14話 疎外感を感じます
レイセ:主人公。
黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。
融合者。
契約者。
黒羽学園中等部生徒会長。
美月は妹。
黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。
ルビー・アグノス。
融合者。
契約者。
月と太陽の国女王にして、現人神。
小学六年生。
美月と友達。
レイセと婚約している。
黒戸美月:零維世の妹。
小学六年生。
鏡華と友達。
非常にかわいく、ファンがいる。
リビア:聖国クリアの元代表。
レイセと婚約している。
黒竜:真名、レムリアス。
白竜と並ぶ最古の神獣。
レイセと契約している。
黒沼直樹:ベル。
黒羽学園高等部の数学と物理の教師。
中等部生徒会顧問。
融合者。
聖国クリアの守護者。
黄山十夜:春日高校一年生。
融合者。
契約者。
ファガス。
青井友介:七星学園高等部一年生。
融合者。
契約者。
コナル。
エウェル:クリア・ノキシュの妻。
故人。
エーシャ:エウェルとクリアの娘。
クリアとは血が繋がっていない。
ボーデン・バレット:フレドの補佐。
連合国クロトの守護者。
閑話に登場。
クルダム・ゼロス:ノスヘルの元代表。
文官長。
フレドリック・ユルロア:連合国クロトの守護者長纏め役。
ノイトル・ロベスト:月と太陽の国の従者長。
ヒルデ・ガント:月と太陽の国の神官長。
ロウル・ヒスリー:月と太陽の国の従者兼料理人。
クアクル・ロウナー:月と太陽の国の従者兼料理人。
カシアル・シュース:月と太陽の国の従者兼裁縫士。
スレガリン・ラウナル:月と太陽の国の従者兼裁縫士。
カシアルの弟子。
リメア・ラメウス:月と太陽の国の神官兼付き人。
ヒメア・ラメウス:リメアとは姉妹。
月と太陽の国の神官兼付き人。
レイ:『光の旋律』リーダー。
長命種。
血の繋がっていない子供がいる。
ダズ:聖国クリアの守護者。
リビアの代わりを務めている。
ロウエル・ノキシュ:商業都市ノキシュの代表。
テラセス・マシア:ロウエルの護衛。
孤児。
ライサムとは兄弟の様に育った。
ライサム・マシア:ロウエルの護衛。
孤児。
テラセスとは兄弟の様に育った。
セシル・マイカ:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
お嬢様風。
シャレット・キニクル:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
お転婆風。
ゼレア・ロットル:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
姉御風。
シルドレ・ナバリ:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
不思議さん風。
リアンナ・ドバスカリ:海洋国家ドバスカリの女王。
長谷川さん:零維世のクラスメート。
運動部。
倉持君:零維世のクラスメート。
剣道全国三位。
出発の時間に成っても、リアンナは来なかった。
プロミが様子を見に行った。
俺達は船に馬車を移動させて時間を潰した。
出発の準備は全て整っていた。
来ない。
いつまで経っても。
昼を過ぎ、夕方近くに成っていた。
やっとプロミが姿を現した。
リアンナは引きずられている。
「レイセ、手伝って」
「どういう状況だ?」
「私たちの無気力状態と似た感じよ」
「解るでしょ」
「ファガスを意識し過ぎて、考えが纏まらなくなって、動けないのよ」
「七つの大罪か」
「そうよ」
「“色欲”」
七つの大罪色欲は異性が気に成りすぎるスキルだ。
デメリットと引き換えに、症状が出ていない間は精神干渉への耐性が非常に高くなる。
矛盾しているが。
大罪持ちは精神干渉に弱い。
俺も、プロミも弱い。
コナルも大罪の暴食持ちだし、ファガスはリアンナと同じ色欲だ。
ボーデンの補助魔法は精神干渉魔法を防ぐ事ができる。
以前ダンジョン攻略でボーデンの補助魔法を確認していたのは、そういう訳だ。
「ファガス」
「お前と同じだな」
「対処法は?」
「迷わなくすればいい」
「リアンナ」
「自信持ってくれ」
「俺の一目惚れだ」
「!!」
「貴方の事をもっとよく知りたい」
「さあ、立ち上がってくれ」
「!!!」
リアンナは立ち上がった。
ふらふらしている。
ファガスはリアンナを抱き締めた。
ふらふらしていたリアンナは、ファガスをぎゅっと抱き締めた。
「ごめんなさい」
「もう大丈夫」
「気にしないで」
「俺も同じなんだ、気持ちが解る」
少し体を放し、見つめ合っている。
「ファガス、行くぞ」
「コナル、お前、空気読めよ」
「レイセ、俺はファガスが奥さんに励まされてるのを何度も見て慣れてる」
「たぶんリアンナはファガスの声しか聞こえてない」
「レイセ、色欲同士のカップルは相性良すぎて逆にヤバいぞ」
「どうするよ?」
「…………」
「俺とプロミも怠惰同士だ」
「何考えているか解るからやり易い」
「うまく行くんじゃ無いか?」
「お前、意外と楽観的だな」
ファガスはリアンナをお姫様抱っこして馬車に移動し始めた。
プロミはリアンナの替りに、リアンナの従者に指示を出している。
やっと出発だ。
ファガスはリアンナの馬車に乗っている。
俺、プロミ、リビア、コナルが同じ馬車だ。
馬車は一台増えて五台に成った。
「大罪って、融合者だけの呪いだろ?」
「そうだな」
「…………」
「プロミ、知らなかったのか?」
「今日知ったわ」
「責任も何も、あいつら相性良すぎだろ」
「そうだな」
「あっちではどういう人なんだろ?」
「素性が知りたいな」
「コナル、素性はわかってる」
「黒沢香織」
「二十一歳」
「大学生」
「レイセ、知り合いよね?」
「そうだな」
「レイセ、他の言葉もいってください」
「そうだな」
「…………」
「…………」
「…………」
「わかった」
「話す」
「黒沢は黒巣の分家の一つだ」
「彼女は一人娘」
「近畿地方に一人暮らししてる」
「何度も会った事がある」
「この前会った時何故名乗らなかったのかな?」
「しばらく引きこもりだったんだ、その所為かもな」
「高校へは通っていない」
「親戚中で問題になってた」
「引き
「今は?」
「一言で言うと、オタクだ」
「趣味の人に成った」
「プロミ、良く聞き出せたな」
「独り言が凄かったのよ」
「本人は覚えてないかもしれないわ」
「思い出したら、恥ずかしがるかもな」
「どうしてです?」
「俺の知ってる性格と大分違う」
「リアンナの方が素なんだろうな」
「プロミとは真逆って感じだ」
「私の性格を勝手に決めないでよ」
「悪い」
「色欲を二人っきりにさせて大丈夫かな?」
「コナル、どういう意味だ?」
「ミイラ取りがミイラになる」
「って感じ」
「嫌な事言うなよ」
「ファガスはこの十年大丈夫でしたよ」
「あいつ外面は良いからな」
「次の野営でこっちの馬車に二人を連れてこよう」
「ちょっと狭くなるが、コナルそれで良いか?」
「今更なんだよな」
しばらく経って、野営の為に馬車を止めた。
二人の様子を見に、馬車の扉を開けた。
二人はキスしていた。
ディープなやつだ。
そっと扉を閉めた。
うん。
うん。
解っていた。
旨く行ったらそう成るわな。
「コナル」
「心配ない」
「順調だ」
「夕飯は冷めても食べられる奴にしてもらおう」
「今邪魔すると恨まれそうだ」
リアンナの従者、というか執事のキルッド・ババルイアは全てを察したようだ。
キルはちょっと涙目だ。
感動の涙だ。
ずっと独り身だったリアンナに思う所が有るのだろう。
彼には優しくしてやりたい。
プロミは自分の従者達に指示を出した。
その日のコナルの食欲は凄かった。
いつもよく食べるが、今日はいつもより明らかに多い。
「コナル」
「そろそろ動けなくなるんじゃないか?」
「ファガスばっかりモテやがって」
「許せん」
お前気は確かか?
バクバク食べるお前にうっとりして見ている女性が今四人もいるって言うのに。
お前が今食べている物を持ってきてくれたのは誰だ?
一回も自分でよそって無いだろ。
彼女達がやっているんだぞ。
お前ありがとうって言っているだろ。
リビアとプロミを見た。
「これからどうなると思う?」
「まともな奴がいない」
「貴方、自分がまともだと思っているのね」
「自覚してください」
…………。
あいつらよりまともだろ?
違うのか?
違わないよな?
* *
「何言ってるのよ」
「違うわ~」
「私は黒沢じゃないです」
頑なだな。
馬車に六人で乗って移動中だ。
リアンナは自分が黒沢香織だと認めなかった。
「リアンナ、俺達は向こうの世界でバーベキューに行く」
「なっ!?」
「初耳です」
「リビアごめん」
「今度埋め合わせするから我慢してくれ」
「えー!?」
「絶対ですからね」
「話を戻すぞ」
「リアンナ、お前は何時から来た?」
「二千十九年二月十四日よ」
「俺達は四月の最終週だ」
「バーベキューはゴールデンウイークに行く」
「一緒に行かないか?」
「うっ!」
「また症状が出るかも」
「ファガス!」
「頼む!」
「俺、会いたい」
「ファガス!!」
「容姿に自信が無いの?」
「俺なんかまだ高校一年生だ」
「でも会いたい」
「リアンナ、どうなんだ?」
「私も会いたい」
「家出して今のアパートに住んでるの」
「奨学金とアルバイトでギリギリ生活しているのよ」
「地元に帰ったら連れ戻されるわ」
「は?」
「それが理由か?」
「お前、今の住所がバレてないと思ってるのか?」
「〇〇大学の目の前に住んでいて、クロスグループの目を
「俺住所知ってるぞ」
「う、嘘でしょ?」
「連れ戻され無いのはお前が自立しようとしてるかららしい」
「何がギリギリの生活だ」
「ブログで稼ぎまくってるだろ」
「金が無いのは趣味に使うからだ」
リアンナは
「友達の名義で部屋を借りた筈だけど~」
「お前戦闘能力無いから気付いてないだけで、監視が付いてる筈だ」
「最初からずっとな」
「こっちで女王やっているんだ、三人はいるだろ」
「俺にも、プロミにも二人付いてる」
「ファガスもコナルもベルも三人付いてる」
「美月は八人だぞ」
「お前、義父に気に入られていたしな」
「尚更だ」
「はー、もういい」
「わかったわ」
「私が浅はかだったわ~」
「私は黒沢香織、二十一歳大学生」
「そうだな」
「ようやく認めてくれた」
「零維世」
「貴方、本当にあの零維世なの?」
「何の疑問だ?」
「気味の悪い子供だったのに、人間味を感じるわ」
「俺から見れば、あんたの方こそだ」
「そうね」
「そうかも」
「レイセ」
「
「俺にも教えろ」
「ファガス、止めて」
「聞かないで」
「でも…………」
「自分で話すわ」
「こ、今度ね」
「向こうに戻ると、まだちょっとだけ前の感じが出るけど、私は変わったわ」
「その発言に不安しか感じないんだが」
「私も噂で聞いてるくらいだし」
「私、友達出来たんだから」
「な?」
「ヤバいだろ」
「レイセ」
「お前が言うな」
「コナル」
「なんでだ?」
「ファガス」
「突っ込んでくれ」
「香織さんの容姿を知りたい」
「突っ込めよ」
「大丈夫だ」
「お前の好みだ」
「なんでわかる?」
「美月に似てる」
「お、おう」
「へー」
「羨ましい」
「流石に怒って良いわよね?」
「え?」
「なんで?」
「羨ましいのに」
「ルビー、違うわ」
「小学生みたいだって言ってるのよ」
「レイセ」
「容姿を
「最後まで聞けよ」
「ファガスは自分の高校で『美月ちゃんを影から見守る会』を組織した」
「レイセ、今言うなよ…………」
「美月ちゃんは特別だぞ」
「入学して一週間程で、十五人集めやがった」
「そのフォローならギリギリね」
「許してあげる」
「ふ、複雑」
「コナルもだが」
「俺の情報いるか?」
「疎外感を感じます」
「そっか、リビアごめんな」
リビアの手を握る。
握り返してくれた。
リビアは俺にもたれ掛かった。
負けじとリアンナはファガスにもたれ掛かった。
ノリでプロミは俺にもたれ掛かった。
コナルは?
「疎外感を感じます」
リビアのマネか。
余裕あるな。
リビアが笑ってくれた。
俺も笑う。
他のみんなも。
ありがとう、コナル。
連合国クロト、俺の国まで、良い旅になりそうだ。
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