第二話「拾って売って大金持ち?幸運の白き竜」

2021年2月14日に行われた、長期CPリバティハーツ:第二話「拾って売って大金持ち?幸運の白き竜」の感想記事です。


◆キャンペーンシナリオについて

というわけで、ベーゼンさんGMのソードワールド2.5キャンペーン。その第二話にあたる「拾って売って大金持ち?幸運の白き竜」の記事となります! 前回拾われた白い小竜のプティちゃん、拾われて次の話には売られんの!? と、タイトルがお披露目されたときに盛り上がりました。売り飛ばしそうなアルボがいるからなぁ……


前回のあらすじ! 初依頼をこなすため、≪ひぐらしの森≫を訪れた冒険者たち。そこで“流れ星”である謎の竜の子を拾い、“プティ”と名付けた。それから数日がたったとある日、竜の子の詳細を知るために、ハルシカ国立図書館を訪れていたところ、なにやら、白き竜はとても貴重で高く買ってくれるらしく…?


と、あらすじが流れつつ本編スタート! プティはとても元気に冒険者の周りを飛び回っています。ぴぎゃっぴぎゃって鳴き声をあげて部屋を駆けまわっているらしい。


ラッヘ 「よしよし、おいでおいで」(プティの体当たりを喰らうラッヘ)

アルボ 「相変わらず元気そうだなプティは」(同じく喰らうアルボ)


かわいい…… 冒険者にもだいぶ懐いてきたようで、アルボとラッヘに良くなついているようです。というか滅茶苦茶体当たりしてくる。まだ小竜で可愛いけど、これ成竜になってやられたらミンチになるわよ…… ちなみに今のところの大きさはピチューサイズらしい。約2キロ。


そんなところへ≪大三角トライアングル≫の二つ頭。ラブラドールレトリバーのリカント、プロンが登場。冒険者たちをあつめ、プティのことをハルシカ協商国の国立図書館で調べてはどうかと提案してきます。確かに、この小竜のことについては何もわかっていない状況。一体この小竜が何者で、どこからきて、どうなるのか。それを調べるため、冒険者たちは一路国立図書館へと赴きます。


尚、暴れていたプティはというと疲れたのかおねむの様子で、プロンが冒険者不在の間預かっていてくれるとのこと。どうやらそれを口実に、ギルドの仕事をさぼりたかった様子。意外と横着な子ですねこの子。まぁかわいいから許すのだけども。

と言っても、たださぼる口実のために預けるのではなく、もちろんちゃんとした理由もあります。それは、この小竜を狙うものが意外にも多いという事。ここハルシカ協商国は、商人を始めとした多くの人々が行きかう商業国家。物の価値に敏い者たちが多く集っています。蛮族どころかアンデッドも取引を行うとすら言われるこの街では、遺体にすら価値が付くというのです。そんな中、白く輝く小竜なんて連れて歩いていたら人目につくのは避けられません。竜というだけで、その価値は既に計り知れないのです。



というわけでハルシカ国立図書館。天井まで届くほど背の高い本棚がずらりと並び、静かな図書室には時計の音が小気味よく響きます。まるで何万もの書物が悠久の時を超え、今も智を伝えているようです。


アルボ 「……これは骨が折れそうだ」本棚の塔を見上げながら

イグアス「黙示録とかないんすか?」

アルボ 「なんだ聖典が読みたいのか?

     ……そういえばバルバロスにはこういった書物はないのか」

グレイス「まず書物という文化がないね。

     一部には存在するけど、知識層……。本当に一部だけだ」

イグアス「ないっすねえ。

     ウチの氏族にはミクロ視点の戦術的な研究記録はありましたけど、

     バルバロスの中じゃ異端中の異端ですよ。

     長物の角度とか、鍔迫り合いの体重のかけ方の数学みたいなね」

アルボ 「人にはない記録や情報、そういったものがあれば

     いろいろ活用できそうなのだがな……」

グレイス「ダークドワーフにはないね。

     秘伝は体で覚えて目で盗むものだから。

     記録を残すという考え方がないようだ」


と、商人×バルバロスたちの会話がはじまります。こうして考えてみると、人族と蛮族とはメンタリティもですが、生活形態も文化も当然違いますねぇ。短命で脆く、それゆえに後世に何かを残したり、身を守るために様々なものを創り出した人族に対して、一個体として頑健でかつ長寿な蛮族は、何かを残す必要も薄く、創り出すより奪い取ることに特化したのもうなずけます。無論、蛮族にも高い知識をもつ者もいますし、人にない高度な技術で物を創り出す者もいるでしょうが極少数派で、それも“種”として他者にそれを託し全体を強化する、のではなく最強の“個”になるために研鑽するといった方向性でしょうか。ダークドワーフはドワーフとほぼ個体的には等しく、メンタリティが蛮族よりなだけで、一応カテゴリは人族ですしね。

     

そんな会話をしつつ、大量の本棚と格闘することしばらく。ラッヘとアルボは“白き竜”の記述を見つけることに成功します。今回からラッヘもセージ技能を習得しているため、今後様々なところで活躍するシーンがあるかも。

どうにも、白き竜の記述は竜に関する本からは出なかったのですが、伝記や伝承からその記述を見つけることができました。その概要がこちら。



◇勇者エルヴィンについて

〈大破局〉の際に蛮族の王であるドレイクを倒し、この地での蛮族の支配を終わらせた勇者。彼の英雄譚はいくつもあり、その一つに災厄竜がある


◇白き竜について

災いを呼ぶ黒き竜である災厄竜、その対となるとされているのが白き竜である。

白き竜は心を繋ぐと言われており、人々を病から救うこともできたそうだ。

だが、その存在を見た者は誰もおらず、黒竜の対として作られた伝説だという意見が多い。見た者は幸運だとも言い伝えられている


◇災厄竜について

大破局の時代、ランドール地方に災厄を振りまいたと言われる伝説の黒き竜。

伝説によると、毒や病気を操り数多の国を滅ぼした、かの黒き竜は、勇者エルヴィン達によって討伐されたとされる。


おぉ~~~!! ここで公式設定にもある“勇者”エルヴィンの名前が出てくるとは。なお、勇者エルヴィンといえば、ソードワールド2.5公式小説の『蛮王の烙印』にも登場していますね! かつて蛮王を倒したと言われる英雄と言われており、現在においては、ギギナール島周辺を治める王が同じ名前を名乗っています。しかし、同一人物かどうかは定かではないようです。今後でてくるのかな……? 楽しみ!

それにしても、災厄の黒き竜と、幸運の白き竜。なにやら対照的なワードが出てきました。プティは白い竜なわけですが、果たして伝承にあるような幸運の白き竜なのか、はたまた何か違う別の物なのか……新しいことが分かり、わからないことが増えた。といったところ。


アルボ 「災厄と幸運、ねぇ……

     なんにしても、災厄の方でなくてよかったな」

イグアス「クロとシロかぁ。なんかついになりそうっすね」

グレイス「白と黒、っていうのは伝承にありがちなものだ。

     概ね希望と災厄、相反する何かを示すけど……」

ラッヘ 「見たものはないが見たものは幸運とされる、って。

     ますます伝説じみてきたわね」

イグアス「めちゃめちゃおとぎ話っぽいな」

ラッヘ 「うぅん……よくわからないわね。

     実は成長するとだんだん黒くなっていくとか……」


それは勘弁してほしい。

と、そんな話をしていると、何やら後ろから声をかけてくる人物が。本当の災厄っていうのは知らぬ間に近づいてきているものなんですよ。と言わんばかりに、現れたのは小さな角に美しい翼、ライトパープルでボーイッシュな髪型。キュートで恋にときめくサキュバスこと……


クルクマ「イグアス先輩にグレイス先輩~~~!!!」


と、現れたのはイグアスに超片思い中の恋するサキュバス・クルクマちゃん。なおこのCPにおいてハルシカ協商国は人・蛮・アンデッドの三者に対して完全中立を保つ商業国家として機能しています。なので街中にもちらほらと蛮族が混ざっているそうな。クルクマがこんなところで何をしているのかといえば、イグアスのストーキング兼、我々と同じく白き竜の調査にきていたらしい。クルクマの上司にあたるドレイクブロークンのカルミアもここにいるようです。これはなにか情報を知っているかも……と、ひとまずカルミアの元へと会いに行きます。


君たちが、大勢でむかうと読書スペースで本を読む女性がいる

オレンジ色の髪に長い角、そして種族ならではの存在感

大人の女性、ドレイクブロークンのカルミアだ


カルミア「…なにを騒いでいる、ここは騒ぐ場所ではないと書いてあったろう」

イグアス「一番騒いでんのはアイツっすよ」

アルボ 「どちらかといえば、おたくの部下が一番賑やかだったな」

グレイス「まぁ得手不得手はあるよね」

クルクマ「イグアス先輩が結婚しよう! というと静かになります~~」

アルボ 「結婚してやれ、騒がしいからな」

ラッヘ 「ていうか絶対静かにはならないでしょ」

カルミア「はぁ……」と彼女はため息をつく。

    「それで、君たちが一体何の用だ?」


と、ここで本題にはいります。お互い、竜のことを調べていること、何か知っていることはないかと聞きだしてみるも、カルミアたちも先ほど調べた伝説のこと以上には知らないようです。残念。


ちらりとカルミアの読んでいた本を見てみれば『ドラゴンと仲良くなるには?』『上司の誉め言葉』『魔剣図鑑』などなどを読み込んでいたらしい。ドレイクブロークンさん……やっぱ上司って大変なのね。それにしてもドラゴンと仲良くなる本て。どうやらプティと仲良くなるなれば、自然と自分たちの元に来てくれると考えたらしい。意外と可愛らしい発想の持ち主。蛮族なのに人間よりもいいひとっぽさそう。かわいい。


さて、ここでカルミアは真剣な表情でアルボへと話しかけてきます。

カルミア「商人レガーロ、君は金を払うなら蛮族でも取引すると聞いた。

     君たちと商談がしたい、聞いてくれるだろうか?」

アルボ 「ふむ、商談であれば伺わせていただきましょう」

イグアス「おっと、これは静かにしないとな」

カルミア「それは良かった、私自身商談は慣れてなくてな」

     ……単刀直入に言おう。

     私は人族のルールに則り、竜の子を買い取りたい」


カルミアは大きな革袋を机の上に置く。ざっと中身をみると、10万G相当の金貨がずっしり入っているようだ。


カルミア「受けてくれるか?」

アルボ 「随分と性急な運びですね。まぁ、まだ商談は始まったばかりですから」


と、商談を持ち掛けてくるのですが、どうやらこういった取引には慣れていない様子。最初から全て手の内、残弾も何もかもをさらけ出すカルミア。駆け引きは苦手なようです。


アルボ 「当方としても、正しい約定の元の商談。となればお受けいたしましょう。

     しかし、ここは中立国。

     特定の国家や派閥に肩入れできないのが現状です」

アルボ 「(正直嘘や騙りとも思えんが……慣れてないのか?)」

カルミア「そう…か…だが私には必要な理由がある」

アルボ 「こちらとしては、竜の子を貴方方にお譲りするとして、

     その竜の子を何に使うのか、それを明示していただかないわけには

     お譲りするわけにはいきません。

     とくに、10万ガメルなんて大金を出されてはね」

ラッヘ 「(商売のことはそんなにピンときてないけど、

      まーちゃんより下手なのはわかるわね)」

カルミア「……そうだな、まずは私の目的から話すとしよう」


と、カルミアは自身の目的。そして彼女のこれまでの経歴をかいつまんで話してくれたのでした。


◇カルミア・アスガルドについて

アスガルドは大破局の際に蛮族の王であったドレイクの一族である。

しかし、200年程前に部下であったバジリスクのヨルが謀反を起こした。

蛮族の誇りも何もない不意打ちで謀反は成功し、王はヨルとなり国の名前は"ミズガルズ"へと変わった。

そして王であるヨルは、反逆を恐れ前王の血筋であるアスガルド一族の魔剣を全て破壊してしまったのだ。アスガルド一族は反抗し内紛がおきたが……敗北した。

魔剣を破壊されたドレイクたちの大勢はその際に魔剣と共に死し、かろうじて生き延びた者も廃人となってしまった。そのアスガルド一族をみた蛮族たちは、それ以降新しい王に反抗しなくなった。“裏切ったらこうなる”という見せしめに、かつての王族たちはうってつけだったのだ。

そんな中、幼かったカルミアは物心がつく前だったため魔剣が破壊されても死に至ることはなく、かろうじて生き残ることに成功する。親族は死に、かろうじて生き延びた廃人を、皆はアスガルドを笑いものにしたのだ。

彼女は一族の汚名払拭のため、ヨル配下の軍に所属し着実に階級をあげていった。そんな姿が目に止まったのか、ヨルはカルミアに命令を下した


 一か月後、ハルシカ近郊の森に竜の子が落ちてくる

 その竜の子を回収して連れてこい、手段は問わないと。

 連れてこれることができるなら、一族の汚名を払拭する機会を与えようと……


カルミア「王は臣下たちの前で約束した、ゆえにその約束は守ることだろう。

     戦いに負けたのは仕方がない、

     不意打ちも予測できなかったものが悪いとしよう。

     だが廃人になったからとて、我ら一族を笑いものにするのは許さん。

     つまり、私が竜の子を欲しているのはそういうことだ」


と、カルミアは重く口を閉ざします。うーん、これはなかなか絶望的な状況! 最高ですね!! いつだって権力者は追い、追われ落ちぶれて、そして気力と運をもつ者が再び力をにして這い上がる。どうやら権力闘争の仕組みは人も蛮族も違いがないようです。ただ、蛮族のほうが誇りや矜持に縛られていたりする分、人間よりいいかもしれません。

しかし、こんな話を聞いてPC達は不穏な空気を感じ取っていました。


グレイス(一通り聞いて、一人うなずく)

    「んー、なんとも。なるほどね。

     いつも通りさ。商売のことはアルボの担当だ。

     必要なら意見は述べるけどね」

アルボ 「(どう考えてもこれはヤバい案件だな…)」

カルミア「そして、君たちが知りたいのはもう一つのことだろう。

     竜の子をどうするか?

     現王、"ミズガルズ"は現状維持が目的の国でな、

     王のヨルは優雅な暮らしをずっと続けていたいようだ。

     そのため、竜の子はおそらく抑止力に使われるだろう、

     人族やアンデッド陣営に渡さないためにも確保したいのだ。

     やつの近くには、凄腕の占い師がいるからな。

     竜の子を予測したのも納得がいく」 

イグアス「過去にどデカいクーデターがあった割にはえらく凡庸な理由っすね……」

カルミア「地底から出てからは戦いずくめだったろうからな」


アルボ 「しかし、実際にカルミア殿率いる部隊が動き、

     竜の子を手にしようとしている。

     そのことだけでも、あの竜の子に抑止力としての価値があるという事の

     証左になるでしょうな。

     ……大体お話は理解させていただきました。

     ですが、貴方の身の上と、この商談にはなんのかかわりもありません。


     今の話が本当なら、あの竜

     10万ガメルで引き渡すわけには行きませんな」


しばしの話の後、アルボはバッサリとカルミアの身の上話と一緒に商談を切り捨てます。どう考えても10万ガメルでは割に合わない商談なうえ、アンデッドの王や周辺の人族の諸王に話を持ち掛ければ、数倍、数十倍、もしかしたらそれ以上の価値が出ると踏んだからです。危険な仕事ですが、当然得られるリターンも大きい取引であるとアルボは価値を見定めます。どうも、この小竜をカルミアに引き渡したとしても、カルミアの“約束”がまともに達成されるとは思えませんしね。

断ったら戦闘になるか……? と実際には戦々恐々としていたのですが、カルミアはあっさりと引き下がります。代わりに、一か月もしたら今度は蛮族らしい方法でプティを連れていくと宣戦布告をしてくるのでした。

ここ、普通に考えれば言わない方が得なのにちゃんと正々堂々というあたり、王家の血を引くドレイクって感じがしていいですよね~~。正々堂々、必ず正面から奪いに行く。止めたければ止めて見せよ、互いにそれまで力を蓄え、遺恨のない戦いを挑む。といった気概でしょうか。誇り、矜持、強者への崇敬と憧れといった部分は、武者系蛮族のかっこいいところなんだよなぁ。


その後、それぞれPC達がカルミアに話しかけ、このシーンは終了! カルミアの意志は固く、やはり竜の子を手に入れてヨルとの名誉を懸けた戦いに持ち込みたいらしい。カルミアからの宣戦布告、竜の子をこれからどうしていくか。育てるか、野生に返すか、どうしたものかと考えながらギルドへの帰路へとつきます。


そこへ現れたのは、慌てた様子のプロンくん。おや、どうしたのでしょうか……


プロン 「あ……皆さん!!!」

アルボ 「む、プロン少年か。どうしたそんな慌てて」

プロン 「すみません!! あの……その」

イグアス「(あっ)」何かを察するイグアス

プロン 「

アルボ 「……なにぃ?」

グレイス「へぇ?」

ラッヘ 「逃げ出したって‥‥…なんかしたの?」

プロン 「それが、皆さんがいないとわかると僕を吹き飛ばして外へ……

     追いかけたのですが、あたりを見渡してもどこにもいないんです

     ごめんなさい……」

イグアス「ダメじゃんお前……」

ラッヘ 「それは……困ったわね」

アルボ 「謝罪と賠償は後にしてもらおう。

     とにかくすぐに探すぞ!

     ……もし見つからなかったら、プロン少年。

     君に損害分を請求させてもらうぞ」

プロン 「絶対見つけます!」

アルボ 「あたりまえだ。君を人買いに売り払っても全然足りない額だからな」

プロン 「……ボク安すぎない?」

イグアス「ちょダンナその話題は……あぁハルシカでよかった」

アルボ 「安すぎなものか、あの竜が高すぎるんだ」


というわけで、プティが逃げ出したようです。プロンくん、わかってるね? もし見つからなかったら、君にこの損害を負担してもらうぞ! 最低でも10万ガメル、うまく回せばその数十倍は価値が出そうなお宝をアルボが逃がすわけがありません。

もし見つからなかったら、向こう30年ほど鉱山か漁船ででも働いて返してもらいましょう。


ひとまずプロンくんはギルドの姉(シウス)に応援を求めるためもどり、冒険者たちは街の東側の捜索へ。東側には大きな広場があり、≪聞き込み判定≫で聞きこんでみると、どうやら売り物のお菓子が何者かに食べられる騒ぎがあったそうな。ものすごい速度だったため、人間ではなく動物かそのたぐいが疑われているらしく、冒険者たちはその“謎の動物”の足跡を追い始めます。


そのまま広場から続く東通りへいくと、何やら人だかりができて騒ぎになっている様子。近づいてみてみれば、その騒ぎが悲鳴に変わっていくのが解ります。そこでは、ライダーズギルドでレンタルできる騎獣たちが、通りの人々を襲っているようです!

どうやら一部の獣たちが折から抜け出したようで、ライダーズギルドの面々が必死に応戦しているものの、間に合っていない様子。通りの人々に被害が出始めているので、PC達も彼らの奮闘に加勢します。


といったところで戦闘開始!

通りで暴れているのはディノス2体にティルグリスが1体。どうも人に対して並々ならぬ憎しみを抱いているらしく、興奮した様子で襲ってきます。魔物知識判定、先制判定ともに抜き、PC達の先制。


◆1R目

まずはイグアスが後方より一気に≪チャージ≫を使って接近! ディノスたちを巻き込みながら通りすがりに≪薙ぎ払い≫をぶちかましていく!  ディノスは胴体に≪攻撃障害≫を持っていないため、コア部位である頭と胴体を殴っていきます。2頭のディノスに強烈な攻撃を与え、一気にHPを削るイグアス。さらに≪獅子奮迅≫を使い、蹄による連撃をディノスの頭部へ叩き込みます!


[ディノス・頭]HP:26⇒-4

[ディノス2・頭]HP:26⇒7

[ディノス2・胴体]HP:34⇒18


イグアスの一瞬の突撃で、ディノスが1頭倒れる。おぉ、さすがケンタウロス。強いですねぇ!


残るディノス2はラッヘがリピータークロスボウで頭を狙い撃ち! 命中判定は13>12でぎりぎり命中。しかしダメージ判定では放った矢がクリティカルし、見事19点をたたき出す! 防護点を差し引いても十分なダメージを与え、ディノス2も倒れます。

[ディノス2・頭]HP:7⇒-8


イグアスが叩きのめし、隙ができたディノスへ矢が迫り、見事これを打ち倒すのでした。なかなかに連携が取れてきていますね!

グレイスは、移動力の都合上この手番は攻撃できず。その分、ティルグリスの雷のブレスを警戒し前線のイグアス、後方のアルボ・ラッヘの間に立ち、遮蔽として後衛を守ってくれます。

アルボもその動きを支援するため、グレイスへ≪フィールド・レジスト(雷)≫を行使。雷属性への体制を上げ万全の体制を整えます。


今度は敵、ティルグリスの手番! ティルグリスは目の前のイグアスに向かって突進。すべての部位をフルに活用してイグアスへ攻撃してきます。胴体も≪2回攻撃≫の効果を使い、都合3回攻撃を受けるイグアス! そのダメージは17,16,18となかなかのダメージ。しかし、イグアスは≪バークメイル≫で防護点を底上げしていたこともあり、適用ダメージは6,5,7点とかなり減少されてしまいます。硬いなぁ。


[イグアス]:HP51⇒33


ティルグリス「ぐるるるる……!!」

ラッヘ 「全然平気そうね……」

グレイス「彼は頑丈だからね」

イグアス「変に避けようとしなくてもいいってのも考えることが少なくていいねぇ」

アルボ 「流石だなイグアス。

     ただ傷があれば言ってくれよ、労災隠しは困る」

イグアス「これ災害なんすかね? 冒険者の仕事の内だと思ってますけど……

     人族は災って言葉を安易に用いすぎなんだよなぁ」


と、雑談を交えつつ2R目!

ひとまず、アルボは味方全員に≪エンチャント・ウェポン≫を行使。味方の火力の底上げを狙います。ついでに、≪ヒール・スプレーA≫を使ってイグアスを10点回復しています。賦術便利。


[イグアス]:HP33⇒43


つづいてラッヘ。ティルグリスの頭へリピータークロスボウでの射撃を試みますが、命中判定は18>18で失敗! ラッヘの放った矢は、ティルグリスの頭を掠めダメージを与えるには至りません。ちょうどこの時、≪エンチャント・ウェポン≫よりも≪ファナティシズム≫を撒いた方がよかったねぇって裏で話していました。うっかりしてたぜ!(ファナティシズムが撃てることを忘れていたPL)


イグアスの手番に回り、乱戦でティルグリスと相対する彼も果敢に切りかかりますが、こちらも命中判定は17>18、蹄の攻撃も18>18で両方とも失敗! ≪ファナティシズム≫がやっぱ必要だったぜ……


グレイスの手番、彼女も乱戦に加わりティルグリスの頭を狙って武器を振り下ろしていきます。ダークドワーフの種族特徴の一つ、≪黒炎の遣い手≫により武器に黒い炎を纏わせ、追加ダメージを乗せて切りかかります。命中判定は成功し、そのダメージは19点! 防護点でいくらかは防がれてしまうのですが、なかなかの火力です。


[ティルグリス・頭]:HP69⇒58


続いて敵の手番! ティルグリスはグレイス・イグアスに雷のブレスを吹きかけ攻撃をしてきます。生命抵抗判定の結果、イグアスは抵抗に成功しますが、グレイスは失敗! イグアスは9点、グレイスは18点のダメージを負います。勢いに乗ったティルグリスは、グレイスに尻尾で追撃を叩き込み、グレイスにさらに8点のダメージを与えるのでした。むむむ……さすがティルグリス、強い!


[イグアス]:HP43⇒34

[グレイス]:HP45⇒19


そして3R目。わりとPC達も追い込まれて行きます。

本当は≪ファナティシズム≫をかけたかったのですが、さすがに看過できないダメージ。ひとまずアルボが先に動き、前衛二人に≪キュア・ハート≫をかけ回復していきます。それぞれ、16,15点を回復! ≪ヒール・スプレー≫はカードの消費が激しいためここは温存。


[イグアス]HP:34⇒50

[グレイス]HP:19⇒34


つづいてイグアス、再びティルグリスに向かって攻撃を仕掛けます。今度は命中判定21>18で命中! ≪獅子奮迅≫による蹄の攻撃も同値で命中し、それぞれ26点、17点のダメージを与えます。一気に半分もっていったぞ!


[ティルグリス・頭]HP:58⇒31


さらにグレイスが連撃を仕掛けますが、ここの命中判定は[1,1]のピンゾロ! 自動失敗となってしまいます。なかなか簡単には攻略できなさそうだ……


ラッヘは再びリピータークロスボウで射撃を試みますが、命中判定は16>18と足りず失敗。ティルグリスは憎悪に満ちた目で冒険者たちを睨み、牙を剥く!


手番はティルグリスに渡り、尻尾はイグアスへ、牙による攻撃は2回ともグレイスへと襲い掛かります。それぞれ被弾し、イグアス・グレイス共に再びダメージ! ティルグリスさん結構しぶとい!


[イグアス]HP:50⇒44

[グレイス]HP:37⇒27


そして4ラウンド目、どうにかここで落したいPC達。これ以上の被弾と長期戦はあまりうれしくないため、≪ファナティシズム≫を使い、一気に落とすことへ。

アルボが先攻して動き、≪ファナティシズム≫を3人へかけ、命中力を+2していきます。ここで当てれなきゃそろそろきついぞ!


つづいてグレイス。≪必殺攻撃≫を宣言した一撃は、見事ティルグリスを捕らえます。しかもダメージ判定はクリティカル! 一気に37点を繰り出す強烈な一撃!

防護点でティルグリスは何とか生き残りますが、ほぼ瀕死の状態へ。


[ティルグリス・頭]HP:31⇒2


最後はイグアスが動き、モールを振るってティルグリスを打ち倒すことに成功します。ふぅ……なんとか成功。思ってた以上に相手の回避が高くて焦りました。先に≪ファナティシズム≫を撃っておくべきだったなぁ(後の祭り)



さて、戦いの後の事後処理を終えた冒険者たち。どうやらこの獣たちはライダーズギルドにて飼育・レンタルされていた騎獣たちだったようです。しかし、何やら相当な恨みと憎しみを持っていた様子。レンタル騎獣がそんなことになるなんて、一体何があったのかと職員へと尋ねると……


職員  「実は……

     ギルドの檻が何者かにあけられてしまって。

     しかもその開けられた檻にいた騎獣たちは

     “悪評騎手”と一緒にいた騎獣でして。

     つまり、虐待を受け冒険者や人族を恨んでいるものばかりだったのです。

     そのため、抜け出した獣たちは暴れ始めてしまって……」


と、いうことらしい。例えば戦闘で騎獣を壁にして使ったり、ご飯をあげずに酷使したなど、そういった境遇にあった子たちのようです。ライダーLv1だけとって≪騎獣の献身≫でホースに守らせるような奴ですね。なんて非道な真似を……とたけ許せません。騎獣とは相棒であり、命を共に預けあう旅の仲間。仲間をそんな風に使うなんて……! 私と騎獣バトルなさい!! 行けッホース!!!!


さて冗談はさておき、そんな可哀そうな騎獣たちを解放しちゃった人物は誰なのかと聞くと、どうも怪しい人物は見かけなかった様子。ただ、珍しい桃色の髪の少女を見かけたとのこと。ただ、かなり幼い少女だったようで、今回の一件とは関係ないようです。では一体だれが……と考えると、ギルドの職員たちは『ライロット姉妹』なる人物の名前を上げ始めます。どんな人物かと聞いてみると……


◇ライロット姉妹とは

ライロット姉妹は、違法な獣や幻獣、妖精を捕まえて売ることを生業としている。

ライダーギルドと比べて未調教で危険なため、危険視されている上に

冒険者が店先で騎獣を置いていると、よく奪って商品にしてしまうのだとか。


とのこと。とんでもねぇ奴らですねこれ! なんと悪質な……

ひとまずそのことを頭の片隅に入れつつ、再びプティの痕跡を追って東へ東へと進んでいきます。するととうとうハルシカ協商国の東門を抜け、郊外に。ほんとにこんなところまで行ったのか……? もしかしたらプティは何者かに攫われたのでは……?

そんな、一抹の不安を胸に冒険者たちは探索を続けていきます。すると、郊外の森の地面に、なにやら竜の子らしきものの足跡が! しかし、よく見てみれば赤い血がぽつぽつとしみ込んでいるのが見てとれます。ウチのかわいいプティ商品になんてことを! 絶対に許さんぞ!!!


血痕を追っていくと洞窟を発見します。そこにはいくつもの檻と共にホロ付きの馬車が。馬車の幌には『ライロット姉妹参上!』と書かれています。なんてわかりやすい犯行声明なんだ……!! 洞窟へと入っていくと、中には無数の檻が。中には希少な幻獣や、動物、妖精などが捕らえられている様子。どうもぐっすりと眠っているようで、なんか……コロコロしてる? どの子もふっくらと丸みを帯びているようで、冒険者に気が付いた子はきゅるるーんとした目で餌をねだってくるようです。か、かわいい……! 

でも、ちゃんとした栄養管理と適度な運動をさせてあげないと、病気にもなってしまうし、わがままな子に育ってしまうことも。動物の為にも、人間の為にもならないのです。でもかわいいからおやつとかあげちゃうんだけどね。

どうも檻の鍵は開いているらしく、出入りは自由なようですが彼らは好んでここに残っている様子。まぁ天国みたいなところですが、ぐーたら暮らしているのはいただけません。

なんだこれは……と冒険者たちがあ然としているところ、後ろから声が聞こえてくるのでした。


キジカ 「本当じゃって! 散歩しておったら竜の子がおってな!

     後ろから捕まえたのじゃよ!

     拾って、売って、大金持ち!

     まぁ……代わりに手を噛まれたけど、是非もないよね!」

リーチェ「キジカは大胆だからよ、もっとお淑やかにしなさい。

     まぁでも、が増えるのは良いことだわ」


えぇ……といった表情で彼女たちを見つめていると、どうやらこちらに気が付いたらしく。


キジカ 「って、侵入者じゃん! えぇいうちらのペットを奪いに来たのかっ!

     このどろぼー!!!」

ラッヘ 「こっちのセリフなんですけど!」

アルボ 「盗人猛々しいとはこのことか」

キジカ 「なぬー!!」

イグアス「知ってるか? 泥棒の上前をハネてもお咎めはねーんだよ。

     冒険者が山賊のアジト潰しに躍起になる理由の一つだ」

アルボ 「いいことを言った、ここは優良資産盗品の山だ。差し押さえよう」

グレイス「バルバロスの流儀で、罪人の顔には炎を入れて焼印するという

     文化があるんだけど。お望みなら自在なアートが可能だよ」


と、噂のライロット姉妹に凄みを聞かせる冒険者(?)凄みっていうか、これ欲望全開な気もする。すると姉妹の片割れ、リーチェが事情を説明してくれます。


リーチェ「落ち着きなさい、貴方たちは勘違いをしているわ。

     ここにいる騎獣は皆逃げれる状況ではあるの、

     けど、虐待などをうけてもう外に行きなくない……

     そんな子たちばかりなの」


なるほど、動物愛護的観点から彼女たち姉妹は、心に傷を負った幻獣や動物を保護していたとのこと。うーむ、わからんではない。しかし、正しい栄養管理や適正な運動を怠るというのも、それはそれで虐待にあたるんだよなぁ。


リーチェ「────あと、ぶちゃかわは世界一可愛いわ」


なんだこいつらは、さっきの言葉どこ行った??


キジカ 「そのぶちゃかわは、一匹も売れてないけどね!!」

イグアス「ふーん、やっぱり保護派か……」

リーチェ「そうよ、私たちは保護をしているの。

     だから見逃しなさい!!」

グレイス「うーん」

アルボ 「残念だがお断りする。

     こちらの資産の一つが、お前らの手に奪われたらしいからな」

ラッヘ 「私はとりあえずそれだけ返してくれればいいわ」

キジカ 「え~~~」

イグアス「つーかお前らライダーズギルドで正式な手続き踏んでこれやってる

     わけじゃねぇんだろ?

     悪いね、だからお前らは世間的には相変わらず泥棒だ」

キジカ 「ぐさー!!!

     でも、餌代がそろそろヤバいからそろそろ返してもいいと思うけどネ!」


ちゃんと餌代は稼いで(?)食べさせてるのか……それはそれですごいな。結構な額になりそうですが、支援も寄付もないのにやりくりするのはすごい。


リーチェ「そうね……なら、戦うしかないわ! 決闘装置デュエルワールドでね!」

イグアス「こいつらを保護した手柄を俺らのものにして、

     お前らブチのめしたらさざかしイイ思いができそうですぜ。ねぇダンナ」

グレイス「ならそうしたまえ。

     もう少し、リスクの少ない仕事で稼ぐ方がいいよ」

アルボ 「そのとおりだ、今ならうちの小竜と賠償金20万ガメルで手を打つ」

リーチェ「そんなに払えないわ!」

アルボ 「安心しろ、現物でも支払いは可能だ。

     きっりち優良な飼い主におくりとどけてやる」(にっこり)

リーチェ「ぶちゃかわは……私が守るの!

     デュエル!!」


と、いうわけで戦闘開始!

敵は4体、ライロット姉妹[リーチェ][キジカ]に加え、強化されたLv6ヴァルグが2体……って名前が[ぶちゃかわヴァルグ]になっとる! 回避2d+0の代わりに打撃点が2d6+20という、一撃が極端に重くなったころころのヴァルグのようです。なお、乱戦に他のヴァルグが居り、どちらかが攻撃を実行するともう一体は攻撃をさぼる様子。できる限り働きたくないのじゃ!

なお、リーチェはフェアリーテイマー、キジカはマギテック+シューターという組み合わせ。その二人が前衛ぶちゃかわヴァルグを盾に、後ろから支援射撃を繰り出すスタイルのようです。これはかなり厳しい戦いになりそう。


ひとまず先制判定と魔物知識判定には成功し、冒険者たちの手番からとなります。


1ラウンド目。ひとまず、敵後衛リーチェの妖精魔法が怖すぎるため、アルボが先に動き≪カウンターマジック≫を全員に展開。これで精神抵抗判定+2! 安定と信頼のバフを撒きます。


つづいてイグアスの手番。イグアスは再び≪チャージ≫+≪薙ぎ払い≫を行使し、敵前衛ぶちゃかわヴァルグと接敵、乱戦を形成! それぞれ攻撃を命中させ、20,22点と高火力をマーク! さらに≪獅子奮迅≫で蹄による追撃を叩き込み、さらに16点のダメージを与えます。ケンタウロス、さすがに騎獣としての性能も併せ持つおかげで、初動のラッシュがすさまじい。


[ぶちゃかわヴァルグ]HP:50⇒24

[ぶちゃかわヴァルグ2]HP:50⇒33


リーチェ「……(イグアスの鎧を指差し)

     あの鎧、ぶちゃかわ!!」

イグアス「ぶち殺してやるぁ!!!」


決闘装置には、事前に登録しておくことで任意の姿に変身できる機能があるそう。イグアスや敵のリーチェ、キジカはこれらの機能を使い、鎧兜などの見た目を登録しているらしい。


グレイス「やぁ、ボクもあやかってみたけど……

     まぁ動きやすい姿というのはあるかもね」

キジカ 「ふふーん、決闘装置には事前に登録した姿になれるのじゃよ。

     このゴーグル、いかすじゃろ!!」

アルボ 「へぇ、そんな機能が……

     もしや、うまく活用すれば企業広告として使えるのでは?」

キジカ 「まぁさっき竜の子に破壊されて血まみれになったけどネ!!」

アルボ 「(何をしてるんだあいつは……)」


と、雑談を交えながらも、怒涛の連撃でヴァルグたちを追い詰めるイグアス。ヴァルグにしては巨体すぎるその体では、よけきることは叶わず。ばしばしと打撃を受けていきます。ヴァルグかわいそう。


リーチェ「私のぶちゃかわ、いじめないでよ!!

     コロコロしたほうが可愛いのわかるでしょう?」

イグアス「この世界デュエルワールドは決闘の為に用意されたんだろう?

     その相手を殴らぬ道理などどこにある?」

アルボ 「おぉ、まともなことを言っている。

     しかしほんとにでかいなあのヴァルグ……」

キジカ 「えっと……なんか腕相撲とかでも良いんじゃネ?

     こっちはヴァルグだすのじゃ!」

イグアス「一度始めた決闘を撤回するなど言語道断。

     この世界でも構わん、貴様は背骨を砕いてやる」

キジカ 「アイツだけガチゲーマーじゃん!」


ガチゲーマーは草。

さて、続いてグレイス。イグアスと共に前線の乱戦へと加わり、ぶちゃかわヴァルグに≪薙ぎ払い≫で攻撃! しかし、ウチ1体へのダメージ算出では[1,1]を出し自動失敗! どうもダイスが不調な様子。しかし、もう一体の方への攻撃は命中し、25点のダメージを与えます。


[ぶちゃかわヴァルグ2]HP:33⇒13


リーチェ「おちつきなさい、ぶちゃかわ」

イグアス「てめーはミンチにしてやるぁ!!!!」

リーチェ「その馬の下半身…コロコロにしない?」


仲いいね君たち! どうにも戦闘中のイグアスとライロット姉妹は相性が悪い様子。普段のイグアスとライロット姉妹は馬が合いそうなのにね。ケンタウロスだけに。



はい。

では、最後ラッヘの手番。ラッヘは目の前の巨体ヴァルグに照準を定め、リピータークロスボウで一斉射! しかし、ここでまさかの敵回避判定[6,6]で自動成功! ころろーんと転がって神回避を魅せてきます。


アルボ「しかし、一体何を食べさせたらヴァルグがこんなにでかく……

    一応誇り高い幻獣だと聞いていたんだが」

ぶちゃかわヴァルグ「コロコロ~~」

イグアス「悪いけどオレ、死ぬ思いして山ほど食っても太れなかったんだわ」

キジカ 「つぶらな瞳にまけるリーチェが悪いのじゃ!」

ラッヘ 「(くっ、つぶらな瞳に負けて打ち損じた)」


さて、ここで敵の手番へと移っていきます。

ぶちゃかわヴァルグは乱戦内のイグアスへ、その巨体から繰り出されるボディプレスをお見舞いします。見事命中し、28点の大ダメージを与えます!

もう一体のヴァルグはというと、相棒が動いたのを見たのか、ころろーんと転がっておさぼり中。かわいい。


[イグアス]HP:51⇒35


さて、そして問題の敵後衛、キジカの手番。マギテック+シューターの彼女は、散弾の装填された銃を構え、≪魔法制御≫状態で乱戦内のイグアス・グレイスを器用に狙って放ちます。命中は15で、イグアス・グレイスともに回避ならず。で、そのダメージなんですが……グレイスは15点。しかしイグアスにはクリティカルが発生! その数まさかの4回転でなんと50点ダメージ!! イグアス、一気にHPがマイナスへ。


[イグアス]HP:35⇒-15

[グレイス]HP:45⇒40


突然の殺気だった大回転に一同爆笑。あんなにふわふわした雑談繰り広げてたのに唐突な超火力がたたき出され、イグアスまさかのCP初生死判定へ。生死判定16>15でぎりぎり成功しイグアスは気絶状態へ。あっぶねぇ……しかしこれでかなり厳しい状態へと追いやられます。最近のバトルはGMの出目が爆発するのが流行ってるのかな?


イグアス(かめはめ波で吹き飛ばされるセルみたいな絵図)

キジカ 「的が大きいと狙いや……なんじゃ破裂したああああ!!!」

アルボ 「んなっ……!?

     一体何が装填されてたんだあの銃……!!」

グレイス「ああ、慢心するから…」

ラッヘ 「い、イグアスがふっとばされた!?」

キジカ 「よくわからんけど、やったもんね!!」


続いてリーチェは妖精魔法≪ストーンブラスト≫をグレイスに放ちます。足元から突如として吹き上がる石礫。グレイスは精神抵抗判定を行いますが、19>17となってしまい抵抗失敗! 17点のダメージを受けてしまいます。


[グレイス]HP:40⇒23


さて、2ラウンド目。

イグアスが気絶状態となり、グレイスもダメージを負っている状況。対して敵側は無傷のライロット姉妹に、手傷を追ってはいるものの未だ活動を続けているぶちゃかわヴァルグが2体と劣勢状態。ここは気絶⇒アウェイクポーション起き上がりからの回復で前線の立て直しを図ることに。


グレイスの手番で、まず隣に倒れてしまったイグアスに【アウェイクポーション】を使用し、気絶状態から復帰させます。


[イグアス]HP:-15⇒1(気絶回復)


つづくアルボの手番で、≪キュア・ハート≫+≪ヒールスプレーA≫で全力回復! イグアスのHPを14点回復させますが、グレイスの回復はここでまさかの[1,1]! 最近ダイスの女神のツンデレ具合がツン9割ぐらいになってて辛い。ひとまず、イグアスのHPを25点まで回復させます。


[イグアス]HP:1⇒25


ここでラッヘが動き、前線のヴァルグへリピータークロスボウの一斉射を再び射掛けます。これは命中し、3発の矢を当てることに成功! 14,14,15点のダメージを重ね、ぶちゃかわヴァルグをついに1頭仕留めることに成功。


[ぶちゃかわヴァルグ]HP:24⇒-5


さらに起き上がったイグアスも、残ったぶちゃかわヴァルグに対して≪全力攻撃≫を宣言して殴り掛かります。こちらも命中させ、23点のダメージを与えて無事に討伐! のこすは後ろの二人だけに。


[ぶちゃかわヴァルグ]HP:13⇒-8


アルボ 「まぁ決闘装置内の出来事だから死にはしないはずだが……

     あの小竜はな、ミリオンガメルにつながる幸運の白竜だからな

     こいつらにくれてやるのは惜しい」

グレイス「バルバロスはねえ。

     命に情けをかけられる、というのはダメなんだよ。

     戦士ほど、そういうのは認めないものだ。

     イグアスは殺しを嫌うけどね。

     かけられる情けはまた別だろう」

ラッヘ 「よし、とりあえず一匹!イグアス、汚名返上のチャンスよ」

グレイス「…へえ、良い腕してる。

     若干不安定で頼りないかと思ったけど、どうして」

    (ラッへちゃんに感心してる)

イグアス「こっちも1匹。マジで背骨ブチ砕いてやらぁ!」

アルボ 「まったく、難儀なものだバルバロスという奴らは。

     ……まぁ、だからこそ付き合いがいもあるのだが」

リーチェ「あの肉厚を通すだなんて……!」


前線で白目をむいて倒れるヴァルグ2頭を目に、驚きの声を漏らすリーチェ。冒険者たちは倒れても再び立ち上がり、ゆっくりと、しかし着実に歩みを進めてきます。先ほどのアルボとグレイスの会話を聞いたイグアスは、倒れたヴァルグを押しのけながら、ゆっくりと立ち上がり、語ります。


グレイス「難儀なんだよ、バルバロスは。

     人が思ってるより色々面倒くさいのさ」

イグアス「そうっすよ。命がなくならないだけでプライドは死にますからね。

     仮に決闘がバルバロス社会で流行ったとしましょう。

     負けたヤツは死んだも同然の扱いを受けるだけで普通の決闘と一緒っす」

グレイス「だね。

     敗者への食料の配分がなくなる、あるいは

     過酷な労働で結果的に殺すぐらいのことは起きるだろう。

     戯れに殺されてもおかしくはないな。

     そういう文化なのさ」


と、人とは異なる価値観をもつ者たち。彼ら彼女らが生き抜いてきた世界と、我々人族が生きる世界。決して交わることのない両者が、どうして手を取り合うことになったのか……。そこらへんが今後明らかになるといいですね!(まさかの未設定)


さて、ここで再び敵に手番が移ります。

敵、マギシューのキジカの手番に映り、ショットガンバレットを再び発射してきます。しかしグレイスはこれを回避、イグアスは命中! 恐怖のダメージロールですが、ここは14点とまぁ普通のダメージに。というか、50点が異常な火力だったんですけどね!(4回転もすればそうなる)


[イグアス]HP:25⇒11


次にリーチェの手番! 先ほどと同じく、≪ストーンブラスト≫を行使しますが今回は≪魔法拡大・数≫で2倍拡大したものを、イグアスとグレイスに向けて発射! 精神抵抗判定を行いますが、イグアスのみ失敗。グレイスは[6,6]と自動成功を引き出し抵抗成功! これはイグアス、耐えきれないぞ!

魔法のダメージはイグアス15点、グレイスは半減して9点のダメージとなりました。


[イグアス]HP:11⇒-4(気絶)

[グレイス]HP:23⇒14


生死判定には成功し、なんとか気絶となるものの、再びイグアスは倒れてしまいます。さすがに2個目のアウェイクポーションは持ってなかったようで、≪アウェイクン≫で起こすか、回復を優先させるかで選択が発生。

何はともあれ、次手番アタッカーたちの攻撃結果を見て行動することに。


3ラウンド目。さて、初手はグレイスの行動から。

敵後衛、リーチェとキジカに接敵し乱戦を形成、そのまま≪薙ぎ払い≫で二人を纏めて攻撃します。命中判定には成功するものの、キジカに対してのダメージロールは[1,1]で自動失敗! どうやらダイスの死神がほほ笑んできた様子。しかしリーチェにはしっかり20点のダメージを与えます。


[リーチェ]HP:40⇒25


つづくラッヘは≪牽制攻撃≫を宣言しつつ、リピータークロスボウでリーチェを狙います。命中判定を成功させ、2発の矢を命中させます。ダメージは13,12点! リーチェを落とすには至りませんが、十分にこのラウンド内での撃破圏内に持っていくことに成功! いいぞいいぞ!


[リーチェ]HP:25⇒10


そしてここでアルボの手番。倒れているイグアスに対して≪アウェイクン≫を行使! 気絶状態から回復させ、イグアスに手番を回します。


[イグアス]HP:-4⇒1(気絶回復)


そして復活のイグアス(2度目)は、≪薙ぎ払い≫を宣言しリーチェ・キジカに対してモールの強打をお見舞いします! 命中させ、ダメージロールの結果20点と、キジカに対してはクリティカルが発生! 31点のダメージを算出し、敵に痛打を与えることに。そしてここで、リーチェのHPが0未満となり気絶状態に。

さらに≪獅子奮迅≫からの蹄による追撃がキジカを襲い、14点のダメージを算出しますが、防護点に防がれ、キジカを倒すことはできません。ただ、もう瀕死だ!


[リーチェ]HP:10⇒-5(気絶)

[キジカ]HP:40⇒4


リーチェ「キャー!!ぶちゃかわやめてえええ」

イグアス「宣言!通り!背骨叩き割ったらぁ!」

イグアスの咆哮が洞窟にこだまし、横薙ぎに放ったモールの一撃が、リーチェの身体を捕らえます。ケンタウロスの膂力から放たれる横一閃の強打は、軽々とリーチェの身体を吹き飛ばし、岩へとたたきつけるのでした。


キジカ 「ううん……勝機もってかれたのじゃ。

     じゃが、まだ作戦はあるもんね、決闘世界デュエルワールドから追い出せばいいのじゃ!

     ────ふきとばせえええ!!」


と、ここで残された最後の敵、キジカに手番が移ります。彼女は乱戦に立つ二人のバルバロスに向けショットガンバレットを放ちます。この攻撃は二人とも被弾! それぞれのHPがマイナス値になり生死判定が発生するものの、イグアス・グレイスともにこれは成功。気絶状態となってその場に倒れます!


降り注ぐ無数の散弾が、バルバロスの身体を貫き、二人はぐったりと膝をつきます。魔力の煙が立ち込める中、キジカの放った弾丸は二人を無力化することに成功しますが、その煙の遥か向こう側からは、キジカを狙う狙撃手の姿が。


グレイス「む、避けきれなかったか…。

     後は任せる」といって、地面に膝をつき倒れるグレイス。

ラッヘ 「イグアスとグレイスはやられちゃったけど!これであなたも最後よ!」

キジカ 「うぐぅ…ボウガンに負けたくないわ!

     かわしてやるもんね! ────勝負じゃ!!」


と、魔導射手マギテックシューターのキジカと連射弩使いリピーターシューターのラッヘ。二人の射手ガンナーがヘッドオンし、互いに獲物を向けあって、最期の打ち合いが火ぶたを切る!


4ラウンド目、ラッヘの手番。

真っ先に構え、引き金トリガーに手をかけたのはラッヘ! ≪牽制攻撃≫を宣言し、キジカに対して射撃を試みます。命中判定の結果は14! 対して、キジカの回避判定は12で見事に命中! さらに、ダメ押しの【運命変転】を使い、さらに命中の達成値をのばしてリピータークロスボウの命中本数を3本まで上げていきます。

14,12,12点と、オーバーキルのダメージをマークし、見事キジカを打ち取るのでした!


キジカ 「(これをかわしたら、リロードが間に合う……!)

     ────なっ!!、矢が連続じゃと!!」

ラッヘ 「逃げ場はないわよ!2射、3射!」

キジカ 「くっ─────!!!」


迫りくる複数の矢を回避しようと身をよじるキジカ。しかし、その本数は避けるにはあまりにも多く、1本、2本、3本と鋭い矢じりがキジカの身体を穿ちます。すでにかなりのダメージを受けちえたキジカはダメージに耐える事できず、意識を手放すのでした。


キジカ 「ぐぅ……負けたのじゃ」


[キジカ]HP:40⇒4-19(気絶)


というところで、戦闘終了!! いやぁ、かなりの激戦でした。というか、1戦中にここまでアウェイクンを撃ったのは相当久々ですね! ヒーラーとしては大変に回復し甲斐のある戦場でGOOD! 実際、かなりギリギリな戦いでしたが、無事に勝てて(無事ではないが)よかったよかった!


さて、決闘装置を終了させ、全員が意識を取り戻します。相手からの決闘を受け、それに勝利した我々は、相手の身柄を拘束し、この戦いの対価の要求を行います。


ラッヘ 「さあ、プティを返してちょうだい」

キジカ 「うぐぅ…全員返すのじゃ」

リーチェ「私たちの負けね……

     ぶちゃかわは恋しいけど、仕方ないわ」

アルボ 「おーい、起きろ二人とも。大丈夫か?」

イグアス「ふぅ……妙に疲れた」

グレイス「全くだ。早く汗を流したいよ、温泉で」

キジカ 「負けたのなら是非もないよね!!」と手を上げて無抵抗をアピール。


しかし、この二人。この状況でなんとか逃げようとしていたらしい。さすがに逞しいな……とはいえ、それを見逃す冒険者たちでもなく……


リーチェ「……さて逃げるわよ、キジカ」

アルボ 「あ、おいちょっとまて」

キジカ 「ぐっ、なんじゃ!」

アルボ 「逃げるって、この動物たちはどうするつもりだ?」

キジカ 「そりゃ勝者がもらうんじゃろうて」

イグアス「お前らの身柄も勝者がもらうのが普通だと思うんだが」

キジカ 「餌やりよろしくう!

     うぐっ…まて確かに指名手配はある…じゃが、

     微々たる値段じゃぞ?」

アルボ 「────いいことを言ったイグアス。その通りだ。

     それに、飼い主になったのであれば最後まで責任を果たすべし」

イグアス「……あー、いや、うーん。

     こいつらが消えたほうが虐待騎獣を手懐けた手柄を横取りしやすいか。

     って、もしかしてこいつら職員に推薦するつもりです?」

リーチェ「あら、まだ育てていいの?」

アルボ 「それが人と動物の約束だろう。

     私はことだけは許さん。

     まぁ、推薦というか、管理下に置くというか……

     それに、このまま放置して別場所で同じことされても敵わんしな」

リーチェ「それは構わないわ……ぶちゃかわの悲しむ姿は見たくないもの」

イグアス「ダンナが約束って言葉使う時は、カネより意味がある時ですもんね。

     それじゃ手柄はこいつらのモノってことにしましょう」


ここのアルボは、わりといいひとのように見えますが、実際は名より実を取りたかっただけだったり。また、ライロット姉妹と動物たちの“約束”に抵触すると思ったのでしょう。愛情をもって育てると約束し、それに答えるという約束で結ばれている者同士を、一方的に引き離すのは自身のルールに反すると考えたようです。


で、目的のプティ奪還ですが……


キジカ「うぐぅ…仕方ないか。ほら、竜の子じゃよ」

といい、キジカは布のかぶせられた檻を手渡してきます。受け取ったラッヘは布を取り払い、檻を開けるのですが、中から出てきたのはプティ……ではなく、ドラゴンインファントの幼体だったのです! 


ラッヘ 「もう、プティ!あれ、プティじゃない……」

キジカ 「あ~うちのドラちゃんが」

アルボ 「……おい小娘、隠しているわけではないよな?」

キジカ 「なんじゃ!それですべてじゃよ!」

ラッヘ 「あなたはドラちゃんなのね……」

イグアス「色も似てるけど……マジか」

キジカ 「虐待を受けていたようで、めっちゃ噛むから気を付けるのじゃよ」

アルボ 「ではうちのプティはどこへ……

     そういえば、桃色の髪の少女がどうとか言ってなかったか?

     お前ら、何かしらないか?」

キジカ 「桃色?、見たこともないぞ?」

イグアス「そうだそれそれ。こいつら金髪じゃん」

アルボ 「あぁ、何か引っかかるとは思っていたが…」

リーチェ「私たちは二人姉妹だもの、三人目はいないわ」

キジカ 「んー、とりあえず帰ったら戻ってるんじゃね?」

アルボ 「そんな雑な……野良ネコかなんかかうちのドラゴンは」

リーチェ「特徴さえ教えてくれたら、探すのくらい手伝うわよ」

イグアス「このインファントに似てる白い竜だ。...どのへんが違うかな」

リーチェ「ううん…白色…みたことないわね」

アルボ 「ピンク色の角と、花飾り(?)ぐらいか。

     あと目は蒼色だ」


意外といい人(?)だなこの二人……まぁやり方は間違えていたとはいえ、虐待されていた動物たちを保護し、彼らの心の傷を癒した。という点から、根っからの悪人というわけではないのでしょう。っていうか、虐待された動物たちの心を開くって相当なスキルと根気、それに愛情がなければできない業。これからまっとうにライダーズギルドなどで働いていけば、一流のテイマーになるかもしれません。


と、全員総出で探しますがプティはどこにも見当たりません。とうとう日も暮れだし、街の街路に出ていた人々も随分と数を減らしています。ひとまず、ライロット姉妹の身柄と動物たちをライダーズギルドへ預け、報酬を受け取りつつ冒険者ギルドへと戻ることに。もしかしたらもう会えないかもしれない、何者かに連れ去られて国外へ……? など、様々な不安が胸の内に広がります。アルボはお金のことを心配してそうですが。


そんな中、目の前からラブラドールレトリバーのリカント、『大三角トライアングル』の二つ頭の姉の方、シウスが慌てた様子で現れます。


シウス 「ハァ…ハァ…皆さん見つかりましたか!?

     獣化して匂いをたどったのですが、見つからなくて……

     もしかして事件に巻き込まれたんじゃ……」

ラッヘ 「シウスさん。それが、こちらもまだ見つかってなくて……」

シウス 「そう…ですか…」

イグアス「いやー全然。持ってかれたんだろうな」

アルボ 「残念ながらまだ見つかってはいない。

     申し訳ない、このようなことに巻き込んでしまって……」

シウス 「いえ、私こそ申し訳ありません。

     ギルドにいる以上、もっと目を見張らせるべきでした……」

イグアス「プロンの奴に言っといてくれ、船上生活は半年もありゃ慣れるって。

     ね、アルボの旦那」

シウス 「そのときは、プロンに頑張ってもらいましょう」

グレイス「自分の不始末を自分で付けるのは当たり前だしね」

アルボ 「あぁ、いい所を紹介してやろう。

     なに知っている船だから心配は────」


と、ここでシウスの後ろに隠れるようにして立っている少女に気が付きます。その少女は桃色の髪をした幼い少女のようです。


シウス 「…ああ、この子はどうやら迷子みたいなんです」

アルボ 「ほう? 見ない顔だが……」


アルボとラッヘは、シウスとのやりとりをしつつ、自然その少女の顔を見つめます。するとどうしたことか、その少女は涙目になりながらアルボとラッヘに抱き着いてくるのです。


女の子 「ぱーぱッ!!まーまッ!!」

アルボ 「む……? どうしたんだ────」

ラッヘ 「???」

イグアス「旦那、このタイミングで隠し子て」


突然の出来事に硬直するアルボ。沢山の疑問符を浮かべるラッヘ。じとっとした目で見つめてくるイグアスに、それら全体を眺めているグレイス。しかし、なにより彼らを驚嘆させたのは、泣きつかれた少女が二人に抱き着いた状態で目を閉じると、奇妙なことにその姿を変貌させ始めたのです。そして少女だったその子は、見る見るうちに真っ白な竜の子ども、プティへと変身していくではありませんか。


アルボ 「ま、待て待て待て、それは誤解だ心当たりがない。(多分)

     って……なんだと」

ラッヘ 「ツッコミどころが多すぎて対応できない……」

シウス 「えええええ」

アルボ 「プティ……だよな?

     でも今確かに人の子だった、と思うんだが……」

プティ 「ぴ…ぐう…」(すやすやと二人の間で眠るプティ)

シウス 「…とりあえず…いちど部屋に戻りましょうか?」

イグアス「へえ~。高位の魔法かねぇ」

アルボ 「え、えぇ……」(さすがに動揺を隠せない)



さて、シーンが変わりギルドの一室。

プティ発見の報を聞いたのか、プロンくんが慌てて駆け寄ってきます。


プロン 「わわっ!プティが見つかったんですね!!

     ほんとうに……よかったぁ」

アルボ 「あぁ、お前の漁船送りはとりあえず見送りになった」

プロン 「ってなんで漁船送りなんですかっ!!」

イグアス「合法の人売りっつったら漁船だぞ」

プティ 「んー…ぴぎぃ?」

イグアス「なんせ表向きは職業斡旋だからな」

アルボ 「なんだ? 

     実入りが良くて非合法でもいいならまだあるが……おすすめしんぞ?」

プロン 「鼻がきくんでああいう場所は辛いんですよ!

     ぐぅ…アルボさんがいじめるぅ!

     ぼく、ごはん作ってきますっ!」といってそそくさと逃げるプロンくん。

ラッヘ 「気になることは山積みだけど、とりあえず帰ってきてよかったわ」

プティ 「ぴーぎゃー!」

アルボ 「逃げられてしまった。面白いな彼は。

     まぁさておき、とりあえずは一件落着…なのか?」

ラッヘ 「あ、プティ。目が覚めた?」

プティ 「ぴぎぃ…ぴー!」


プティはまた女の子に姿をかえる


アルボ 「……驚いた、見間違いとかではなかったか」

     実は剣なしでも変身できるドレイク、

     とかそういうオチじゃないだろうな?」

ラッヘ 「というか、なんでアイツがパパで私がママなのよ……

     今更気になり始めたわ」

グレイス「最初に見たからじゃないのかい」

イグアス「マックスさんも商人だったし、

     いい人と再婚しろって事なんじゃねえのか?」


イグアス、爆弾を投下。


プティ 「まーま!ぱーぱ~」と、アルボとラッヘを見て

グレイス「(イグアスのおでこをぺしっ)」


ラッヘ、さらにイグアスをぶん殴る。


イグアス「ダブルヘゥ」

アルボ 「イグアス……」さすがにそれはフォローできない目

グレイス「どうして君はそう、いやまぁバルバロスだものな」

ラッヘ 「次はないと思いなさい。この場にクロスボウがなくてよかったわね」

アルボ 「ほんとだぞイグアス、今の刺されても文句言えない奴だぞ」

イグアス「いやだって。姉貴もダンナも。

     ラッヘの奴、マックスさんが亡くなってから

     一人で今までやってこれたのが不思議なくらいじゃないすか?」

グレイス「ゴールとして一理あるのはボクも認めるが。

     イグアスは少し性急すぎる。人の心はパズルようにはいかないのさ」


プティ 「ねーね…?」と今度はグレイスを見つつ

グレイス「なんだ? ボクに何か用かい」

プティ 「きゃー!」と嬉しそう笑うプティ。

ラッヘ 「グレイスさんの方が絶対私より年上だと思うんだけどな……」

グレイス「ボクは今23だから、ラッへとならボクが上だね」

     ただ…。この子は母性を見てるんじゃないか。

     ボクにはそういうものはないし」

イグアス「オレと同じくらいでしょ?オレは12だけど」

ラッヘ 「私、15なんですけど……」

プティ 「まーま?」ラッヘをみて、両手をのばすプティ。

ラッヘ 「う、う~ん……」*まま、という言葉に対しては眉毛をヘの字にしている

イグアス「結構違うな...人族は15が成人っつーもんな。だいぶ違うわ」

アルボ 「私がぱーぱなのは誰も違和感ないのか…」それはそれでむっとした顔


イグアス「(わかる...わかるぞ...きっとオレがペット扱いされる...!!)」

プティ 「イグアス!イグアス!!」


プティきゃいきゃいと、なぜかイグアスだけ呼び捨てに。


イグアス「はいはい、ペットのイグアスだぞ~」

アルボ 「お前それでいいんか…」


と、なぜか人化したプティはPC達冒険者のことを家族(一部家族かどうか怪しい判定のケンタウロスがいるが)と認識しているようです。父にアルボ、母にラッヘ。姉にグレイス。ペット(?)にイグアスとそれぞれ内定をもらいます。卵からかえったときに一番最初に見たのがアルボとラッヘだから刷り込みでそう思っているのか、はたまたそれぞれのPCの内面をくみ取った結果なのかはわかりませんが、どうもそのような判定になっているみたい。

グレイスを母ではなく姉にしたのはなんとなくわかる気もしますね、お母さんっていうかお姉さんって感じの方がするんだよなぁ。年齢上アルボが父というのもわかる気がする(アルボ27、グレイス23、ラッヘ15、イグアス12(!!))


ラッヘ 「ママ……ママねえ。あなたにママはいるのかしらね。

     まあ、見つかるまではママでいいわよ。

     はい、たかいたかーい」*ぐいっ

プティ 「♪」

アルボ 「人間に変身できるドラゴンか……

     それが特性なのか、遺失魔法の何かかはともかく、

     これは困ったことになったな」

プティ 「きゃー!!!」

イグアス「誰かに見られたらアルボの旦那の隠し子ってことにされますよ」

アルボ 「勘弁してくれ……」

ラッヘ 「くるくる~」*たかいたかいしたまま回っている

イグアス「(早めにそういうことにしないと色や翼からして

      オレとクルクマの子供とか言われかねない、

      ここは旦那に早くなすりつけておくべきだ!!)」

プティ 「きゃー!きゃー!」

グレイス「(なんて考えてるんだろうなあ、イグアス)」

アルボ 「(安心しろイグアス…お前には本当の子どもが

      そう遠くない未来必ずできる。

      お前の意志に関係なく……)」


と、きゃいきゃいするプティを見ていると、部屋の扉がノックされ開け放たれます。


クルクマ「ノックしましたし入りますよ!」

イグアス「ほげっ」


と、現れたのはイグアス一筋サキュバスガールのクルクマちゃん。全身をプレゼントテープにくるまれた、最高にイカれた状態での登場に度肝を抜いてきます。


クルクマ「バレンタインチョコをとどけにきました~!!」

アルボ 「最高にナイスというか最悪なタイミングで来たな」

ラッヘ 「あ、クルクマちゃん」

クルクマ「イグアス先輩、実はアタイがプレゼントなんです!!」

イグアス「すいません、ちょっとアンチボディ習得の鍛錬をして来ます」

ラッヘ 「チョコの要素、どこ……?」

アルボ 「いやいやイグアス、ちゃんと食べてやれ。そのままの彼女を。

     目を背けるな(誰も対処できないからな)」

クルクマ「って~♡!イグアス先輩これって私たちの~~?」


と、さっそく人化したプティを見つけるクルクマ。確かに、人化したプティって竜の要素である角や翼の影響で、どことなくクルクマに似てるんですよね。


クルクマ「想像妊娠…みたいな?

     とりあえず、受け取ってください!!」

グレイス「(我関せず)」

イグアス「何言ってんだコイツ...」

アルボ 「ほーらプティ、あれは見ちゃだめだぞぉ」

プティ 「らぶらぶ~」

ラッヘ 「ううん……まあいいかなぁ。脱がないように教えないと……」

イグアス「おい!ここだと臨戦態勢が取れないんだって!外でろ外!」

    (もちろん臨戦というのは殴り合いの事だが)

    (きっと誤解されるんやろなぁ)

クルクマ「外でですか!? ちょっと恥ずかしいですけど~~

     先輩が望むなら……♡」

アルボ 「おい、この子プティの教育に悪そうな有害指定蛮族がいるんだが?」

クルクマ「クルクマ!どこでも準備OKです!」


どこでも準備OKじゃねぇんだよなぁ……オチ要因として最強か?? と、突然押しかけバレンタインだと言い張り始めたクルクマ(セッション日はちょうど2月14日だった)、それに対して逃げ惑うイグアス、そんなワイワイとした中で、ぎゅっとぱぱとままの手を握るプティ。調べても、白き竜の謎は深まるばかりで……本当に彼女は何者なのでしょうか? どこか不安になりながらも、この楽しい時間は続いていけばいいなと、PC達は心のどこかで思ったのかもしれません。


と、わいわいしたにぎやかな中で、セッション2「拾って売って大金持ち?幸運の白き竜」は無事に終了しました! 本当にお疲れ様でした!!



◆感想

2話にして、いろいろと話が動き出してきた感じがしますね! “災厄の黒き竜”と“幸運の白き竜”、そしてそれに関わる“勇者エルヴィン”。一族の名誉挽回のため任務を遂行しようとするドレイクブロークンのカルミアに、ミズガルズの反逆王ヨルの策謀。そしてなにより、人へと変身することのできる謎めいた白き小竜“プティ”……


ワクワクする要素があちこちにちりばめられ、今後これがどう動いていくのか大変楽しみなお話になってきました。今のところ、伝承にしか語り継がれていない白き竜ですが、本当にプティはこの白き竜なんでしょうか。だとしたら、人に変身できるのもうなずける気がします。人に変身しようと思ったら、それなりに高度な魔法を使う必要があるでしょう。もしくはそういった特性や遺失魔法といったものかもしれませんが、なんにせよプティの重要度がぐんと上がったお話でしたね。うーん、これはますます手放せなくなってきた。


また、PC達の関係性も少しずつ露わになっていきましたね。今回は比較的アルボが前面に出て喋り倒した記憶があるので、アルボの心理的な部分が大きく出ていたかもしれません。戦闘では人とバルバロスの考え方の違いががっつり出ていて興味深いですね……商人であるアルボは、生きていてなんぼの世界。対して、バルバロスたちは誇りや一族の名誉を背負い、戦いに挑む。勝たなければいけないし、勝ち方にもそれなりのものが求められる。命を助けてもらう、ではなく命に情けを掛けられる。という発想はまさに蛮族そのものでめちゃいいっすね……

なかなか蛮族×人族でパーティを組むことがないので、こういった部分でメンタリティの差異が際立つと面白みがましますな!!


あと、今回もよる会話をしています。今回はアルボ×ラッヘの商人×商人嫌いの二人。アルボは今までの旅の話、バルバロスたちと出会い、“イグアス”“グレイス”と出会った話なんかをかいつまんで話したりしました。ラッヘは彼の夫“マックス・ダイアモンド”がどんな人物だったのかを語り、それから話が進み、ラッヘの進む道がどうなっていくのかを少し深堀してみる。といった内容。相変わらず設定が虚空から生まれてそれを投げ合うという異能力バトルみたいになってましたね。さすがというかなんというか……次回は誰と誰の会話になるんだろう?


最後となりましたが、今回もありがとうございました!

次回もよろしくお願いいたします!



◆キャラシ

●PC:アルボ/PL:とたけ

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=nTmTBt


●PC:イグアス/PL:じゃっく

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=pjvTxS


●PC:グレイス/PL:はやみ

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=68Iv1j


●PC:ラッヘ/PL:たけしん

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=N5D28j

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