閑話 休憩と補足
レイセ:主人公。
黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。
融合者。
契約者。
黒羽学園中等部生徒会長。
美月は妹。
黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。
ルビー・アグノス。
融合者。
契約者。
月と太陽の国女王にして、現人神。
小学六年生。
美月と友達。
レイセと婚約している。
リビア:聖国クリアの元代表。
レイセと婚約している。
黒沼直樹:ベル。
黒羽学園高等部の数学と物理の教師。
中等部生徒会顧問。
融合者。
守護者。
黄山十夜:春日高校一年生。
融合者。
契約者。
ファガス。
青井友介:七星学園高等部一年生。
融合者。
契約者。
コナル。
『ウォーターフォックス』:本名不明。
死兵国プロンシキの英雄。
頬に大きな入れ墨が有る。
「少し、休憩にしましょう」
マスターは席を立った。
「お飲み物は何がよろしいですか?」
「私、コーヒー」
「ホットで」
「僕もコーヒーで」
「俺はオレンジジュース」
「メロンソーダあります?」
「ございます」
「じゃあ、お願いします」
「俺もコーヒーだ」
「僕は水下さい」
ふう。
義父が管理者ね。
言われてみると、そうかもと思えてしまうから凄い。
義父が撒いた種とは、俺や美月のことなんだろう。
俺達の様な子供を何人育てているんだ?
二人だけと言うのは自惚れだろう。
職場の近くに部屋を借りていると言っていたが、話に出てきたビルをそのまま使っているのだろうか?
百枝さんらしき人物と会った事が有る。
仕事仲間だと聞いていた。
確かに年齢不詳だ。
しかし、若すぎないか?
何年前の話なんだ?
そして、『能力』。
仮面の男の攻撃は、『トゥルーオーシャン』の法則から外れた物だと思っていた。
だが、『能力』とは予想外だ。
マスターが飲み物を持って来た。
みんなに配る。
みんなは礼を言う。
『ウォーターフォックス』が口を開いた。
「マスター、質問してもよろしいですか?」
「構いませんが、答えられない事が多いですよ?」
「確認する事に、意味が有ります」
「…………」
「そうですか」
「どうぞ」
「僕も『能力』を得る事は出来ますか?」
「…………」
「不可能です」
「理由を聞いても?」
「『能力』を与えていた管理者が死にました」
「話に関係してきます?」
「ええ」
「だから先に話しました」
「なるほど」
…………。
ウォーターフォックス。
やはり、油断ならない。
『能力』に対抗するなら、『能力』を得るのが手っ取り早い。
と、俺も考えていた。
確かに確認する事に意味が有る。
話は、過去の話だ。
仮面の男は、黒巣壱白で間違いない。
奴とはすでに戦っている。
また、戦うことに成るのは明白だ。
話を理解するのと同時に、奴を倒すヒントを得ないといけない。
確認はもう一つ必要だ。
「マスター、サングラスを取って頂いてよろしいですか?」
「ふむ、貴方の予想通りです」
「取るのは話が終わってからにしたいのですが……」
「答えに納得いただけましたか?」
「ええ、話していただけるなら、後でも構いません」
「では」
「話を中断したのは、当時の黒巣壱白視点だけでは解らない事実がある為です」
「より、理解し易くするため、話し終わる前に補足説明をしておきます」
「先に転生した管理者の目的は、追いかけてきた管理者の寿命を延ばす事でした」
「追って来るのが解っていた様です」
「管理者にも、寿命が有ります」
「長く存在し続けると、人間だったころの一般感覚を完全に消失し、思考が単一化する様です」
「そして、簡単に言うと、管理はどうでも良くなってしまい、足を引っ張り出す」
「先に転生した管理者は、青子さんですね、追ってきた管理者を救うつもりでした」
「一般感覚、人間の感覚を思い出させたかった、らしいです」
「でも、さっき黒戸和馬は公正に勝負を着けさせると言ってましたよね?」
「そうです」
「そこがすでに、黒戸和馬の都合によって歪曲して伝わっています」
「和馬は救えないと解っていました」
「私と和馬は現在協力関係にありますが、彼の真意を読み取れている訳ではありません」
「どこまでが計画通りで、何がアクシデントだったのか、解らないって事ですか?」
「そうです」
「話が早くて助かります」
「少なくとも、貴方の思惑通りに行かなかったんですよね?」
「そうです」
「これは、後悔の話でも在ります」
「この場にいる全員、私が誰か解っている様ですね」
「じゃあ、もう良いか?」
「サングラスは拘りだ」
「後で取る」
「話し方は変える」
「はは、そのほうが聞き易いです」
「情報を増やすぞ」
「不明の三人目の名前は、比良坂一人(ひらさか かずと)」
「高校一年生」
「だった」
「日本の平凡な家庭に生まれた」
「だが、性格がひねくれていた」
「そのため、両親から酷い虐待を受けた」
「追い詰められて、『能力』に目覚めた」
「青子には、母親しかいなかった」
「母親の入院していた病院で黒巣壱白と出会った」
「一旦『能力』は発現したが、壱白と会ってすぐ、和馬に見つかって『能力』をリセットされた」
「そして、黒巣に守られて『能力』が発現しないまま育った」
「和馬の言う公正さは、それぞれが生まれた時から始まっていた」
「世界から拒絶された比良坂は『能力』を発現させ、世界に守られた青子は仲間を得た」
「封印は完全じゃ無い」
「同程度の効力と言うだけの物だ」
「それで公正らしい」
「補足は以上だ」
「話を続けて良いか?」
「一気に話し終えたい」
「ここから話し終えるまで質問無しだ」
「中断されるとイライラしてくる」
「じゃ、続きだ」
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