第四話「響き渡る思い」

2021年3月21日に行われた、長期CPリバティハーツ:第四話「響き渡る思い」の感想記事です。


◆キャンペーンシナリオについて

というわけで、とうとう第四回目となった、ベーゼンさんGMのソードワールド2.5キャンペーン。今回のシナリオタイトルは「響き渡る思い」とのこと。前回のシナリオタイトルとは打って変わって、何ともしっとりした名前。一体どうなるのだ……?


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ハルシカ協商国、冒険者ギルド「大三角トライアングル」の一角。前回セッションで行われたお祭り、「栄華祭」より1週間たったその日、冒険者たちはギルドのテーブルを囲い、和気あいあいと話し込んでいます。彼らが囲う机の上には、一枚の新聞が広がっており、どうやらその記事をみて騒いでいるようです。


その新聞を持ってきてくれたのは、「大三角トライアングル」スタッフの一人。ラブラドールレトリバーのリカント、プロンくん。彼はその新聞を広げ、冒険者たちに記事の一面を指し示します。


プロン 「ほら、見てください新聞にみんなの写真が載っていますよ」

アルボ 「ボヤ騒ぎの件で載っているんじゃないだろうな……」


そういいながらも、覗き込む冒険者たち。プロンの指が差すそこには、栄華祭の屋台と、そこで振る舞った料理。そして冒険者たちが働いているシーンが写真にとられています。屋台で提供した“酒飲みの為のクマ肉プレート”は、珍しい雷砕熊の肉と、ダークドワーフの黒炎を使った斬新な料理として、一躍人気のメニューとなっていたらしい。

中でも、大通りにて客引きの為のパフォーマンスをしていたイグアスとラッヘのコンビは、街では有名人らしい。面白い馬のお兄さんと、射撃のお姉さん。といった形で、街の子どもたちに大人気のようです。確かに、ジャグリングしたものをリピータークロスボウで撃ち抜くなんて技、なかなか見れるものではないしね!


ラッヘ 「……ほんと、ちょっとやりすぎたわ。ちょっと後悔……」

アルボ 「大通りであれほどのパフォーマンスをすればな、

     いい広告塔だと私は思うが」

イグアス「広告塔として売れすぎちゃ困る理由もありますもんね」

と、これはラッヘに向かって呟くイグアス。


プロン 「みんな初めてなのにすごかったですよね!」

プロン少年はなぜかどや顔。まるで“私が育てました”と言わんばかりの表情です。なんなんだ君はかわいい奴だな!


そうこうしていると、ギルドの扉が鈴の音を鳴らしながら開きます。どうやらプロンの姉、シウスが帰ってきたようです。その手にはいくつかの依頼書を握っており、冒険者たちを見かけると、こちらへ駆けてきます。どうも何か依頼があるらしい。


シウス 「すみません! 皆さんに依頼がありまして!」

プティ 「ありまして~~♪」

プティもシウスに同行していたのか、その手には紙袋を沢山抱えています。その中身は当然のように全て食べ物ですが。


ラッヘ 「皆さん……っていうとパーティー単位ってことなの?」

グレイス「依頼を大々的に募集していたかな、ボクたちは」

イグアス「基本、アルボのダンナが勝手に募集はやってますよ」

シウス 「はい、四人向けの依頼なんです」

イグアス「ラッヘさんが入ってるかは聞いてないっすけど、

     多分入って……やっぱり」

ラッヘ 「私、聞いてないんだけど……おかえりなさい、プティ。

     お手伝いえらいわね(なでなで)」

アルボ 「お互い、金が無きゃどうにもならんだろ?

     どんな依頼かは知らんが、とにかく聞くだけ聴いてみようじゃないか」

シウス 「なんとこの依頼の差出人、あのマルコットさんだそうです」


と、ここで“マルコット”なる人物の名前が出ます。とりあえず、全員【知識判定】。目標値は10で、これには全員成功。どうやら、相当有名な人物のようです。


●マルコットについて

ハルシカ商協国の評議会議長候補と呼ばれるほどの大商人の一人。

テレビや新聞によく出ており、彼の経営する商売はどれも成功するんだとか。アルボにとっては、レガーロ家が裕福だった時の商売仲間であり父の友人でもある。そのためアルボは小さいころに、見たことあるなぁといった印象らしい。


どうやら相当な大物のようです。アルボ自身も過去に見たことのある人物らしく、その界隈の人たちにとって、知らぬものはいないほどの有名人みたいですね!


アルボ 「あのマルコット氏の依頼だと……? それはかなり気になるな」

ラッヘ 「(マルコット、ね……ふぅん……)」と、やや警戒気味のラッヘ。

イグアス「評議会候補の人っすね。

     ハルシカは政治家でもバルバロスに対してユルいくていいよなぁ」

シウス 「詳しくは会って話たいそうなんですが……

     どうやら“魔剣の迷宮”絡みとのことなので、

     一度行ってみてはいかがでしょうか?」

アルボ 「悪くなさそうな話だな、マルコット氏自体が有名な人だし。

     うまくいけば、まとまった金が手に入るかもしれん」

ラッヘ 「(取り入ること自体は悪くないはず……

      使えるものは使うけど、使われないようにしないと)」

シウス 「待ち合わせ場所は《大河フラドー》ですね。

     ハルシカから近いですし、さほど時間はかからないかと思います」

イグアス「魔剣ねぇ~」

アルボ 「行って話を聞いてみようじゃないか、

     勝手に勘定に入れているが、ラッヘもそれで構わないだろう?」

グレイス「行くというなら構わないけども」

ラッヘ 「えぇ、私も構わないわ」

プティ 「大河……おさかな、いっぱい!?」


ラッヘは、大商人という響きに警戒心を露わにしていますが、他の連中はわりと呑気です。プティに関しては、川=魚と完全に食べることに気が行っている模様。大丈夫かなぁ。


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ひとまず冒険者たちは、その“マルコット”なる人物に会いに、大河フラドーへと向かいます。大河フラドーは、北方に広がるアビス海から南の山脈までを繋ぐ、巨大な大河です。アルフレイム大陸を東西で分けるようにして存在するその河川には、大橋や渡し船を運行しており、ランドール地方の南北を結ぶ、交通の要衝としても栄えています。実際、巨大な川の付近には多くの街が生まれやすく、川を用いた大量の物資輸送などにも使いやすいため、商業や工業都市として栄えやすいようです。水産業も盛んで、それとは別に浅瀬で釣りに励む人々も多く、メジャーな釣りスポットとなっているようです。


プティ 「お魚……お魚あああ♡」

アルボ 「プティ、釣りをしに来たわけではないぞ」

プティ 「えー!」

ラッヘ 「えーじゃない。また今度ね」

イグアス「こんくらいならいつでも来れるから大丈夫だって」

プティ 「ママ大好き~、パパいやー!

     イグアスは……乗せて!(よじのぼり」

アルボ 「えぇ……」

イグアス「乗れ乗れ」

ラッヘ 「ほっとけないし、プティ連れてきちゃったけどよかったのかしら……」


と、騒ぎながら大河フラドーの河川敷を歩きながらフラドー大橋へとたどり着きます。どうやら、依頼人のマルコットさんはこの近くにいるらしい。橋を守護する衛兵に話しかけると、彼はマルコットを知っているのか、魔動機で連絡を取り始めます。しばらくすれば、依頼人であるマルコットが姿を現します。緑色の髪に、ピンク色のメッシュが入った、エルフの男性です。温和そうな笑みを浮かべながら、冒険者たちの元へと歩いてきます。アルボの不器用な笑みとは異なり、どんな人からも好かれそうな、温かみのある笑顔だそうです(GM談)。そんなことないもん! アルボも(多分)笑えるもん!

全然関係ない余談ですが、昔集合写真か何かを撮る時に笑って~と言われたのでとりあえず笑ったら、「お前の笑顔怖い、目が笑ってない」と言われたのを思い出しました。面白くもないのに目まで笑えるわけないだろ!


マルコット「お待たせしました。

      こんにちは冒険者の皆さん、私はマルコット。

      どうぞマルコと御呼びください」

アルボ 「お初にお目にかかります。ご依頼の件で伺いました、ギルド「大三角トライアングル

     の冒険者、アルボと申します」

イグアス「(こういう人みると、ダンナの商売マシーンっぷりがわかるなぁ)

     どーも、大道芸のイグアスです」

ラッヘ 「……(無言でぺこりと会釈)」

グレイス「(簡単に挨拶だけ済まして、後は壁の花モード)」


ここだけ見ると、ほんとにこいつらで大丈夫か心配になってきますね……


マルコ 「新聞は拝見いたしました。

     君たちのお祭りでの活躍は素晴らしいものでしたね……

     さっそくですが、本題に移りましょう」

と、マルコは簡単に現状を説明してくれます。


●魔剣の迷宮について

大河フラドーで、最近発見された魔剣の迷宮。噂ではいきなり扉が現れたと言われており、奈落の魔域などで、別の場所から転移してきたのではないかと推測されている。その魔剣の迷宮には何か“入る”資格がいるようで、入ったものの多くがドワーフだったらしい。


マルコ 「最近、大河フラドーで魔剣の迷宮が発見されまして、

     いろんな人が入ろうとしているのですが、

     一部の人にしか中に入れないようで……

     私たちの仲間も帰ってきてないんです」

アルボ 「(詳細を聞いて)ドワーフ……」ちらりとグレイスを見る。

イグアス「ドワーフかぁ、鍛冶師じゃないとヤダヤダって感じっすかねぇ~

     入ったら燃え盛る煉獄でしたってオチもあり得なくはないっすけど」

マルコ 「そうです、ですので黒炎の屋台の話を聞き、貴方たちに依頼

     させてもらったのです」

ラッヘ 「なるほど……」

グレイス「ただの家庭の知恵みたいなものだけどね、黒炎の調理は。

     ダークドワーフはドワーフとは異なるものだから、当たり前だけど

     ドワーフが通れても、ボクが通れるとは限らないよ」

アルボ 「まぁなんにせよ、この話はグレイスの意向次第だな。

     どうする、行ってみるか?」

グレイス「それでもいいなら構わないさ。

     ボクの雇い主はアルボだからね、仕事の範疇さ」

マルコ 「救出だけになっても構いません。

     依頼の報酬金はそれなりのものを用意させていただきます。

     もし入れなかったときは……

     その時は、弊社の大河フラドー体験ツアーに招待させていただきます」

と、彼はにっこりと笑いながらいうのでした。どうにも風変わりな魔剣の迷宮なようですが、ひとまずダークドワーフであるグレイスの許諾も得れたことですし、冒険者たちは一路、その魔剣の迷宮へと赴きます。


そして魔剣の迷宮。噂通り、大河沿いのちょっとした洞窟に入ると、大きな両開きの扉が待ち構えています。グレイスが一歩前に出てその扉に触れてみれば、扉は大きく光りだし、ゆっくりと開き始めます。完全に開き切った扉の向こう側は、真っ暗で何も見えない闇が続いているようです。


グレイス「どうやら、ドワーフ認定されたようだ」

ラッヘ 「本当にドワーフを求める迷宮なのね……」

アルボ 「おぉ……ダークドワーフでもいいのか。

     実際、入れるトリガーは別のところにあるのかもしれんな」

イグアス「ドワーフのツレって立場でも入れるんですかね」

マルコ 「ドワーフが多いというだけで、他の種族も入ってるようですよ。

     ドワーフ以外の皆さまが入れるかは……迷宮が決めることですので、

     ただ、まったくな部外者ならともかく、仲間なら問題ないと思います」

グレイス「なるほどね、じゃあ行こうか」

イグアス「なら一安心ですね、よっしゃ! 行きますか」

プティ 「お腹いっぱい食べるぞ~!!

     いつもは腹八分目だもんね!」

ラッヘ 「ちょっと気が早いんじゃないかしら……」

プティ 「あでも、頑張ればもっと入るし……10が最大ではないかも」

アルボ 「勘弁してくれ……」

イグアス「ドラゴンてのはやっぱ強欲なんすね」

ラッヘ 「そういう事なの?」


と、いつも通り(?)雑談をかましながら迷宮へGO! この時、PL陣もいつもどおり雑談をしながら(まさにPC達と同じ)迷宮へともぐっていくのですが……まさか、あんなことになろうとは……この時は、知る由もなかったのです。


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真っ暗な闇を歩き続けしばらくすると、徐々に光が見えてきます。その明かりに目が慣れ、再び光の元に出たとき、冒険者たちを待ち受けていたのは、美しいステンドガラスの窓に、豪勢な額縁に飾られた絵画や、見る者の目を奪いそうなほどに美しいシャンデリア。周りを見渡してみれば、何とそこは豪勢なお屋敷のエントランスホールでした。な、なんだこりゃ……!?


プティ 「ここが、めーきゅー?」

グレイス「迷宮というよりは……」

アルボ 「……というよりかはお屋敷のようだな。それも相当豪奢な」

イグアス「そうっすね。滅茶苦茶住めそう」

ラッヘ 「これが魔剣の迷宮なのね……不思議だわ」

と、それぞれあたりを警戒しつつも、ふわふわの絨毯や意匠のこらされた家具などを見て回ります。どれも本物のようで、一目で極めて高い価値を持つ逸品がそろえられているとわかります。うーむ、どうやら相当なお金持ちの迷宮らしい。


アルボ 「一目見ただけでも、かなり価値のあるものに見えるが……

     本当に魔剣の迷宮か?」

ラッヘ 「幻覚とかじゃなさそうだけれど……」


ラッヘは手近にある、美しい彫刻に触れて手触りを確かめています。どうやら、偽物や幻覚……というわけではないようです。目の前に確かに存在し、実在しています。そうこうしていると、ラッヘの近くの扉が突然開き、そこから緑色の髪をした男の子が現れます。


ラッヘ 「うわっ!」

??? 「うわっ!?」


二人して驚きつつ、ラッヘ以外のメンバーもその少年の存在に気が付きます。線の細い、ただ引き締まった体をした12~14才ぐらいの少年のようです。薄い絹の服を羽織り、やや浅黒く焼けた肌をした少年は、冒険者たちをみて一瞬驚いた様子をしますが、すぐに納得の表情へと切り替わります。


??? 「おろ? もしかして……新しい人たちかな?

     ……こんなに大勢ね」

ラッヘ 「新しい人たち?」

??? 「っと! 失礼!

     ようこそ、ルイナスの屋敷へ!」

アルボ 「迷宮の防衛機構……とかではなさそうだ。君は誰かね?」

シンバ 「おいらは“シンバ”! あんたらと同じ“鍛冶師”です。

     よろしく頼んます! 押忍!」

グレイス「ふーん? 君は一般的な人族か?

     それとも、迷宮に付属する生命体いきものかな?」

シンバ 「やだな~、ふつうの人族っすよ~!

     まぁこんなとこじゃ、疑問に思うのも無理ないですけどね」

イグアス「聞きたいんすけど、ココが魔剣の迷宮だって自覚はあるんすか?」

シンバ 「ありますよ、おいらも師匠も扉から入りましたし」

アルボ 「ではなぜ出てこない?」

シンバ 「出れないんすよ!

     ん~……説明すると長いですしね、ついてきてください!」

ラッヘ 「師匠……とか、口ぶりからすると随分沢山来ている様子だけど。

     なるほど、とりあえずついてきましょ」

シンバ 「えぇ、だから新しい人たちって言ったんです」

グレイス「それが一番早いね、見せてもらおう」

アルボ 「鍛冶師の迷宮か? ひとまず彼に従ってみるか」

シンバ 「ではではこちらへ~」


と、現れた謎の少年シンバに連れられ、さらにお屋敷の奥へと進んでいきます。どうやら、シンバ少年以外にも迷宮に人がいるらしい。ここに住み着いている(?)ようで、彼らが集まっている部屋へと案内してくれました。


案内された部屋は、なんと石造りの重厚な工房! 工房内は蒸し暑く、鉄を打つ甲高い音がいくつも鳴り響いています。部屋には大きな炉と槌が置かれており、ドワーフたちが懸命に鎚を、炉から取り出したばかりの鉄に振り下ろしています。どうやら彼らは剣を打っているようで、壁際の木のテーブルの上には、幾つもの剣が並べられています。まだ製作途中らしく、それらは無造作に積み重ねられているようです。


シンバ 「ガウン師匠~新しい人たち来てます~」

ガウン 「あぁ? 邪魔すんじゃねぇシンバ!!」

シンバ 「すんません師匠!」

アルボ 「なんだここは、蒸し暑いな……」

グレイス「迷宮に工房があるとはね、しかも結構しっかりした造りじゃないか」

シンバ 「えーと、おいらが説明しちゃいますね」


と、“ガウン師匠”と呼んでいたドワーフに怒られたシンバ少年は、この奇妙な現状を冒険者たちに説明してくれます。どうやらここは、≪ルイナスの屋敷≫と呼ばれる屋敷のようで、シンバ達もまた、この魔剣の迷宮へと挑んだ者たちだったようです。しかし、入ったものの出られなくなった彼らは、どうにか出る方法を模索したところ、この屋敷に立派な工房があることに気が付きます。そして、その工房に安置されていたとある鉱石に目をつけるのです。

その鉱石は見たこともない石で、特別な魔力を含んでいるらしく、彼らはこの迷宮が、この鉱石が原因で生み出されたものではないかと推測したようです。『剣を打つのにうってつけの工房』、『そこに意味ありげに安置された特別な鉱石』、入れるものはドワーフ……いえ、『“鍛冶師”を含む一団』であることから、この鉱石を元に、魔剣を打ち上げることで迷宮が突破できる! と考えた彼らは、それ以来日夜、魔剣を打ち続けているとのこと。


なるほど……確かに、偶然にしてはできすぎた状況。彼らが言うように、この迷宮に入る条件に“鍛冶師”がいる事、というのは間違いないようです。魔剣のない魔剣の迷宮、というのは初めて見ますが、魔剣の元である鉱石があるのなら、不可思議な状況が発生する可能性もゼロではないのかもしれません。


シンバ 「……ってわけで、きっと魔剣ができたら出られるんですよ。OKです?」

ラッヘ 「……OKなの?」

アルボ 「意図は分かったが……全然OKではないな」

シンバ 「おいらたちはせっせと剣を打つしかない、ってことなんですね」

イグアス「しかし、ホントにみんな住んでんのか……

     鍛冶師ってもっとショボい土くれに住んでるイメージあったな

     (バルバロスダークドワーフ的観点)」

グレイス「あれは彼らが偏屈だからだよ、ボクはあんまり好きじゃないな

     湿気も多いし、穴倉は」

イグアス「若い人らは鉄鋼つかって地上に住みますしねぇ」

シンバ 「あはは~、まぁここも住めば都ですよ。

     こっちについてきてくださいな」


と、シンバ少年は工房を後にし、この屋敷の別の部屋を案内してくれます。無骨な工房から出て、豪奢な廊下を再び歩き、その先の扉を開けば、どうやらそこは食堂のようです。


大きな長テーブルと、美しい細工の施された流麗な木の椅子が並ぶ食堂。椅子の背に貼られたクッションは、とても座り心地がよさそうです。長テーブルの上には、人数分の銀のクロッシュ(ドーム状のお皿の上に置く蓋みたいなやつ)が置いてあり、まさにこれから晩餐会でも始まりそうな雰囲気です。


シンバ 「じゃじゃーん!」

プティ 「あー食堂!!!」

グレイス「環境としてはかなり上等だね」

シンバ 「でしょー! 各自の個室まであるんですよ!」

アルボ 「上等すぎて逆に不自然だがな」

イグアス「魔剣が増設してるんでしょ、リアルタイムに変わってるみたいですから」

ラッヘ 「未完成なのにとんでもないわね、魔剣」

シンバ 「それに、それにぃ……ふふふ、えい!」


と、シンバ少年が銀のクロッシュを開ければ、そこには熱々な肉厚のハンバーガーが突如として現れます。まさに今調理されたばかりです、と言わんばかりに湯気と肉汁が零れており、あたりに香ばしい匂いが立ち込めます。


シンバ 「やっぱこれですよ!」

といって、シンバ少年はそのハンバーガーを手に取り、美味しそうに食べ始めます。いいなぁ、美味しそう(※なおこれを書いているのは深夜2時頃)。今このタイミングでここの部分書くんじゃなかったな……


アルボ 「信じられん……」

イグアス「うわ~、マジか」

     (スッっと開けると、そこにはニンジンのグラッセとハンバーグが現れる)

シンバ 「お腹が空いてるならどうですか?」

という言葉に、誰よりも反応するのが一人。というか一匹。


プティ 「はわーはわわ~~~!!! ほよよ~~~!!!(喜びの声)」

プティがクロッシュをあけると、そこには肉厚な特大ステーキが現れます。当然というかもはや必然的に、プティは間髪入れずそれを口に含み、ぺろりと平らげる……うーむ、食糧事情エンゲル係数は解決しそう。ただ、この迷宮から出た後、広がり切った胃袋が恐ろしいのですが……


プティがその後も何切かのステーキを平らげた後、食堂を後にした冒険者たちは、2階に上がりそれぞれに割り当てられた部屋を見て回ることに。シンバ曰く、ちゃんと冒険者一人一人に部屋が割り当てられているらしい。それも“特別”なのだそう。


ひとまずイグアスが割り当てられた部屋へと入ってみると、そこには畳が敷き詰められ、その上には藁が束ねられている部屋。驚いた様子のイグアス、それもそのはずでどうやらこの部屋は、イグアスの故郷の部屋を再現しているようです。


イグアス「はぁ~魔剣だな~。なんでもお見通しってか」

ラッヘ 「なんでもアリなのね……」

アルボ 「自身のイメージを体現するのか、この迷宮は」


イグアスは少し懐かしみつつも、他の人たちの部屋も見て回ってみることに。プティの部屋はどうなっているのかとみてみれば、ギルドの割り当てられた部屋が再現されています。普段であれば誰かいるのですが、物や家具は再現できても、生物の再現はできないらしい。


プティ 「むー、人が誰もいないと寂しいの」

シンバ 「生き物はダメみたいですね~」

ラッヘ 「プティのお家はギルドなんだね」

プティ 「うん!! プティのお家はここなの!!」


ラッヘの部屋は、かつて恋人であり、夫婦であったマックスと共に過ごした、思い出の部屋が再現されています。今は亡き、マックスの私物や当時二人が過ごし、生きていた軌跡がそこには残されていました。


ラッヘ 「……そうよね」

ラッヘは小さくそうつぶやき、すぐに扉を閉めてしまいます。


ラッヘ 「……私も見覚えがある、落ち着く……部屋だったわ」

イグアス「深層心理だとか欲望どうこうってよりは、単純に記憶とか

     単なる今の希望を読み取ってる感じがありますね」

シンバ 「そんな感じかもしれないですね~」

ラッヘ 「魔剣だか何だか知らないけど、気を利かせてくれてるのは一応わかるわ」


グレイスのお部屋はというと、こちらもイグアスと同じく故郷のお部屋が再現されていたようです。工房の一部も再現されているのか、実にダークドワーフ味のあるお部屋。イグアス同様、グレイスもしばし故郷の部屋を懐かしみます。


アルボの部屋の扉を開くと、そこには高価な家具が置かれた部屋が。このルミナスの屋敷に負けず劣らずの高級家具が所狭しと並べられ、お屋敷の一室が再現されているようです。


アルボ 「ふん、破産前の家か。

     今にして思えば、金に還元可能な価値のある家具にしておいたのは

     正解だったな」

イグアス「そういえばダンナって、破産してから神殿住まいだったんでしたっけね」

アルボ 「そうだ、しばらくの間ガメル神殿に厄介になっていた。

     カリンと知り合ったのもそこだ」

ラッヘ 「はー、あなたも苦労してるのね」


と、一通り屋敷の中を見て回った一行。まだいくつかの部屋には行けてはいないのですが、ここでシンバが口を開きます。


シンバ 「……だいたい説明はこんな感じです。

     で、一つお願いしたいことがあるんですけど」

アルボ 「ん? なんだ」

シンバ 「ここは誰かが魔剣を創れば出られる、運命共同体? って奴なんです。

     なんで、できる限り仲良くお願いしますね。

     環境は良いのに人間関係最悪とかね、嫌ですし!」

アルボ 「努力はしよう、無駄な争いはしたくないしな」

ラッヘ 「特に対立する理由もないわ。よろしくね」


と、かくして魔剣の迷宮での奇妙な共同生活(?)が幕を開くのでした。特別な鉱石を元に魔剣を創るドワーフたち。巻き込まれた我々冒険者。閉鎖された快適なお屋敷の中で、これからどうするべきか悩みつつも、ひとまずはシンバ少年が推しえてくれた以外の部屋にも行ってみることに。


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それぞれの個室がある2階の別室。大きな両開きの扉を開けば、そこは石造りの立派な浴室のようです。男女別に分けられた浴室は、円形に広がっており、部屋の形と同じくして巨大な円状の浴槽が備え付けられています。その中央には、瓶をもった銅像が設置され、その瓶からは暖かな温水が流れ出ています。豪華!


プティ 「ほへー」

ラッヘ 「わぁ、こんなに豪華なお風呂があるのね」

グレイス「これは気持ちよさそうだね」

プティ 「まま、ねぇね、あとで泳ぐ~?」

ラッヘ 「およっ……泳がないけど、あとではいりにこようね」

プティ 「あっ、こういう時は温泉卵なんだった!」

グレイス「あぁ、あれか……半熟の」

プティ 「そうそう、ひらめいたんだよ!

     男湯のお湯全部抜いて、食堂から材料持ってきて~♪」

ラッヘ 「プティ、駄目よ。というか正気にもどって」

プティ 「(ぽわーん)」


危うく卵とお湯が全てなくなる危機を迎えつつも、冒険者たちはさらに別の部屋の探索へと赴きます。浴場を後にし、次に向かったのは図書室。壁一面に大きな本棚が備えられており、窓からは暖かな日光が差し込んでいます。魔剣の迷宮の中なのですが、外の景色も見ることができるようです。ただ、出られそうにはありませんが……


ぞろぞろと図書室に入る冒険者たち。すると、本棚の陰から一人のエルフの少女が顔を出します。彼女はいくつかの本を抱えながら、冒険者たちの顔をみて少し驚きつつ、声をかけてきます。


??? 「あ? また人が増えたのか。

     ぞろぞろとまぁ、こりゃすぐにでもクリアされるのかもなぁ」

アルボ 「む、君はここの住人なのか?」

??? 「住民? ここにいるのは、扉を開けて入ったもの好きさ。

     あたしは“アンナ”、≪ブロードソード≫級の冒険者さ」


と、彼女は簡単に自己紹介をしてくれます。どうやら彼女も、この魔剣の迷宮のうわさを聞きつけた冒険者の一人であるらしく、同時に鍛冶師でもあるそうな。アンナの手には切り傷や火傷の跡が多く、指にはいくつものタコができているようです。


アンナ 「あたし程度の鍛冶師なんて、あいつドワーフらに比べたら趣味程度のもんだけどね」

アルボ 「……そうは思えんがな、腕の立つ鍛冶師の一人だと思うが」

グレイス「(ちらりとアンナの腕を見て)

     その見立てには同感だね」

アンナ 「ははっ、ほんとに巧いやつは怪我なんてしねぇさ。

     ……ところで、あんたらも何か探し物かい?」

イグアス「ってことは、あんたはなんか探し物してたのか」

アンナ 「あぁ、歴代魔剣の製作者や、鉱石の種類について調べててね」


と、彼女は言いつつ本棚の方へと目線を傾けます。冒険者たちもそれにつられ、本棚に収められた本の背表紙を目で追っていきます。ここでは【文献判定】を行うことで、気になる本をピックアップし読むことが可能なようです。アルボ、ラッヘがこれに成功し、情報を引き出すことができました。


●ルイナスについて

ルイナスとは、魔法文明時に活躍した魔剣の製作者である。封印の魔剣作成を得意としており、かの「顔のない幻影」と呼ばれる、なんにでも姿を変えられる、凶悪な魔神の封印に成功したことで有名な人物だ。その一族が、魔神の封印先にルイナスタウンという町を作り封印を続けていたが、数年前に封印は破られ、一族は全員死亡した。その後、ルイナスタウンは奈落の魔域となってしまう。しかし、しばらく前にその魔神は始まりの剣の冒険者に討伐された。


どうやら、この「ルイナスの屋敷」の当主は、この情報にあるルイナスさんと同一人物のようです。すでに亡くなっているはずなのですが、この迷宮は彼の屋敷を再現しているらしい……。生前、彼の作った魔剣が何か影響しているのか、それとも……


アンナ 「工房のドワーフたちは、至高の品を創ればいいと思って

     何も調べてないからな。隣の部屋にもいろいろあるみたいだぜ」

アルボ 「勤勉なのは素晴らしい、技量も必要だが、

     知識があるに越したことはないだろうからな」

グレイス「そもそも論、誰かが『』と

     言われたわけでもないしね。

     彼らドワーフたちは皆、そう思い込んで作業してるみたいだけど、

     魔剣といっても色々あるし、依頼人……あるいは持ち手がわからないのに

     剣は打てないよ」

イグアス「そっすね、たとえ彼らのいう“特別な鉱石”そのものが魔剣と同じって

     ハナシでも、鍛造すればいいのかっていわれると、

     そうじゃないかもしれないし……」

グレイス「ボクも同じような考えだね。

     魔剣を創れば出られると思っているようだが、果たしてそうかな」

ラッヘ 「実は気づいていないだけで、

     どこかに魔剣があって見られてるのかもしれないわね」

アルボ 「ごもっともな意見だ。

     私も魔剣のない魔剣の迷宮など、聞いたことがないしな」


ひとまずルイナスについての情報を得た冒険者たち。まだ隣の部屋があるとのことなので、アンナとはここで別れてお隣のお部屋へ移動します。そこは図書室とは異なり、あたたかな火のくべられた大きな暖炉と、ふかふかのソファーが置かれた、書斎とでもいうような部屋のようです。奥には仕事机が置かれており、ソファーには少女が座って何やら日記を読んでいます。


??? 「……(日記の頁をめくる)」

アルボ 「この屋敷の、当主の娘なんだろうか……?」

ラッヘ 「シンバにドワーフの鍛冶師、アンナだから……4人目ね」

グレイス「これまでに屋敷に入った人がまだいるだろうし、

     もともとこの屋敷にいる人物もいるだろうしね。もっと多いだろう」

アルボ 「失礼、お嬢さん。

     申し訳ないが、お父さんかお母さんはいらっしゃるかな?」

??? 「……邪魔しないで」

アルボ 「……どうやら嫌われてしまったらしい」肩をすくめるアルボ。

グレイス「邪魔はしないさ。

     君は武器魔剣が欲しい人間か?」

??? 「……武器はほしい

     けど、貴方が考えていることと、少し違うと思う」

グレイス「そうか、違うのかい」


少女はそういうと、今まで読んでいた日記とは別の日記を取り出し、冒険者たちに渡します。そして、再び日記を読み始めます。


イグアス「読めってことか?」

??? 「それ、渡すから邪魔しないで」

アルボ 「……最近の子は難しいな、対応は任せるとしよう」

グレイス「話が早くて助かるね」

??? 「続きは私が読んでるから……先に借りてる人、優先」

ラッヘ 「じゃあ次に予約させてもらうわ」


日記の汚やり取りをしつつ、少女の名前を聞いてみれば彼女の名前は“ミリア”という名前だそう。ミリアの読んでいた日記は、この屋敷のかつての主、ルイナスが書いた物のようです。


●ルイナスの日記1

日記には、貴族であるルーカス・ルイナスと、平民であるソフィーとの些細な日常が書き込まれていた。


最初はメイドとして雇った関係だった

奥手なルーカスと、明るいソフィー

凸凹な二人だが、世話焼きのソフィーとの

彼らの関係は日に日によくなっていたようで

次第にお互いとも、意識するようになっていたみたいだ


だが、その平和な日常は「顔のない幻影」によって破壊された

魔神が言うには、「ただ面白そうだった」から

そんな理由で、仲睦まじい夫婦の未来は壊されてしまう

妻であるソフィーを操って悪事を繰り返し、ルイナスに殺させたのだ


事実を知ったルイナスは全てをなげうち、顔のない幻影に封印だけを考えた

そのスリルを楽しんでいた幻影だったが、幻影は人間たちを軽んじていた


ルイナスを含む英雄たちによって、顔のない幻影は封印された

ルイナスの復讐は叶ったのだ


イグアス「人蛮以上神未満のヤベー奴に目をつけられると、こんなんなるんすねぇ」

アルボ 「そんな怪物に目をつけられないことを祈るばかりだな」


ふと気が付けば、窓から差し込む日の光は弱弱しくなり、空は随分と暗くなり始めています。夜がやってきたようです。お腹を空かせたプティが食堂に行きたいと駄々をこね、冒険者たちは致し方なく謎めいた少女、ミリアと別れて食堂へ。そうして、奇妙な魔剣の迷宮での生活一日目が終わりを迎えるのでした。



さて、では翌日~という前に、ここでマスターシーンが到来。どうやら冒険者たちがそれぞれの個室に戻り、眠っている間の出来事のようです。


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皆が寝静まった深夜。屋敷の廊下を、一つの影が動いています。


プティ 「抜き足、差し足、忍び足……」


どうやら、部屋を抜け出し深夜の屋敷を徘徊しているのは、プティのようです。こっそりと歩く彼女が目指すのは、どんな料理でも出てくる“銀のクロッシュ”が置いてある食堂。あれだけ夕ご飯を食べたのに、どうやら食べたりないらしい。食堂に無事潜入成功し、椅子に座ったプティは機嫌よくクロッシュを開けてしまいます。そこには、ほかほかと湯気を上げるラーメンと、肉厚なチャーシューが丸ごとデンと置かれていました。なんてものを夜中に……


プティ 「丸かじりしてみたかったの!!!」


と、プティは勢いよく肉塊に噛り付き、がつがつと食べていきます。もはやその姿は強欲な竜そのもの。飲み物のようにラーメンを飲み干し、一口に肉塊を喰らい尽くす。恐ろしい生物が今ここにいます。


プティ 「今度は今度は~~……」


禁じられているからこそ禁を破りたくなる。夜中に食べるラーメンは罪の味がする。でも美味しいんだよねあれ。もりもりと食べ尽くすその姿は幸せそのものです。プティは「太り気味」「夜更かし気味」を習得しました……ってGM、お主ウマ娘プリティダービーにはまっておるな??


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さて、翌日。起床した冒険者たちは朝食を取りに食堂へ。普段であれば我先にと現れるプティの姿はそこにはありません。PCたちが不審に思う中、ようやくプティが現れますが、どうにも眠たそう。席に着き、クロッシュを開くプティですが、そこに現れたのは体に優しい和風定食が二人前……

ま、まぁ朝食べる分にしては十分多い気もしますが、プティ基準だと劇的に少ないのです。そして、食べ終わるとお腹いっぱいとプティはいい、食事をやめてしまいます。この異変にPC達が気が付かぬわけがありません。


ラッヘ 「プティ、大丈夫? 体の調子悪かったりしない?」

プティ 「だ……大丈夫なの!」

アルボ 「ほう、大丈夫といったか。

     その言葉に嘘はないのか、プティ」

プティ 「う、嘘じゃないもん……!」

イグアス「こいつ、今『お腹いっぱいなの』って言いましたよ。

     つまり誰もいない時間になんか食ったんでしょ」

プティ 「どきーん!! にぃには鋭いのよ!」

ラッヘ 「(ジト目でプティを見つめる)」

イグアス「別にこの迷宮にいる間は怒る理由もないから、

     好きな時間に好きに食えばいいんじゃねえか?」

アルボ 「習慣づいたらどうするつもりだイグアス。

     変にここの生活に慣れてもらっては困る」

ラッヘ 「そう、習慣の問題なのよね」

プティ 「……誰も迷惑かけてないもん」

イグアス「あぁ……贅沢して満足していけって思ったんですけど、

     ここが普通になったらダメっすね……」

アルボ 「欲望に際限はないからな」


と、朝からわちゃわちゃと騒ぐ一同。良くも悪くもこのわちゃわちゃ感、見慣れた光景ではあるのですが、その平穏(?)を打ち壊すように、食堂にアンナが血相を変えて駆けこんできます。どうやらよほどのことがあったようで、全員を集め、今すぐ工房へと来るように言いつけます。


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なんだなんだと、冒険者たちはつぶやきつつも、アンナに連れられて工房へ。しかし、工房へと近づくほどに奇妙な異臭が鼻孔を衝きます。それは、冒険者であれば必ず一度は嗅ぐ、濃密な血の匂い。そのことにうっすらと気が付きつつも、工房へ入ると、工房の中央に首のない、血に染まった真っ赤なドワーフの死体が倒れていたのです。


べったりと、赤黒い血が工房の地面に張り付き、強烈な血の匂いを工房に漂わせています。見たところ頭は持ち去られたのか、地面には首から下の胴体のみが無惨にも残されています。すでに血は乾ききっており、首の断面を見るに、かなり鋭利な刃物で一刀のもとに切断されたことが伺えます。


その隣には、目を赤く泣きはらし、ぽたぽたと涙をこぼして震えているシンバの姿が……。師匠であったガウンというドワーフが、突如として何者かに殺されたことに深い憤りと、どうしようもない悲しみに暮れているようです。


シンバ 「あ……あぁっ……、師匠……」

イグアス「すげぇ……! 人族社会の娯楽小説で読んだ奴だ!」

アルボ 「こらイグアス、そんなこと言ってる場合じゃないぞ。

     にしても穏やかじゃないな、これは」

グレイス「ふむ……」


シンバ少年は、懐から一角獣ユニコーンの角を取り出し、ガウンの亡骸に近づけますが、どう考えても助けられる見込みはありません。


アルボ 「無駄なことはやめておけ、シンバ少年。

     今はこのものが、神の御許にたどり着けることを祈ることしかできん」

ラッヘ 「これは……事件、なのかしら」

アンナ 「……魔剣を手に入れたい、誰かの仕業なんじゃないか。

     一番腕のいい鍛冶師は、認めたくねぇがこの爺さんだ

     邪魔だったんだろうよ……」

シンバ 「じゃ……邪魔だからって殺すのかよ!」

アンナ 「さぁな、知るかよ。そんなこと犯人に聞け」

シンバ 「師匠は……頑固だけど、優しくて

     身寄りのないオイラに鍛冶仕事を教えてくれて……」


と、シンバ少年はその心中を吐露します。ドワーフと人間の子。珍しい組み合わせだとは思っていましたが、どうやらシンバ少年は孤児だったようです。あの頑固そうなドワーフの爺様にそんな一面があるとは思ってもいませんでしたが……

肉親同然の師匠を殺されたことで、シンバ少年の心中は穏やかではありません。そして、その怒りと悲しみの矛先は、最も向けられやすい方向へと振り下ろされて行きます。


シンバ 「……あんたらか、殺したのは?」

と、シンバはグレイスとイグアスを見つめてそう言い放ちます。


イグアス「オレは殺す理由がなんもねーよ。

     つーか邪魔な奴がいたら殺すことなんて普通にあるだろ?

     お前、虫も殺したことがないってわけじゃないだろうし……

     そもそもオレの獲物はコレメイスだ、こんな綺麗には斬れないね」

シンバ 「獲物なんて、ここならなんだって手に入るだろ!

     それに、その例えは不愉快だ……結局、いつだって蛮族が……」

アルボ 「シンバ少年、感情と憶測で物を言う前に少し考えろ

     このドワーフを殺すことで、我々に一体何の益がある。

     それに、シンバ少年の言うことが正しいとして

     だとすれば、ここにいる全員が容疑者足りうるだろう?」

イグアス「おっ、そりゃ確かに」

ラッヘ 「……気持ちは分かるけど、今は言い争っても仕方ないわ

     お互い証拠が何もないんだもの。それに、貴方たちも正論で攻めすぎよ。

     とりあえず、何か残されてないか調べてみましょう」

グレイス「まぁ、いずれにしてもここにいる冒険者や鍛冶師には

     彼を殺す理由や動機は誰にもないと思うよ。

     魔剣を造れないと出られないのなら、その魔剣造りの最有力候補

     である、キミの師匠を殺すのは逆効果だろう?

     魔剣が欲しいにしても、キミの師匠が造れるのなら、まだ造れてもいない

     のに殺すのは無意味さ」

シンバ 「そう……だね。……ごめん、オイラも言い過ぎた」

グレイス「故にあるとすれば……

     “動機”が違う、嫉妬や嫌悪。

     あるいは思考が違う、、とかね」

アンナ 「結局は、それぞれ自己防衛するしかないってことだよな

     ……せいぜい、あんたらも気を付けることだね」

アルボ 「ま、なんにしても情報を集めて整理する必要があるだろうな

     自己防衛といっても、“迷宮そのものが犯人”とかだったら

     もはや手の打ちようがない」

イグアス「そうっすね、疑心暗鬼ごっこはやりたくないっす」


ひとまず、侃侃諤諤の議論は終わり。アンナやシンバは工房から出ていきます。特にシンバ少年は酷く落ち込んでいるようで、一人にさせてほしいと、自室へ籠ってしまったようです。おいおい、大丈夫か……? サスペンスで個室に一人きりはフラグだぞ少年!


冒険者たちも、可能な限り現場を保存しつつ、他の部屋でも異常が起きていないかを確認するため、屋敷内を再度探索し始めます。ひとまずは昨日、書斎で日記を読んでいたミリア少女を確認するべく、書斎へと向かいます。


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扉を開き、書斎へと入る冒険者たち。しかし、扉を開いた段階で、その異変にすぐに気が付くでしょう。何故なら、その書斎の中央には工房の時と同じように、首のない少女の遺体が転がっていたのですから。


アルボ 「……これは、拙いな」

ラッヘ 「趣味の悪い迷宮なのか、趣味の悪い犯人なのか……」

イグアス「ちょっと展開早くないっすか? 小説で読んだのと違うんですけど」


ドワーフのガウンの時と同じように、ミリアの頭部はなく、首から下の胴体のみが転がっているようです。少女の手元には、昨日読んでいた日記が落ちています。


アルボ 「早すぎるな……というか、滅茶苦茶だ

     目的も動機もこれではわからん。

     ともかく、胴体部分を調べるか……誰か、日記の方を頼んでもいいか?」

グレイス「ボクも遺体の方を調べよう」

ラッヘ 「わかったわ」

と、日記を拾い上げパラパラと頁をめくるラッヘ。昨日読んだ、ルイナスの日記の続きのようです。


●ルイナスの日記2

復讐が終わった後に残っていたものは何もなかった

妻を殺した相手を封印しても……妻は帰ってこない……

復讐を遂げても、待っているのは"無"だった


ルーカスは、その"無"の時間を剣へと費やした

剣を作ることは彼にとって、全てを忘れられる時間だった


作っていく中で、彼は思ってしまった

あの時、魔神にソフィーが操られたとき

彼女を救えることができたかもしれなかったと


彼女は決して戻ってこない

けれど……けれど、魔神のみ斬り、人を傷つけない魔剣があれば

今後、自分と同じ境遇を持つものを救えるのでは?

ソフィーなら……それをきっと喜んでくれるはず


ルイナスはその魔剣を作るために没頭した

だが、剣とは相手を斬るもの……“魔”だけを切る魔剣は困難を極めた


そして死ぬ間際になっても、ルイナスはその魔剣を完成させられなかった……

だから弟子たちに、いつかこの魔剣を完成させるように託したのだ



魔神への復讐を成し得た彼でしたが、残されたのは何もない、虚無といってもいい残りの人生。ルイナスは魔神を封印したのち、新たな魔剣を造るためにその生涯を懸けたようです。人を傷つけず、魔神のみを斬る魔剣。彼はその極致へと至るために研鑽を積んだものの成しえず、その偉業を子孫へと託していった……と。このお話は、愛する夫を奪われたことへの復讐に走るラッヘにとっては、教訓じみた話になるのかもしれません。


ラッヘ 「(復讐を遂げた先に待っているのは無、ね……

      そんな正論、復讐を遂げた人間と、復讐をする必要がない

      人間にだけ与えられた贅沢よ)

グレイス「……判断材料が足らないな。

     本来なら人を一か所に集めるべきなんだろうけどね、

     相互監視のためにも」

イグアス「でも、聞いてはくれなさそうっすねぇ」

ラッヘ 「とりあえず、共有はすべきよね」

アルボ 「問題は、新たな犠牲者がでたと彼らに伝わった時、

     彼らがどういうリアクションをするかだな……

     下手を打てば、私たちが殺したのではないかと不安を煽りかねん」

イグアス「第一発見者が四人組の冒険者ですってのは、心象悪いでしょうねぇ」

グレイス「それはボクらが気にすることじゃないよ。

     見つけたものは見つけたのだから、連携はしておこう」

イグアス「そうですね、あっちが疑心暗鬼になるのはしょうがねぇな」


というわけで、ひとまずアンナたちに伝えることに。アンナはともかく、シンバ少年については自室に籠って出てこないため、ひとまずシンバ少年には、個室の扉ごしに状況を伝えることに。


イグアス「聞こえるか!? シンバ!!!

     ミリアって子はしってるよな!?

     そいつも死んだ!! 思うところがあったら出て来い!!!

     以上!!!」

ラッヘ 「バカ!! まともに伝えなさいよ」とイグアスへローキック

プティ 「にぃにのばかー!」

イグアス「いや、滅茶苦茶まともに正しく伝えたじゃないですか」

ラッヘ 「どう聞いても私たちが犯人じゃない」

イグアス「えぇ……?

     オレらが犯人なら、“アイツも殺した”って言いますよ」

ラッヘ 「言ってること自体はギリギリ筋が通ってるのが腹立つわね……」

アルボ 「お前それ冗談でも絶対いうなよ……」


と、扉の前でわちゃわちゃ騒いでいると『ドンッ!』と壁を殴るような音が。どうやら伝わった(?)らしい。


ラッヘ 「……まぁ彼は正直何言ってもしょうがなさそうだし、

     気にしなくてもいいんじゃないかしら」

イグアス「オレだって考え無ってワケじゃないですよ?

     これだけ開けっぴろげに話す奴が犯人だったらバカすぎるでしょう

     一応、そういう考えの元になるべくまっすぐ考えてるつもりです」

ラッヘ 「不安定な相手には常にマイナスに取られることを考えなさいよ……」

アルボ 「まぁ、シンバ少年のことは常に頭の片隅に置いておこう。

     不安定な人間は、何をするかわからんしな」


とりあえずシンバには状況を伝えれたので、アンナに伝えるために彼女が良そうな図書室へと向かいます。その途中、プティがお手洗いに行きたいというので、付き添いとしてラッヘとイグアスが残り、アルボとグレイスは先行して図書室へと向かうことになりました。


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アルボとグレイスが図書室へ向かうと、そこには調べものをしているアンナの姿が。床には大量の書物がばら撒かれており、何かを必死にさがしているようです。


アンナ 「……これがこうで……これがこうなのか?」

グレイス「ここの図書室はいいよね、

     アルコール禁止なんで無粋なことも言われないし(ぐびぐび)」

アルボ 「いや、言われなくても普通飲まんだろ……」

アンナ 「あんたら……はぁ、そういうところはドワーフそっくりだね」

グレイス「酒は頭が冴えるよ?

     頭脳労働にはもってこいなのに」

アンナ 「ちょっと寄越せ」

と、アンナはグレイスからお酒を一口奪い取りつつ、調べものを纏めていきます。


アンナ 「……工房にあった鉱石はしってるか?

     “アダマンタイト”と呼ばれる鉱石だ。

     魔法文明時代にはよくあったらしいんだが……

     その製造方法や詳細を調べておきたくてね」

アルボ 「製造方法ね、詳しくは知らないが、それは特別なものなのか?」

と聞いてみると、彼女は今知っている限りのアダマンタイトに関する情報を教えてくれます。


●アダマンタイト

ルイナスの子孫が見つけたイグ二ダイトに匹敵する鉱石。硬さと鋭さは折り紙付きで、魔法文明時に忘却された特殊な製法が必要である。魔を封じ込めることができるようで、魔剣の使用によく用いられていたらしい。


アンナ 「魔を封じ込める製法がわからないのさ

     それがないと、ただの鋭い剣になっちまう。

     まぁこっちは調べておくさ……それと、さっき個室が

     二人だからってあんまり安心しない方が良いぜ?」

グレイス「んー……多分、そいつはじゃないと思うけどね」

アルボ 「まぁ私はほら、そもそも襲われたらそこでゲームオーバーだからな。

     一人だろうが二人だろうが、戦えるタイプではない」


と、情報を共有したところでアルボとグレイスのシーンはカット。続いて、トイレへといったプティ、ラッヘ、そしてイグアスのシーンに変わります。


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プティ 「待っててね! 絶対待っててね!」

ラッヘ 「はいはい、待ってるわよ」

と、二人はお手洗いへ。イグアスは外の廊下で待機中。


と、待機していると不意に食堂の方から音が聞こえてきます。【聞き耳判定】を振ってみれば、イグアスもラッヘも成功! どうやら今の音は悲鳴のようで、男性のもののようです。


イグアス「今のは……食堂か、行ってくる」

ラッヘ 「またなのかしら……お願いね」

プティ 「な……なんなの!?」

ラッヘ 「わからないけど……イグアスが見てきてくれるわ」


と、ここでイグアスが一人で食堂へと向かい、様子を見てくることに。すでに二人が殺されているこの屋敷、若干警戒しつつ食堂を覗いてみると、大の大人が派手にスッ転んで大の字に倒れているのを見つけるのでした。


しかし、その人物。何と前回のセッションで、プティ欲しさに襲い掛かってきたアンデッドの吟遊詩人“死体屋”ことベリルだったのです。一体何がどうしてこんなところで転倒しているのかは謎ですが、どうやらこの迷宮へと侵入してきたようです。


ベリル 「いやー……躓くところなかったのに」

イグアス「うわぁ……こいつこそ首なくなってほしかったな……

     いや、首取れた程度じゃあ死なないか」

ベリル 「おっとこんばんわ……馬の青年、でいいのかな」

イグアス「久しぶり、でもねぇな、死体屋」

ベリル 「死体を探していたらこんな場所に来ちゃってね、あはは~

     血の匂いには敏感なものでね」

イグアス「お前が来たがるのは良いとして、何でお前が入れるんだよ」

ベリル 「さて、どうしてでしょう……?

     一つ、ぼくが入れる資格があるから。

     二つ、ここは魔剣の迷宮でないから。

     三つ、誰かに誘われたから」

イグアス「2か3だな。ありがとよ」

ベリル 「それにしても……この部屋で誰か死んだのかい?

     いやね、こけて気が付いたんだけど……赤い血がべっとりついててね」

イグアス「今来たとこだから、それは知らねぇな……」

ベリル 「そう、ならいいや。オジサンはここでご飯を食べてるよ~」

イグアス「イスなおしとけよ、じゃあな」

ベリル 「あ、そうそう。から離れてよかったのかい?」

イグアス「女の子? 俺の同行者に女の子呼ばわりできるような奴はいないが」

ベリル 「そう、ならいいか」

イグアス「とんでもないのが来ちまったな……」


ひとまずそういい、別れる二人。ベリルがここにきているのは何とも不気味というか、意味ありげですが、なんにせよ死体が転がっているよりかはましかもしれません。……ベリルはアンデッドなので、死体なのですが。

廊下へと引き返すイグアス、しかしそこには首を一閃され、血を流して倒れている遺体が一つ転がっているではありませんか!


その遺体の服装は、つい先ほどまで一緒にいた……ラッヘ!? いつも通り首から上はなく、隣には血まみれになったプティが呆然とした様子で座り込んでいます。その様子を見たイグアスは、驚くわけでもなく豪快に笑い始めます。


イグアス「ハハハ! “死体屋”の野郎、脅しが安すぎてイマイチ驚けねーな

     驚き直すのは本当に死んだって解ってからにしておくぜ」

プティ 「……ぁ……にぃに……

     外にね……出たらね、ママがいなくて……それで」

イグアス「こうなる瞬間を見たわけじゃねーんだな。ならいい」


と、唐突な死! に見舞われたラッヘ嬢。どうやらこの屋敷にはimposterが紛れ込んでいるらしい。投票で吊らないと次に誰かが殺されそうですね。ひとまず図書室にいたアルボとグレイスがイグアスたちと合流し、事の顛末を共有します。


グレイス「ん……次はラッヘさんか」

イグアス「あと“死体屋”のヤローが来てます」

ベリル 「どうも♪ せめて死体屋のオジサンと呼んでほしいね」

アルボ 「おいおい、ちょっと目を離したすきにどうなってるんだコレは」

グレイス「ふーん、今回もキミの仕業か?」

ベリル 「あぁ残念、復讐を考えていた少女ラッヘは、

     それを成す前に死んでしまった……

     ふふん、この件に関してはオジサンは無関係さ

     というか、今さっき来たばっかりだし」

グレイス「ふむ……となると、次はアンナちゃんだな」

イグアス「もしそうなら、シンバもすぐに死にそうっすね」

ベリル 「……しかし、おかしな死体だねぇ」


と、ベリルは死体を見つめながらそうつぶやきます。


ベリル 「オジサン、遺体の記憶を読み取って詩にするのが好きなんだけど……

     この遺体からは記憶が読み取れないね、面白くないなぁ」

グレイス「。となると実物はどこかに攫われている、とみるべきか」

ベリル 「まぁ頑張ってね、オジサンは自分の部屋に居とくから」

イグアス「アンデッドにしちゃいいこと言ってったな。

     これは死体じゃない、なにかってことか」

アルボ 「ふーむ、一目見ただけでわかるというのか

     アンデッドならではの感覚なのか……?」

グレイス「窓の外を見るに日が暮れてきた。

     いったん、シンバとアンナを拾いに行こうか」

イグアス「そうしましょう」

アルボ 「あぁ、これ以上死体が増えても困るしな」

プティ 「……まま」


そういい、ひとまず個室に戻ることに。その道中、小声でグレイスが

グレイス「……ないとは思うけど、プティは警戒かな」

イグアス「了解っす」

と、会話を挟みます。ラッヘを失ったプティ、遺体の側で呆然とするさまは偽物には見えませんでしたが、こんな状況です。否が応でも警戒度が上がっていきます。


そして再び、日が落ち夜の時間へ。緊張感の高まった屋敷での2回目の夜。ここでマスターシーンが挟まれます。


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再び深夜の屋敷。2階の通路を静かに歩くものがいます。それは、両手に剣を持ったシンバ少年でした。彼はポケットにポーションを詰め、ギラギラと狂気に満ちた眼差しで、闇夜に包まれた屋敷の中を歩いています。


シンバ 「殺されるくらいなら、殺してやる……!」


彼は狂気と殺意を友として、いまだ見えぬ姿なき殺人鬼を探し、廊下を徘徊するのでした。師匠であり、親であったドワーフのガウンを失った少年の心は、この異常な状況には耐えられなかったようです。


不意に、背後から誰かが歩く音が聞こえます。その音は確かにシンバ少年に近づき、そして、シンバ少年自身もその存在に気が付きます。


シンバ 「────お前か!!」


彼は振り向きざまに、一振りの銀に輝くナイフを音のする方へと投げますが、甲高い音と共に、ナイフは弾かれてしまいます。月明かりが廊下を照らし、その姿なき殺人鬼を照らし出すと、シンバ少年は力なく剣を取り落とすのでした。そして、弱弱しく笑い声をあげると、彼の意識は、再び闇夜の底へ落ちていくように、真っ暗な暗闇へと沈んでいきました。


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三日目の朝。

冒険者たちは、労することもなくシンバ少年の変わり果てた死体を見つけることとなります。2階の廊下に、他の死体と同じように首のないシンバ少年の死体が、冷たく横たわっているのですから。


アルボ 「とうとうシンバ少年もか……」

イグアス「ふーん、当たっちまいましたか」

グレイス「んー……やられる前に、ってところで遭遇した感じかな」

と、あたりに散らばっている武器を見て、グレイスがそうつぶやきます。


すでに、残された人々がどうなっているのか。心の底ではその答えがわかりつつも、アルボ、イグアス、グレイスの3人はアンナを探すことに。ほどなくして、図書室の床の上に、首のないアンナの死体を見つけることに成功します。その手元には、彼女が最期に残したと思わしきメモが落ちていました。


●アダマンタイトの使用方法について

アンナが文献を読み漁った結果、見つけたアダマンタイトの使用方法だ。従来の炎と比べて火力が必要でイグ二ダイトの作成のような黒炎が望ましい。魔法文明の人たちは、遺失魔法である青い炎を使用し作成していたようだ。魔剣として作成するためには、魔力とイメージ力が必要なようで"本人の心"が剣に現れやすいようだ。

そのほかにも、注意事項や必要な表記がいくつもメモされている。


アルボ 「やはり死体か……

     しかし、この死体もアンナの者ではない可能性がある、と」

イグアス「死体屋が変なこと言ってなけりゃあ、一連全部、偽物の死体でしょうね」

アルボ 「一連全部真実の死体、よりかはありがたい。

     仮にここから出られたとして、説明が面倒になる」


アンナの残したメモを確認し、再び3人は屋敷の捜索を行います。此れと言って犯人の手がかりらしいものは見当たらず、ひとまず昨日、血痕が見つかったという食堂へ。


食堂にはだれもおらず、誰かの死体が転がっている。ということもないようです。ただ、ベリルの言っていたように、絨毯の一部に血が付着しているようです。真っ赤な絨毯であったために、そのことに今まできがつけなかったようです。そして、机の下にあるものを見つけるのでした。


イグアス「ダンナ、これってダンナが配ってた“受益者のシンボル”っすよね」

アルボ 「ん? ……そうだな、これは私が君らに配っておいたものだ。

     私が造ったものであっている」

グレイス「それがなんでここにあるかっていうところか」


と、見つかったのは“受益者のシンボル”。これは、森羅魔法の一部の魔法を使う際、その魔法の対象者があらかじめ持っている必要のあるアイテムの一つです。このセッションの始まる際に、アルボは自身がそれぞれの冒険者たち宛に作った受益者のシンボル(判子のような形のもの)を渡しており、それが何故かここに落ちていたのです。


アルボはそれを手に取ってみてみれば、いなくなったラッヘのものではなく、プティに宛てて作った“受益者のシンボル”のようです。大切なものなのでなくさないように、肌身離さず持っていてほしいと渡したものなのですが、どうも目の前の“プティ”はこの存在のことを気にしてはいない様子。普段であれば考えられないような事態です。


プティ 「ぱぱ、それよりもおなか空いちゃった。

     今なら定食3人前はいけるかも!」


アルボは、この奇妙な事実をイグアスとグレイスにこっそりと伝えます。「今目の前にいるプティは、プティではない何者か」という事実を。


グレイス「……そうだろうねぇ」

プティ 「ぱぱ、ねぇね、にぃに?」

グレイス「昨日も全然食べなかったし。

     ラッヘさんが普通に襲撃されて、そう簡単にやられるとも思えないし」

イグアス「ラッヘが死んだと思い込んでいるお前から、

     “今なら飯が食える”なんて言葉が出てくるとも思えないな。

     ────そうっすよねぇ」


プティ 「……えへへ、えへへへへへ。

     おいしく、美味しく食べないとねぇ」

アルボ 「……私としてはコレが偽物でも、価値が変わらなければどうでもいいがな

     ただ、暴れられるのは困る」


目の前のプティと思わしきものは、冒険者たちの方を見て、その可愛らしい顔を笑顔で歪ませていきます。狂喜に満ちたかのように、プティはただただ笑っているのです。


ここで冒険者たちは【魔物知識判定】を振ることに。アルボとイグアスは成功し、目の前の存在が、プティなどではなく、人の姿になりすまし、人をだまし、殺していく魔神「ダブラブルグ」であることを理解してしまいます。


魔プティ「……夜中にね、一人で食堂にいる方がわるいんだよ?

     しっかり教育しないとねぇ」

アルボ 「うーむ、ド正論すぎてなにも言い返す言葉がない」

イグアス「オレが言ってたこっそり食ってたってのも当たってんのかよ!

     その情報はいらなかったわ」

魔プティ「謎解きは、もうおしまい……

     だから……だから、皆死んじゃえばいいんだよ!!」

グレイス「話が早くて助かるね」


プティだったものがそういうと、あたりからは大量の魔神があふれ出してきます。どうやら、この屋敷には最初から相当数の魔神たちが潜伏していたようです。ダブラブルグ1体だけならともかく、食堂から、廊下から、エントランスホールから。ありとあらゆるところから現れる魔神の数に、ここは冒険者たちも一度退くことに。


彼らの追撃を振り切り、なんとか工房へと逃げ延びます。まるで冒険者たちを工房に追い込むことが目的であったかのように、魔神達は工房へ冒険者を追いやると、包囲したまま進撃を停止したようです。


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ここで、シーンが変わり二日目に殺されてしまったラッヘのシーンへ。殺されてしまったはずのラッヘ。しかし、彼女は暗闇の中で目を覚まします。あたりは薄暗く、目の前には鋼鉄の檻が見えます。どうやら、何者かに拉致されここに運び込まれたようです。


ラッヘ 「っ……これ、は……?」

プティ 「まま……大丈夫?

     ……その、ごめんなさい……心配かけちゃった」


周りを見渡せば、同じようにしてプティやシンバ、ガウン、アンナたちが檻の中に閉じ込められているようです。どうやら、彼らは殺された。と見せかけて、実際のところは何者かにこの檻の中へと連れ去られてきていた模様。


ガウン 「だから! ぬけぬけと何を捕まってるんだこのバカエルフ!」

アンナ 「あぁ? だったらテメェが一番最初だっただろうが! バカドワーフ!」

ラッヘ 「うわっ……えぇと、死んだはずじゃ……?

     全然状況がつかめないわ……」

シンバ 「よくわかんないすけど、生きてるみたいっすね」

ベリル 「そうそう、生きてるならいいよねぇ」


と、つぶやくのは死体屋ことベリル。どうやら彼も檻の中に捕まっているようです。


ラッヘ 「あなたはっ……」

ベリル 「いやはや、ひどいよねほんとに」

ラッヘ 「もう訳が分からないわ」

ベリル 「うーんと……そうだねぇ、お嬢ちゃんって何を食べる?」

ラッヘ 「……サンドイッチ、とかかしら」

ベリル 「そうかい、オジサンはおでんが好きかなぁ。

     っと、じゃあ蛮族とかって何を食べるかわかるかな?」

ラッヘ 「……はぁ? それは……人族とかかしら?」

ベリル 「つまりはきっと、そういうことなんだよ。

     いやはや、すぐに殺してしまえばいいのにねぇ、

     あの子も面倒なことをする」

ラッヘ 「ふぅん、つまり私たちは魚料理屋さんの水槽にいるってことね」

ベリル 「ううん、そうだね。

     けど、オジサンは面白くないからこうするけどね」

と、彼はどこからかラッヘのクロスボウを取り出します。どうやら、こうなることを見越してあらかじめ隠し持ってきていたらしい。


ベリル 「どう? オジサンとランデブーしない?」

ラッヘ 「……この一瞬だけは了解しましょう」

ベリル 「さすが、わかるねぇ。面倒だし、全てを壊して行こう」

そういい、ベリルは立ち上がると、食堂の銀のクロッシュを取り出して、その中から様々なものを取り出していくのでした……


======================================


場面変わって、こちらは工房組。大量の魔神に追いかけられ、ひとまず工房に逃げ込んだ一行は、工房の扉を閉めて鍵をかけることに成功します。扉の向こう側には大量の魔神達が蠢いているらしく、扉をガタゴトと揺らしているようです。


アルボ 「間一髪だったな、いやはや、どうしたものか」


振り返って工房の中を見てみれば、工房の中央には書斎で見かけた少女、ミリアが一人で立っており、冒険者たちの来訪を待ちわびていたようです。


グレイス「やぁ、さっきぶり」

ミリア 「……魔神達が来る。

     倒すには、武器が必要」

グレイス「あぁ、君が欲しかったのはそういう武器か」

イグアス「黒幕なのかと思ってたけど……いや、間違ってねーのかな」

ミリア 「私には……創れないから。

     でも、貴方に造ってといっても“はい、そうですか”で作らないでしょ?」

グレイス「(珍しくキョトンとした顔をして)

     よく知ってるじゃないか、ボクのことを知っていたのかい?」

ミリア 「私も、そうだったから……

     祖父の為に、魔剣を造ってたのだけど。

     ……結局はみんな、しんでしまった」

グレイス「ふぅん、でもキミは魔神がどうこうで魔剣が欲しいんじゃないんだろう

     祖父……ルイナスが願った、魔神のみを斬る殺さずの魔剣

     それが見たいんじゃないのかい」

ミリアはその言葉に、こくりと頷く。


グレイス「だろうねぇ。

     話してておもったけど、君は実体のある人じゃないな。

     魔剣そのものか、君自身がルイナスの意志を引き継ぐ何かか……」

ミリア 「惜しい……

     わたしは、既に死者アンデッド。人族でも、蛮族でもない

     三つ目の陣営に属するもの。それが私、ミリア・ルイナス」

グレイス「なるほどね、死ねない体になったのか。死なない体になったのか……」

イグアス「だーからアイツベリルも入ってきたのか」

ミリア 「貴方の打つ魔剣なら……私を殺せるかもしれない。

     お願い、できる……?」

グレイス「“生者”を殺さないならば、逆に“死者”は殺せるんじゃないかってことか。

     そういうのは神官の領域だと思うけど……

     面白い、一度くらいはアンデッドに打ってもいい」

イグアス「へぇ、イイはなしじゃん。

     死ねないアンデッドを殺す物語は定番だぜ」

グレイス「ただ、ボクにできるのは器をつくることだ。

     剣そのものを打つことはできる

     でも、それに特殊な力を付加することはできない。

     ……多分だけど、それはキミ次第の話になる」

ミリア 「大丈夫……それは、私が流し込むから」

グレイス「ならいい、素材はあの鉱石アダマンタイトか。

     何かに反応して記憶した形状を自ら形作る、ロストテクノロジーだね」

アルボ 「剣のことは専門職に任せるとしよう。

     こっちの扉は何とか持たせてみよう、頼むぞグレイス」

ミリア 「武器は貴方が使いやすいものでいい。

     その方がきっと……うまくいくから」


ミリアと名乗る少女は、生前、ルイナスの孫として魔剣を造る偉業を継承していたようです。しかし、何らかの事情により死亡。その後はアンデッドとして蘇り、今もなお、初代ルイナスの夢見た魔剣を造るため、その造り手を集めていたようです。

そして、そのための舞台がここ、「ルイナスの屋敷」というわけです。そして、自分自身の役目は魔剣を造りだすことであり、その役目を終える時、自身もまた解放されると思い、魔剣を造ることを冒険者に依頼した……ということらしい。


黒い炎が炉にともり、猛烈な熱気と共に炉が、工房が煌々と輝き始めます。ルイナスが残したアダマンタイトを手に取って、グレイスは腰を下ろし、燃え盛る炉の前に陣取ります。鋏でつかんだその金属塊を慎重に炉へ入れ、ダークドワーフの扱える神秘の一つ、燃え盛る黒き炎にてアダマンタイトを高温で熱していきます。幾重にも精錬を重ね、純度を高めたそれを型にはめて、グレイスは鎚を握って振り下ろします。舞い散る火花と共に、甲高い金属音が部屋に木霊します。


イグアス「おぉ……入っちゃダメだってずーっと言われてたからなぁ。

     これみれるの、相当にラッキーすよ!」

アルボ 「黒炎の遣い手の現場を見れるのはかなり貴重だからな……

     私も、本物を見る機会はそうない」


グレイスが槌を振るい、剣を鍛える。すると、彼女には剣を通じてか、それとも屋敷に残された意志なのか。頭の中に声が響いてきます。


ルイナス『君は、なんのために武器を造る?』

グレイス「なんのため、か……

     考えたこともないな、やりたいと思った時、気が向いたらやっている。

     しいて言えば、“趣味”だ」

ルイナス『趣味……? 剣が全てではないのか?』

グレイス「いいや、幸いボクにはこの炎と才能があるらしい。

     やりたいと思った時、その趣味を十全に楽しめる条件がある。

     それだけだよ、造りたいときに、造りたいと思った相手に、造る。

     ただ、それだけだ。

     僕が造ったものが役立てばそれでいいし……

     あるいは、本当に単なる気まぐれで、何も考えずに造って

     押し付けることも、まぁあるね」

ルイナス『造りたいときに造る、楽しむ……

     軽いね、君は軽い。軽すぎる……』

グレイス「もとはキミも、楽しいからやっていたんじゃないのか

     キミの生前の研究とやらを」

ルイナス『……僕は、最初は楽しかったんだ。

     ソフィーがいて、皆がいて……

     途中からすべてが消えていき、楽しいことも忘れていた』

グレイス「うん」

ルイナス『復讐しか考えていなかった僕が……

     今になって、殺さない剣を完成できるわけがなかったのにね。

     君は軽い、僕の重さとは真逆だ

     だからこそ、羽ばたいていけるのかな……』

グレイス「キミはマジメなんだよ。

     気が向かないときもやってしまったんだろう、

     ボクは本当に気が向いたときしかやらない」

ルイナス『ふふっ、そうかい』

グレイス「名品を打ちたい、なんて思ったこともない。

     作品で有名になりたいと思ったこともない、

     ……ダークドワーフの集落では奇人扱いだったな」

ルイナス『思いを県だけに向けて、迷いなく鎚を振りぬける。

     それが君の良さだね、グレイス』


ふと、グレイスは自身の手に誰かの、人の温かみを感じます。それが、意志として残されたルイナスの、最期の力だったのかもしれません。黒き炎は、紫色の鮮やかな炎へと変わっていきます。それをみて、傍にいるミリアも小さく祖父の名を呼び、魔力を注ぎ込み始めます。


ルイナス『……さぁ、あともうひと踏ん張りだ』

グレイス「なるほど、“紫銀”としてのグレイスもご存じのようで。

     最初から狙いはボクをここに呼びたかったんだな

     アルボを金銭で吊ったのは巧い手だったね」


グレイスはそう苦笑しながらつぶやき、大きく鎚を振り下ろします。淡い紫の炎に包まれた一振りの武器。この世にあらわれた“魔剣”は、しっくりとグレイスの手に収まります。


ミリア 「完成……した! これで、私は……私は……」


ミリアは歓喜の声をあげ、その魔剣を見つめます。アンデッドとなってまで、彼女が追い求めたそれは、今こうして目の前に存在しています。

しかし、その直後工房の天上の一部が破れ、砂ぼこりを上げて何かが落下してきます。突然の出来事に、慌てて臨戦態勢をとる冒険者たちですが、そこにいたのはラッヘとプティ、そしてベリルたちでした。


グレイス「やぁ、元気そうで」

イグアス「上にいたんすか?」

ラッヘ 「とりあえず出ようといろいろ廻ってたんだけど、

     まさかこんなところに出るなんてね」

と、ラッヘはプティをキャッチしながらゆっくりと立ち上がります。


ベリル 「いやはや困ったお嬢さんたちだ、

     駄目だよ~ミリア、勝手にそんなところで死んだら」

ミリア 「……うるさい」

ベリル 「僕だって死にたいけど、君の使命は最後まで果たしてもらわないとね」


どうやら、アンデッド陣営は何か壮大な目的を持っているようです。その目的を達成するために、ベリルは強い生物を欲し、ミリアはというと魔剣を求めているらしい。現時点で彼らが何を求め、欲しているのかは不明ですが、人族、蛮族、そしてアンデッドとここにきて三すくみの状態が見えてきたようです。うーむ……どうなるんだろうか?


ベリル 「さて、と……君たちにも世話になったみたいだね。特にお嬢さんラッヘ

ラッヘ 「いえ、こちらこそ。といっても、これっきりだと思うけどね」

ベリル 「今度お礼に、可愛い婚約者がいる優しい商人が、騙され死んでいく

     悲劇を聞かせてあげよう。きっと気に入ると思うなぁ」

ラッヘ 「あら残念、次の機会がないから聞けなさそうね」

と、売り言葉に買い言葉。ラッヘはクロスボウをベリルに向けて構えます。


ベリル 「前にも言った通り、オジサンはねぇ死体から記憶を読み取って

     詩にするのが趣味なんだ。

     ……夫婦なら、一緒に詩にしてあげないとね!」

そのことばに、ラッヘはトリガーを引き、無数の矢がベリルに向かって放たれます。それをよけようともせず、ベリルは表情一つ変えず、その矢を全て受け切るのでした。


ベリル 「ふふっ……さすがは“リバティーハーツ”なのかな?

     ……あれ、これ結構痛いな」

グレイス「キミが動く死体でも、それはそうだろうね。

     さて、ボクらもそろそろ出るとしよう

     キミベリルはここで埋もれてくれてもいいけどね」

ベリル 「いやいや、私らもそろそろお暇しよう。

     ミリアの回収も何とか済みそうだしね」

イグアス「まったく、どっからでもこいつらは出てきそうだな、ほんとに」

ベリル 「ははは、ではまたの機会に、ごきげんよう」

アルボ 「できればもう二度とお会いしたくはないものだ」


魔剣が完成したお陰か、屋敷全体が大きく震えはじめ、あちこちがぱらぱらと崩れ始めています。どうもこの屋敷そのものの存在意義がなくなってしまったようです。大きく壁が崩れ始め、その向こうは真っ暗な闇が続いています。ここに来た時と同じようで、どうやらこの謎空間から出られる出口らしい。


ベリルは小脇にミリアを抱え、「バイビー」と言い残し走り去っていきます。相変わらず死体の割に俊敏な動きだ……。ミリアはというと、最期に「あぁ、やっと死ねると思ったのに」とつぶやきながら、ベリルと共にこの屋敷から離脱していくのでした。冒険者やシンバたちも、後を追うようにして崩れた壁から外部へ脱出を図ります。


ふと気が付けば、あたりは魔剣の迷宮に入ったのと同じ、大河フラドーの側にある洞窟の中に出てきています。冒険者たち以外の、シンバやガウン師匠、それにアンナや、他の人々も無事に脱出できているようです。


かくして、奇妙な魔剣の迷宮でのサスペンスは終わりを迎え、冒険者たちは紫銀に輝く魔剣を手に入れてこの冒険は幕を閉じるのでした!

今回は全開とは打って変わって、ホラー・サスペンス味の強いセッション。セッション4「響き渡る思い」は無事に終了。 本当にお疲れ様でした!


◆感想

というわけで、今回はクローズドサークルなお屋敷での、ホラー・サスペンス色のつよいシナリオとなりました! 前回がお祭り回だったのを考えると、180度ぐらいの変化球でしたね。GMことベーゼンさんが、サスペンス系のシナリオをやってみたいとのことで今回このシナリオを組んだそうなのですが、だいぶ難産だったらしい。こういうお話を書くのは難しいわよね……。特にファンタジー世界での推理物って、魔法という便利装置のおかげで、なんでもできがちなので、とてもハードルが高くなりそう。ただ、一度は挑んでみたいカテゴリではあります!

また、今回は尺の都合上戦闘が一切ない、探索ONLYの展開となりました。時間的に入れられなくて急遽削ったそうな。結構のびのび遊んでしまったのもあるので、そこはごめんなさいだね!

しかし、これほどに自由奔放な冒険者たちがサスペンスに巻き込まれると、こんな感じになるんだなぁ……と、新しい観点で見れてとても新鮮でした。ある程度予想はつきましたが、こいつら全然ぶれませんね! いつか心をぐちゃぐちゃにできるように、しっかりと心の刃を研いでおく必要があるかもしれません。


最後となりましたが、今回もありがとうございました!

次回もよろしくお願いいたします!


◆キャラシ

●PC:アルボ/PL:とたけ

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=nTmTBt


●PC:イグアス/PL:じゃっく

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=pjvTxS


●PC:グレイス/PL:はやみ

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=68Iv1j


●PC:ラッヘ/PL:たけしん

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=N5D28j

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