11話 『光の旋律』
レイセ:主人公。
黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。
融合者。
契約者。
黒崎鏡華:プロミネンスと名乗っている。
ルビー・アグノス。
融合者。
契約者。
黒竜:真名、レムリアス。
神獣。
レイセと契約している。
四足移動。
背中に羽根がある。
黒沼直樹:ベル。
黒羽学園高等部の数学と物理の教師。
中等部生徒会顧問。
融合者。
守護者。
黄山十夜:春日高校一年生。
融合者。
契約者。
青井友介:七星学園高等部一年生。
融合者。
契約者。
エウェル:クリア・ノキシュの妻。
故人。
リビア:元守護者。
レイセと北の大地に旅立った。
聖国クリアを創設した。
ボーデン・バレット:傭兵団ラーウム所属。
ソロのBランク冒険者だった。
閑話に登場。
ラトス・ミュラ:元ルピアスの将。
クルダム・ゼロス:ノスヘルの代表。
文官。
セムリス・リルム:クルダムの腹心。
文官。
ニシエラ・ラドラルフ:クルダムの腹心。
文官。
フレドリック・ユルロア:ノスヘルの騎士。
副騎士団長。
ピナンナ・ラクトリ:ノスヘルの騎士。
騎士団長。
ローベルが動く前にプロミネンスが間に合った。
リビアと連絡を取っていたと知った今、話し合いの意味合いが違っている。
「彼が結婚すると言いました」
「何回も聞いたわ」
「私もプロポーズされたし」
「直接言いたくて」
「二人同時にプロポーズとか頭おかしいわよね」
「貴方まだ王に成っていないし」
「王には成る」
「成れるだろ?」
「知らないわよ」
「十八都市有って、一つ落としただけよね?」
「六都市、三分の一落としたら決まりだろ?」
「そううまく行くかしら」
「六都市落とすのはどうするの?」
「ローベルを落としたらこっちは三都市に成る」
「ローベルの次はたぶん何都市か協力して落としに来る」
「それで六都市を超えるだろう?」
「それで終わる」
「今動いているのは本当にローベルだけなの?」
「たぶんな」
「ローベルにはセラリアが有った」
「セラリアのダンジョンは罠が少ないんだったな?」
「そのはずだけど」
「なら、どこかのチームが潜っている筈だ」
「そいつらが出てくるだろ」
「潜ってるチームは手練れの筈だ」
「他都市に協力を求めると思うか?」
「可能性は低いかもね」
「しばらく時間あるか?」
「有るけど……」
「ファガスとコナルは、十夜と友介はダンジョン攻略の真っ最中だし」
「手伝ってくれ」
「その手伝いで死ぬかもしれないのだけれど」
「戦いは俺がやる」
「リビアを守ってくれ」
「…………」
「私も前線に立ちます」
「リビアは言い出したら聞かないわよ」
「お前が止めてくれ」
「俺では無理だ」
「私だって無理よ」
「また、私を置いて行くのですか?」
「…………」
「…………」
「ごめん、連れて行く」
「弱っわ」
「私は足手纏いでしょうか?」
「いや、心配なだけだ」
「俺を
「今言ったからな」
「その展開は無しだからな」
「プロミ、お前もな」
「私の心配をしなかったら手が出る所だったわ」
「正直な話、こっちの戦力でダンジョン探索者と渡り合えそうなのは、俺達三人だけだ」
「他はまだ育っていない」
「三十人位のチームが来たら、手加減出来ない」
「虐殺になる」
「勝てる気なのね」
「いや、勝ち負けの問題だけじゃない、勝ち方も重要なんだ」
「わかってるだろ」
「ただ勝っても王に成れない」
「『光の旋律』よ」
「セラリアは『光の旋律』が攻略してるわ」
「八人クランだったな」
「私、勧誘されたことあるのよ」
「話し合いは出来そうか?」
「話しやすい人だけど、今回の交渉に応じる訳無いわ」
「リーダーとは話した事有るのよ」
「確かレイだったな」
「八人全員出てくると思うか?」
「思うわね」
「…………」
俺もそう思う。
俺一人で戦うつもりだった。
弱音は吐けない。
「他に情報は無いのか?」
「レイはこっちでは長髪の男性で、長命種らしいわ」
「それだけか?」
「そうよ」
「向こうが本格的に動く前に、セラリアで『光の旋律』に勝負を掛けよう」
「確かにその方が戦い易いわね」
「読まれてなければ」
「…………」
「動きが有ったと聞いてからすでに十日経っています」
「ボーデンに探らせた」
「動きが有るのは本当だ」
「動きが有ると教えてきたのはフレドですよ」
「…………」
「信用出来ない奴なのね?」
「ああ、どっちにも動けるように立ち回るだろう」
「貴方の勘は?」
「罠だ」
「八人が準備万端で待っている気がする」
「私もそう思います」
「私だってそうよ」
「どうするの?」
「行く」
「真向勝負だ」
「それしか無い」
「始めから」
「ちょっと顔を見に来ただけだったんだけど」
「悪いな」
「いいわ」
「未来の旦那様に良い所を見せてあげましょう」
セラリア跡地から少し離れた荒野に三人の気配が有る。
奴らは待っている。
この三人は気配を隠そうとしていない。
堂々としたものだ。
俺達も他人の事を言えた義理じゃないが、太々しい。
わかり易くてありがたい。
「来てやったわ」
「プロミネンス、君が来るとは…………」
「レイ、貴方とはあまり戦いたくないわ」
「交渉に応じる気はある?」
「悪いけど、無いね」
「そう、残念ね」
「君が自分の国から仲間を連れて来ていたら、話は違った」
「この二人が数に入っていないようだけど?」
「笑わせないでくれ」
「昨日今日契約したひよっこに何か出来るとでも?」
「魔物の王から逃げているだけの癖に随分解ったような事を言うのね」
「アレに喧嘩を売るなんて馬鹿げてる」
「だから君は僕からしか勧誘されなかった」
「だが、僕ももう御免だ」
「こっちこそ願い下げよ」
「俺の感覚だと、戦えるのはお前だけじゃないか?」
「数の数え方を知ってるのか?」
「…………、言うじゃないか」
「君の連れは口の利き方がおかしい、君そっくりだ」
「私をこんな頭おかしい奴と一緒にしないでくれます?」
「まて、お前どっちの味方だ」
「私は私の味方よ」
「こいつはね、魔物の王の配下を一人殺しているわ」
「どう?」
「貴方は震えあがるんじゃない?」
「信じるとでも?」
「私が嘘言うとでも?」
「試したら解る事だね」
「試したら、ね」
「貴方の仲間はそれで死ぬわよ」
「手加減出来ないわよ?」
「良いのね?」
リビアが殺気を全開にした。
「勝つつもりなのかい?」
「笑わせる」
プロミネンスがフェニックスを具現化させた。
リビアが麒麟を具現化させた。
俺が黒竜を具現化させた。
レイが翼の生えた虎を具現化させた。
短髪の女が二本の真っ直ぐな角の生えた鹿を具現化させた。
短髪の男が巨大な亀を具現化させた。
「短髪の女、名前は?」
「ミルよ」
「そっちの男は?」
「アストだ」
「死角から槍を投げようとしているのは?」
「…………」
「二人共の名前が知りたい」
「…………」
「あと、気配を消しているつもりの斧使いの名は?」
「…………」
「今、弓でリビアを狙っている奴の名は?」
「…………」
「魔法で地面を凍らせようとしている奴の名は?」
「…………」
「全員俺達には位置がバレてる、やる気有るのか?」
「名乗らせずに死なせるつもりか?」
「レイとやら、答えろよ」
「必要ないね」
死んだら誰の記憶にも残らない。
名前くらい名乗らせてやれよ。
「俺は、『レイセ・クリア・クロト・ノキシュ』だ」
「私は、『リビア・クロト』です」
「じゃあ私は、『キョウカ・ルビー・クロサキ・アグノス』よ」
勝負だ。
神獣達は睨み合っている。
『『ザ・ビュー シーン アット・ジ・エンド(最終到達点)』』
俺を中心に、黒い空間を広範囲に展開する。
同時に俺は黒い霧に成って姿を消した。
俺が居た場所を二本の槍が猛スピードで通過する。
リビアが納刀した刀を具現化し、抜刀。
リビアは、ミルとアストの盾の上から光輝く斬撃を加える。
二人とも盾ごと腕が真っ二つになる。
二人脱落だ。
プロミはレイに向かって突進。
レイは後ろに下がって距離を取ろうとするが、引き離せない。
プロミは長槍を左手で突き入れ、レイが盾で防御する。
レイが受けた瞬間、プロミがさらに接近し、盾の上から右
盾の内側から赤い光が噴出する。
盾の内側に噴出した光の攻撃を、レイは身を捻らせてギリギリ躱した。
その時、俺は女魔法使いの真後ろに立っていた。
女は気付いていない。
後ろから討つ事に対して心理的抵抗があるが、構わず大斧を振り下ろした。
女の左肩から腕を切り離した。
突然の攻撃に女は悲鳴を上げる。
これで三人。
リビアは二人の腕を切り離したと同時に、飛んできた矢を左手で掴む。
槍使い二人がリビアに突きを繰り出す。
リビアは後ろからの突きを三枚の結界で防ぐ。
振り返って、槍使いの男の方に接近。
男槍使いの間合いの内側に入り込み、男の左手に斬撃を繰り出して切り落とした。
四人。
女の槍使いは武器を双剣に切り替え、リビアに接近。
女の双剣から繰り出される斬撃をリビアは双剣で打ち払った。
俺は霧に成って瞬時に弓使いの死角に移動。
俺は弓使いの死角から大剣を振り降ろした。
弓使いは結界五枚で防御するが、俺の光り輝く斬撃に耐えられず、砕け散った。
そのまま弓使いの右腕を切り落とした。
五人。
俺の死角から斧の斬撃が繰り出された。
俺は盾で受ける。
俺が平気で受けたのを見て、斧使いの男は双剣に切り替えた。
威力での勝負では分が悪いと判断しスピード勝負に切り替え、といった所だろう。
黒竜が、翼の生えた虎。
麒麟が、二本の真っ直ぐな角の生えた鹿。
フェニックスが、巨大な亀を相手に戦っている。
こちらが優勢だ。
ユニコーンと、岩で出来た虎が向こうに加勢する。
レイはプロミの光り輝く体術に圧されていた。
彼は強い。
だが、プロミはさらに上を行っていた。
彼を封じ込めている。
「半分以下になったわ」
「まだやる気?」
「全滅するわよ?」
「くっ…………」
俺は双剣を双剣で弾くと、右足で押し出し男を引き離した。
俺は更に大きくバックステップし、矢を放つ。
連射した矢は軌道を曲げながら男に吸い込まれていく。
男は双剣で打ち落とすが、数が多く間に合わない。
三本刺さった時には動きが鈍っていた。
俺は刀を具現化させ、男の肩に振り下ろし光り輝く斬撃を加えた。
男は結界三枚と双剣で防いだが、そのまま双剣ごと切断した。
男の左腕が落ちる。
残り二人。
「解った」
「降参だ」
「レイ!」
「でも!」
「リンド」
「いいんだ」
「仕方ない」
「手加減されている」
「勝てない」
俺は俺の領域に、更にもう一人いる事を感知していた。
その男の後ろに立つ。
男はビクッと反応した。
恐怖で後ろを向けないらしい。
「フレド」
「お前の計画ではどうなっていた?」
「『光の旋律』の勝ちだったさ」
「『光の旋律』とどう話を付けたんだ?」
「…………」
「人質か?」
「そうだ」
「汚い手を使った」
「レイの養女を預かっている」
「解放してやれ」
「…………」
「自分の命より、命令が大事か?」
「それとも、奥の手とやらを使って勝負するか?」
「…………」
「クルダムか?」
「…………」
違う様だ。
「セムリスか?」
「…………」
反応で解った。
セムリスだ。
「心配するな」
「戻ったらセムリスを殺す」
「お前は俺に従え」
「そうしなければ無駄に死ぬだけだぞ」
「…………」
「今、連絡用の魔道具は持っているか?」
持っている様だ。
「連絡しろ」
「『光の旋律』が負けた」
「人質に価値は無くなった」
「開放する」
「と、そう伝えろ」
「…………」
「クソッ、わかった」
俺は霧に成って移動し、瞬時にレイの前に立っていた。
「レイ」
「見張っていた奴に話は付けた」
「娘を開放するそうだ」
「怪我人を集めろ」
「切り離した部分を持って来させるんだ」
「リビア」
「手当を」
「すまない」
リビアは手から白い光を出し、切り離した部分を接合する。
切り離してからあまり時間が経っていない。
「レイ」
「仲間に成れとは言わない」
「協力関係を取ってくれ」
「ああ、喜んで」
「君が魔物の王の配下を倒したと信じたよ」
「霧に成っていたのかい?」
「そんなのは初めて見た」
「昔、魔物の王が霧に成って消えた事がある」
「俺も出来るように成らないといけなかった」
「まだそこまでには達していないが」
「…………」
「フェニックスは知っていたけど、麒麟に黒竜か」
「参ったね」
「そっちも、翼の生えた虎とユニコーンがいた」
「プロミがいなければ負けていた」
「それはどうだか」
彼は不敵に笑った。
「娘を助けてくれてありがとう」
彼は頭を下げていた。
馬鹿な事をしたなセムリス。
俺は呆れていた。
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