『ジ ワン』～神獣との契約者、不老の人外は挑み続ける～

第7話 意思統一

　レイセ：レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

　　　　　黒戸零維世。

　　　　　連合国クロトと聖国クリアの王。

　リビア：聖国クリアの元代表。

　　　　　レイセと結婚している。

　プロミ：プロミネンスの略で通り名。

　　　　　本名はルビー・アグノス。

　　　　　黒崎鏡華。

　　　　　月と太陽の国アウグストラの女王。

　　　　　国では現人神と扱われている。

　リアンナ：リアンナ・ドバスカリ。

　　　　　　海洋国家ドバスカリ女王。

　　　　　　黒沢香織。

　　　　　　ファガスと結婚。

　ダズ：聖国クリアの代表代理。

　　　　クリアの元上司。

　　　　アリアにプロポーズした。

　フレド：フレドリック・ユルロア。

　　　　　ピナンナと結婚。

　　　　　連合国クロトの守護者長の纏め役。

　アリシア：アリシア・ノキシュ。

　　　　　　レイセの孫。

　　　　　　血は繋がっていない。

　　　　　　『悠久の旅人』所属。

　バルド：バルド・ゼード。

　　　　　少年になるまでレイセを育てた。

　　　　　一章で爺と表記されていた人物。

　クルダム：クルダム・ゼロス。

　　　　　　連合国クロトの文官長。

　　　　　　宰相。

　　　　　　長身。

　　　　　　痩躯。

　　　　　　傑物。

　　　　　　契約者。

　ロウエル：ロウエル・ノキシュ。

　　　　　　商業都市ノキシュの代表。

　　　　　　レイセの孫の系譜。

　　　　　　契約者。

　レイ：レイ・サファー。

　　　　『光の旋律』リーダー。

　　　　チーム内で突出した実力を持っている。

　ロミール：チーム『創聖』のリーダー。

　　　　　　零維世と美月を崇拝している。

　　　　　　女性。

　　　　　　融合者。

　リトアニ：魔道国家ネストロスの宰相。

　　　　　　長髪の美形。

　　　　　　ナルシストでもない。

　　　　　　非常に有能。

　バラック：バラック・ネストロス。

　　　　　　魔道国家ネストロス国王。

　　　　　　魔道具大好き。

　　　　　　契約者。

　クラウシア：武闘国家メロイリスの国家長。

　　　　　　　戦闘狂の脳筋達を話術だけで説き伏せて国とした。

　ダリドベ：武闘国家メロイリスの守護者長のまとめ役。

　　　　　　クラウシアに惚れている。

　　　　　　常識人。

　バルドから説明を受けた。

　他のチームは皆、俺達がセラリアを完全攻略した際のレポートに衝撃を受けたらしい。

　殆どのチームはダンジョンを完全攻略する事がゴールだと思っていた。

　神獣との契約をどうにか出来ると考えていたそうだ。

　俺の書いた『異世界転生録　ロストエンド』は問題にされてなかったらしい。

　しかし、レポートを読んで完全攻略がゴールという考えを変えるしか無かった。

　あのレポートには、ダンジョンの攻略は選定の始まりでは無いか？

　再生力の高い魔物や魔物の王なんかの強敵を倒す為の訓練場じゃ無いか？

　そんな予想も書いておいた。

　その為、普通のダンジョンではなく、大迷宮の攻略に乗り出したチームがあるらしかった。

　そんな時期にあのホログラムだ。

　大迷宮が選定に関わらないと明言していた。

　そして、選定を予言していた『異世界転生録　ロストエンド』に注目せざるを得なくなった。

　バルドやアリシアがリーダーのギレイを説得できたのはこの為だ。

　それまでも説得しようとしていたが跳ね除けられていたらしい。

　ちなみにギレイは契約を解除したい訳じゃ無い。

　単に俺が信じられなかっただけだ。

　とにかく、ダンジョンに潜っていたチームは、管理者の選定に乗り出すか、大迷宮の攻略を続けるか、検討中だ。

　以前名前を挙げたチームだと、『クレイモア』が武闘国家メロイリス、『創聖』が聖国クリア、『トパーズ』が連合都市ゼススト、『マギ』が魔道国家ネストロス、『静寂（しじま）』がロベストロニア帝国、『ディープフォレスト』が氷上国家カハ、『狂奔』『トゥエルブ』『アビス』『メメント・モリ』が大迷宮にいるらしい。

　大迷宮の存在は、老人の管理者が話すまで知らなかったが、他のチームには周知されていたらしい。

　南大陸の東にある、険しい山の頂上が入り口との事だ。

　他のダンジョンとは根本的に別物との事。

　あのホログラムの告知により、大迷宮の四チームも選定に乗り出す可能性がある。

　バルドの話は大体こんな感じだった。

　さっき話に出た、『マギ』はダンジョン攻略によって契約解除を狙っていたチームだ。

　俺達『フィナリスラーウム』は契約解除を目的としていない。

　『マギ』とは考えが合わない。

　俺達『フィナリスラーウム』のメンバーは、口には出さないが、永遠を信じていない。

　たとえ不老となろうとも、永遠に魂が続くとは考えていない。

　いつか終わりが来る。

　管理者にも終焉があるんだ。

　俺達にもきっとその日は訪れる。

　生きれるだけ、生きるだけだ。

　この『トゥルーオーシャン』は過酷な世界だ。

　魂が擦り切れる前に、何らかの方法で死ぬだろう。

　だからと言って、死を受け入れた訳じゃ無い。

　抗い続ける。

　話が逸れた。

　とにかく、この分だと協力関係を築けるチームは少ないという事だ。

　殆どのチームは契約解除を狙っている。

　メロイリスの『クレイモア』も協力してくれるか不明だ。

　明日の会議までにこの情報が得られたのは運が良かった。

　アリシアと戦ってわかった事がある。

　俺達『フィナリスラーウム』の実力は、アリシアと同じステージだ。

　決して突出している訳じゃ無い。

　アリシアが強いと言っても、バルドだって同じステージだ。

　ならば他のチームも同様に同じステージの筈だ。

　レイも同じステージだった。

　一応確認しておこう。

　レイセ：「アリシア」

　レイセ：「確認して良いか？」

　アリシア：「なに？」

　アリシア：「レイセ」

　レイセ：「お前は他のチームのリーダーと戦ったこと有るか？」

　アリシア：「今残ってるチームとは無いわ」

　レイセ：「解散したチームが有るのか？」

　アリシア：「ほとんどが解散したわ」

　アリシア：「ダンジョンの完全攻略を果たせるチームだけ残ったの」

　レイセ：「お前達は何処のダンジョンを攻略したんだ？」

　アリシア：「ここよ、聖都クリア」

　レイセ：「決闘を断られた理由は？」

　バルド：「これ、レイセ」

　バルド：「アリシアを狂犬扱いするな」

　バルド：「アリシアは相手を選ぶ」

　バルド：「アリシアから仕掛けるのは稀じゃ」

　バルド：「わしら『悠久の旅人』は世界を見て回り、最後に自分たちの国を造るのが目的じゃった」

　バルド：「その説明は、後日ギレイがする予定じゃ」

　レイセ：「そうか」

　レイセ：「目的を曲げてくれたのか……」

　バルド：「まあそういう事じゃ」

　レイセ：「アリシア、悪かったな」

　アリシア：「いいよ、お爺ちゃん」

　レイセ：「明日の会議に、ギレイも呼んでくれるか？」

　バルド：「もしかして、ギレイが王に成りたがってると思ったかの？」

　レイセ：「違うのか？」

　アリシア：「違うわ」

　アリシア：「ギレイはバルドを推してたの」

　バルド：「『悠久の旅人』から一人出席となると、わしになるじゃろうな」

　レイセ：「じゃ、バルド」

　レイセ：「頼む」

　バルド：「引き受けた」

　レイセ：「他のチームも呼んどこう」

　レイセ：「ちょっとハズすぞ」

　レイセ：「訓練を続けてくれ」

　『光の旋律』のレイと連絡が取れた。

　明日出席してくれるらしい。

　『創聖』のロミールにも連絡した。

　ロミールも出席してくれる。

　他のチームが同程度の実力かハッキリしなかった。

　だが、まあ、間違って無い筈だ。

　俺達『フィナリスラーウム』は、自分たちの力を過信してはいけない。

　アリシアより強い奴がいないなんてことは無いだろう。

　『狂奔』のラドセスなんかは当時俺より強かったしな。

　その後、俺は訓練場に顔を出し、ダズと五分五分の勝負を続けた。

　決着が着かないまま時間切れになり、全員で食事に行って、風呂入って、寝た。

　人事は尽くした。

　天命を待つのみだ。

　＊ 　　　　＊

　集まったのは、ダズ、リビア、フレド、クルダム、ロウエル、プロミ、リアンナ、レイ、バルド、ロミール、そして、クラウシア、ダリドベ、バラック、リトアニだ。

　皆が席に着いた。

　会議室の長机を四角に配置して、全員同じ立場で話し合う。

　メロイリスとネストロスからは融合者のチームが来なかった。

　出来る限り出席して欲しいと連絡していたのだが……。

　連絡が急過ぎたか？

　リアンナ：「じゃ、始めるわ～」

　リアンナ：「簡単に言えば、私達『フィナリスラーウム』に対してメロイリスとネストロスがどう対応するか？　って事ね」

　リアンナ：「今までの協力と、これからの協力は意味合いが違ってくるものね～」

　リアンナ：「サクサク進めるわよ～」

　リアンナ：「クラウシア、貴方の国の考えは？」

　クラウシア：「その前に確認させて頂きたい」

　クラウシア：「『フィナリスラーウム』はクロト王を推すんだな？」

　リアンナ：「そうよ～、聖国クリア、連合国クロト、商業都市ノキシュ、月と太陽の国アウグストラ、海洋国家ドバスカリは、レイセ・クリア・クロト・ノキシュを推すわ」

　クラウシア：「そうか」

　クラウシア：「ならば答えは決まっている」

　クラウシア：「我が国もそこに加わろう」

　リアンナ：「一応理由を聞いておくわ～」

　クラウシア：「情けない理由だ」

　クラウシア：「私は自国を治めるので精一杯」

　クラウシア：「とても管理者になる器では無い」

　クラウシア：「管理者は、レイセ・クリア・クロト・ノキシュでも苦しいんじゃないか？」

　レイセ：「まあな」

　レイセ：「どういう役目なのか具体的な事は全然だからな」

　リアンナ：「メロイリスの理由は『フィナリスラーウム』の理由とほぼ同じね～」

　リアンナ：「他に推せそうな人物が見当たらない」

　リアンナ：「じゃ～、ネストロスはどうかしら～？」

　バラック：「クラウシアと同じだな」

　バラック：「我が国も『フィナリスラーウム』に加わる」

　バラック：「理由も同じだ」

　バラック：「クロト王を推すのにも賛成だ」

　本当に納得しているかは不明だ。

　話を合わせるしか無いのかも。

　しかし、これ以上探る事も不可能だ。

　信じるしかない。

　意見が割れなかっただけでも上出来かもな。

　リアンナ：「うふ、話が早くて助かるわ～」

　リアンナ：「それじゃ、次の議題」

　リアンナ：「融合者チームの代表を連れてきて欲しいって話だけど～」

　クラウシア：「『クレイモア』とは協力関係にある」

　クラウシア：「クロト王を推す事に異論は無いらしい」

　クラウシア：「彼らは現在メロイリスのダンジョン攻略を行っていて出席できなかった」

　リアンナ：「クラウシアの事情はわかったわ～、ネストロスの『マギ』はどうなったの～？」

　リトアニ：「王に代わって俺が説明する」

　リトアニ：「『マギ』はあくまでも契約解除を目指すらしい」

　リトアニ：「考えが『フィナリスラーウム』と合わない」

　リトアニ：「協力関係は解消になってしまった」

　リアンナ：「メロイリスとネストロスが加わって良かったわ～」

　リアンナ：「『マギ』は残念だけど～」

　リアンナ：「確認事項はこれで終わりね～」

　レイセ：「本題は全て終了したが、せっかく皆が揃っている」

　レイセ：「これからどう進めて行くかを詰めときたい」

　会議はまだ続く。