12話 紫幻唯康
レイセ:主人公。
黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。
融合者。
契約者。
黒羽学園中等部生徒会長。
美月は妹。
黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。
ルビー・アグノス。
融合者。
契約者。
月と太陽の国女王にして、現人神。
小学六年生。
美月と友達。
レイセと婚約している。
黒戸美月:零維世の妹。
小学六年生。
鏡華と友達。
非常にかわいく、ファンがいる。
リビア:聖国クリアの元代表。
レイセと婚約している。
黒竜:真名、レムリアス。
白竜と並ぶ最古の神獣。
レイセと契約している。
黒沼直樹:ベル。
黒羽学園高等部の数学と物理の教師。
中等部生徒会顧問。
融合者。
聖国クリアの守護者。
黄山十夜:春日高校一年生。
融合者。
契約者。
ファガス。
青井友介:七星学園高等部一年生。
融合者。
契約者。
コナル。
エウェル:クリア・ノキシュの妻。
故人。
エーシャ:エウェルとクリアの娘。
クリアとは血が繋がっていない。
ボーデン・バレット:フレドの補佐。
連合国クロトの守護者。
閑話に登場。
クルダム・ゼロス:ノスヘルの元代表。
文官長。
フレドリック・ユルロア:連合国クロトの守護者長纏め役。
ノイトル・ロベスト:月と太陽の国の従者長。
ヒルデ・ガント:月と太陽の国の神官長。
ロウル・ヒスリー:月と太陽の国の従者兼料理人。
クアクル・ロウナー:月と太陽の国の従者兼料理人。
カシアル・シュース:月と太陽の国の従者兼裁縫士。
スレガリン・ラウナル:月と太陽の国の従者兼裁縫士。
カシアルの弟子。
リメア・ラメウス:月と太陽の国の神官兼付き人。
ヒメア・ラメウス:リメアとは姉妹。
月と太陽の国の神官兼付き人。
レイ:『光の旋律』リーダー。
長命種。
血の繋がっていない子供がいる。
ダズ:聖国クリアの守護者。
リビアの代わりを務めている。
ロウエル・ノキシュ:商業都市ノキシュの代表。
テラセス・マシア:ロウエルの護衛。
孤児。
ライサムとは兄弟の様に育った。
ライサム・マシア:ロウエルの護衛。
孤児。
テラセスとは兄弟の様に育った。
セシル・マイカ:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
お嬢様風。
シャレット・キニクル:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
お転婆風。
ゼレア・ロットル:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
姉御風。
シルドレ・ナバリ:レイセの近衛兵。
元一流の冒険者。
不思議さん風。
リアンナ・ドバスカリ:海洋国家ドバスカリの女王。
長谷川さん:零維世のクラスメート。
運動部。
倉持君:零維世のクラスメート。
剣道全国三位。
朝から倉持君に連絡を取った。
みんなを連れて行って良いそうだ。
会うのは昼。
十三時に駅前だ。
駅は商店街の
家から駅まで、歩いて十分程で着く。
朝からは美月も入れて、五人でゲームをして過ごした。
対戦格闘ゲームだ。
勝った奴が対戦し続ける。
鏡華がずっと勝っていた。
十夜と友介が驚いていた。
二人も強い。
でも鏡華は飛びぬけて強い。
俺はゲームをあまりしない。
美月もだ。
兄妹二人とも弱い。
鏡華は、何か賭ければ良かったわね、とか言っている。
昨日泣いていたのは無かった事に成っていた。
俺の間違いを飲み込んでくれた。
昼ご飯前に直樹が来た。
最初はばつが悪そうにしていた。
俺が怒っていないのを見てほっとしていた。
怒る訳無いだろう。
六人で焼きそばを食べた。
ホットプレートで全員分を一気に作った。
美月が、だが。
土曜の昼は大体焼きそばだ。
みんなで食べるといつもより旨く感じた。
十二時五十分に駅に着いた。
倉持君は既に来ていた。
直樹が居るのを見て驚いている。
鏡華と美月を見て、どっちが彼女だ?
と聞くので。
二人を紹介した。
鏡華は彼女。
美月は妹。
倉持君は冗談で言ったらしい。
逆に彼女を紹介されて驚いていた。
本当はもう一人彼女が居るんだぞ。
十夜と友介は小声で『美月ちゃんを影から見守る会』に倉持君を勧誘をしていた。
美月が嫌そうにしていた。
倉持君は満更じゃなさそうだった。
十夜と友介は、美月に遠慮が無くなって来ている。
道場は二駅行った所にあった。
紫幻流剣術道場と看板に書いてある。
紹介されるのは紫幻唯康さん。
師範代らしい。
「お邪魔しまーす」
と、緩い感じで倉持君が中に入っていく。
俺達も後に続く。
中に入ると男性が立っていた。
この人が紫幻唯康さんだろう。
道着に袴だ。
左耳にピアスをしている。
派手な髪形だが、何故か上品さを感じる。
チャラさと上品さを兼ね備えた、イケメンだ。
ちょっと見ただけで、モテそうと解る。
綺麗すぎて芸術品を見ている様だ。
だから上品さを感じる。
「倉持、きみ、帰って良いよ」
「ええ?!」
「紹介位させて下さいよ」
「いい」
「邪魔だから帰ってくれ」
「はー」
「わかりました」
「帰ります」
「黒戸」
「じゃあな」
倉持君は帰ってしまった。
「そこの女の子」
「君の隣のかわいい子」
「連れてきて良かったのかい?」
美月の事だ。
美月はなんで私だけ?
と、顔に出ている。
「置いて来られなかった」
「そうかい」
「じゃあ、少し言葉を選ばないといけないな」
「何故来たんだい?」
「君にはここは必要ないだろ?」
「かもな」
「人を探している」
「恐ろしい剣術使いだった」
美月は何それ?
って顔だ。
「お褒め頂いて光栄だ」
「どういう事だ?」
「心当たりがある」
「黒戸零維世」
「黒戸和馬の息子」
「私は能力を奪われた」
「今では只の剣術使いだ」
「只のね」
「君らはここに自由に通って良い」
「好きなだけ見て行って良いよ」
「でも、私から情報を引き出すのは無理だ」
「もうしゃべりすぎたよ」
「直に釘を刺される」
「和馬さんにね」
「詳しい事は、マスターに聞くと良い」
「時期が来ると話があるだろう」
「私はあそこには、『ロストエンド』には入れない」
「資格が無いんだ」
「わかるだろう?」
彼は真剣を使って演武を披露してくれた。
流れる水の様な淀みない、無駄の無い動き。
仮面の男の動きとそっくりだった。
二時間程彼の剣
彼の動きは俺の理想に成った。
感動した。
他の皆もそうだ。
美月でさえ感心している。
この場所に辿り着いた事で現実世界の一旦の目的は果たせたんじゃないだろうか?
『トゥルーオーシャン』、向こうの世界を進めよう。
十三歳で今出来る事はやった。
目立つ為にやれることは他に思いつくが、今すぐは無理だ。
時間が掛ってしまう。
明日は日曜だ。
明日、向こうを進める。
リビアに会える。
楽しみになって来た。
「何ニヤついてるんですか?」
「明日は向こうに行く」
「お前らもだ」
「リビアの事考えてたのよね?」
「仕方ないわね」
美月は友介と会話している。
楽しそうだ。
こっちには気付いていない。
「明日か」
「俺も楽しみだ」
十夜は妻と娘を思っていた。
十夜は別れを経験することに成る。
楽しいだけではない事も解っているだろう。
その後、紫幻さんと食事に行った。
また地元の駅前に戻って来た。
近くに良いイタリア料理の店が有るらしい。
いつの間にか予約してくれていた。
七人でコース料理を食べた。
めちゃくちゃ旨かった。
いつもこの店で女性を口説くらしい。
鏡華がうっとりしている。
妬ける。
が、俺も惚れてしまいそうだ。
美月は友介の隣に座り、やけに仲が良かった。
友介はデレッデレだ。
直樹は熱心にメモしていた。
ランを食事に誘った時の秘訣を紫幻さんから聞いている。
紫幻さんと別れて、帰りは六人で歩いて帰った。
俺は鏡華の手を握った。
始めは避けられたが、無理やり握った。
四人に見られても良かった。
手を握りたい気分だった。
鏡華はこっちを見てくれない。
恥ずかしがっている。
そう言うところがかわいいんだよ。
* *
月と太陽の国の宮殿でコナルを待つ。
来た。
コナルの前で仮面を取る。
「レイセ、訓練の続きをしよう」
「ああ、待ってた」
そうだな。
感傷に浸る暇は無い。
ファガスは来ない。
家族と過ごす。
コナルは二十代の姿に戻っていた。
俺はコナルと訓練場で模擬戦をする。
会話は無い。
しばらく無言で打ち合った。
コナルは全武器で部分融合出来ていた。
鎌やブーメランといった、あまり使わない武器の扱いは苦手の様だ。
俺とだけ打ち合っていても
リビアとプロミを呼んだ。
コナルは二人の美しさにたじろいでいた。
プロミが鏡華だとわかっていても、動揺を隠し切れて居なかった。
そして、リビアを良く出来た人形の様に眺めた。
「そんなにまじまじと見ないで下さい」
「わ、悪い」
「しゃべるんだな」
「当たり前か」
「私とは反応が違うわね」
「お前は生き物って感じがするんだが、な?」
「リビアの笑顔を見て心を奪われるなよ、俺のだ」
「ふふ」
リビアは嬉しそうだ。
「はー、レイセのそう言う所……」
「もういい、始めようぜ」
コナルと順番に打ち合った。
当然、勝負に成らない。
まだまだ時間が必要だ。
食事はいつも四人で取った。
コナルは嬉しそうだった。
朝から打ち合い、四人で昼を食べ、午後からまた打ち合う。
夜になって、四人で食べて、夜中まで打ち合い、帰って寝る。
そんな生活が十年続いた。
コナルは付いて来られる様に成っていた。
辛そうな姿は一度も見せなかった。
ある日、ファガスが訓練場に姿を現した。
「もういいのか?」
「別れは済んだ」
「始めてくれ」
「待たせたな、相棒」
「誰が相棒だ」
「良いから、始めるぞ」
「ファガスは俺とだ、コナルはリビアと」
「ちょ、ちょっと待て、この女性がリビアさんか?」
「そうだ」
「じゃあ、この赤いのは鏡華か?」
「プロミな」
「私の
「ああ、驚いた」
「マジでかよ」
「そういうの、もういいから」
「コナル、お前が言うな」
「始めるんじゃ無かったのか?」
「さっさと始めるぞ」
「お、おお」
「俺の扱い雑じゃないか?」
気のせいだろ。
朝から打ち合い、五人で昼を食べ、午後からまた打ち合う。
夜になって、五人で食べて、夜中まで打ち合い、帰って寝る。
また十年続けた。
四人は紫幻さんの動きを見ている。
見ていないのはリビアだけだ。
リビアは俺とプロミの動きが変わって来ている事に気が付いていた。
コナルとファガスを鍛える合間に、リビアに動きを説明して過ごした。
準備が整った。
連合国クロト、首都ノスヘルへ帰る。
帰るぞ。
大体五十年ぶり位か?
もう忘れそうだ。
月と太陽の国にすっかり馴染んでしまった。
フレドは土産を要求していたな。
あいつは何が好きだっけ?
よくわからん。
俺の好きな物で良いか。
ああ、あれがいい。
サンドワームの肝を発酵させて作る酒。
サンドブレイブスピリット。
特産品だ。
アルコール度数が高く、鋭い苦みとえぐ味が舌を
最初は冷汗が出る不味さだ。
酔いつぶれていても、不味さで
アルコール度数が高いにも関わらずだ。
だが、飲んでいると癖になる。
衝撃は二度来る。
不味さによる衝撃と、飲めるようになる衝撃。
苦みとえぐ味の下に隠れた旨味に気づいたら病みつきだ。
百本くらい持って帰ろう。
はー、それにしても五十年か、長かった。
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