17話 悪足掻き
人物紹介の後、本編あります。
クリア
異世界の夢をよく見る。
槍使い。魔槍のクリア。
異例の十五歳で案内人になった。
山育ち。気配読みと気配消しが得意。
光を放つ攻撃が出来る。
結界を出せる。
結界は六角形の漆黒のプレート。
七枚同時に出せる。
結界は空間に固定されるが、自由に操作できる。
大きさは畳一枚分まで大きくできる。
実は日本語が話せる。
リビア 数少ない女性案内人
今やこの位置。
剣と盾を使う。
光刃のリビア。
十七歳で案内人になった。
クリアと同じグループ。
光を放つ攻撃が出来る。
結界を出せる。
白く輝く半球体。
コンタクトレンズみたいな形状。
三つまで同時に出せる。
トアスの弟子だった。
性格は真面目。
誰もが認める美人。
クレストとは兄弟。
ダズ 案内人のまとめ役
クリアの上司。
ベテラン案内人。
ダガー二刀流。
戦闘の出来る斥候。
高レベルの気配察知、隠密、罠解除。
素早い連続攻撃で、短時間で終わらせる。
持久力もある。
めんどくさがり。
結界を出せる。
形状は不明。
無精ひげ。
クリアを案内人にスカウトした。
アル 案内人
クリアと同じグループ。
クリアとは飲み友達。
攻撃魔法と結界を使う。
ティトレの弟子だった。
性格は少々好戦的。
トアス ベテラン案内人
盾と片手剣。
堅実な立ち回りで手堅く屠る。
最短の動きを追う。
長期戦闘にも耐える。
結界を出せる。
形状不明。
好青年。真面目。
ティトレ ベテラン案内人
結界使い。
スワルズと組んで任務。
光玉を打ち出すこともできる。
複数個所に巨大な防御結界を張れる。
形状は円形。
長期戦闘もできる。
一撃の破壊力に欠ける。
饒舌。
スワルズ ベテラン案内人
ハンマー使い。
圧倒的破壊力で一撃粉砕。
長時間の戦闘は苦手。
直情的。シンプルな性格。
クレスト 案内人
大剣使い。
美形。
真面目。
結界を出せる。
形状不明。
リビアの弟。
トアスの弟子。
タロスト ベテラン案内人
弓術と短剣。
中距離からの狙撃と近距離のとどめ。
当て重視の狙撃。
弓一撃の威力は低い、手数で勝負。
結界を出せる。
結界を杭状にできる為、それを弓につがえて放つことが出来る。
もとは三角形。
複数個生み出せる。
非常に寡黙。
ジグ爺 案内人の顧問的役割
ダズの上司。
一線を退きつつある。
棒術。
変幻自在の攻防。
圧倒的見切り。
後の先をつく動き。
省エネルギーで立ち回る。
紳士。
ベル 新米案内人
槍使い。
槍はクリアに倣った。
若いのに聡明。
結界を出せる。
形状は不明。
日本語が話せる。
カー 新米案内人
魔法使いタイプ。
アルに倣った。
結界を出せる。
形状は不明。
好奇心旺盛。
ラン 新米案内人
女の子。
剣と盾。
リビアに倣った。
結界を出せる。
形状不明。
天真爛漫。
白装束の男は、ゆっくりと手を前にかざした。
『行け』
男はそう呟いた。
全身を恐怖が駆け巡る。
その一言でわかった。
俺達はこいつを倒せない。
その一言で魔物どもが一斉に進む速さを上げた。
強い個体も弱い個体も目の色を変えて進んでいく。
魔物達が俺たちの間を抜けていく。
やはり止められなかった。
壁に向かって魔物がなだれ込む。
抜けた魔物が壁に向かったタイミングで、町を覆うように巨大な結界が展開された。
ティトレだ。
ティトレは精鋭の結界師十三人と手を繋ぎ、力を増幅させ結界を張っている。
ティトレが腕を振るう機会が来てしまった。
壁の上の結界師達はティトレの結界の上に、さらに結界を重ねて強化する。
抜けた魔物をジグ爺とスワルズが相手をするのが見えた。
落ち着け、こうなる事はわかっていた。
ここからが本番だ。
白装束の男は、俺達の陣形が乱れた方へ手をかざす。
魔物たちはそれを感じ取って、その方向へ攻撃を仕掛ける。
ジグ爺とスワルズはそこにヘルプに入る。
白装束の男が
しかし、俺たちは男に近づけない。
とにかく数を減らすしかなかった。
しばらく攻防が続いた。
男は
『お前の放つ光は勘に触るな』
静かだが、嫌な気分になる、妙な声だった。
俺は瞬きした。
してしまった。
目を開けた瞬間、男の顔があった。
顔を覗き込んでいた。
息がかかりそうな距離だ。
俺の恐怖は止まらなかった。
体が動かない。
短剣が死角から振るわれた。
そこにリビアが割って入った。
「あなたの相手は私がします」
リビアは俺と奴の間に盾を滑り込ませていた。
リビアの盾は輝いていた。
かなり強い一撃だったようだ。
助かった。
「リビア助かった」
「もう大丈夫だ」
「ダメです」
「私が相手をします」
『女』
『お前の光も勘に触る』
標的がリビアに移った。
男の視線がリビアに定まっている。
リビアは平然としていた。
リビアは恐怖に打ち勝っている。
「クリア」
「私たちの連携を」
「わかった」
百%の連携だ。
久しぶりにやる。
光刃のリビア様と、魔槍のクリア様の連携だ。
笑顔になるな。
俺たちが引き付けている間、男の指揮が止まるはずだ。
やるしかない。
男は後方に跳躍した。
同時に短剣を投げてきた。
凄い勢いだ。
リビアは盾で防ぐと同時に光の突きを放つ。
俺も同じ呼吸で光の突きを放つ。
リビアの盾は強く輝いている。
普通の盾では貫通していたはずだ。
男は大きくゆがんだ盾を放り投げた。
いつの間にか、どこからか盾を出して防いでいた。
地面に降り立った男は短剣を投げてきた。
今度は連続でだ。
俺の方にも向いている。
リビアは俺の分まで盾で防いだ。
俺は周りにいる魔物に攻撃を加え、近づかせない。
武器の出所がわからない。
攻撃が読めない。
間合いが掴めない。
男は一瞬でリビアと間を詰め、大剣を振り下ろした。
すさまじい威力。
リビアは盾で防ぐのが精一杯だ。
攻撃を返せない。
俺は急いで横から光の突きを放つ。
盾で攻撃を逸らしやがった。
大剣は地面に落ちている。
奴はゆがんだ盾を放り投げた。
男はまた後ろに跳躍した。
男は地面に降り立つ。
奴は待っている。
こちらの攻撃を。
俺は全力で光の突きを放つ。
しかし盾で逸らされる。
リビアが間髪入れずに光で薙ぎ払った。
盾をゆがませただけだ。
盾を一撃ずつで使い捨てている。
男は笑っていた。
不気味な笑顔だ。
ゆっくりした動作で手を上にかざした。
手に槍が出現していた。
何のからくりも無かった。
生み出しているのだ。
俺たちの結界と一緒だ。
生み出された槍は禍々しい光を放っている。
奴は大きく体をしならせた。
投げる気だ。
リビアを向いている。
不味い。
あれはリビアだけでは防げない。
俺は瞬間的に七枚の結界をリビアの前に出していた。
リビアも自分を守る結界を三枚出している。
防げるか?
槍は結界十枚を突き破りリビアの盾で止まって折れた。
『ゴッ』と空気を切り裂く音が後から聞こえてきた。
まだだ、まだ終わらない。
奴は槍をもう一本出した。
さっきよりも一層強い、禍々しい光を放っている。
もう盾で防げない。
それに俺を向いている。
俺は外壁を背にしていた。
躱すと結界が破壊される。
迎撃する。
それしか無い。
やる。
やるんだ。
俺の全身がまばゆい光に覆われる。
リビアも全身を輝かせている。
限界まで光を強める。
俺の光は零維世と二人分の光だ。
その光を全て槍に込めた。
投げたのは奴と同時だった。
同時にリビアも光を放つ突きを行った。
空中で光と光が混ざり、ぶつかり合い、やがて
後から聞こえてきた大きな音で耳が潰れそうだ。
俺の槍は奴の胸を貫いて止まっていた。
奴は平然と槍を引き抜き、投げ捨てた。
『ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ』
男は笑っている。
全身に恐怖が染み入る。
『久しぶりに笑わせてもらった』
『その足掻きが何になる?』
『気が変わった』
『お前たちの悪足掻きをもう少し見ていてやるとしよう』
男は消えた。
霧の様に。
魔物が退いていく。
トアスとクレストは間に合わなかったな。
そんなことを考えていた。
戦いから一週間が経った。
アルとカーはいまだに魔物の死体の処理に追われていた。
魔物の死体を魔法で焼いて処理しないと、悪い病気が発生する。
数が多くて、手が足りて無いらしい。
魔物からの定期的な襲撃は収まった。
戦いの被害は少なかった。
怪我人は多数出ている。
しかし、奇跡的に死人が出ていなかった。
戦いの規模を考えると本当に奇跡と言っても過言じゃない。
黒い角の生えた白装束の男。
奴は一体何者なのだろうか?
不安は残ったままだ。
しかし、俺はもう行かないといけない。
俺は、ダズとリビアを呼び出した。
事情を説明し、別れを告げるのだ。
俺は事情を二人に説明した。
全てだ。
「そうか」
「行くか」
「お前を拾った時から、そんな日が来ると思っていた」
「ええ、私も感じていました」
「貴方に救われた、あの日から」
「私たちの事は気にしないで、貴方は貴方の人生を生きて下さい」
「西にある、王都と呼ばれる街を目指せ」
「ここより大きな図書館があるらしい」
「そこから手掛かりを探すと良い」
「わかった」
「西だな」
俺は、俺の人生を、か。
俺の中から沸き起こる衝動は、俺のものじゃない。
俺は、自分の人生を生きている感覚が希薄だ。
だが仕方ない。
それが俺の人生なのだろう。
俺は案内人一人一人に町を去る事を告げていった。
旅立ちの日、案内人達が壁の外に見送りに来てくれた。
すでに別れの言葉は告げている。
「じゃ、みんな、行ってくる」
「ええ、気を付けて」
俺は西に向かう。
「やはり、彼は去りました」
「ああ、お前の言った通りだったな」
「それにしても、異世界とは……」
「彼が去る前に計画が成功し、一安心といったところですね」
「そうだな」
「あいつがいないと魔物の王は退けられなかった」
「東の大群を始末するのに成功した訳だが、これからどうするつもりなんだ?」
「私たちはこれから守護者を名乗ります」
「真に私に協力する者はこの中に何人います?」
「まず、俺だな」
「……俺もだ」
「僕たち三人も」
「僕は守護者はやるが、寿命が無いのは遠慮するよ」
「僕もだ」
「同じく」
「私は今回の戦いで引退です」
「遠慮させていただく」
「俺はやるぜ」
「クリアとは気が合うんだ」
「また会いたい」
「……姉さん僕は……」
「クレスト無理しないで」
「貴方には向いていない」
「……」
「残った方でしょうね」
「人数を集めないといけませんね」
「これから私は六町議会に食い込みます」
「今回の一見で案内人、もとい守護者の発言力は強まったでしょう」
「さあ始めましょう」
「国造りを」
「王が帰ってくる、その日まで」
「誰が寝た子を起こしたか、女の愛は恐ろしい」
「ダズ、真剣に」
「冗談を言ったつもりは無いんだが」
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