5話 帰る場所

 この話は短いので、本日次の閑話もアップします。


 レイセ:主人公。

     黒戸零維世であり、クリア・ノキシュでもある。

     融合者。

     契約者。

 ダズ:守護者。

    レイセの元上司。

    契約者。

 リビア:守護者。

     クリアの為に守護者を率いて国を造った。

     光刃のリビア。

     契約者。

 タロスト:守護者。

      寡黙。

      契約者。

 ベル:守護者。

    聡明。

    契約者。

 ラン:守護者。

    天真爛漫。

    契約者。

 カー:守護者。

    好奇心旺盛。

    契約者。

 アル:守護者。

    クリアと飲み友達。

    契約者。

 黒竜:真名、レムリアス。

    神獣。

    レイセと契約している。



 城の前に兵士たちが整列しているのが気配で解った。


 良く知っている気配もある。


 ああ、お前たちか。


 こんなにも残っていたのか。



 これは、あれだ、鎧の意味が無い。


 全てバレている。



 月女神が連れてきた謎の黒い戦士で通すつもりだったんだが。


 謎の黒い戦士。


 あんまり笑えないか。




 城の前に着いてしまった。


 静まり返っている。



 以前は大声を出して、士気を高めたが、今回はもう必要ない。


 敵はすでに片付けた。



 子供が二人いるのが気になる。


 子供達は駆け寄ってきた。


 一人は女の子。


 もう一人は男の子。


 おそらく兄妹だ。


 耳の形が同じだ。


 たぶん長命種。


 さっき倒した魔物の王の配下も同じ形の耳をしていた。


 さっきの奴は操られていたのだろう。


「父は逝きましたか?」


『間違いなく死んだ、俺が殺した』

『亡骸は見ない方が良い』

『良い死に方をさせなかった』


「…………」

「そうですか」


 兄の方は黙ってじっと俺を見ていた。


 俺を恨んでいるのだろう。


 殺気が出ていた。



 魔物の王は態と兄妹を逃がした。


 俺が子供を殺すかどうか試しているのだ。



 俺は殺せなかった。


 兄の方はいつか俺を殺しに来るだろう。


 将来、俺は成長したこの子を殺すのだろうか?



 殺すだろう。


 この子を生かすのは俺のエゴだ。


『そこの奴、この子達に亡骸を見せるなよ』


 ダズ、お前だ。


 お前に言っている。


「ああ、解っている」


『契約は果たした』

『女は貰っていく』


「リビアを連れて行くのか?」


『そうだ』


「その遊びを最後まで続けるつもりか?」


 こっちもバレてるのはわかってるんだ。


 付き合えよ。


 はーあ、仕方ない。


「ダズ、みんなを頼む」


「命に代えても」


「お前がそんなセリフを言うな」

「お前がいないと俺が苦労しそうだ」

「お前も生きろ」


 俺はダズの胸を軽く叩いた。


「わかった」

「必ず帰って来いよ」


「ああ、ちょっと出かけてくるだけさ」

「ここが俺の返ってくる場所だ」


 カッコつけ過ぎたか?


 まあ良い。


 必ず北で王に成る。


 そうじゃないとカッコ悪い。



 王に成る、か。


 笑い飛ばせる範囲超えて無いか?


 深く考えない様にしよう。




 ダズ、今度は立場が逆になる。


 楽しい仕事を振ってやるから覚悟しとけよ。


 それと、またあの小料理屋に行きたい。


 まだ有るんだろ?


 連れて行ってくれ。



 タロスト、あんたが残るとは意外だった。


 もっとしゃべってくれ。


 あんたの事が知りたい。



 ベル、大きくなったな。


 また、日本の話をしよう。


 今度はお前が日本に詳しい理由を教えてやる。


 驚くぞ。



 ラン、クリ兄貴と呼ぶな。


 その略し方は気に入っていない。


 もう兄貴で良い。



 カー、動物の観察は今も続けているか?


 お前の観察記録を本にするから楽しみにしていてくれ。



 アル、何杯飲めるかの勝負がまた出来るな。


 俺は酒にも強くなっている。


 次は勝つ。



「じゃあ、行ってくる」

「リビア、行くぞ」



 リビアと黒竜にまたがって北へ向かった。

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