16話 五国間同盟

 レイセ:主人公。

     黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。

     融合者。

     契約者。

     黒羽学園中等部生徒会長。

     美月は妹。

 黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。

      ルビー・アグノス。

      融合者。

      契約者。

      月と太陽の国女王にして、現人神。

      小学六年生。

      美月と友達。

      レイセと婚約している。

 黒戸美月:零維世の妹。

      小学六年生。

      鏡華と友達。

      非常にかわいく、ファンがいる。

 リビア:聖国クリアの元代表。

     レイセと婚約している。

 黒竜:真名、レムリアス。

    白竜と並ぶ最古の神獣。

    レイセと契約している。

 黒沼直樹:ベル。

      黒羽学園高等部の数学と物理の教師。

      中等部生徒会顧問。

      融合者。

      聖国クリアの守護者。

 黄山十夜:春日高校一年生。

      融合者。

      契約者。

      ファガス。

 青井友介:七星学園高等部一年生。

      融合者。

      契約者。

      コナル。

 エウェル:クリア・ノキシュの妻。

      故人。

 エーシャ:エウェルとクリアの娘。

      クリアとは血が繋がっていない。

 ボーデン・バレット:フレドの補佐。

           連合国クロトの守護者。

           閑話に登場。

 クルダム・ゼロス:ノスヘルの元代表。

          文官長。

 フレドリック・ユルロア:連合国クロトの守護者長纏め役。

 ノイトル・ロベスト:月と太陽の国の従者長。

 ヒルデ・ガント:月と太陽の国の神官長。

 ロウル・ヒスリー:月と太陽の国の従者兼料理人。

 クアクル・ロウナー:月と太陽の国の従者兼料理人。

 カシアル・シュース:月と太陽の国の従者兼裁縫士。

 スレガリン・ラウナル:月と太陽の国の従者兼裁縫士。

            カシアルの弟子。

 リメア・ラメウス:月と太陽の国の神官兼付き人。

 ヒメア・ラメウス:リメアとは姉妹。

          月と太陽の国の神官兼付き人。

 レイ:『光の旋律』リーダー。

    長命種。

    血の繋がっていない子供がいる。

 ダズ:聖国クリアの守護者。

    リビアの代わりを務めている。

 ロウエル・ノキシュ:商業都市ノキシュの代表。

 テラセス・マシア:ロウエルの護衛。

          孤児。

          ライサムとは兄弟の様に育った。

 ライサム・マシア:ロウエルの護衛。

          孤児。

          テラセスとは兄弟の様に育った。

 セシル・マイカ:レイセの近衛兵。

         元一流の冒険者。

         お嬢様風。

 シャレット・キニクル:レイセの近衛兵。

            元一流の冒険者。

            お転婆風。

 ゼレア・ロットル:レイセの近衛兵。

          元一流の冒険者。

          姉御風。

 シルドレ・ナバリ:レイセの近衛兵。

          元一流の冒険者。

          不思議さん風。

 リアンナ・ドバスカリ:海洋国家ドバスカリの女王。

 長谷川さん:零維世のクラスメート。

       運動部。

 倉持君:零維世のクラスメート。

     剣道全国三位。

 キルッド・ババルイア:リアンナの執事。

            通称キル。

 ラン:元案内人。

    聖国クリアの守護者。

    天真爛漫。

    ベルと上手く行った。

 カー:元案内人。

    聖国クリアの守護者。

    好奇心旺盛。

 タロスト:元案内人。

      聖国クリアの守護者。

      寡黙。

 アル:元案内人。

    聖国クリアの守護者。

    血の気の多い性格。




 

 使者が迎えに来た。


 馬車を用意されていたが、俺は歩いて行くと伝えた。


 使者はそれに従った。


 歩いている内に日が沈みだす。





 完全に夜のトバリが降りていた。


 俺達は全員でぞろぞろと歩いている。


 大通りには外灯が並んでおり、青白い光を灯している。


 街並みは整えられ、外灯の光がそれを照らす。


 綺麗だ。


 連れだって歩く皆の口数は少ない。


 景観の美しさに目を奪われている。



 リビアが俺の為に用意した街。


 おそらく三百年以上前から変わっていない。


 歴史を感じさせながらも、古さを感じない。


 街の造りは、時間の経過を計算に入れていたのだろう。


 美しさにため息が出る。



 リビアを見る。


 俺の反応に満足気だ。




 城に着いた。


 中に通される。


 大きな通路を抜け、階段を上がる。


 二階には大きな扉が有った。


 大広間だろう。


 たぶん中に玉座がある。


 スウと扉が開いた。


 中に入る。



 玉座の隣に男が一人立っている。


 懐かしい顔だ。



 懐かしい顔は他に六人。



 そして、外壁で会った二人。


 他にもいるが、知らない顔だ。



 玉座の隣のにいる男まで歩く。



 無精ひげは止めたらしい。


 ウエストコートにスラックス。


 きっちりネクタイを締めていやがる。


 スカした格好も出来るんだな。



「ダズ、久しぶりだな」


「クリア」

「久しぶりだ」


「クリアか」

「懐かしい名だ」

「今はレイセと名乗ってる」

「紛らわしいからそう呼んでくれ」


「解った」

「レイセ、それで、調子はどうだ?」


「もうその話か?」


「当り前だ」

「玉座には何時座るんだ?」


 外壁にいた二人は驚いた顔だ。


「ちょっと待ってくれ」

「今何と?」


「玉座に座るのですか?」

「その方が?」


 ダズ、説明していないのか?


 そうか出来ないんだったな。


「二人とも、俺は代表代理だ」

「それは知っているな?」


「知っていますが」

「それが?」


「代表はそこにいるリビアだ」


「ダズ、そこで私に振るのですか?」

「七十年程前の話ですよ」


「六十五年だ」


「この国は私が中心になって、クリアの為に纏めました」


「最初の王の名前は決まっています」

「『レイセ・クリア・クロト・ノキシュ』です」


「『クリア・ノキシュ』とは、『最初の冒険者』の、ですか?」


「そうだ」


「俺はダズ様に条約締結を取り付けにやって来た、リトアニだ」


「私も条約をと武闘国家から来ました」

「ダリドベです」


「外壁で会ったな」



 リトアニは長い髪をした、魔導士風のローブを着た男性だ。


 外壁では魔道国家の宰相と言っていた。


 ローブは魔道国家の正装なのだろう。


 気配からは読み取れないが、契約者なのは間違いなさそうだ。


 身のこなしでわかる。


 百年足らずでは出来ない動きだ。


 俺より年上かもな。



 ダリドベは髪をツーブロックにして、前髪を七三で分けている。


 男性だ。


 ダブルのスリーピース。


 痩せ型なのだろう、迫力を出す為にダブルを選んだとわかる。


 ボクサーを連想させる体格だ。


 武闘国家の守護者長らしいが、その中でも選り抜きだろう。


 彼も契約者だ。


 リトアニと同じ理由でわかる。


 やはり百年足らずでは出来ない身のこなし。


 そして俺より年上だろう。



「『最初の冒険者』が連合国クロトを成立させたのは聞いていたが…………」


「まさか、聖国の玉座に座る予定とは思いもしませんでしたね」


「クリアを、レイセを王に据えるのは建国を計画した時から決まっていた」

「別に隠していない」


「ですね」

「聖国クリア、ですから」


「人命をそのまま国名にしていたとは……」


「いや、いや、いや」

「じゃあ、連合国はどうするんだ?」


「治めるぞ、行き来する」


「ダズ様、この、クロト、様、は本気で言ってるのか?」


「ああ、馬鹿みたいだろ?」

「だがそいつは、やると言ったらやる奴だ」


「言っとくが、まだ玉座には座らないぞ」

「連合国クロトの人材育成がもう少しかかる」

「それで、二人とも、何の条約だ?」


「魔物の王への共闘です」


「同じく」


 シャットリイが落ちた事で危機感が増したのだろう。


 俺達にとっても良い話だ。


「ダズ、何と答えたんだ?」


「勝手にそんな条約結べると思うか?」

「お前が決めろ」


「俺はまだ玉座に座れない」

「だが、リビアに意見は出来る」

「リビア、共闘を受けろ」


「ダズ、条約を結びなさい」


「何とも面倒なやり取りね」


「私とは条約を結ば無くても良いのかしら?」


「失礼ながら、貴方は?」


「彼女は、ルビー・アグノス」

「月と太陽の国の」


「ちなみに、私はリアンナ・ドバスカリ、海洋国家の」


「ば、馬鹿な!?」


「ええ?!」


「タイミングが良かったな二人とも」



 五国間同盟の話になった。


 五国のうちの何処かが魔物の王の配下に狙われた場合、大規模な戦いになる。


 サバスに魔物の王が攻めて来た時より大規模に成るだろう。



「本来なら国に話を持ち帰らなければいけないが…………」


「私もです」


「書面は後日で良いぞ」

「こっちにとっても良い話だ」


「それにしても、どのような繋がりで御三方が揃ったのですか?」


「俺とルビーは婚約してる」

「リアンナはルビーの友人だ」


「連合国の王と、月と太陽の国の女王が婚約だと!?」


「王に成る前から婚約していた」

「リビアとも婚約している」

「リアンナとはもっと親しくなる」

「俺の友人と付き合っている」

「ファガス、プロポーズはしたか?」


「した」

「その日のうちに」

「婚約してる」


「ダズ様」

「この王は大丈夫なのか?」

「めちゃくちゃだぞ」


「リトアニ、俺だって内心は不安だ」


「うう、私の常識が壊れて行く」


「ダリドベ、条約は締結される」

「プラスに考えろ」


「ダズ様」

「貴方も苦労しますね」


「そこ、俺が悪いみたいに言うなよ」

「条約の話はもういいか?」

「他にも話したい奴らがいる」


「ベル」

「久しぶり」


「ええ、お久しぶりです」

「僕はたった六十五年ぶりですから後でも良かったのですが」

「たった六十五年ぶりですから」


「わかった、わかった」

「悪かった」

「でも、悪いが、もう少し待っててくれ」


「仕方ないですね」


「カー、元気にしてたか?」


「あたり前だよ」

「実は描いて欲しい絵が有って、頼めないかな?」


「ああ、ここを離れるまでに描くよ」


「ええ!?」

「あたしも描いて欲しい」


「二枚も描く時間は無いかもな」

「今回は、カーからだな」


「えー?」

「ズルイー」


「ラン、ベルと上手く行ったって?」


「うん」

「結婚した」

「クリ兄貴も早くしてね」


「クリ兄貴は止めてくれ」

「兄貴で良い」


「タロスト、調子はどうだ?」


「…………」

「上々だ」

「また会えた」


「アル、今日は飲むぞ」


「ふ」

「ああ、途中でへばるなよ」


「シェルミ」

「カインはどうした?」


「ダンジョンに潜っています」


 カインとシェルミは長命種の兄妹だ。


 父親は魔物の王の配下だった。


 俺が殺した。


「ダズ、次は食事だろ?」

「どこで食べる?」


「居酒屋を貸し切りにした」

「移動するか」


「リトアニ、ダリドベ、お前らも来い」


「お付き合いします」


「喜んで」



 夜はまだ続く。

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