第4話盲信

「普通は経験しない」

「誰もが経験したいはず」

「人を傷つける事に意味はない」

「誰しもが人を傷つけている」

「それが殺人には繋がらない」

「人は命を奪いながら生きています」

「それは動物の事だ!」

「人間だって動物ですよね?」


話が通じない。相手のペースに飲まれては駄目だ。


「もう素直になってください」


ひひひと女は笑う。


「私が好きになった人だから、どんな貴方も愛してみせるわ」


目を潤ませながら女はぶつぶつと呟く。


こちらもヤケクソだ。

「ならあんたは殺される覚悟があるのか?!」


女は自分の心臓のあたりを指でなぞり答えた。


「はい。誓います」

それはまるで花嫁が誓うかのごとく、澄んだ声だった。

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