エピローグ 戴冠式2

 ニーナ:ニーナ・アイマー。

     黒戸美月と融合した。

     五章主人公。

 アリア:アリア・アランテ。

     篠宮美弥子と融合した。

     ニーナとは幼馴染。

 レイセ:レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     黒戸零維世。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

 リビア:聖国クリアの元代表。

     レイセと婚約している。

     すでにリビア・クロトと名乗っている。

 プロミ:プロミネンスの略で通り名。

     本名はルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     国では現人神として扱われている。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ。

      海洋国家ドバスカリ女王。

      黒沢香織。

      ファガスと婚約。

 コナル:青井友介。

     連合国クロトの戦闘顧問。

     黒戸美月が気になる。

 ファガス:黄山十夜。

      海洋国家ドバスカリの重要処。

      リアンナと婚約した。

 ベル:黒沼直樹。

    聖国クリアの守護者長の纏め役。

    ランと結婚した。

    物理と数学の教師。

 ラン:聖国クリアの守護者長。

    案内人最後の七人の内の一人。

    案内人時代はリビアが師匠。

 ダズ:聖国クリアの代表代理。

    クリアの元上司。

    アリアにプロポーズした。

 フレド:フレドリック・ユルロア。

     ピナンナと婚約。

     連合国クロトの守護者長の纏め役。

 ボーデン:ボーデン・バレット。

      婚約者がいる。

      フレドの補佐。

      元冒険者。

      戦闘は魔法タイプ。

 リトアニ:魔道国家ネストロスの宰相。

      出来る宰相。

      モテそうな見た目なのに独身。

 サッサラ:魔道国家ネストロスの魔道技師。

      ラナイア、へサルの上司。

      リトアニがモテないように火種を潰して回っている。

      リトアニには全く気付かれていない。

      マジックバック開発者。

 フィビニ:月と太陽の国の守護者。

      能力が突出し過ぎて別枠扱い。

      至って平凡な見た目。




 さっきの試合が終わった後、しばらく休憩時間が有った。

 


 ランの隣に座っていたピナンナが席を立った。


 ちょっと泣いてた。


 フレドの所に行くのだろう。



 私達はピナンナを冷やかしたけど、彼女は嬉しそうにしてた。



 

 気を取り直して、二試合目。


 次はダズだ。


 ニーナ:「愛しのダズが出て来るけど、どっち応援するの?」


 アリア:「レイセさんだけど?」


 ラン :「相変わらずの塩対応」

 ラン :「ちょっと同情する」


 ニーナ:「ダズが負けたら、なんて声かけるの?」


 アリア:「弱ってる相手に負けてんじゃ無いわよ、って言うけど」


 ラン :「なんでそんなに厳しいのよ」


 ニーナ:「予想通り過ぎるね」

 ニーナ:「どうせその後慰める癖に」


 アリア:「あいつ、レイセさんの事、息子とか、弟と思って手を抜きそうだから」

 アリア:「試合前に勝つように言っといた」

 アリア:「応援はそれで充分でしょ?」


 ラン :「そっか、本気かー」


 ニーナ:「ウルウルしてる」


 ラン :「…………」

 ラン :「悪い?」


 ニーナ:「うっ」

 ニーナ:「マジのやつ」

 ニーナ:「からかえない」


 アリア:「準備出来たみたい」

 アリア:「二人が出てきた」



 大きな正方形の石畳の上を、左右反対方向から中央まで、二人の男が歩く。


 大きな歓声が会場に響く。

 


 左がレイセ。


 右がダズ。


 


 歩み寄る二人。



 会場は静かになった。



 剣と剣が触れたと同時に、試合が始まった。



 レイセの剣が右から左へ。


 ダズの剣が右から左へ。



 剣と剣がぶつかり合う。



 二人は一歩も引かなかった。


 レイセの体は輝いている。


 輝いてるのは、レイセだけだ。



 二人はバックステップ。



 大きく距離を取る。

 


 二人同時に、矢を放つ。

 


 二人の放った矢は追尾し合い、相殺されて、地面に落ちていく。



 矢を撃ちながら、徐々に徐々に、二人の距離は狭まっていく。



 レイセは輝いたままだ。



 矢の間に、結界が複数出現。



 相手の矢を邪魔して、通り抜ける矢を増やそうと工夫し合う。



 矢と結界がどんどん増えていく。



 派手な遠距離戦に、観客は沸く。



 更に結界が円弧上に飛び、衝突し合う。



 観客たちも更に沸く。


 

 ニーナ:「…………」

 

 アリア:「…………」


 ラン :「…………」


 ニーナ:「いや!」

 ニーナ:「処理能力!」


 アリア:「なかなかね」


 ラン :「普通に凄いと思うけど」


 ニーナ:「遠距離攻撃の実力を試し合ってると思われますが、解説のお二人、どうです?」


 アリア:「距離を少しずつ縮めてるから、次は中距離なんだろうね」


 ラン :「槍とか、薙刀」

 ラン :「光を伸ばして攻撃とか?」


 アリア:「そう」

 アリア:「レイセさんは魔法も使えるけど、そこはどうするんだろ?」


 ラン :「今使って無いから、使わないかも」


 ニーナ:「これから使うかも知れませんよー」

 ニーナ:「では、勝負の行方をどう見ます?」


 アリア:「レイセさんの光がどこまで続くか、ダズが光出してから対応できるか」

 アリア:「その勝負になる、と、思う」


 ラン :「言い切らないんだ」

 ラン :「私も同じ意見だけど」


 アリア:「実は、自信無い」


 ニーナ:「さっき外してますからな」


 


 レイセは弓から手を離し、右の掌をダズに向ける。



 ダズの矢と結界が全てその場に停止。



 レイセの矢と結界がダズに向かって飛んでいく。



 ダズは槍で矢と結界を撃ち落とす。



 レイセは槍を引き絞り、解き放った。



 槍が発する光は、レーザーの様にダズを貫こうとする。



 ダズは槍で撃ち落とすのを止め、目の前に結界を多数展開。



 ダズは大盾を出して防御に徹する。



 レイセの放った光は、ダズの結界を全て粉砕し、大盾に防がれて掻き消えた。



 ダズの体も輝いている。



 槍の光が掻き消えたと同時に、近づいていたレイセが槍で連続攻撃。



 ダズは槍で迎撃。



 お互いが突きを連続で行い、迎撃し合う。



 レイセの輝きは、増していた。



 二人は加速を進め、お互いの攻撃を撃ち落とせなくなっていく。



 足、腕、胸、腹に迎撃を抜けた攻撃が、命中し出す。



 お互い、回避できていない。



 顔に行った攻撃だけ、首を動かして避けている。



 槍が突き刺さった場所から出血が有るが、傷を受けたと同時に回復させている様だ。



 槍による耐久戦が続く。




 槍捌きは更に加速を進めて行く。




 二人は更に距離を縮める。



 双剣での打ち合いになった。



 また更に加速、輝きは強くなる。




 私達にはもう、目で追えなくなってる。



 打ち付け合う音だけが、周囲に響く。


 

 ニーナ:「…………」

 

 アリア:「…………」


 ラン :「…………」





 突然、動きが止まった。

 

 

 レイセは輝いてない。


 

 それぞれ右手に持った剣が、それぞれの首に当たって、止まっていた。




 勝負はレイセの勝ちだ。



 レイセは蜃気楼化してる。


 レイセが一手先んじていた。


 

 レイセ:「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


 ダズ :「蜃気楼化を解け」

 ダズ :「俺の負けだ」


 レイセ:「ふぅー、はぁー、ごほっ、ごほっ」

 レイセ:「はぁ、ああ」

 レイセ:「やってやった」

 

 ダズ :「お前は万全じゃ無かった」

 ダズ :「全力は出せたのか?」


 レイセ:「逆に普段より集中力が増した」

 レイセ:「限界以上が出せた」

 レイセ:「お前が距離を詰めて、短期決戦に出なかったら負けていた」

 レイセ:「解ってただろ?」


 ダズ :「短期決戦が俺のスタイルだ」

 ダズ :「プライドを捨ると思うか?」

 ダズ :「これが終わったら、模擬戦だ」

 ダズ :「俺が勝つまでやらせてもらう」

 ダズ :「は、そうだ、初めて俺に勝った感想は?」


 レイセ:「嬉しいに決まってんだろ!」

 レイセ:「二度と負けるつもりは無い」

 レイセ:「お前は永遠に挑戦し続ける事になる」


 ダズ :「言うようになったな」


 レイセ:「うるせー」

 レイセ:「お前は俺の親か!」


 ダズ :「年の離れた弟が成長して、俺は嬉しい」


 レイセ:「からかうな」

 レイセ:「お前はしっかり悔しがれ」

 レイセ:「お前、アリアに勝つように言われてたんじゃ無かったのか?」


 ダズ :「…………」

 ダズ :「ヤバいかもな」

 ダズ :「まあ、なんとかなるだろ」


 レイセ:「…………」


 ダズ :「どうした?」


 レイセ:「いや、いい」

 レイセ:「ハズい」


 ダズ :「?」




 アリア:「負けやがった」


 ラン :「許そう?」

 ラン :「ね?」


 ニーナ:「なんとかなるだろ、なんとかなるだろ、なんとかなるだろ」


 ラン :「呪文?」


 ニーナ:「口喧嘩した時にすぐ言える様、練習中です」



 ラン :「あー、もう、勝手にやって」




 それ、一番言ったらダメなやつ。

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