第6話 創聖

 レイセ:レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     黒戸零維世。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

 リビア:聖国クリアの元代表。

     レイセと結婚している。

 プロミ:プロミネンスの略で通り名。

     本名はルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     国では現人神と扱われている。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ。

      海洋国家ドバスカリ女王。

      黒沢香織。

      ファガスと婚約。

 ニーナ:ニーナ・アイマー。

     黒戸美月と融合した。

     五章主人公。

 アリア:アリア・アランテ。

     篠宮美弥子と融合した。

     ニーナとは幼馴染。

 コナル:青井友介。

     連合国クロトの戦闘顧問。

     黒戸美月が気になる。

 ファガス:黄山十夜。

      海洋国家ドバスカリの重要処。

      リアンナと結婚した。

 ベル:黒沼直樹。

    聖国クリアの守護者長の纏め役。

    ランと結婚した。

    物理と数学の教師。

 ラン:聖国クリアの守護者長。

    案内人最後の七人の内の一人。

    案内人時代はリビアが師匠。

 ダズ:聖国クリアの代表代理。

    クリアの元上司。

    アリアにプロポーズした。

 フレド:フレドリック・ユルロア。

     ピナンナと結婚。

     連合国クロトの守護者長の纏め役。

 アル:聖国クリアの守護者長。

    案内人最後の七人の内の一人。

    戦闘は魔法タイプ。

    好戦的。

 ボーデン:ボーデン・バレット。

      フレドの補佐。

      元冒険者。

      戦闘は魔法タイプ。

 アリシア:アリシア・ノキシュ。

      レイセの孫。

      血は繋がっていない。

      『悠久の旅人』所属。

 バルド:バルド・ゼード。

     少年になるまでレイセを育てた。

     一章で爺と表記されていた人物。

 ナナ:聖国クリアのメイド。

    レイセ担当なので結構偉いかも。

    詳細は決まってません。





 俺は玉座で待つ。


 リビアとダズが来た。


 玉座に座るのも慣れてきた。


 リビアとダズが両隣に立つ。


 リビア:「勢いに押されないで下さいね」


 ダズ:「俺は話した事ないが、噂で聞いてるからな」


 レイセ:「何だよ」

 レイセ:「脅すなよ」


 ナナ:「お通ししてよろしいですか?」


 レイセ:「ああ、頼む」


 ナナが扉の兵士に頷く。


 兵士が扉を開ける。


 五人組が中に入って来る。


 足取りはゆっくりだ。


 緊張は少しだけ。


 一番前を歩く女性の足が震えている。


 彼女がロミールだろう。


 俺達に緊張するなんて、なんだか申し訳ない気がする。



 五人は俺達の前に、横一列に並んだ。


 ロミールだけ一歩前に出る。


 全員が頭を下げて片膝を付く。


 レイセ:「面を上げてくれ」


 五人:「はっ!」


 全員が顔を上げる。


 面倒なやり取りは必要無いと解ってるらしい。


 レイセ:「早速本題に入らせてもらう」

 レイセ:「我々に協力してもらえるらしいな?」


 ロミール:「そ、それは、もちろん!」


 ロミールの目から涙が零れ落ちる。


 俺はリビアを見た。


 彼女は微笑んでいる。


 リビア:「ロミール、泣いてはいけません」


 ロミール:「リビア様、む、無理です!」


 リビア:「ロミールは、ちょっと無理そうですね」

 リビア:「ロイド」

 リビア:「貴方が話しなさい」


 ロイド:「はっ!」

 ロイド:「我々『創聖』は『フィナリスラーウム』に忠誠を誓います!」


 レイセ:「それは良いが……」

 レイセ:「なんだか大袈裟だぞ」


 ゲンシュ:「発言宜しいでしょうか!?」

 ゲンシュ:「大袈裟ではありません!」


 ゲンシュも涙を流す。


 ロイド:「我々『創聖』は、二度、貴方に助けられています」

 ロイド:「貴方に救われた」

 ロイド:「我らの命、貴方に捧げます!」


 レイセ:「っふ、ははは、面白い奴らだな」


 ダズ:「レイセ、彼等は真剣だ、笑うな」


 レイセ:「そう言うな」

 レイセ:「二度ってのは、三百年程前のと、この間の戦争だろ?」


 ロイド:「その通りです!」


 レイセ:「声がデカい」

 レイセ:「一度目は仲間の為だった」

 レイセ:「二度目は責任を果たそうとしただけだ」

 レイセ:「カインとシェルミを救えなかった」

 レイセ:「二度もだ」


 ロミール:「ですがっ!!」


 ロイド:「我々は救われた!」


 ぺセシュ:「『異世界転生録 ロストエンド』を拝読致しました」

 ぺセシュ:「素晴らしかった」


 ドミー:「それ!」

 ドミー:「俺が言いたかった!」


 ロミール:「我々が貴方を管理者に押し上げます!」


 レイセ:「管理者な」

 レイセ:「あれは、物語を面白くするために書いただけだ」

 レイセ:「真に受けるな」


 ロミール:「ど、どういう事です!?」


 レイセ:「リビア、彼等はどの程度知ってるんだ?」


 リビア:「あまり詳しくは無い筈です」


 ダズ:「こいつらは俺を怖がって近づいて来なかったしな」


 ロミール:「そんな、恐れ多い!」


 レイセ:「実力を試そうと思ってたが、まず説明しないとな」


 リビア:「そうですね」


 ダズ:「体を動かしたらリラックスできないか?」


 レイセ:「お前結構脳筋だな」


 ダズ:「誰がだ」


 リビア:「会議室に移動します」

 リビア:「上から見下ろすのは疲れます」


 レイセ:「ナナ、会議室に移動したい」

 レイセ:「準備してくれないか?」


 ナナ:「承知いたしました」

 ナナ:「しばらくお待ちください」



 無言の中、嗚咽だけが響く。



 プロミを呼ぶべきだった。


 ファンだと?


 ファンで済むか!


 命を捧げるとか、狂信者じゃないか!



 ま、王って本来はこうなんだろうな。

 

 俺に威厳が無い理由がわかった。


 俺に威厳は必要ないな。


 気にするのをやめよう。


 何か気がまぎれる話を振ってみるか。


 レイセ:「お前ら、向こうでの俺を見た事あるんだよな?」


 ロミール:「週に一度は!」


 レイセ:「おお!」

 レイセ:「見てくれてるんだな」

 レイセ:「あれは目立つためにやってるんだ」


 ロイド:「と、言うと?」


 レイセ:「向こうで目立ったら、融合者が仲間になるかもだろ?」


 ロイド:「では、美月様もですか?」


 レイセ:「あいつは本気で芸能人する気らしい」


 ドミー:「美月様が初めて歌った生放送の現場にいました」


 ロミール:「え!?」


 ロミールが振り返る。


 殺気が出ている。


 ドミー:「だから言わなかったんだよ」

 ドミー:「ロミール、殺気!」


 殺気は収まってない。


 強まった。


 ドミー:「飛び掛かって来ないでくれよ、王の前だぞ」


 王の前、って単語で殺気が収まった。

 

 ドミー:「美月様の歌を聞くと、白い花の中に置かれたピアノが見えたんですが、あれは?」


 レイセ:「美月は歌にイメージを乗せることが出来る」

 レイセ:「現世では効果が薄まるが……」


 ロイド:「現世では、ですか?」


 レイセ:「こっちではニーナだな」

 レイセ:「後で会わせてやる」

 レイセ:「歌が聞きたかったら、本人に言ってくれ」


 ペセシュ:「私、倒れそう」


 ゲンシュ:「俺も」


 ナナ:「準備が整いました」


 レイセ:「ついて来てくれ」




 *    *




 会議室で説明した。

 

 三時間掛かった。


 疲れた。


 ベルが黒羽学園の教師って事すら知らなかったらしい。


 現実を受け入れるのには時間が必要そうだった。


 実力を試すのは後日に成った。

 

 


 訓練場に戻って来た。


 ベル:「えらく時間が掛りましたね」


 レイセ:「お前、自分の素性くらい話しといてやれよ」

 レイセ:「親しいんだろ?」


 ベル:「彼らはお互いの素性を話し合って無いので、こっちもそうしていたんですが……」


 レイセ:「それでか」

 レイセ:「俺の事は素性が広まってるから、説得が大変だったぞ」


 ベル:「元中学生作家の芸能人が、二国の王ですものね」

 ベル:「納得です」


 レイセ:「ニーナの事も何も知らないし」


 ニーナ:「え?」

 ニーナ:「私の話が有ったの?」


 レイセ:「黒戸美月がニーナ・アイマーで、気軽に歌うって説明しただけでフリーズした」


 ニーナ:「うふふ、ファンだね」


 レイセ:「五人ともだぞ」


 ニーナ:「で?」

 ニーナ:「その『創聖』は?」


 レイセ:「一旦帰した」

 レイセ:「情報を整理する時間が必要そうだったからな」


 ファガス:「実力は?」


 レイセ:「かなりやるな」

 レイセ:「この中に負けてる奴もいる」


 コナル:「はは、俺もその負けてる奴に入って無いだろうな?」


 レイセ:「落ち着いたら連絡するように言っといたから、連絡が来たら試せよ」


 ダズ:「戦力が整ってきている、と思ってるが、お前はどう考えてるんだ?」


 レイセ:「最悪を想定すると、足りないな」

 レイセ:「明日の会談で、メロイリスとネストロスが正式に『フィナリスラーウム』に加わっても、最悪を想定すると足りない」


 プロミ:「先の事考えるのは良いけど、明日の事も考えてよね」


 レイセ:「明日な」

 レイセ:「俺動けるかな?」


 アリシア:「私の所為にしないでよ?」


 レイセ:「そういう意味じゃない」

 レイセ:「意見が割れた時、発言出来るかって事だ」


 バルド:「二国持ってるからじゃろ?」


 レイセ:「そうだ」

 レイセ:「商業都市ノキシュも持ってるしな、実質三国だ」


 リビア:「プロミもプロンシキを併合したし、五国と言っても過言じゃ無いですね」


 アリシア:「発言力が強い事の何が問題なの?」


 リアンナ:「しっかり議論しとかないと、統制が取れないのよ~」

 リアンナ:「長い物に巻かれただけの国は脆いわよ~」


 アリシア:「ああ、そういう事ね」


 リアンナ:「司会進行は私がやる予定なの」


 レイセ:「準備期間が短かったからな」

 レイセ:「二国の統制がどうなってるか不安だ」

 レイセ:「二国とも代表の戦闘力が低めだしな」


 プロミ:「ネストロスが怪しいわよね」

 プロミ:「私、バラックに会った事あるし」


 レイセ:「バラック・ネストロスか」

 レイセ:「そこそこの戦闘力はあるが、統率はリトアニ任せ、だったか?」


 プロミ:「そう、表にはあまり出てこない」


 アリシア:「確かに」

 アリシア:「『マギ』は国につかないかもね」


 レイセ:「ちょっと待て、『マギ』って、ネストロスなのか?」


 バルド:「そうじゃよ?」

 バルド:「お前らもしかして、融合者のチーム事情についてあまり知らんのか?」


 レイセ:「シロさんはその辺口が堅いからな」


 バルド:「訓練を止めて、説明しといた方が良さそうじゃな?」


 レイセ:「よろしく頼む」

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