20話 言葉にすると簡単
レイセ:主人公。
黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。
融合者。
契約者。
黒羽学園中等部生徒会長。
美月は妹。
黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。
ルビー・アグノス。
融合者。
契約者。
月と太陽の国女王にして、現人神。
小学六年生。
美月と友達。
レイセと婚約している。
黒戸美月:零維世の妹。
小学六年生。
鏡華と友達。
非常にかわいく、ファンがいる。
リビア:聖国クリアの元代表。
レイセと婚約している。
黒竜:真名、レムリアス。
白竜と並ぶ最古の神獣。
レイセと契約している。
黒沼直樹:ベル。
黒羽学園高等部の数学と物理の教師。
中等部生徒会顧問。
融合者。
聖国クリアの守護者。
黄山十夜:春日高校一年生。
融合者。
契約者。
ファガス。
青井友介:七星学園高等部一年生。
融合者。
契約者。
コナル。
エウェル:クリア・ノキシュの妻。
故人。
エーシャ:エウェルとクリアの娘。
クリアとは血が繋がっていない。
ボーデン・バレット:フレドの補佐。
守護者。
閑話に登場。
クルダム・ゼロス:ノスヘルの元代表。
文官長。
フレドリック・ユルロア:連合国クロトの守護者長纏め役。
ノイトル・ロベスト:月と太陽の国の従者長。
ヒルデ・ガント:月と太陽の国の神官長。
ロウル・ヒスリー:月と太陽の国の従者兼料理人。
クアクル・ロウナー:月と太陽の国の従者兼料理人。
カシアル・シュース:月と太陽の国の従者兼裁縫士。
スレガリン・ラウナル:月と太陽の国の従者兼裁縫士。
カシアルの弟子。
リメア・ラメウス:月と太陽の国の神官兼付き人。
ヒメア・ラメウス:リメアとは姉妹。
月と太陽の国の神官兼付き人。
レイ:『光の旋律』リーダー。
長命種。
血の繋がっていない子供がいる。
ダズ:聖国クリアの守護者。
リビアの代わりを務めている。
ロウエル・ノキシュ:商業都市ノキシュの代表。
テラセス・マシア:ロウエルの護衛。
孤児。
ライサムとは兄弟の様に育った。
ライサム・マシア:ロウエルの護衛。
孤児。
テラセスとは兄弟の様に育った。
セシル・マイカ:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
お嬢様風。
シャレット・キニクル:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
お転婆風。
ゼレア・ロットル:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
姉御風。
シルドレ・ナバリ:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
不思議さん風。
リアンナ・ドバスカリ:海洋国家ドバスカリの女王。
長谷川さん:零維世のクラスメート。
運動部。
倉持君:零維世のクラスメート。
剣道全国三位。
キルッド・ババルイア:リアンナの執事。
通称キル。
ラトス・ミュラ:ルピアスの守護者長。
ピナンナ・ラクトリ:ノスヘルの守護者長。
リドット・シルベスト:スロラの守護者長。
ワイツル・アフガーニ:ラクラシの守護者長。
「さあ、これを飲め」
「断る」
「俺の酒が飲めないと?」
「あんた嫌な上司の典型だな」
「態と言ってる」
「良いから飲め」
「そんな腐臭漂う酒が飲めるか!」
「プロミ、お前、この酒好きだよな?」
「癖に成る味よ」
「私の国の特産品」
「罰ゲームが流行ってるのか?」
「そんな訳無いでしょ!」
「プロミを信用しろよ」
「素直に俺の言う事を聞いてみろ」
「え~!?」
「仕方無いな」
「ボーデン、お前から行け」
「ええ!?」
「な!?」
「私ですか?」
「フレドに見本を見せてくれ」
「ドロドロなんですが……」
「先に言っておく」
「最初は不味い」
「やっぱりじゃねーか」
「最初は、だ」
「不味さに驚くのに、もう一杯飲んでしまう」
「何故か、飲んでしまう」
「そして、やっぱり不味い」
「どういう訳か、それを繰り返してしまう」
「そして気付く、えげつない苦みと、
「…………」
「…………」
「お前ら、王が薦めてるんだ、飲めよ」
「ラトス、お前はわかってない」
「ですね」
「王が、えげつないとか、悶絶するとか言ってんだぞ」
「この頭のおかしい王が!」
「言い方!」
「なるほど……」
「一理ある」
「ラトス、逆に論破されるなよ」
「私も一杯頂きたいのですが」
「リビア様」
「貴方も飲まれるのですか?」
「フレド、ボーデン」
「貴方達がこれからやる訓練に比べたら、こんなお酒何でも無いですよ」
「…………」
「…………」
「リビア、慰めに成ってないわ」
「悩みを増やしただけよ」
「じゃあ、私が飲みます」
「ワイツル」
「お前、そんなに王に気に入られたいか?」
「ええ」
「面白い方です」
「四人で一緒に飲みましょう」
「俺も飲むぞ」
「リドット」
「お前も物好きだな」
「うるさい」
「気合を示す!」
「くぅぅ、仕方ない、覚悟を決めるか!」
「みんな、一気に行くぞ」
フレドは覚悟を決めたようだ。
みんな器を持っている。
五人はグイっと飲み干した。
「ぉう!」
「べぇ…………」
「…………(絶句)」
「…………(絶句)」
「ぉぉお!」
「ぐぇ…………」
「苦っ!」
「口に入れて良い味して無いだろ!」
「本当にクソ不味いです!」
「うん」
「不味い」
「苦みとえぐみの主張しか感じないな」
「はっはっは!」
「王」
「何笑ってやがる?」
「これから起きる事が可笑しくてな」
「一回でも飲んだらね~、もう一回飲むのよ~」
「絶対よ」
「リアンナ様まで」
「良し」
「コナル」
「お前にセリフを譲る」
「レイセ」
「俺が言いたかったのに……」
「ファガス悪い」
「コナルがこれから育成で苦労するから、コナルに言わせる」
「じゃー、言うぞ」
「五人とも、どんな味だったか思い出せるか?」
「え!?」
「なんだその質問……」
「苦みとえぐみが…………」
「う、嘘だろ!」
「味がぶっ飛びすぎて、ハッキリ思い出せない!」
「五人とも、もう一度飲んだら思い出せるぞ」
「「「「「!!!!!」」」」」
俺は、小さな器五つに、サンドブレイブスピリットを注いだ。
ドロッドロだ。
五人はもう一度飲んだ。
誰一人、迷わなかった。
二時間経った。
五人は会話しなくなった。
ただ、ゆっくりと、あの酒を飲んでいる。
俺はお前らが考えている事が、手に取るように解る。
えげつない苦みと悶絶するえぐみ。
味は変わらない。
急激に、自分の感覚が変わっていく。
もうそろそろ来るはずだ。
二度目の衝撃が。
何時だって、味の目覚めは衝撃的だ。
「フレド、もう気付いたか?」
「ああ、なんだこの気持ち」
「寒気がする」
「で?」
「旨い」
「気に入った」
「な?」
「笑いが出るな」
だろ?
だと思った。
「フレド、俺はお前にイエスマンに成れと言ってる訳じゃ無い」
「ああ」
「選択肢を忘れて欲しくないだけだ」
「俺が、コナルとファガスを育てる為に国を出た時、お前は納得してたか?」
「いや、俺はあんたの確信に共感できなかった」
「だろ?」
「なら何故納得できるまで話さない?」
「あんたが王だ」
「お前はナンバーツーだ」
「ダズもだが、あっちは俺の元上司だ」
「俺の右腕なんだから、自分の意見を持て」
「お前は、俺と連絡を取りながら、諦めただろ?」
「…………」
「俺も解ってて、指摘しなかった」
「お前には自覚が無かったからだ」
「今は有るか?」
「ああ、解ってきた」
「悩み続けろって言うんだろ?」
「そうだ」
「俺は、間違った悟り方をしていた」
「そうだ」
「俺達は人間だ」
「寿命が無くなってもだ」
「悟ると諦めるは似てる」
「人間はそう簡単に悟れない」
「お前が決め込んだ態度は、悟りじゃなく、諦めだ」
「悩み続けて、探せ」
「すべてをひっくり返す一手を」
「つまり革新だ」
「それを狙い続けろ」
「革新へ挑戦し続けろ」
「狙わないと、狙い続けないと出ないぞ」
「前向きに悩め」
「難しい注文だな」
「たぶん、ダズは
「今から、ダズがお前のライバルな」
「あんた、やっぱ腹立つな」
「今度会わせてやる」
「聞けよ!」
「あいつはクールだからな」
「お前は相手にされ無いかもな」
「うあー!」
「あんたホントにその性格!」
「うるさい」
「お前の方が俺より年上だろ」
「ガタガタ言うな」
「お前には期待している」
「頑張って付いて来い」
「ああ、やるさ」
「差し当って、訓練する」
「ファガスとコナルにやらせてた訓練だ」
「ああ、キツイんだろ?」
「精神崩壊一歩手前まで体を酷使して、そこから更に二歩ほど進んで限界を超えた位置を維持し、その状態を維持したままでも自然に体が動くようになるまで続ける」
「言葉にすると簡単だな」
「いや、簡単そうには聞こえなかったが……」
「今説明した二行ほどの言葉に、何年費やすと思う?」
「…………」
「守護者長達にも刺激が必要だな」
「明日もぶっこむからな」
「はあぁ、楽しみにしとくよ」
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