15話 非公式

 レイセ:主人公。

     黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。

     融合者。

     契約者。

     黒羽学園中等部生徒会長。

     美月は妹。

 黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。

      ルビー・アグノス。

      融合者。

      契約者。

      月と太陽の国女王にして、現人神。

      小学六年生。

      美月と友達。

      レイセと婚約している。

 黒戸美月:零維世の妹。

      小学六年生。

      鏡華と友達。

      非常にかわいく、ファンがいる。

 リビア:聖国クリアの元代表。

     レイセと婚約している。

 黒竜:真名、レムリアス。

    白竜と並ぶ最古の神獣。

    レイセと契約している。

 黒沼直樹:ベル。

      黒羽学園高等部の数学と物理の教師。

      中等部生徒会顧問。

      融合者。

      聖国クリアの守護者。

 黄山十夜:春日高校一年生。

      融合者。

      契約者。

      ファガス。

 青井友介:七星学園高等部一年生。

      融合者。

      契約者。

      コナル。

 エウェル:クリア・ノキシュの妻。

      故人。

 エーシャ:エウェルとクリアの娘。

      クリアとは血が繋がっていない。

 ボーデン・バレット:フレドの補佐。

           連合国クロトの守護者。

           閑話に登場。

 クルダム・ゼロス:ノスヘルの元代表。

          文官長。

 フレドリック・ユルロア:連合国クロトの守護者長纏め役。

 ノイトル・ロベスト:月と太陽の国の従者長。

 ヒルデ・ガント:月と太陽の国の神官長。

 ロウル・ヒスリー:月と太陽の国の従者兼料理人。

 クアクル・ロウナー:月と太陽の国の従者兼料理人。

 カシアル・シュース:月と太陽の国の従者兼裁縫士。

 スレガリン・ラウナル:月と太陽の国の従者兼裁縫士。

            カシアルの弟子。

 リメア・ラメウス:月と太陽の国の神官兼付き人。

 ヒメア・ラメウス:リメアとは姉妹。

          月と太陽の国の神官兼付き人。

 レイ:『光の旋律』リーダー。

    長命種。

    血の繋がっていない子供がいる。

 ダズ:聖国クリアの守護者。

    リビアの代わりを務めている。

 ロウエル・ノキシュ:商業都市ノキシュの代表。

 テラセス・マシア:ロウエルの護衛。

          孤児。

          ライサムとは兄弟の様に育った。

 ライサム・マシア:ロウエルの護衛。

          孤児。

          テラセスとは兄弟の様に育った。

 セシル・マイカ:レイセの近衛兵。

         元一流の冒険者。

         お嬢様風。

 シャレット・キニクル:レイセの近衛兵。

            元一流の冒険者。

            お転婆風。

 ゼレア・ロットル:レイセの近衛兵。

          元一流の冒険者。

          姉御風。

 シルドレ・ナバリ:レイセの近衛兵。

          元一流の冒険者。

          不思議さん風。

 リアンナ・ドバスカリ:海洋国家ドバスカリの女王。

 長谷川さん:零維世のクラスメート。

       運動部。

 倉持君:零維世のクラスメート。

     剣道全国三位。

 キルッド・ババルイア:リアンナの執事。通称キル。




 

 聖都クリアに近付いて来た。


 通り道なんだ。



 でも、寄るかどうかで迷っている。



 考えながら、ロウルとクアクルが作った朝食を食べる。


 相変わらず毒が入っている。


 遅効性を試す気らしい。


 もう面倒臭い。


 そのまま食べる。



 うまい。



 一流の味。


 ノイトルが嬉しそうだ。


 無視だ、無視。


「リビア、どう思う?」


「私なら食べません」


「その話じゃ無い」

「聖都に寄るかどうかだよ」


「ああ、そろそろ顔位出しておいた方が良いですね」


「やっぱりそう思うか」


「それはそうですよ」


「もう七十年位経ちますし、次に来られるのが何時に成るかわかりませんから」


「そうだな」

「再会の時に聖都クリアで王に成るつもりだったが…………」


「非公式なら問題無いですよ」


「それは余計に不味く無いか?」


「面白そうな話してるわね」


 プロミが洗顔を済ませて食事しに来た。


「プロミ」

「聖都クリアに寄ります」


「うん」

「聞こえてた」

「貴方の国ね」


「私が用意しましたが、私の国では無いですよ」


「わかっているさ」


「お前が三百年掛けて作ったんだ、すぐに潰すわけには行かなかった」


「やれやれ、いつ結婚式挙げられるのかしら」


「早く俺と結婚したいか?」


「さっさと済ませたいだけよ」


 笑い飛ばそう。


「リビア」

「髪お願い」


 リビアはプロミの髪を三つ編みにしていく。


 丁寧に編んでいく。



 編み終わった。


「私のをお願いします」


 プロミはリビアの髪をシニヨンにしていく。


 すぐに終わった。



 この二人は毎朝こうだ。



 何故か仲が良い。


 俺が言うのもなんだが。


 プロミは付き人のリメアとヒメアにも髪を触らせない。


 リビアだけ特別だ。


 二人のやり取りを見ていると、妙な気分になる。


 息が合い過ぎているというか……。



 ヒルデがプロミの朝食を差し出した。


 プロミがヒルデの頭を撫でる。


 ヒルデは感激している。


 これも毎朝だ。



 コナルが起きてきた。


「みんなおはよう」


「「「おはよう」」」


「コナル、一緒に食べましょう」

「待ってるわ」


「顔洗ってくる」


 馬車は川の近くだ。


 川まで顔を洗いに行った。



 ファガスとリアンナは起きるのが遅い。


 理由は想像通りだ。



 色欲同士だと我慢できない。


 そういう呪いだ。



 コナルが戻って来た。


 女近衛兵四人が準備万端で待っている。


 コナルが座ると、パンとスープが出てくる。


 コナルは屈託くったくなく、ありがとう、と言う。


 近衛兵達だけでなく、プロミもリビアも笑顔になる。


 そして、みんながどんどんコナルに食わせる。


 コナルは次から次へと食べて行く。


 食べさせたくなる笑顔なんだ。



 ひと段落した後、ファガスとリアンナが起きてきた。



 ファガスがリアンナをお姫様抱っこ。


 これもいつもだ。


 みんなに、おはよう、と言った後、ファガスはリアンナを川に移動させる。



 戻って来た。


 執事のキルが朝食を出す。


 ファガスが、ありがとう、と言う。


 キルは嬉しそうだ。



 ファガスはリアンナを膝に乗せたまま食事する。


 ファガスはパンを小さくちぎってリアンナに食べさせる。


 良いタイミングでスープを口に持っていく。


 スープが垂れそうになると、ハンカチを口元に持っていく。


 リアンナが食べている間に自分が食べる。


 徹底してリアンナを中心に動く。


 リアンナは満足そうだ。


 女性陣は羨ましそうに見ている。


 ファガスは器用過ぎる。


 マネできそうにない。


 俺はちょっと悔しい。



 みんな食べ終わった。


「聞いてくれ」

「聖都クリアへ向かう」


「馬車五台で入国するが、連絡してない」

「旅の者で通す」

「非公式だ」


「リアンナ、良いな?」


「うふふ」

「いいわよ~」

「王が三人一度に非公式入国」

「あり得ない」


 確かにあり得ない。


 ダズ、怒るなよ。



 お前が怒ると余計笑ってしまう。



 あと三日程で聖都に着く。


 みんな元気にしているかな?


 驚く顔を見られるだろうか?



 楽しみだ。




 *   *




 聖都クリアの外壁の大きな扉の前で、馬車が順番待ちをしている。


 大渋滞だ。



 一番前は、魔道国家ネストロスの三台。


 次は、武闘国家メロイリスの三台。


 そして俺達、旅の者五台。


 どうしよう?


 旅の者が一番大掛かりだ。


 他の国も非公式じゃないか?


 兵士では判断できないので時間が掛っているんだろ。


 プロミの従者が交渉に行こうとしたが、中で待つように命じた。



 俺が自分で様子を見に行く。


 リビアが出てきてしまった。


 二人で行く。


「どうした?」


 兵士に話しかける。


「代表に連絡が取れなくて困ってるんだ」

「非公式で二国同時に入国したいなんて、マニュアルに無いんだよ」

「対応しようが無い」


「やっぱりか」


「ダズ、様、はどうしてるんだ?」


「代表は十年ぶりの休暇中だ」

「邪魔したくない」


 十年か、えらいタイミングだ。


 笑ってしまう。


「邪魔したく無いってなんだよ」

「連絡してくれよ」


 魔道国家の誰かが言った。


「我々武闘国家が後から来たんです、我々は後で良い」

「早くしてください」


 武闘国家の誰かも言った。


「そう簡単な話じゃ無いんです」

「武闘国家とは親交が深い」

「我々では判断出来ないんです」

「そもそも非公式入国にも問題が……」


「黙りなさい!」

「言い訳しない!」

「ベルに連絡を取れば良いだけでしょう?!」

「待たせるとは何事ですか!」


「我々の魔道具はベル様と繋がっていません、申し訳無いです」


「なんですって!?」

「私が連絡します」


 リビアが馬車に走って行った。


「魔道国家の方、お名前は?」


「宰相のリトアニだ」


「武闘国家の方は?」


「ダリドベ・スニー、守護者長です」


「そういう貴方は?」


「失礼しました」

「名乗るほどの者では無いのです」

「ただ、また会うかもしれませんがね」


 扉が開いた。


 ベルが立っている。


 走って来た様だ。


 息が切れている。


「申し訳ございません」


「リトアニ様から中に入って下さい」

「!?」

「ちょっと待って、そこの人、顔を見せて下さい」


「ベル、久しぶりだな」


「あんたふざけんなよ!」

「連絡はどうした?」


「驚かせようと思って」


「…………」

「プロミさんもいるんですか?」


「当たり前だろ」


「…………」


「リアンナも連れてきた」


「!?」

「海洋国家の、ですか!?」


「そう、そのリアンナ」


「…………」


 会話の最中、ベルの魔道具がブーブーと振動していた。


 会話が中断されたので、やっとベルが応じる。


 リビアの怒った声が魔道具と馬車の二か所から響いた。


 ベルは必死で答えている。



 終わった。


「俺達は後で良いから、早く他の国を入れてやれ」


「わかりました」


「ささ、リトアニ様、中へ」



「何か釈然しゃくぜんとしないな」


「同じく」


「後で事情を説明します」


「クロト王」

「同席してくださいね」


「!!」


「!!」


「旅の者だ」

「わかった仕方ない」


「今、クロト王と言ったのか?」


「そう聞きましたよ」


「俺は良いからさっさと移動してくれよ」


 二人は急いで馬車を移動させる。


 俺も馬車に戻る。



 馬車五台を止めておける、広い敷地を持った宿屋。


 自然と高級ホテルになる。


 すぐに使者が来た。



 二日後の夕刻に迎えが来るらしい。


 全員出席だ。



 久しぶりにベッドで眠れる。


 風呂にも浸かれた。



 余は満足じゃ。


 不味い、これでは無気力症状が出てしまう。


 プロミを誘って、少し訓練して汗を流すか。



 そしてもう一度、風呂に入る。


 いいな。


 いい。


 幸せだ。



 次の日は、久しぶりに近衛兵四人組の実力を見た。


 中々育ってきている。


 部分融合も出来ている。


 プロミの従者達と訓練させていたからな。


 俺の近衛兵として活躍し続けるだろう。


 コナルに取られそうだが。


 今はコナルと打ち合っている。


 嬉しそうだ。



 明日、ダズに会う。


 …………。


 ダズはこの世界で、更に、とか、その上、とかの意味らしい。


 奴を超える事が出来ているかな?


 成長した、俺を喜んでくれるかな?


 自信か?


 有るさ。



 今日はしっかり体を動かして、疲れておかないと、眠れそうに無いな。

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