22話 同じステージ

 レイセ:主人公。

     黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。

     融合者。

     契約者。

     黒羽学園中等部生徒会長。

     美月は妹。

 黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。

      ルビー・アグノス。

      融合者。

      契約者。

      月と太陽の国女王にして、現人神。

      小学六年生。

      美月と友達。

      レイセと婚約している。

 黒戸美月:零維世の妹。

      小学六年生。

      鏡華と友達。

      非常にかわいく、ファンがいる。

 リビア:聖国クリアの元代表。

     レイセと婚約している。

 黒竜:真名、レムリアス。

    白竜と並ぶ最古の神獣。

    レイセと契約している。

 黒沼直樹:ベル。

      黒羽学園高等部の数学と物理の教師。

      中等部生徒会顧問。

      融合者。

      聖国クリアの守護者。

 黄山十夜:春日高校一年生。

      融合者。

      契約者。

      ファガス。

 青井友介:七星学園高等部一年生。

      融合者。

      契約者。

      コナル。

 エウェル:クリア・ノキシュの妻。

      故人。

 エーシャ:エウェルとクリアの娘。

      クリアとは血が繋がっていない。

 ボーデン・バレット:フレドの補佐。

           連合国クロトの守護者。   

           閑話に登場。

 クルダム・ゼロス:ノスヘルの元代表。

          文官長。

 フレドリック・ユルロア:連合国クロトの守護者長纏め役。

 ノイトル・ロベスト:月と太陽の国の従者長。

 ヒルデ・ガント:月と太陽の国の神官長。

 ロウル・ヒスリー:月と太陽の国の従者兼料理人。

 クアクル・ロウナー:月と太陽の国の従者兼料理人。

 カシアル・シュース:月と太陽の国の従者兼裁縫士。

 スレガリン・ラウナル:月と太陽の国の従者兼裁縫士。

            カシアルの弟子。

 リメア・ラメウス:月と太陽の国の神官兼付き人。

 ヒメア・ラメウス:リメアとは姉妹。

          月と太陽の国の神官兼付き人。

 レイ:『光の旋律』リーダー。

    長命種。

    血の繋がっていない子供がいる。

 ダズ:聖国クリアの守護者。

    リビアの代わりを務めている。

 ロウエル・ノキシュ:商業都市ノキシュの代表。

 テラセス・マシア:ロウエルの護衛。

          孤児。

          ライサムとは兄弟の様に育った。

 ライサム・マシア:ロウエルの護衛。

          孤児。

          テラセスとは兄弟の様に育った。

 セシル・マイカ:レイセの近衛兵。

         元一流の冒険者。

         お嬢様風。

 シャレット・キニクル:レイセの近衛兵。

            元一流の冒険者。

            お転婆風。

 ゼレア・ロットル:レイセの近衛兵。

          元一流の冒険者。

          姉御風。

 シルドレ・ナバリ:レイセの近衛兵。

          元一流の冒険者。

          不思議さん風。

 リアンナ・ドバスカリ:海洋国家ドバスカリの女王。

 長谷川さん:零維世のクラスメート。

       運動部。

 倉持君:零維世のクラスメート。

     剣道全国三位。

 キルッド・ババルイア:リアンナの執事。

            通称キル。

 ラトス・ミュラ:ルピアスの守護者長。

 ピナンナ・ラクトリ:ノスヘルの守護者長。

 リドット・シルベスト:スロラの守護者長。

 ワイツル・アフガーニ:ラクラシの守護者長。

 マエン・マクガーレ:クジェトの守護者長。

           王の実力に疑問を抱いている。

 シズル・マルカ:クオスの守護者長。

         王の実力に疑問を抱いている。

 ラベーズ・ラズルト:ノクヨの守護者長。

           王の実力に疑問を抱いている。

 アフラ・ヘルツ:オアミの守護者長。

         一回目の会合には不参加。

 キーシ・キルツス:クベルトの守護者長。

          一回目の会合には不参加。

 べレク・ストマイラー:ミクトシアの守護者長。

            一回目の会合には不参加。




 

 十年経った。


 神歴二千三百八十年だ。



 まだセラリアのダンジョンへは挑んでいない。


 フレドとボーデンが完全に追い付いていない。


 二人には言っていないが、正直もうダンジョンは攻略出来ると思う。


 だが、もう少しで二人の実力が突き抜けそうだ。


 俺の感覚が確かなら、突き抜けた先は、俺と同じステージだ。



 また上から目線か?


 そう感じるんだから仕方が無い。


 プロミ、リビア、コナル、ファガスは名前を挙げた順に強いが、俺と同じステージだ。


 単純な強さの話じゃ無い。


 オーラ。


 存在感の強さ。


 そういう話だ。


 自信とも言う。



 二人も気付いている筈だ。


 俺が課した訓練は、肉体面よりも精神面を鍛えるのに重きを置いている。


 俺の想像が確かなら、精神面を鍛える事で全てをぶち抜ける。



 余談だが、もし俺の想像がただの想像じゃなく、確かなものだと証明されたら、俺達はそれだけでもう一段上のステージに上がるだろう。


 それがこの世界の仕組みだ。


 俺にはまだシステムへの確信が無い。



 まあ、それは良い。


 二人を突き抜けさせるにはどうすれば良いか、だな。


 訓練を乗り越えるしかない。


 もう、それも出来始めている。


 実感がまだともなっていない。


 それだけだ。


 もう少し待てば、自然と突き抜ける。


 しかし、俺としては、自発的な何かで期間を早めて貰いたい。


 そうだ、自発的だ。



 本人達に意見を聞いてみよう。


 お題は、どうなれば俺と並んだと思えるか?


 だ。


「フレド、どうだ?」

「実はもうほぼ俺と並んでいるが、実感あるか?」


「ある訳無いだろ」

「訓練ではいつも負けてる」


「ボーデンは?」


「実感は無いです」

「フレドと同じ理由です」


「ファガス、どう思う?」


「俺は完全に追いついたと思ってる」

「レイセと同意見だ」


「ファガス、あんた俺を買ってくれてたのか?」


「喜ぶなよ」

「俺達は皆、お前とボーデンを買っている」

「でも、そういう話じゃ無い」


「公平に見て、そうなっているって話だろ?」


 コナルが加わる。


「わかる」

「最近は訓練してて、フレドとボーデンの動きが参考になる」


「十回模擬戦したら、三回はヒヤッとするしな」


「全然実感が有りませんでしたが、ヒヤッとしていたんですね」


「そういうのはもっと早く言ってくれよ」


「褒めると調子に乗ってミスが出るのでみんな言い出せ無かったのです」


「言っとくけど、ボーデンもだからね」


「う、自覚が有ります」


「俺は当然自覚ある」


「自覚していてもなおせないんだろ?」

「それもみんな解ってる」

「だから言わなかった」

「どうすれば自信持てそうだ?」


「霧化だな」


「ほう」

「その心は?」


「その返しめんどくせー」

「パッと思い浮かんだんだ」

「心なんてねーよ」


「フレドの案は良い気がします」

「手を繋いで感覚は解っていますが、まだ出来てない」


「コナルとファガスもまだだしな」


「そうか、四人ともパパっと済ませろ」


「こういう時のレイセの上から目線はちょっと好きです」


「そう?」

「リビア、趣味悪い」


「うるせーな」

「あんたらの趣味は一緒だろ」

「突っ込むのもめんどくせー」


「はい、はい、さっさとやるように」


「王」

「あんた自信付けさせたいんだよな?」

「な?」


「フレド、お前は自信を勘違いしてないか?」


「なんだよ」

「また何かあるのかよ」


「自信とは、出来て当たり前と思う心だぞ」

「これが出来て、俺って凄い、の先には、無感動が待っているのだ」

「感動の連続の先に有る、無感動だ」

「俺、旨い事言った」


「ドヤ顔で言うなよ」


「いいよもう解った」

「じゃ、やるか」


「そうだな、レイセも調子に乗ってるし」

「さっさと黙らせよう」


「ですね」


「まあ、出来るだろ」


 俺は自分の空間を広げてから霧化して慣れたが、黙っておく。


 あれが無くてもたぶん出来る。


「せーの!!」


 四人が霧化した。


 数秒後、元に戻った。


 成功だ。


「王の発言のせいで喜び難いな」


「喜ぶと負けだな」


「…………」


「…………」


「馬鹿が」

「自信着いたと感じたなら、喜ぼうが、どうしようが本人の勝手だろ」


「レイセ」

「お前、どっちなんだよ」


「ちょっとそれっぽい事を言ってみたに過ぎない」


「自信付けさせたいんじゃ無かったの?」


「そうですよ」

「褒めるべきです」


「…………」

「どうせなら、連続何回行けるか試すか?」


「レイセ、お前ってそういう奴だよな」


「はい、はい、知ってた」


「呆れるぜ、王」


「ちょっとどうかと思います」


「お前らな、俺の想像が確かなら、今がバカバカしいと思う日が来るんだからな」


「え?」

「何の想像よ」


「レイセ」

「何か解ったのですか?」


「まだ確信がある訳じゃ無いから、ハッキリとは言わないけど」


「なに勿体ぶってんのよ」

「言いなさいよ」


「言っても証明できないから意味無いんだよ」


「そもそも、何の証明ですか?」


「それくらい良いか」

「この世界、『トゥルーオーシャン』の正体だ」


「ふーん」

「全部言わないなら、後に成ってからほらなって言わないでね」

「ヒント出しといて」


「ヒントも何も、この世界に付けた名前が答えなんだ」

「後は、言語が英語で共通している事とか、色々ある」

「まんま過ぎて笑うぞ」


「リビア、フレド、ボーデンは不利だな」

「こっちの世界しか知らないから」


「反対に、プロミ、ファガス、コナル、リアンナは解る筈なんだけど」

「ユングな」


「スイスの心理学者、カール・グスタフ・ユングの事?」


「そう、もう解ったか?」


「言いたい事は解ったけど、流石に妄想じゃない?」


「プロミ、なんで解るんだよ」

「お前小学生じゃ無かったのか?」


「宗教と心理学は関係あるのよ」

「参考にするのに調べたわ」


「ファガス、コナル、解らないの?」

「高校生なのに」


「それ関係ある?」

「興味なかったら知らないやつだろ」

「常識みたいに言うなよ」


「レイセ、貴方、実感が有って言ってるの?」


「リアンナ、良い質問だ」

「俺は英雄に成ろうとしているからな」


「ふ~ん、なるほどね」

「私には実感が無いけど、一応辻褄つじつまは合うわ」


「説明を求めます」


「リビア、確定したら、レイセじゃ無くて、大学生の私が説明するわ」

「レイセは感覚的過ぎるから」


「確定する目途が立ってる様な言い方ですね」


「ダンジョンを最初に攻略したら、マスターから情報が出てくる筈なのよね?」


「リアンナ、たぶんよ」


「その時解るんじゃない?」

「ヒント位はくれるんじゃない?」


「まー、一番かどうかも証明できないけど」


「ダンジョンの完全攻略がされたら世界中で話題になる筈だぜ」


「すでに攻略して、黙っているかもしれないだろ」


「何の為にですか?」


「さあー?」


「埒《らち》が明かないから、もうその話題はこれでお終いだ」

「ダンジョン攻略メンバーが同じステージ、同じレベルまで揃った」

「それで良いな?」


「お、おう」


「………はい」


「二人とも、もう受け入れてください」


「そうよ」


「そうだ」


「だぜ」


「保存食の準備が済んだら、セラリアダンジョンを攻略する」


「パパっと終わらせるぞ」

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