第4話 突如の戦闘
勇人はまるで戦おうとしているような空気を纏った少女を凝視した。少女は勇人達がいる牢屋に背を向けて壁にへばりつき、あの生き物達が周りをぐるりと取り囲んでいた。すると、一匹の生き物がチキチキと鳴き声を出し始めた。それを聞いた周りの生き物も鳴き声を出し始め、周りはチキチキキチキチチキチキチキチキチチという鳴き声でうるさくなった。すると、生き物達が一斉に少女の方へ襲いかかってきた。少女は全く動かず、やられたと思った瞬間に少女は宙返りをし、まるで床がそこにあるように宙に浮かんだ。また生き物達が向かってくると、少女は何かを剣のように使って生き物達に切りかかった。
「ギギギギギギイイイ…!」
「ヂヂヂギギイギイイイイ…!」
生き物達は、断末魔の叫び声をあげて落ちていった。勇人は少女に言った。
「……」
何とか声を出そうとしたら、言葉にならなかった。口をパクパクさせている勇人を見て、少女は言った。
「何口パクしてんの?言いたいことあるならいいな」
勇人は呼吸を整えてから言った。
「さっきの剣みたいなの何?どっから出してきたんだよ?」
少女はフッと笑って右の手のひらを開いて見せた。そこには銀色の細くて短い紐があった。
「それがさっきのアレ…?」
「そ」
「ちっさ!なにこれ!さっきのアレってこれなの?」
「そうだけど?」
「こんなの武器として使えるの?」
「大きくすればね」
「大きくできんの?これを?」
「できるよ。こうすれば」
そういうと、少女はその紐を一振りした。すると、その紐はさっきの剣のように大きくなった。
「……」
勇人は開いた口がふさがらなかった。今更だけど、一体この少女は何者なんだろう。宙に浮いたり、紐を一瞬で大きくしたり、見たこともない強そうな生き物を一瞬で倒したり。
「お前さ、何者?」
「水色の
「…は?」
「そういう組織なの」
「……」
黙り込んだ勇人を見て、少女はクスリと笑った。そして、勇人の顔を見てこう言った。
「そろそろ帰るよ」
「うん、もう帰ろ…」
「じゃあ……勇人、ちょっとごめんねっ!」
「う?ぐっ!」
少女は勇人の腹にパンチを叩き込んだ。勇人は気絶してその場に崩れ落ちた。
少女は言った。
「ごめんねぇ。そういうつもりじゃなかったんだけどね、移動するとこ見られると困るから……」
「よいしょっと」
少女は袋に勇人を入れると、格子が壊れた窓から飛び立っていった。下には、生き物達の亡骸が転がっていた。
飛ぶ少女を追いかけて、新たに生き物達が建物の陰から出てきた。少女は上下左右に飛び回りながら、物陰に隠れて真白い小さな
「追っ手をまいて」
少女が言うと、少女もどきはうなずいて飛び立っていった。
少女もどきを追って、生き物達がいなくなった後から少女は逆方向に飛んで行った。
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