19話 宴4

 ニーナ:ニーナ・アイマー。

     黒戸美月と融合した。

     五章主人公。

 アリア:アリア・アランテ。

     篠宮美弥子と融合した。

     ニーナとは幼馴染。

 レイセ:レイセ・クリア・クロト・ノキシュ。

     黒戸零維世。

     連合国クロトと聖国クリアの王。

 リビア:聖国クリアの元代表。

     レイセと婚約している。

     すでにリビア・クロトと名乗っている。

 プロミ:プロミネンスの略で通り名。

     本名はルビー・アグノス。

     黒崎鏡華。

     月と太陽の国アウグストラの女王。

     国では現人神として扱われている。

 リアンナ:リアンナ・ドバスカリ。

      海洋国家ドバスカリ女王。

      黒沢香織。

      ファガスと婚約。

 コナル:青井友介。

     連合国クロトの戦闘顧問。

     黒戸美月が気になる。

 ファガス:黄山十夜。

      海洋国家ドバスカリの重要処。

      リアンナと婚約した。




 ドバスカリのテーブルに着いた。


 リアンナとファガスさんもいる。


 ニーナ:「初めましてー」


 スーサル:「おう」

 スーサル:「嬢ちゃんよく来たな」


 スーサルさんはスキンヘッドの厳ついオヤジ風だ。


 頭の形が綺麗。


 そして頭皮は輝いている。


 ニーナ:「輝いてますね」

 ニーナ:「触ってみて良いですか?」


 スーサル:「ん?」

 スーサル:「何だ?」

 スーサル:「頭の事か?」

 スーサル:「良いけどよ」


 頭を差し出された。


 手のひらを頭皮に当てる。


 ぺた。


 汗をかいていない。


 すべすべでつるつるだ。


 ニーナ:「堪能しました」


 スーサル:「おう」


 ニーナ:「ちょっと失礼でした?」


 ドレファ:「気にしないで下さい」

 ドレファ:「オヤジは口数が少ないだけですので」

 ドレファ:「気に入らない人には触らせません」

 ドレファ:「貴方の歌を気に入ったと言ってました」


 ダダン:「だな」


 リアンナ:「そうそう」

 リアンナ:「頭の形が自慢なんだから」


 スーサル:「ファガス」

 スーサル:「もう一杯いけ」


 ファガス:「…………」

 ファガス:「頂きます」


 ファガスさんはあの酒を一杯飲み干した。


 スーサル:「うむ」

 スーサル:「良い飲みっぷりだ」

 スーサル:「そう来なきゃな」


 スーサルさんはそう言いながら、ファガスさんの肩をバシバシ叩いている。


 結構な音だ。


 ファガス:「いたた」

 ファガス:「オヤジ、力込めすぎだ」

 ファガス:「いたた」


 スーサル:「細かい奴だな」

 スーサル:「良いからもっと飲め」


 リアンナ:「スーサル、あんまり無理に飲まさないでよ~」

 リアンナ:「ドレファ、上手く言い聞かせて」


 ドレファ:「オヤジ、ファガスさんだけじゃ無く、こっちもかまってくださいよ」


 スーサル:「何だ、その言い方」

 スーサル:「気持ちワリー」


 ダダン:「オヤジ、俺が注ぐ」

 ダダン:「オヤジが飲め」


 スーサルさんは黙ってグラスを差し出した。


 私はコナルに酒を注いだ。


 二人は同時に飲み干した。


 うん。


 言い忘れてた。


 コナルもいた。


 スーサル:「おお!」

 スーサル:「その飲みっぷり」

 スーサル:「いける口だな、名前は?」


 コナル:「俺がコナルだ」

 コナル:「ファガスから聞いて無いのか?」


 スーサル:「ウナル?」


 コナル:「コ、ナ、ル」

 コナル:「コナルな」

 コナル:「もう絶対間違えるなよ」

 コナル:「危ない所だった」


 スーサル:「気のちいせー奴だな」


 コナル:「絶対間違うなよな!」

 コナル:「ケルトの英雄と同じ名前ってヒヤヒヤするぞ」


 ファガス:「俺は忘れてた」

 ファガス:「オヤジしっかりしてくれ」


 スーサル:「は」

 スーサル:「からかって悪かったな、坊主」


 コナル:「坊主はあんただろ!」


 ドレファ:「まあ、まあ」

 ドレファ:「抑えて、抑えて」

 ドレファ:「貴方を気に入ったんです」

 ドレファ:「許してやって下さい、旦那」


 ダダン:「二人とも、もう一杯どうだ?」


 コナル:「頂くよ」


 ニーナ:「私も」


 私とコナルはお酒を注いで貰った。


 ニーナ:「お二人もどうですか?」


 ドレファ:「お気遣い、ありがとうございます」

 ドレファ:「頂きます」


 ダダン:「頂きます」


 酒を注いだ。


 四人で飲んだ。


 置いてあった酒は日本酒に近い味だ。


 何故味を知ってるかって?


 料理に使うからね。


 この酒も旨いな。


 皆、満足気だ。


 ニーナ:「ファガスさんとリアンナの出会いってどんなだったんです?」


 ファガス:「ニーナさん、呼び捨てでいい」


 ニーナ:「じゃあこっちも呼び捨てで」


 ファガス:「ああ」

 ファガス:「当然だ」


 ニーナ:「それで?」


 ファガス:「月と太陽の国で訓練を終えて、連合国に移動する途中で出会った」

 ファガス:「途中に寄った海洋国家でリアンナを紹介された」


 コナル:「顔を見せるだけの、挨拶だけのつもりだったんだけどな」


 ファガス:「そうだったな」


 コナル:「見込み有りそうな男を探していたリアンナに、気に成るって言い出したんだよな」


 ファガス:「まあな」


 ニーナ:「へー」


 リアンナ:「なんだか照れるわね」


 ニーナ:「リアンナも照れること有るんだ?」


 リアンナ:「普通に有るわよ」

 リアンナ:「失礼な~」


 ニーナ:「香織姉」

 ニーナ:「そうは見えなかったけど?」


 リアンナ:「…………」

 リアンナ:「香織?」

 リアンナ:「誰だったかしら~」


 私に出せない声は無い。


 披露してやるか。


 ニーナ:「十夜」

 ニーナ:「貴方、この私と知り合えて光栄に思いなさい」

 ニーナ:「私を誰だと思ってるのよ!」

 ニーナ:「私は天才よ!」


 リアンナ:「…………」


 ファガス:「今のは、ニーナが香織の声を真似たのか?」


 コナル:「ぶはは」

 コナル:「そっくり」


 スーサル:「お嬢は向こうではそんななのか?」


 ドレファ:「意外です」


 ダダン:「………」

 ダダン:「そうだな」


 リアンナ:「それで、ファガスが気に成るって言ってくれたから、ついて行く事にしたの」


 強引に話を戻しやがった。


 リアンナ:「準備に三日貰ったんだけど…………」


 ファガス:「七つの大罪、色欲が出てしまったんだったな」


 コナル:「出発の日の夕方、プロミに引きずられて来たな」


 ファガス:「そうだ、俺も色欲だから辛いのが良く解った」


 ファガス:「前の妻に思いを引きずっていたが、それでも胸が締め付けられた」


 ファガス:「次の日には、プロポーズしてたな」


 ニーナ:「ふーん」

 ニーナ:「羨ましい」


 コナル:「…………」


 ファガスはリアンナを見つめている。


 リアンナもファガスを見つめている。


 見つめ合う、二人。


 不味いんじゃないでしょうか?


 スイッチがオンしてしまう。


 止めないと。


 オフ出来なくなる。


 コナル:「ニーナの大罪って、何なの?」


 ニーナ:「嫉妬」

 ニーナ:「それより、止めてあげてよ」


 コナル:「ダメなんだ」

 コナル:「止めると、余計燃え上がる」


 ニーナ:「あーー、なるほど」


 コナル:「二人の自制心に任せるしかないわな」


 ドレファ:「そうなんですよね」

 ドレファ:「どうしようもない」


 スーサル:「お嬢も良い年の筈なんだが…………」

 スーサル:「若いな」


 ダダン:「そうだな」


 二人の距離は近づいている。


 顔と顔がくっつきそう。



 そう思った時、中くらいの扉が開いた。


 給仕たちがテーブルを運んできた。


 空いたスペースに移動させる。


 何が始まるのか?



 大扉が開いた。


 中に数人、入って来た。


 赤い女性。


 何処にでもいそうな少年。


 派手な優男。


 執事風の衣装を着た陰気な男。


 神官服の女性。


 よく似た姉妹。



 月と太陽の国アウグストラだ。


 赤い女性は、プロミ、ルビー・アグノス。


 何処にでもいそうな少年が、フィビニ・ドリー。


 派手な優男が、ツァーリク・エリン。


 執事風の陰気な男が、ノイトル・ロベスト。


 神官服の女性が、ヒルデ・ガント。


 姉妹が、ヒメア・ラメウスとリメア・ラメウス。


 アウグストラの情報は端末に送られていない。


 コナルが説明してくれた。



 レイセとリビアが駆け寄った。


 プロミ:「遅れたわ」


 レイセ:「待ちわびてた」


 プロミ:「見た所、待ってたって感じじゃ無いわね」


 リビア:「そうですね」

 リビア:「時間を無駄に出来なかった」

 リビア:「ごめんなさい」


 プロミ:「言い方が悪かったわ」

 プロミ:「責めてる訳じゃ無いのよ」

 プロミ:「解ってるでしょ?」


 リビア:「ですが…………」


 レイセ:「…………」

 レイセ:「まず、休ませてやりたいが…………」

 レイセ:「その前に、プロミ」

 レイセ:「みんなに一言頂けるか?」


 プロミ:「もう」

 プロミ:「しょうが無いわね」


 そう言いながらも、プロミは、鏡華は笑顔を作った。


 プロミ:「私は、ルビー・アグノス」

 プロミ:「魔物の王の配下共を必ず討ち取るわ」

 プロミ:「協力してくれてありがとう」

 プロミ:「なかなかの気配が揃ってて心強いわ」

 プロミ:「遅れて来て言うのは気が引けるけど、皆、今日は存分に楽しんで」

 プロミ:「私達の結婚式の前祝いよ」


 プロミ:「レイセ、これで勘弁して」


 レイセ:「上出来だ」

 レイセ:「休んでくれ」


 プロミ:「ええ」

 プロミ:「そうさせて貰う」


 レイセ:「一日目に間に合って良かった」

 レイセ:「皆、聞いてくれ」

 レイセ:「いや、真面目な話じゃ無い」

 レイセ:「そんな緊張するな」

 レイセ:「協力国が全て揃った」

 レイセ:「二日目から出そうと思っていた料理を今から振る舞う」

 レイセ:「準備するから、楽しみにしていてくれ」

 レイセ:「以上」


 レイセは給仕に指示を出している。



 またテーブルが運び込まれて来た。


 横に長い。


 何を食べさせてくれるのか?



 宴はまだ続く。

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