19話 爆発しろ

 レイセ:主人公。

     黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。

     融合者。

     契約者。

     黒羽学園中等部生徒会長。

     美月は妹。

 黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。

      ルビー・アアグノス。

      融合者。

      契約者。

      月と太陽の国女王にして、現人神。

      小学六年生。

      美月と友達。

      レイセと婚約している。

 黒戸美月:零維世の妹。

      小学六年生。

      鏡華と友達。

      非常にかわいく、ファンがいる。

 リビア:聖国クリアの元代表。

     レイセと婚約している。

 黒竜:真名、レムリアス。

    白竜と並ぶ最古の神獣。

    レイセと契約している。

 黒沼直樹:ベル。

      黒羽学園高等部の数学と物理の教師。

      中等部生徒会顧問。

      融合者。

      聖国クリアの守護者。

 黄山十夜:春日高校一年生。

      融合者。

      契約者。

      ファガス。

 青井友介:七星学園高等部一年生。

      融合者。

      契約者。

      コナル。

 エウェル:クリア・ノキシュの妻。

      故人。

 エーシャ:エウェルとクリアの娘。

      クリアとは血が繋がっていない。

 ボーデン・バレット:フレドの補佐。

           守護者。

           閑話に登場。

 クルダム・ゼロス:ノスヘルの元代表。

          文官長。

 フレドリック・ユルロア:連合国クロトの守護者長纏め役。

 ノイトル・ロベスト:月と太陽の国の従者長。

 ヒルデ・ガント:月と太陽の国の神官長。

 ロウル・ヒスリー:月と太陽の国の従者兼料理人。

 クアクル・ロウナー:月と太陽の国の従者兼料理人。

 カシアル・シュース:月と太陽の国の従者兼裁縫士。

 スレガリン・ラウナル:月と太陽の国の従者兼裁縫士。

            カシアルの弟子。

 リメア・ラメウス:月と太陽の国の神官兼付き人。

 ヒメア・ラメウス:リメアとは姉妹。

          月と太陽の国の神官兼付き人。

 レイ:『光の旋律』リーダー。

    長命種。

    血の繋がっていない子供がいる。

 ダズ:聖国クリアの守護者。

    リビアの代わりに代表代理を務めている。

 ロウエル・ノキシュ:商業都市ノキシュの代表。

 テラセス・マシア:ロウエルの護衛。

          孤児。

          ライサムとは兄弟の様に育った。

 ライサム・マシア:ロウエルの護衛。

          孤児。

          テラセスとは兄弟の様に育った。

 セシル・マイカ:レイセの近衛兵。

         元一流の冒険者。

         お嬢様風。

 シャレット・キニクル:レイセの近衛兵。

            元一流の冒険者。

            お転婆風。

 ゼレア・ロットル:レイセの近衛兵。

          元一流の冒険者。

          姉御風。

 シルドレ・ナバリ:レイセの近衛兵。

          元一流の冒険者。

          不思議さん風。

 リアンナ・ドバスカリ:海洋国家ドバスカリの女王。

 長谷川さん:零維世のクラスメート。

       運動部。

 倉持君:零維世のクラスメート。

     剣道全国三位。

 キルッド・ババルイア:リアンナの執事。

            通称キル。

 ラトス・ミュラ:ルピアスの守護者長。

 ピナンナ・ラクトリ:ノスヘルの守護者長。

 リドット・シルベスト:スロラの守護者長。

 ワイツル・アフガーニ:ラクラシの守護者長。





 あれから数日経った。



 秋にやる集合会はもう今日だ。


 十八都市の守護者長が集まっている。


 集合会では各都市の状況報告を受ける。


 その後宴を行う。



 本来、状況報告など魔道具で出来る。


 ぶっちゃけ宴メインだ。



 今回はコナルとファガス、リアンナがいる。


 プロミがいる事もちょっと珍しい。


 何かが起こってしまうかもしれない。


 刺激が欲しいだなんて、仕事に慣れたOLの様だとか思っていないか?


 断じて違うぞ。


 いや、OLの悪口を言うつもりは無い。


 悪かった。


 言いたいのは、ただ、不測の事態に慣れておきたいだけという事だ。


 俺の対応力の訓練だ。


 だから、何かが起きても、ただ見ているという選択はない。


 振りじゃ無いぞ。


 真面目にやる。



 会議が始まる。


 司会はフレドだ。


「今日は王がいるから一応真面目にやるつもりだ」


「フレド、そういうの良いから」

「お前、なんだかんだ真面目だから」


「そうそう、いつも通りさらっと終わらせてくれ」


「そういう言い方すると、俺がかわいくなるだろうが」

「そんなんじゃ無いぞ」


「うん」

「フレド、わかってる」

「からかわれてるだけだ」

「続けてくれ」


「お、おう」


「なんか、既にもう何処か緩いんだけど」

「大丈夫かしら?」


「御心配には及びません、締める所は締める奴です」


「ボーデンはそう言いますが、フレドだけの問題では無い気がします」



 十八都市全ての守護者長が揃っている。


 育成途中の守護者の進捗。


 兵士や結界師の育成度合いと予定。


 五十階層以降のダンジョン攻略状況。


 それらの報告を順番に受けて行く。



 まずは半数の九都市分の報告を受ける。


 その後、一旦休憩だ。


 休憩後、質疑を行い、また残りの九都市分の報告を受ける。




 始めの九都市分の報告が終わった。


 休憩だ。



 フレドは手慣れたもんだった。


 クルダムの補足も必要としていない。


 ボーデンは見ているだけ。


 余裕だ。


「中々統制が取れてるわね~」


 リアンナが褒めている。


 そんな筈は無い。


 フレドに限って普通に事が進むと?


 馬鹿な。


 統制の取れていないところを俺が出て行って旨くやる筈が…………。



 まだだ、まだ慌てる時間じゃない。


 俺の動く時はきっと来る。


 俺は、対応力の訓練をするのだ。




 その後、報告に対する質疑応答を行った。


 問題なく進んで行く。


 時々、俺に意見を求めて来るところまで、ソツが無い。


 まあ、俺が見込んだだけの事は有ると言っておく。


 だが俺は諦めていない。


 もう一度言っておく、俺は対応力の訓練がしたいのだ。




 会議はどんどん進んで行く。


 俺は焦って来た。


 まさか、そんな筈は。


 もうすぐ終わってしまう。


 最後の質疑応答を終えてしまった。


 全て、無難に終わった。


 終わってしまった。



 フレド、お前にはガッカリだ。


 何かやらかしてくれると思っていたのに。


 何て優秀な奴らなんだ。




 冗談はさておき、本当に手が掛からなくなったな。



 でもな、会議は荒れても良いんだよ。


 本当は、真剣にやれば荒れる筈なんだ。



 俺の本質は、自分の手を動かす事が出来る事にある。


 高い所と低い所、両方の視座を持てる所に本質が有る。



 何が言いたいか?



 頭だけ鍛えても、体が付いて行かなければ、意味が無い。


 会議が上手くなっても、育成が進まなくては意味が無い。



 実のところ、重要なのはダンジョン攻略だ。


 ダンジョンの新しい利用方法が見つからなければ、育成の効率は上がらない。


 実際に育成を行っている守護者達から、生の声がどう変化したかだ。



 そして、育成のし易さは変わっていなかった。


 守護者長達も全武器の部分融合をやっと乗り越えた段階だ。


 多寡たかが部分融合に五十年も掛けさせてしまった。


 俺のミスかもしれない。


 いつかのメモの様に、部分融合も効率化が出来ていればと思ってしまう。



 はあ、本当にお前らは優秀だ。


 賢い。


 しかしだ、小さくまとまっただけに過ぎない。


 俺は馬鹿だから、これから爆弾を投げる。


 爆発しろ。


 悩め。


「お前らな、宴がメインだからって気を抜き過ぎだぞ」


「この五十年で、どう進歩したんだ?」

「言ってみろ?」

「フレド、どうした?」

「言え」


「…………」


「まあ、予想はついてる」

「維持するだけで手一杯だったと言うんだろう?」

「なら、質問を変えてやる」

「フレド、お前のしなければいけない事は何だ?」


「…………」

「自分の強化と、育成の効率化だ」


「進んでるのか?」


「さっぱりだ」

「だがな、みんなの部分融合は進んでいる」

「それに、五十階層までの効率化はやった」

「若年者用の学校を作ったしな」

「忘れていた訳じゃ無いんだ」

「辛抱強く教え続けて来た自信がある」

「効果に現れて来ていないだけだ、言い訳だが」


「そうか、ならな、もっと悔しがれ」

「カッコ付けてんじゃねえ」


「うるせえ」

「お前は俺達を置いて五十年も国を空けておいて」


「なんだそれは?」

「お前大丈夫だ、ばっかりだったろ」


「あんたにも解決策が無いのは知ってるんだ」


「だから、そういうとこだぞ」

「俺が昔、上司に言われた一言をお前にもくれてやる」

「真剣にやれ」

「我慢するんじゃ無く、自分で突破口を見つけろ」

「俺の力を借りる事も、突破口に入っているんだ」

「もっと藻掻け」

「停滞が一番悪い」

「明日は俺が、全員と一対一で打ち合って悪い所を教えてやる」


「なんか腹立ってきた」

「あんたなんで上から目線なんだ?」


「フレド、お前らは弱い」


「は?!」

「舐めてんじゃねえ」


「ボーデンはわかってるだろう」

「この前手合わせしただろ」


「はい、わかってます」


「俺も五十年遊んできた訳じゃ無い」

「お前ら、ファガスとコナルと打ち合え」

「それで解る」


「レイセ」

「こっちに振るなよ」


「コナル、別に良いだろ」

「守護者長達は俺達が遊んでたと思ってんだぞ」


「ファガス」

「大人げないぞ」


「コナル、お前」

「どんだけ上から目線なんだよ」

「酷いな」


「良し、決定な」

「明日全員訓練場に来い」

「じゃあな」

「会議はこれで終わりだ」

「居酒屋を借り切っているから、時間までに移動する様に」

「以上」


 気持ちを切り替えよう。



 飲むぞ。



 若しくは、ポーカーでぶっ潰してやる。



 フレドにはあの酒をまだ渡していない。


 居酒屋に用意してある。




 フレドの喜ぶ顔が目に浮かぶな。

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