13話 管理者

黒巣壱白:黒羽学園高等部一年生。

     自分自身の記憶がこの約一週間しか無い。

     四章主人公。

     全ての武道に精通している。

     達人クラス。

     『能力』が有る。

     記憶が無くなる前は『アルタイル』記憶が無くなった後は『シリウス』と呼ばれる。

     『能力』トゥエルブ・サテライト(精鋭六人の鋭い視線)、

     ランプ(煌々と輝く命の灯)、

     スライド(前動作の完全消去)、

     グレイ・フレイム(灰色の終焉)

姫黄青子:黒羽学園高等部一年生。

     類い稀な美人。

     『能力』を持っていない、らしい。

     壱白のビルに匿われている。

     『能力』部隊の隊員。

黒戸和馬:壱白の執事にして、後見人。

     出来過ぎる男。

     第三者。

紫幻唯康:ヤスさんと呼ばれている。

     大学生位の年齢。

     『能力』部隊の隊員。

     『能力』カット(結合との離別)

紫幻忠時:トキさんと呼ばれている。

     『能力』部隊の隊員。

     ヤスの1つ下の弟。

     『能力』ハイ・リフレクション(極大反射)

樹百枝(いつき ももえ):年齢不詳。

            姉役。

            テレパス。

            銀色の理知的な眼鏡を掛けている。

            長い茶色の髪。

            落ち着いた雰囲気がある。

池水雫(いけみず しずく):15歳。

             サイコメトリスト。

             黒のセミロング。

アイナ=ロニック:事務処理全般担当。

         ボーイッシュなショートカット。

         身のこなしは達人クラス。

         髪は金髪。

長月瑠璃(ながつき るり):トランジスタグラマーという奴。

             顔が小さい。

             童顔。

             『能力』ストレングス(超人の体現)と、

             ヒール(即時自己回復)




 

 みんなは涙ぐんでいる。


 黒猫は起き上がった。


 事態に付いて行けていない。


「みんな、離れろ」


「!?」


 みんなは一斉に机から離れた。



 セキュリティの厳しい基地の中に黒猫が入り込む事は考えられない。


 そもそも、猫はこれで三度目だ。


 偶然じゃない。



 ヤスさんは杭状の暗器を投げた。


 猫は機敏な動きで、暗器を咥え取った。


 ペイと吐き出す。



 猫は俺達とは反対側の床に降りる。


「ニャー」


「もういい」

「正体を現せ」

「和馬だろ?」


 猫の影は後ろに伸び、影が人型になる。


 人型の影は、猫と入れ替わった。


 影は黒いスーツ姿の男に成る。


 黒戸和馬。


「あ、貴方は」


 百枝さんが反応した。


「近所のコンビニでよく会う」


「お久しぶりです」


「今朝会ったんだけど」


「ですね」


「腰の調子はどうですか?」


「大分ましに成りました」

「貴方のアドバイスのお陰、と思ってたんですが……」

「私、男運無いのかしら」


「……」


「奴は黒戸和馬」

「俺の執事で、後見人」

「さっき『アルタイル』を介抱していた、第三者だ」

「百枝さんに何かしたのか?」


「『能力』で貴方を見つけられなくしました」


「俺に細工してたんじゃ無かったのか」


「そうですね」

「貴方は聡い」

「警戒されてましたから」

「定期的に妨害するには、彼女の方が都合が良かったです」


「正体を現した目的は?」


「私が関係者だとバレたようなので、少し説明を」


「それは目的じゃ無い、手段だ」

「目的を言え」


「手厳しい」


「私の大きな目的は勝負の公正さです」


「……」

「説明を許す」


「世界には管理者が存在しています」

「その数、七つ」

「そのうち一つが人間に転生しました」


「!?…………」


「続けても?」


「ああ、続けてくれ」


「それに対抗している存在も追いかけて、転生しました」

「管理者は転生しても管理者です」

「存在そのものが全ての世界を支える柱に成っています」

「管理者同士の諍いは良くありますが、どちらかが無くなった時の準備を整える必要があります」

「時間を稼ぎつつ、公正に勝負をつけて頂きたい」


「…………」

「お前は何者だ?」


「管理者の中のバランサー・司会進行役と言ったところでしょうか」


「管理者とは、私達の考える、神と思って良いのかしら?」


「貴方達、人間が考えるほど万能な存在ではありませんが、大体はそのような感じです」


「『アルタイル』はお前と協力していたのか?」


「勝負を後に引き伸ばすと言う部分で、意見が一致していました」



「追いかけてきた方の神の目的は?」


「その前に、まず、本人に説明してあげて下さい」

「勘が鋭いので、気付いておられるかも知れませんが」

「確信はない筈です」


「…………、青子」


「うん」


「『アルタイル』の記憶の『ミドリちゃん』はお前だ」


「うん」

「『ネズミくん』が『アルタイル』だったのね」

「私、『ネズミくん』の本名忘れちゃってた」

「灰色と緑色が好きなのはそこから来ていたのね」

「それも、もう忘れてしまってたわ」


「そうか」


「『アルタイル』がお前を部隊に呼んだのは、お前を守る為だ」


「だよね」


「『アルタイル』はお前をずっと守ってきたんだろう」

「俺の目にはお前は女神に見えると言ったな」


「そうね」

「容姿を褒められてると思ってたわ」


「そうだな」

「『能力』で見たお前は、あの怪物達以上に輝いて見える」

「そして、終焉が見えない」

「お前は、人間じゃ無い」


「うん」


「女神だ」


「解った」


「追いかけてきた方の神の目的は、青子さんを殺す事です」

「転生してから年数を経るとともに、二神の力が増しています」

「まだ準備が整っていません」

「が、もう、抑えきれません」

「今日、更に青子さんに封印を掛けさせていただきます」

「もちろん、向こうにも封印を掛けます」

「最後の封印です」

「私は、勝負に介入致しません」


「中立なんだな?」


「ええ、神に誓って」


「お前、いっぺん殴らせろ」


「ただの冗談ですよ」

「執事としての仕事は全う致しますよ」

「黒巣不動産を、クロスグループにする大事業の真っ最中ですし」


「…………」

「もう一人、神を立てるのには金がかかるのか?」


「そちらの種はき終わっています」

「成長を待つのみです」

「私にも趣味位必要でしょう?」

「せっかく現界しているのです」

「青子さんのフロアに、シズクさんと、アイナさんが住めるように準備しました」

「瑠璃さんと百枝さんは七階」

「ヤスさんとトキさんは六階を用意しています」

「本日は、我が家でお食事されますか?」


「…………」


「沈黙は是とします」


「勝手にみんなが住むって決めてんじゃねー」

「しょうがねえなー」


「ではさっさと雑魚を片付けてくださいね」


 やってやるよ。



「和馬、敵には仲間がいるのか?」


「教えられません」

「貴方なら推理できるでしょう?」


 そうだった。


 こいつはそう悪い奴じゃない。



 推理しろ、か。



 敵は余り賢く無い。


 いたとしても脅威じゃない。



 中立を信じてやろう。



「百枝さん、敵の気配を探せるか?」

「俺の目に触れるか?」


「大丈夫」

「感覚は掴んだわ」

「『能力』は無くても平気よ」


「バイクは何台か有るか?」


「有ります」


「ヤスさん、トキさん、運転できるか?」


「僕は専用車が有るけど、トキは無理だね」


「アイナ頼めるか?」


「了解です」


「百枝さんの指示で、敵を個別に減らしていく」

「俺、瑠璃、ヤスさん、トキさんアイナ、四つに分かれる」

「シズクは青子と百枝さんの傍にいてくれ」

「百枝さん、指示を出してくれ」


「索敵範囲内に、敵は十七体いるわ」

「『シリウス』と瑠璃は北に向かって」

「ヤスは南」

「トキとアイナは東」


「じゃ、作戦開始だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る