25話 その名は

 ニーナ:ニーナ・アイマー。

     美月と融合した。

     五章主人公。

 アリア:アリア・アランテ。

     篠宮美弥子と融合した。

     ニーナとは幼馴染。

 レイセ:レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     黒戸零維世。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

 リビア:聖国クリアの元代表。

     レイセと婚約している。

     すでにリビア・クロトと名乗っている。

 プロミ:プロミネンスの略で通り名。

     本名はルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     国では現人神と扱われている。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ。

      海洋国家ドバスカリ女王。

      黒沢香織。

      ファガスと婚約。

 コナル:青井友介。

     連合国クロトの戦闘顧問。

     黒戸美月が気になる。

 ファガス:黄山十夜。

      海洋国家ドバスカリの重要処。

      リアンナと婚約した。

 ベル:黒沼直樹。

    聖国クリアの守護者長の纏め役。

    ランと結婚した。

    物理と数学の教師。

 ラン:聖国クリアの守護者長。

    案内人最後の七人の内の一人。

    案内人時代はリビアが師匠。

 ダズ:聖国クリアの代表代理。

    クリアの元上司。

    アリアにプロポーズした。

 フレド:フレドリック・ユルロア。

     ピナンナと婚約。

     連合国クロトの守護者長の纏め役。

 アル:聖国クリアの守護者長。

    案内人最後の七人の内の一人。

    戦闘は魔法タイプ。好戦的。

 ボーデン:ボーデン・バレット。

      婚約者がいる。

      フレドの補佐。

      元冒険者。

      戦闘は魔法タイプ。

 リトアニ:魔道国家ネストロスの宰相。

      出来る宰相。

      モテそうな見た目なのに独身。

 サッサラ:魔道国家ネストロスの魔道技師。

      ラナイア、へサルの上司。

      リトアニがモテないように火種を潰して回っている。

      リトアニには全く気付かれていない。

      マジックバック開発者。

 ツァーリク:月と太陽の国の守護者。

       実力はあるが長ではない。

       正確に難がある。

       優男。

 フィビニ:月と太陽の国の守護者。

      能力が突出し過ぎて別枠扱い。

      至って平凡な見た目。

 カー:聖国クリアの守護者長。

    ベル、ラン、とは兄妹同然で育った。

    琥珀聖。

    魔法タイプ。

 カイン:聖国クリアの守護者長。

     レナメントレアの元王子。

     レイセに父親を殺された。

 シェルミ:聖国クリアの司書長。

      賢者。

      レナメントレアの元姫。

      レイセに父親を殺された。








 私達が追い付くと、敵は攻撃の手を一旦止めた。



 赤い男:「私の名は、ギルバド」

 ギルバド:「お前たちの名に興味は無い」

 ギルバド:「私の名は手向けだ」


 ギルバド:「彼はキトレル」

 ギルバド:「彼はユノルド」

 ギルバド:「彼らは寡黙だ」


 プロミ:「よく知ってるわ」

 プロミ:「ユノルド、貴方名前があったのね」


 ユノルド:「…………」


 黄色はキトレル。


 紫はユノルドという名前らしい。


 コナルとリアンナは剣になった。


 私とファガスは剣を拾う。


 私達は神獣との人型完全融合を行った。


 人と神獣が完全に合わさった姿だ。


 ギルバド:「さあ、再開だ」


 私は前方に跳躍し、ギルバドを目指す。


 飛んだと同時にキトレルが右、ユノルドが左にいた。


 私は結界を展開。


 右と左に五重ずつ。


 左右同時にハイキックが放たれ、結界を破壊。


 受けた両腕が完全に折れた。


 痛みを感じる間もなく、顎にギルバドの膝が迫っていた。


 結界を出す隙も無く、顎に膝蹴りを受ける。


 余りの威力にその場で回転。


 なんだそれ?


 歌?


 歌う暇なんか無かった。


 ソッコーで死んだんですけど。




 回転する私をレイセが受け止めた。


 私は傷を回復させる。


 痛みで目が醒めた。


 レイセ:「油断してんじゃねー!」


 ふざけんな!


 励ませよ!



 リビアはキトレル。


 プロミはユノルド。


 私はギルバドだ。


 行かないと。



 レイセが双剣になり、リビアとプロミが攻撃に入る。



 リビアが振り下ろした剣は、キトレルのガントレットで阻まれる。


 阻まれ、出来た硬直にギルバドの剣が払われる。


 とっさにフレドが間に滑り込み、盾と結界で防御。


 結界全てが破壊され、盾が大きく歪む。


 衝撃でフレドは吹き飛ばされた。



 プロミが剣を連続で振るうが、ユノルドは紙一重で躱す。


 当たりそうで、当たらない。


 躱され、躱され、ギルバドが参戦する。


 ギルバドが槍を突き入れ、プロミは躱せない。


 ランが盾で上に逸らそうとするが、軌道は変わらない。


 プロミの左肩に槍が突き刺さり、ユノルドのハイキックが来る。


 フィビニが盾でハイキックを防ぐ。


 フィビニは吹き飛んだ。



 ギルバドはファガスの剣を盾で受けた。


 ビクともせず、盾を前に押し出す。


 ファガスの体勢が崩れる。


 ファガスの剣が大盾に変わり、ファガスは防御する。


 ギルバドが右手に持った片手剣が、右から左へ。


 大盾は砕けなかった。


 踏ん張るファガスを、ベルとカーが支える。


 三人が後ろに押し出される。


 三人を引き剥がしたギルバドは仲間のヘルプに入ろうとする。



 アリアは演奏を始めており、ボーデンは戦意高揚の支援魔法、リトアニは身体能力向上の支援魔法を展開している。


 三人とも全力で集中し、戦闘へは参加できない。


 フィビニも音魔法を使えるが、補助にまわれないでいた。



 カインとシェルミは連携に入り込めない。


 私と同じだ。



 私は歌う。


『――――― ――――――――――――――――』


 私はギルバドに突っ込む。


 ハッと我に返り、カインとシェルミが後に続いた。


『――――――――――― ――――――――――――――――?』


 私が剣を振り降ろし、ファガスがギルバドの薙刀を上に逸らす。


 ギルバドが私の剣を盾で受け、カインが、薙刀を持ったギルバドの腕を攻撃。


 ギルバドの右腕が落ちる。


 ギルバドは盾を押し出し、右腕を回復。


 ギルバドが右腕に持った剣が、私を狙う。


 ギルバドの剣による突きをシェルミが斧で下から上に払う。


 軌道のそれた突きが、私の顔の横を通る。


『―――――――――― ――――――「――」―――――』


 私の剣は槍に変わる。


 私の槍がギルバドの右脇腹に突き刺さる。


 浅い。


 急いで引き抜いて、防御態勢。


『―― ――― ―――― ―――― ――――― ――――――――』


 ギルバドの蹴りが私の盾を撃つ。


 ギルバドの右脇腹のわずかな出血は、止まらなかった。


 コナルの武器は効く。


 私は盾ごと吹き飛ばされた。



 私は歌う。


『――――――――――― ――――――――――――――』


 追ってきたギルバドは寝転がった私を蹴り上げる。


 とっさに張った結界全てが砕かれ、私は上空へ。



 私は歌うのを止めない。


『―――――――――』

『――――― ―――――――――』


 吹き飛ばされながら、私の剣は長く強く発光。


 ファガスは大盾を構え、私とギルバドの間に入り、私をギルバドの目から逸らす。


 カインが槍で牽制。


 シェルミが矢を三射。


 瞬間、ファガス、カインがバックステップ。


 私は青く光る剣をギルバドに振り下ろした。


 ギルバドの防御は間に合わない。


『――――――――― “―――――”』


 光はギルバドの結界を両断。


 光はギルバドの肩から胸を通り、腹を裂き、地面を抉る。


 ギルバドは跪き、両腕で零れ出る内臓をおさえた。



 ギルバドは腹をおさえながら後退。


 キトレルとユノルドがフォローしようとギルバドに向かって跳躍。


 リビアの剣が黒く光り、ガントレットごとキトレルの左腕を切断。


 プロミの黒く輝く槍がユノルドの首を狙う。


 ユノルドはスウェーで回避。


 リビアの剣がユノルドの右足に突き刺さる。


 キトレルはバックステップ。


 キトレルが下がるのを読んでファガスが構えている。


 プロミは後ろに跳躍しながら連続して矢を放つ。


 ユノルドは下がれず、プロミの放った輝く矢すべてが体から生えた。


 ファガスの碧に輝く剣が、キトレルの腹を貫通。


 私は右の双剣を右から左、左の双剣を左から右に振るった。


 双剣から長く伸びた光は、キトレルとユノルドの首を刎ねた。


 ギルバド:「我が主の名を以て、拘束を解除する!」

 ギルバド:「ロレアムド・アザイラス!」


 ギルバドは赤い光を放ち、宙に浮いた。


 光は大きく膨れ上がり、ギルバドに尻尾が生える。


 角が巨大化し、胴体、足、腕、首、頭に鱗が見える。


 鱗が広がり、体全体が肥大化。


 私達全員は、ギルバドから大きく距離を取る。


 プロミが矢を放つ。


 放った矢が、ギルバドの放つ光で止まる。



 私は歌い続けた。


『―――――――――――――――――――――』

『――――――――――――――――――――――』

『“―――――――――――” ―? ――――――――』

『―――――――――――――――――――――――』

『―――――――――― ――――――――――――』

『――――――――――――――――――――――――――』


 ギルバドは赤いドラゴンに姿を変えた。


「――――――――――――っつあぁぁぁーーーーーーー」


 吠えたドラゴンは、リビアとファガスに急接近。


 リビアとファガスは盾で防御。


 盾ごと二人を弾き飛ばす。



 ドラゴンはバックステップ。


 キトレルとユノルドの遺体を丸のみにする。



 ドラゴンの腹部に有った傷が回復。



 ドラゴンは息を吸い込んだ。


 私達全員は、結界を最大数展開。



 ドラゴンは太いレーザーの様なブレスを右から左に掃射。


 結界は次々に破壊され、衝撃で私達は吹き飛ばされた。



 私は歌わねばならなかった。


『――――――――― ―――――――――― ―――――――――――――』

『“―――――― ―――――――――――――”』

『―――――――――― ――――――――――――』


 私、ファガス、プロミ、リビアは両手剣を振り上げた。


 剣は強く光り、天に上る柱が出来た。



 ドラゴンは息を吸い込んだ。



 四人は剣を振り降ろし、そのまま連続攻撃。


 ドラゴンはバラバラになって、溜めたエネルギーごと消滅。



 私は歌うのを止めてしまった。


 静寂。


 レイセ、リアンナ、コナル、ダズは人に戻った。


 みんなが駆け寄る。


『「――――――――――――」―――――――――――――』

『――――“――――――――――――――――――” ―』

『―――――― ――――――――』


 私の視界の端で何かが素早く動いた。



 素早いのに、素早いのに、動きはのろく感じた。



 ゆっくりと、カインがレイセを羽交い絞めにし、シェルミがカインごとレイセを刺し貫いた。


『―――――――――――――――――――――――――――』


 歌を引き継いでいたのは、シェルミだった。



 カインとレイセは崩れ落ちた。



 レイセは立ち上がる。



 シェルミは一筋の刃となって飛翔、レイセを貫いて、元に戻った。



 蜃気楼に成って躱そうとしたレイセの胸に、大きな穴が出来ていた。

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