第4話 ジャーナリスト、木下真吾
「どうやらビンゴみたいだぜ」
「ホウ?」
「マジか!じゃないや、やっぱりね!!」
ファミレスの角席。ガーデンのバディと向かい合って座るのは着崩したスーツの細面の青年だった。名前は木下真吾。フリージャーナリストである。政治経済からスポーツ、サブカルまでなんでも記事を書き雑誌やネットの有料記事で稼ぐ売文屋。手広くやっている分コネクションも多く、ガーデンにもギブ&テイクで情報を提供しているがネフィリム関係を知りすぎていると目を付けられてもいる男。一筋縄ではいかないが一流の、現代の情報屋であった。
「事件のあったあの近辺、特殊清掃業者への依頼が多くなってる。単身生活者いる部屋への仕事がな」
「とくしゅせいそうぎょうしゃ?」
よくわかってないバーンナウトにゴブリンメイツが注釈を挟んだ。
「ヒヒヒ、オフィスビルとかの掃除のおばさんとかじゃなくて、人間の形をしてない死体をかたずけて清掃するような業者のことさぁ……」
「何その仕事!?」
「単身生活者が家の中で死んでて腐敗して見つかるってのは、意外とよくあるんだぜぇ……。まあ俺らはお世話になりそうにもないお仕事だけどなぁ、ヒヒヒ」
「……え、なんでボクらに関係ないの?」
「ヒヒヒ、俺ら死ぬときはきっとネフィリムの腹ン中だろうからなぁ……。ヒヒヒ」
「ヤダーッ!そんな死に方ヤダーッ!ひ孫に囲まれて大往生したいーッ!!」
「臆面もなく贅沢な死にざま要求するんだな、この娘……」
「ヒヒヒ、最近の若い娘の感性は俺にはわかんねぇなぁ……」
「初対面だけど、この娘を最近の若者の代表として扱うのはどうかと思うね」
「ひどっ!ボクめっちゃ普通だよ!オーダーってだけだよ!差別反対!!」
「オーダーだという部分差っ引いても、普通じゃないとおもうが……」
「ヒヒヒ、差別って言葉もずいぶん安くなったなぁ……」
「もうちょっと労ってほしい!メンタル弱いんだから!」
「まあ、そんな瑣末な事は置いとくとしてだぁ……」
「瑣末!?」
騒ぐバーンナウトを一先ず無視して、ゴブリンメイツは腕を組んだ。
「単身者を襲ってたと仮定して、当然正面玄関は鍵かかってるわけだわなぁ。ヒヒヒ、一人ぐらいはかけてない奴もいるかもだがぁ…」
「複数人は考えにくいな」
「え?じゃあどこから入るの?」
「窓側、って言うかベランダ側だなぁ……」
「集合住宅だと屋上からロープ下ろして侵入する空き巣の手口があるんだよね。三階以上の階に住んでる人はベランダの鍵かけてない事が多いから。人間でも入れるなら、ネフィリムは言わずもがな」
「うえっ!?マジで!ヤバいボクも鍵かけてない!!」
「オーダーとはいえ、若い女性がそれはどうかと……」
「ヒヒヒ、オーダーだからこそ防犯意識は高めといた方がいいぞぉ……。テロ目的で入る奴いるからなぁ…」
「怖っ!?世の中ハードモード過ぎ!!もっと優しい世界に住もうよみんな!」
「ヒヒヒ、ネフィリムが話を聞いてくれるといいなぁ……。ま、ともあれ次にやることは決まったな」
「次?」
「聞き込み、さぁ……ヒヒヒ」
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