
青年:「命乞いをしろよ」
キシ:「ふふふ」
キシ:「レイセと正々堂々の一騎打ちをやるよ」
キシ:「既定路線だろ?」
キシ:「勝負の後も、そのまま返してやる」
キシ:「文句あるかい?」
レイセ:「管理者、説明を」
青年:「レイセ、俺が来なきゃ皆殺しに合ってたぞ」
青年:「『ディープフォレスト』は全滅した」
青年:「キシが操っている」
キシ:「僕はこの場に一人で来たんだ」
キシ:「仲間を連れて来るなんて酷いじゃ無いか」
キシ:「勝負の後、組んで殺されかねないから先に勝負を仕掛けた」
キシ:「互角の勝負に持って来れた、と思ったんだけど……」
キシ:「運が良かったね」
青年:「キシ、お前は面白いが、その流れだと俺が殺される可能性がある」
青年:「看過は出来ないぜ」
レイセ:「『ディープフォレスト』全員を操ってるのか?」
レイセ:「生きてるようにしか見えないぞ」
レイセ:「脳は持つのか?」
キシ:「何事もやれば出来るさ」
レイセ:「氷上国家カハは取られた」
レイセ:「このまま帰っていいか?」
キシ:「ダメだね」
青年:「ダメだ」
青年:「俺が見たい」
レイセ:「言ってみただけだ」
ファガス:「めちゃくちゃやりやがる」
コナル:「鳥肌が止まらない」
ニーナ:「印象最悪なんですけど」
アリア:「管理者もまともじゃ無いわね」
ベル:「昨日の夜で勝負が決していた訳か、不覚です」
カー:「なにをして来るかわからない、警戒を」
ネロ:「では訓練場に案内します」
シウロ:「どうぞこちらへ」
青年が監視している。
罠に嵌められる事は無いのだろう。
言われるまま後に続いた。
訓練場に移動すると、青年がイスに座って待っていた。
バランサー:「間に合いませんでしたか……」
青年:「態と遅れて来たんじゃ無いのか?」
バランサー:「まさか、私は中立です」
青年:「勝負を止めるか?」
バランサー:「レイセ、どうします?」
レイセ:「勝負しないとな」
レイセ:「ここで引くようなら、今後勝てないだろ」
レイセ:「やるしかない」
キシ:「そうだね~、やるしかないね~」
レイセ:「ルールは?」
キシ:「一撃入れた方の勝ちでどうだい?」
レイセ:「それでいい」
瞼を閉じる。
呼吸も止める。
最初から全力で行く。
訓練場の中央に向かって歩く。
キシが中央で待っている。
剣を前に出す。
キシの剣が俺の剣に触れたら、始まる。
キン。
瞬間移動。
キシは左利きだ。
椅子を引く時毎回左手を使っていた。
動作に不自然さは無かった。
隠す気が無い。
その可能性が高い。
左で剣を扱うのに慣れてそうだ。
普段右で盾を使ってる筈。
奴の左側に出て振り下ろす。
剣はバスタードソード。
両手で握って全力の振り下ろし。
奴は左を向き、大盾を作って防御。
具現化スピード。
防御スピード。
どちらも速い。
動作が最短距離を無駄なく通って来る。
巻き戻しみたいにスムーズだ。
防ぎ方だけがイマイチ。
奴は二歩後退した。
奴は左足を一歩踏み出した。
右の二歩目で消えた。
俺の真後ろだろう。
振り返って突きを上に弾く。
奴は消える。
おそらく俺の左側空中だ。
素早く左を向いて、右薙刀で振り上げる。
盾を前に出して上から斜めに降りてきた。
俺は左に槍を出し、渾身の突き。
突きが触れる瞬間消えた。
また左側。
攻撃が到達するタイミングと瞬間移動するタイミングがチグハグだ。
だから間に合う。
目線と瞬きで位置とリズムが読める。
奴は学習している。
瞬間移動は初めてだろう。
”強欲”の模倣だ。
動作が最適化されているのは”暴食”。
予想は”アタリ”らしい。
奴が手堅く勝ちに来るなら、”嫉妬”の先読みを使おうとする。
俺の予想では、奴は七つの大罪を全て持っている。
すでに”傲慢”の運動限界維持と”憤怒”の瞬発力は併用しているだろう。
長引くと”怠惰”の性能勝負になる。
程よく”強欲”で模倣し、早めに”嫉妬”の先読みで勝負を仕掛けて来るだろう。
全ての大罪を克服し操ってるのは凄いが、対応出来ない訳じゃない。
俺は仲間との訓練で対応がわかっている。
ニーナは”嫉妬”を使ってくるが、俺は負けない。
”嫉妬”の先読みは、『能力』じゃない。
俺の動作を分析し、癖から先を読むだけだ。
俺の癖を読み取れるか?
出来ないだろう。
俺に模倣で追いついている時点で”嫉妬”は俺に届かない。
奴が次に瞬間移動した後、仕留める。
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